その笑顔を・・・護りたい

 

 

 

 

 

この話はリリチャの後ぐらいのお話です。

恭也は全部のルートを通っていてなお誰とも付き合っていません。

いわゆるご都合endです。

そして、恭也の性格が少し変わっているかもしれません。

ですので、そこのところを了承していただける方はどうぞ、お楽しみください。

 

 

 

 

永全不動八門一派・・・。

それは時代の陰に消え去った最強の流派八つの総称である・・・。

うちの一つ・・・御神真刀流・二刀剣術・・・。

御神流を伝えし、御神・不破両家は数年前にテロという惨劇により・・・僅か3名を残し・・全滅。

その勢いによってか・・・同八門一派の一つ・・・桜花鳳凰院流・槍剣術・・・廃門・・・。

理由は当代の死亡・・・と、書記には記されている・・・。

そして・・・その数年後・・・残った八門一派は・・・ある女に全滅させられる・・・。

水代 香織と名乗る女によって・・・。

 

 

「我等が使いし業は外道の物なり・・・故に我等不動たること忘れることなかれ」

どこかの屋敷のようなところ・・・。

少女は剣を見ながら言う。

「欠かす事は出来ないこの理・・・私の使う剣は外道の剣・・・だから、それを忘れないようにしないと」

少女はそう言って立ち上がる。

「私が使う永全不動八門一派・・・桜花鳳凰院流・・・忘れては・・・いけませんわね」

永全不動八門一派・・・。

それは最強を冠する流派八つの総称である。

どれもこれも、極めた者は正しく一騎当千・・・。

一人で数千の兵を相手に出来るとまで謳われし剣技である。

「同じ八門に名を連ねる御神流の使い手・・・それが近くにいるなんて・・・」

少女はつぶやく。

「戦って・・・終わらせないと・・・この八門を・・・」

少女は剣を持って言う。

「御神流・・・か。確かテロで全滅したって・・・聞いてたっけ」

少女は窓から外を見る。

「でも・・・僅かながら3人が残っていた・・・御神宗家当主の妻である御神 美沙斗・・・その娘美由希・・・そして」

少女はいったん区切る。

「同じ学校に行っているって知ったときは驚いたけど・・・高町 恭也・・・さん」

そう言って少女は入り口のノブを握る。

「じゃあ・・・行って来るわ」

少女はその言葉を誰もいない屋敷に向かっていい、屋敷を出て行った。

 

 

 

 

 

「せぇぇぇぇぇいっ!!!!!」

そこは森の中・・・。

深い森林の奥地・・・。

そこで、恭也は剣を振るっていた。

「ラストォォォッ!!!!」

それはまるで一筋の光のよう・・・。

恭也の振るう剣が空をさす。

「全く・・・美由希のやつにも困ったものだ・・・神咲さんを助けて自分が骨折するとは・・・」

そう言って恭也は剣を鞘に直す。

「しかし・・・久しぶりに一人で訓練をしたな・・・」

暗闇を見据え、恭也は喋る。

「そこの方・・・出てきてはいかがですか?」

恭也は振り返って言う。

「うふふふ・・・その通りでございますわね」

そこから、一人の少女が姿をあらわす。

「自分に何か用でも・・・?」

恭也は臨戦態勢に入る。

相手の息遣い、呼吸、表情・・・全てが次の行動に反映してくる。

「永全不動八門一派・・・」

少女のその言葉に・・・恭也は少し眉がつりあがる。

「外道の業を振るいし我等八門・・・永全に不動なれ・・・動けば風の如し・・・止まれば樹木の如く」

少女は構わず言っていく。

「一度我等に刃向かえば・・・迎える運命はただ一つ・・・」

次の瞬間、少女は腰の後ろに帯刀していた剣を抜きさる。

「死・・・あるのみ」

そう言って少女は構えた。

「なぜ・・・お前は永全不動八門一派の理を知っている?」

恭也も剣の柄に手を置き、聞く。

「その答えは簡単・・・私も同じ・・・永全不動八門一派に名を連ねる剣術・・・桜花鳳凰院流・槍剣術の使い手だからよ」

次の瞬間・・・少女は恭也に抜刀をさせていた。

それほど・・・早く動いたわけではない・・・。

威圧感を纏った一撃が・・・恭也に放たれた。

「うふふふ・・・やるわね。でも、ここじゃまともに戦えないわ・・・こちらへ来てくださいませんか?」

「・・・判った」

そう言われ、恭也は少女の後を歩く。

「言い忘れていましたわ・・・私の名前は優伽・・・水代 優伽です」

そう言って優伽は立ち止まり、剣を構えた。

そこは周りを木に囲まれ・・・しかし、戦うだけにあるような・・・そんな広場だった。

「高町 恭也だ・・・」

恭也もそう言って剣を構える。

「桜の花弁・・・舞うは鳳凰の如し・・・」

優伽は恭也と対峙した状態で目を瞑り何かを唱える。

「戦う前に一つ尋ねたいのだが・・・?」

恭也は構えながら尋ねる。

「答える義理はありませんよ?」

対して、優伽は眼を開け、笑顔で言う。

「でも、貴方の言いたい事は判ってるつもりです・・・桜花鳳凰院流は廃門されたはずだが・・・そう聞きたいのでしょう?」

その言葉に、表情には出さないが恭也は内心驚いていた。

「廃門理由は当主の死亡・・・その後継ぎが居なかったから・・・たしかに・・・正規の鳳凰院流には後継ぎとしての実力を持つ人は居ませんでした」

そう言って優伽はいったん剣を下ろす。

「ですが・・・廃門される数ヶ月前・・・一人の女が桜花鳳凰院流を破門されました・・・名を水代 香織」

「なっ!!!!?」

その名前を聞いた瞬間、恭也はありえないと言う顔をする。

「香織の実力は当時の鳳凰院流の当主よりも遥かに上だった・・・ですけど」

優伽は少しだけ、悲しい顔をする。

「己の権利の座を失う事を恐れた当主により・・・八卦総会にて他の七流派の承認をへて・・・破門されました」

語られていく事実に・・・恭也はただ驚くしかなかった。

「そしてその数ヵ月後、私の母様になった水代 香織によって残った6流派は壊滅」

まるで紙芝居の幕引きのように・・・優伽は笑顔で言った。

「めでたし、めでたし・・・ですよね?」

「ふ・・・ふざけるなっ!!!」

笑顔の問いに・・・恭也は怒りをあらわにする。

「罪も無い女子供・・・そして・・・夢を追い・・・剣を学んでいた人を殺して・・・めでたい事など絶対にないっ!!!」

理不尽への怒りを・・・恭也はあらわにしていく。

「あなたの意見なんて最初から聞いていませんよ・・・だって、貴方は今ここで死ぬ」

次の瞬間・・・優伽の剣は恭也の目の前にきた。

「なっ!!!!?」

しかし、恭也も持ち前の動体視力と反射神経でそれを何とかかわす。

(認識・・・できなかっただと・・・?)

恭也は慎重に間合いを取り、優伽を見る。

「まさか『狩速』を捕らえられるとは・・・さすが御神・・・尊敬にあたいしますわ」

優伽はそう言って爪先をまた地面に数回つく。

「貴方たち御神にもある『神速』・・・見せる前に死んでしまわないでくださいましね?」

次の瞬間・・・文字通り優伽の姿が消える。

「ちぃっ!!!神速っ!!!」

恭也もほんの少し遅れて神速の領域に入る。

辺りから色が抜け落ち・・・モノクロの世界になる。

ゼリーの中を掻き分けるような感覚の中を・・・恭也は疾走する。

「遅すぎますわ・・・これが御神の『神速』とは・・・期待はずれですわ」

しかし、優伽は・・・その中・・・恭也以上の速さで動いていた。

「知覚感覚の爆発的な上昇であたかも周りを止まっているかのように見せる・・・」

次の瞬間、優伽の剣は恭也の左腕を掠っていた。

「でも・・・それだけ・・・そう、私達桜花鳳凰院流の『獲速』の前では・・・歩いているようにしか見えませんわ」

そう言って優伽は再び爪先を地面でつく。

「次は奥義を放ちますわ・・・避けてくださいましね」

笑顔の後・・・優伽は消える。

「くっ・・・速さが桁違いだ・・・これが・・・八門の完成された剣士の強さ・・・」

恭也は剣を鞘に戻し、薙旋の構えに入る。

「完成された剣士?違いますよ・・・私も貴方と同じ・・・出来損ないですわ」

その言葉のあと・・・優伽は思いもがけない場所から現れる。

「上からだとっ!!!?」

恭也は咄嗟に上からの気配に反応する。

「遅いですわ!!!」

 

奥義之弐 彼岸花

 

上空から神速を超える四発の刺突が恭也に放たれる。

桜花鳳凰院流奥義之弐 彼岸花(ひがんばな)

桜花鳳凰院流の基礎体術である『獲速』を極めた者が次に取り掛かる工程の奥義。

相手の周りを『獲速』で動き回り、上空へと跳躍。

そして上空から相手に向かって神速を超えた四連激の刺突を放つ奥義である。

「ぐぅぅ!!!」

 

奥義之六 薙旋

 

恭也も神速の四連発の斬撃を放つが、二発目の刺突を弾いたと同時に右腕の剣が突き刺さる。

「がぁぁぁぁ!!!!?」

恭也は絶叫を上げる。

「よ・・・っと」

そして優伽はすぐさま剣を抜き、距離をとる。

「まさか彼岸花を二発目まで防ぎますか・・・まぁ、それぐらいやってもらわないと面白くありません」

そう言って優伽はすぐさま構える

「まさか逃げるなんていいませんわよね?私達八門に負けはありません・・・そして戦えば勝つ・・・が御神でしたわね」

笑顔で恭也に言う優伽。

「でも・・・貴方達御神は私達には勝てない・・・」

抜刀の構えをし、優伽は恭也に言う。

「今から桜花鳳凰院流奥義之参 神楽舞を放ちます・・・ちゃんと防いでくださいましね」

そう言って優伽は『獲速』の領域へと入る。

「くっ・・・桜花鳳凰院流基礎体術『獲速』・・・父さんに聞いていてが・・・まさかこれほどとはな」

着ていた服の袖を破り、恭也は刺された場所に巻き付ける。

「奥義之参・・・」

そして数秒の後・・・恭也の背後から声がした。

「そこかぁっ!!!」

恭也はその場所に向かって飛針を3本ほど投げつける。

「はずれよ」

優伽は声のした方からではなく・・・恭也の真正面から現れる。

 

奥義之参 神楽舞

 

桜花鳳凰院流奥義之参 神楽舞(かぐらまい)

恭也ほどのてだれなどを相手にする時の為に考案された奥義之一つ。

まずは声を相手の背後で発し、そこに相手が気づいた瞬間一気に正面へと『獲速』で回りこむ。

そして真正面から“斬る”と“突く”という動作を一気にやる技である。

「だぁぁぁぁっ!!!」

しかし、恭也はその速度に追いつき、優伽の攻撃を受け流す。

「ふんっ!!!」

そして恭也は優伽の左腕に徹を込めた斬激を放った。

「ぐぅぅぅ!!!」

いかに受け止めようが徹は相手の内部へと衝撃を与える技・・・。

それは優伽も例外ではなく・・・少なからずダメージを負った。

「効きますわねぇ・・・」

そう言って笑顔で優伽は言う。

「今のが御神が使う“斬”“徹”“貫”の中の“徹”ですか・・・しばらく左腕は使いもになりませんわね」

優伽は傷を負おうが笑顔を崩さない。

「・・・・・・何がそんなに楽しい・・・?」

恭也は常に笑顔で居る優伽に聞く。

「うふふふふ・・・おかしいですか?」

優伽は少し苦笑して聞き返す。

「俺には貴方が人を殺すことが好きと言う風には見えない・・・だから、何が楽しいかはわからん」

恭也はそう言って構える。

「あんまり私自身意識している訳じゃないのですが・・・子供の頃の影響・・・と、言ったところでしょうか」

優伽はその言葉の後、構えていた剣をおろす。

「すこし・・・昔話でもしましょうか?」

「そんな時間は無い」

沙耶伽の言葉に、恭也はすぐさま言い返す。

内心・・・恭也は焦っていた。

相手である沙耶伽からは敵意がまったく感じられない・・・そして・・・殺気も・・・。

故に・・・優伽の行動を先読む事が出来ないでいた。

「じゃあ戦いながら言っていきましょうか」

そう言って優伽は走り出す。

「そうですねぇ・・・あれはまだ私が7歳の頃ですよ」

上段からの斬激が恭也に放たれる。

「母様から桜花鳳凰院流の技を教えてもらって・・・何度も死にかけました」

恭也は黙って優伽の言うことを聞きながらも、斬激を放ち返す。

「決して誉めてくれることは無かった・・・怒ってばっかりでした」

優伽も語りながらもその斬激をはじいて行く。

「父様はもっと酷かった・・・すぐに私を殴ったり蹴ったりするんですよ」

今度は横薙ぎの一撃が恭也から放たれる。

「そこで私が痛いなんて言うともっとしてくるんです・・・酷い親ですよね」

優伽は剣を縦にし、その一撃を受け止める。

「だから私は哀しみを捨てました・・・ずっと笑顔でいれば・・・父様はすぐにお止めになるから」

そして優伽は剣を振り上げるようにして恭也を剣ごと弾く。

「・・・感情を押し殺し・・・笑顔でいることに何の意味があるっ!!!」

恭也は凄まじい気迫の篭った声を出す。

「貴方には・・・判らないでしょうね・・・幸せな家庭だったと、お伺っていますから」

そう答えて・・・優伽は構える。

「では、お話は終わりです・・・最後は・・・奥義之極で・・・葬って差し上げます」

その構えは抜刀術・・・。

やや体を後ろにねじり、柄に添える手が少し下がっている。

「俺は負けない・・・御神は・・・何かを護る時に一番強くなる!!!」

そして恭也も構える。

「俺は・・・お前の笑顔を護る為に!!!今剣を振るうっ!!!」

抜刀の構え・・・。

繰り出される奥義は恭也が最も愛用し・・・父である士郎も使っていた奥義之六・・・薙旋。

「私の笑顔を護る為に剣を振るう・・・?とっても・・・馬鹿な理由です」

その言葉の後、優伽は『獲速』の領域に入る。

「俺には・・・その理由だけでも十分だ」

そう言って恭也も神速の領域へと突入する。

「振り払えないっ!!!?」

優伽は『獲速』の中にあって速さの衰えない恭也に驚きを隠せなかった。

「言ったはずだ!!!御神は護る時・・・その最大の力を発揮する!!!」

恭也は叫びながら優伽に近づく。

「では・・・その最大の力を私がやぶって見せましょう!!!」

そして・・・優伽の技が放たれる。

 

奥義之極 曼珠沙華

 

桜花鳳凰院流奥義之極 曼珠沙華(まんじゅしゃげ)

『獲速』の中でその全神経を費やし一気に十六もの剣閃を相手に放つ技。

抜刀した瞬間その剣閃の余りの速さに光って見える。

そして、曼珠沙華を防いだことのある剣士は桜花鳳凰院の歴史の中でも他流で3人しかいない・・・。

「うぉぉぉぉぉっ!!!!!」

しかし、恭也は全く退かず、奥義を放った。

 

奥義之六 薙旋

 

神速からの四連激が十六の剣閃とぶつかりあう。

「たぁぁぁぁ!!!」

「はぁぁぁぁ!!!」

恭也の一撃が・・・一気に四の剣閃を弾く。

「まだ・・・まだ・・・ですっ!!!」

そして、その叫びの後、優伽から一気に八つもの剣閃が放たれる。

「負けるかぁぁぁっ!!!!」

しかし、恭也も叫び二・三撃目でその剣閃を一気に弾く。

そして・・・恭也の薙旋は、優伽の曼珠沙華を全て弾いた。

「はぁぁぁぁ・・・・」

「ふぅぅぅぅ・・・・」

お互いは互いに背を見せ合うような形で、息を整えていた。

「ふぅぅぅ・・・ごほっ!!!?」

息を整えていた優伽が・・・急に血を吐き出した。

「なっ!!!剣は当っていないはず・・・」

そう言って恭也は優伽に近づこうとする。

「来ないでください・・・」

しかし、優伽は手を上げ・・・恭也を拒む。

「さっき言いましたよね・・・私も出来損ないだって・・・その証拠がこの血です」

そう言って優伽は口元の血をぬぐいながら立ち上がる。

「幼い時に父様から受けた暴行が原因でしてね・・・肺結核・・・そして、体中の骨がもう軋んでるんです」

優伽はこんな時にも笑顔を崩さない。

「ちょっと戦いすぎたみたいです・・・今日は私の負けです・・・」

そう言って優伽はふらふらとしながらも歩き出す。

「貴方の言葉・・・嬉しかったです・・・それでは」

優伽は恭也とすれ違う瞬間に・・・恭也の頬にキスをする。

「なっ!!?」

恭也が驚き、優伽の方を向く。

「ではまた・・・明日」

それだけ言って優伽は森の中へと消えていった。

「むぅ・・・」

恭也はキスされた場所を手で触る。

「・・・・・水代 優伽さん・・・か・・・また、会いたいものだ」

そう言って恭也も森を出て行った。

 

 

 

 

 

「おはよ、高町くん・・・って、どしたのその腕?」

朝、学校で忍が教室に入ってきた恭也の右腕に巻かれている包帯を見て言う。

「あぁ・・・昨日ちょっとな」

恭也はそう答えて、席に座る。

そして、その後教室がいきなり騒がしくなる。

男子のほとんど(恭也・赤星以外)と女子も数名が教室の窓から外を見てなにやら騒いでいる。

「何の騒ぎだ・・・・?」

恭也は赤星に聞く。

「あぁ、この学校にいる水代っていう人が今こっちに向かってきてるから皆騒いでるんだろう」

赤星は恭也の問いにすぐに答える。

(水代・・・?どこかで聞いたような・・・)

恭也はそう思い教室の入り口を見る。

そして・・・一人の少女が入ってきた。

左手には包帯を巻いて・・・。

そして、その姿は恭也にとってとても見覚えのある人物だった。

「あら、いましたわ」

恭也を見て、その少女は笑顔で言う。

入ってきた少女は・・・昨日恭也と戦った水代 優伽その人だった。

「おはようございます、高町 恭也さん?」

優伽は微笑んで言うが・・・目の前に挨拶をされている恭也は呆然としている。

「その腕、大丈夫でしたか?」

優伽は恭也の左腕に巻かれた包帯を見て尋ねる。

「あ・・・あぁ・・・貴方のほうこそ、大丈夫でしたか?」

何とか意識を戻し、恭也も尋ね返す。

「ええ、私は大丈夫ですわ」

そういう笑顔は昨日の笑顔ではなかった。

「護れた・・・みたいですね・・・」

恭也はその笑顔を見て、言う。

「ええ・・・でも、まだまだ弱いですから・・・まだ、護ってくださいませんか?」

少女は恭也に手を差し出す。

「よろこんで・・・」

恭也も合わせるように言い返し、手を取る。

「ちょっと高町くん!!!」

その二人に今まで黙っていた忍が叫び声を上げる。

「一体どうなってるのよ!?」

忍は恭也に詰め寄ろうとするが・・・。

「あら、私の前で恭也さんへの無礼は許されませんわよ?」

そこに優伽が割ってい入っていた。

「水代さんだっけ・・・本気?」

忍は優伽を睨むような表情をする。

「もちろんでございますわ・・・それに恭也さんは昨日仰ってくださってんですもの」

笑顔で言う優伽に・・・恭也は戦慄を覚えていた。

本能が・・・逃げろと警告している。

優伽を連れて行けばなおよしとも、訴えている。

「私の笑顔を護ってくださると」

恭也が立ち上がる前に・・・爆弾は投下された。

その言葉を聞いた忍以下クラスの男子は・・・固まっていた。

「あら・・・?」

それを見た優伽は一人不思議そうな顔をしている。

「水代さん・・・」

恭也は優伽の肩に手を置く。

「逃げましょう」

そう言って恭也は優伽の手を掴み駆け出す。

「はっ・・・高町くん!!!待ちなさい!!!」

いち早く回復した忍が叫ぶ。

これから、また一騒動以上あるのだろうと、恭也は思っていた。

だが、それでもいいのではないかとも、思っている。

だって・・・護りたいものが出来たのだから・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

Fin

 

あとがき

 

どうもアハトです。

短編SS『その笑顔を・・・護りたい』いかがだったでしょうか?

私個人の至らないところが会って、恭也の性格がこんなのじゃないという方、それは謝らせていただきます。

ですが、それでもおもしろいといってくださるかた、ありがとうございました。

また、会う機会があればどう是よろしくお願いします。

 






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