注)これは、私が書いた作品【破滅の中の堕ち鴉】の番外編【召喚器大戦…?】の続編です。

  本編とはなんら関係はありませんので、ご了承を。

  基本的にギャグで出来ていますので。

  では、どうぞ……

 

 

 

 

 

その日の朝、破滅の堕ち鴉 不破 恭也は人の気配で目を覚ました。

咄嗟に枕元においてあった小太刀を握り締め……

「あっ」

ようとして、何か柔らかなものを握る。

その感覚に、恭也は恐る恐るそちらを見ると……

「御主人様、朝からは少し困るかと……私としては別に構わないのですけど」

紫の膝までのロングヘアーをした女性の、腕を掴んでいた。

「すっ、すまない!」

慌てて、恭也は手を離す。

「こちらこそ、入る前にお声をお掛けした方がよろしかったですね」

そんな恭也に、女性は微笑みながら言う。

「しかし、珍しいな……エレクトラが来るのは」

少し苦笑しながら、恭也は言う。

「えぇ、たまには御主人様のお世話をしてみたかったものですから……それに」

「それに?」

「私もご主人様の事をお慕い申して上げますから、他の娘達ばかり、と言うのがちょっと」

柔らかな笑みの中に、何か見てはいけないような感情が見て取れた。

今恭也の目の前にいる女性は、恭也の召喚器 プレアデスの一人、エレクトラ。

7つの顔を持つプレアデスの7人姉妹の一人であり、一番大人びている。

けれども、ちょっと拗ねたりとか、やきもち焼きな一面もある女性である。

そして一番特徴的なのは、常に二人一組のプレアデスにおいて、一人だけでいる点である。

召喚器としての特性が、こうした所にも現れていた。

「御主人様、そろそろ起きた方がよろしいかと」

「あぁ、そうだな」

エレクトラにそう言い、恭也は立ち上がり……

「……着替えるんだが?」

部屋を出て行こうとしないエレクトラに、恭也は尋ねる。

「はい、ですから私の事は気にせずどうぞ」

ニッコリと、笑顔でエレクトラは言う。

「いや、さすがに人前では着替えにくいんだが……」

相手が女性と言うこともあるし、何より恭也の体は傷だらけだ。

そんなものを、おいそれと他人に見せる気がない恭也は、やんわりエレクトラに出て行くように言うのだが……

「御主人様、私は召喚器でもあります。 ですから、いくら御主人様が強いとはいえ、お側を離れる事はで来ません」

シレッと、エレクトラは言う。

「だったら、せめて向こうを向いていてくれ……」

ため息交じりに、恭也は言う。

「照れる事などありませんのに」

小さく、クスリと笑ってエレクトラは恭也に背を向ける。

それを確認した恭也は、溜息をつきつつ着替えを行う。

その恭也の姿を、幻影石で撮影しているエレクトラに気付かずに……

 

 

 

 

 

 

 

 

続・召喚器大戦…?

 

 

 

 

 

 

 

 

朝から疲れた恭也は、後ろにエレクトラを控えて食堂へとやってくる。

「おはよう、皆」

食堂のドアを開け、恭也は挨拶する。

「おにいちゃん、おはよう」

そんな恭也に、まずなのはが挨拶を返す。

「恭也様、おはようございます」

そして、そのなのはの後ろに控えていたアストライアがなのはに続いて挨拶を返す。

「おはよう、恭也」

なのはの対面で座っていたイムニティが、最後に挨拶を返す。

「今日はエレクトラさんなんだ」

恭也の後ろに控えているエレクトラを見て、なのはが言う。

「えぇ、偶にはマスターのお世話をしてみたくなりまして」

ふんわりと、柔らかな笑みを浮かべてエレクトラは言う。

「ロベリア達はどうした?」

この場にいないロベリアとダークプリズン、ミュリエルとヘスペリデスに気づき、恭也は尋ねる。

「まだ来ていないわ」

それに、イムニティが答える。

「珍しいな……」

そう呟いて、恭也は椅子に座る。

「御主人様、どうぞ」

間髪いれずに、恭也の目の前にお茶の入った湯呑みが差し出される。

「すまんな、エレクトラ」

エレクトラに礼を言い、恭也はお茶を飲む。

「エレクトラさん、その湯呑みはどうしたの?」

そのエレクトラの持ってきた湯呑みに疑問を感じたのか、なのはが尋ねる。

「湯呑みなんてここにはなかった気がするんですけど……」

「えぇ、ですので作りました」

「へっ?」

エレクトラの言葉に、なのはが呆けた声を出す。

「この世界には御主人様がいた世界にある湯呑み、と言うものがありませんでしたので作ったんです」

さも当然のように、エレクトラは言う。

「ご主人様の為に、例えどんな些細なことでも尽くしてみせる……それが、私なりの愛情表現ですから」

その微笑みを見たなのはは、ただ感心して、綺麗だなと思う。

エレクトラは控えめな所が目立つ。

まぁ、その分他の6人は自己主張が激しいのだが……

「でも、どうやって作ったのよ?」

当然の疑問を、イムニティがエレクトラにぶつける。

「私の魔力を少量切り離しまして、それを物質化したんです」

エレクトラの説明にイムニティは驚く。

「魔力を物質化って……」

「驚かれていますね、イムニティさん。 でも、これは全然役に立たないんですよ」

困った笑みを浮かべながら、エレクトラは恭也に飲み干し手からになった湯呑みを受け取る。

「魔力を物質化する、これは高度な魔術書には載っていますけど、永久的に維持するのは無理なんですよ」

言葉と共に、湯呑みはまるで溶けるかのように消えていった。

「こうやって、一定時間が過ぎると元の魔力に戻って消えてしまいます。 それに、そんなに長く物質化も出来ませんので」

「確かに永久的に魔力を物質化できる、なんて魔法使いがいたらある意味無敵だものね」

納得したように、イムニティは言う。

「さて、御主人様。 もう一杯、お茶はいかがですか?」

「あぁ、もらおうか」

エレクトラの質問に恭也は頷き、エレクトラはそれを確認して両手を胸の前で何かを包み込むような形にする。

すると、その手と手の間の空間が光り始め、数瞬の後には、そこには先程と同じ湯呑みが出来上がっていた。

そのままエレクトラは、その湯呑みに持って来ていたお茶を入れ、恭也に渡す。

「ねぇ、なのは」

「なに、イムちゃん?」

そんな二人のやり取りを見ていたイムニティがなのはに尋ねる。

「エレクトラって……恭也の召喚器って言うより、恭也のメイドじゃないの?」

イムニティの言葉に、なのははエレクトラと恭也を見る。

椅子に座りながら、湯呑みでお茶を飲む恭也。

その傍らに立ち、甲斐甲斐しく恭也の世話をするエレクトラ。

それを、なのはは元の世界にいた頃見ていたノエルと忍の関係を思い出しつつ、あてはめて見る。

「確かに…そうかもしれないね」

苦笑しながら、なのはは答える。

恭也が持っているのが湯呑みではなく普通のカップだったら…エレクトラがノエルが着ているようなメイド服を着ていたら……

ものの見事にメイドとその主人にしか見えない。

ちなみに、今エレクトラが着ている服は茶色のロングスカートと白いブラウスである。

エレクトラたちの服は、自分の想像で変化する物らしい。

その特性を生かして、マイアやアステロペはスク水やらなんやらに着替えて恭也で遊んでいたが……

「御主人様、この後の予定は何かありますか?」

再び湯呑みを作り出して、エレクトラは恭也に尋ねる。

「いや、これといってないが……」

「では、デートしましょう」

まるでスーパーに買い物に行こう、ぐらいのノリでエレクトラは恭也に言う。

その言葉に、恭也はおろかなのはもイムニティも呆けた顔をする。

「いや、なぜそうなるんだ?」

少々困った顔をして、恭也はエレクトラに尋ねる。

「それは勿論、私が御主人様とデートがしたいからです」

ニッコリと、エレクトラは恭也に答える。

「そんなの駄目よ!」

「そうだよ、エレクトラさん!」

当然、それに反論するのはイムニティとなのはである。

「あら、なぜですか?」

微笑みながら、エレクトラは尋ねる。

「それは……」

まさか、ずるいからと言う理由だからとはいえない二人。

「なのはさん、イムニティさん」

そんな二人に、エレクトラは小さく笑いながら近づく。

「後で、御主人様の着替えを写した幻影石を差し上げますから」

「っ!!」

「ホント!?」

「?」

エレクトラが小声で言った事に、イムニティとなのはは驚きから声を大きくして尋ね返す。

そして、急に大きな声を出したなのはとイムニティに、不思議そうな顔をする恭也。

「勿論です、それも今日の朝の御主人様の着替えです」

今朝隠し撮りした幻影石を見せながら、エレクトラは言う。

「恭也の着替え……」

「おにいちゃんの着替え……」

二人は同時にそう呟き、同時ににやける。

その顔を見た恭也が一瞬震えたのは内緒である。

「んっ、こほん。 まぁ、偶には召喚器と仲を深めるのも悪くはないわね」

「そうだね、エレクトラさんはおにいちゃんの召喚器だしね」

そして、先程とは全然違う意見を言う二人。

「と言うわけで御主人様、デートにまいりましょう」

嬉しそうに笑いながら、エレクトラは恭也の手をとって言う。

「はぁ……俺と行ってもつまらんと思うぞ?」

小さくため息をつき、恭也はエレクトラに言う。

「いいえ、御主人様と一緒ならたとえそこが地獄でも、楽しいですわ」

「……そうか」

エレクトラ達の過去を知っているが故に、恭也はそれ以上何も言わなかった。

「恭也、エレクトラお土産よろしくね」

「私もお願いするね、おにいちゃん」

部屋を出て行こうとする二人に、イムニティとなのはが言う。

「判りました、ですので留守番をお願いしますね」

笑いながら二人にそう言って、恭也とエレクトラは部屋を出て行った。

 

 

ちなみに、街中でロベリアやミュリエルに会った事を追記しておく。

さらに、そんな二人に先程のイムニティやなのはと一緒の約束事を取り付けて邪魔しないように言った事も追記しておく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

 

堕ち鴉第25弾は連続で番外編〜〜

フィーア「前回の番外編の続編ね」

うん、浩さんの書いてる神咲対抗恭也争奪大会みたいに、続々って続いていくかも。

フィーア「今回はエレクトラしか出てこなかったわね」

前回のあとがきで、浩さんがメイドを所望していたからね。

フィーア「まぁ、あの7人でメイドになりえるのはエレクトラしかいないわね」

策士な一面も持つメイド、こんな感じになりました浩さん。

フィーア「お姉様、明日は槍が振るかもしれませんよ」

……なんでさ?

フィーア「あんたが自主的にお姉様や浩さんのリクエストを書いたから」

ひでぇ!

フィーア「あんた熱ない? もしかして偽者とか?」

何で相方にここまで言われなきゃいけないんだよぅ……

フィーア「あんたが私の下僕だから」

自由が欲しいぃ……

フィーア「あげるわ、私とお姉様の犬って言う自由をねぇ!」

ひぇぇぇぇぇぇぇ!!!

フィーア「ではでは〜〜〜」





メイド〜♪
美姫 「まさか、本当に書いてもらえるなんてね」
くすくす。メイド〜。
美姫 「はぁ。ちょっとはしゃんとしなさい!」
ぶべっ! つつつつっ。
はっ! ここは誰、私はどこ。
美姫 「うん、戻ったみたいね」
って、突っ込めよ! というか、あれで戻ったって、普段の俺をどんな目で見ているんだ、お前。
美姫 「言っても良いの」
遠慮してください!
美姫 「はやっ!」
コホン。えーっと、策士の一面を発揮しながら、恭也に奉仕。
服が、服が悔やまれる。
美姫 「煩い!」
ぶべらっ! ……じょ、冗談なのに。
美姫 「七つの顔を持つ召還器だけに、恭也の周りの女の子は日々変わるのね」
みたいだな。いやー、面白い設定だな、やっぱり。
美姫 「うんうん。本編も番外編も面白いわね」
本当に。次はどんなお話なのか、今から楽しみだ。
美姫 「次回も待ってますね〜」



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