「お父さん〜、お父さん〜〜」

ゆさゆさと、布団で眠っている恭也を揺らしながら声をかける幼い声。

「んっ……フィーアか?」

薄く目を開け、恭也は目の前で声をかけている少女の名前を呼ぶ。

「早くしないと鼎お姉ちゃんと紅お姉ちゃんが来るよ〜〜」

その言葉を聞いた瞬間、恭也はガバッっと起き上がる。

主に‘鼎’という名前にだが……

「もうこんな時間か……フィーア、おこしてくれてありがとう」

そう言って恭也はフィーアの頭を撫でてあげる。

それに、嬉しそうな顔をするフィーア。

「フィーアちゃん、遊ぶんだね!!」

「遊ぼ……」

そこに、猪突猛進のようにシオンが駆け入ってき、その後ろからエイヴァも入ってくる。

「シオン、エイヴァ、余りノックもせずに男性の部屋に入るのはどうかと思うんですがね」

そしてその後ろから鷹狼が苦笑しながら来る。

「恭也、朝から騒がしくてすみませんね」

「いや、鷹狼の所為ではないし俺もそんなに困っているわけでもない」

気にするな、と言って恭也も苦笑する。

「そうそう、そろそろ朝食ですよ」

そう言って鷹狼はシオンの首根っこを猫のように掴み上げる。

「ちょ、鷹狼、降ろすんだね!!」

「はいはい、ここでは何ですからまた後でね」

鷹狼はそう言ってエイヴァの手も掴んで部屋を出て行く。

「じゃあお父さん、私も先に行ってるね」

フィーアもそう言って鷹狼の後ろを歩いていく。

「はぁ……朝から大変だな……」

窓から差し込む光に、恭也は溜息をついた。

 

 

 

 

 

 

それは摩訶不思議な夢の中で

(前編)

 

 

 

 

 

これは、私が書いた作品の主要オリジナルキャラクターが一斉に出てくる夢物語です。

恭也はいろいろな役になっていますが、ご了承ください。

これは恭也以外ほとんど既存のキャラは出てきません。

それでもいいという方はどうぞ、お進みください。

 

 

 

 

「あら、おはようございます恭也さん」

「ええ、おはようございます深幌さん」

居間に入って、彩に挨拶されたので同じように挨拶をする恭也。

「いいご身分だねぇ、遅くまで寝ていて」

「ベルフォード、そういうな」

恭也に対して文句を言うベルフォードを、レイルがたしなめる。

「マグノリア、そこの瓶を取ってください」

「ほれ」

台所では馨とマグノリア、燈狼が食事の準備をしている。

「お〜っす、帰ってきたぞ〜〜〜」

そこに、鼎の声が響く。

「鼎さん、紅さんおはようございます」

それを見た恭也は挨拶をする。

「おう恭也、おはようさん」

「はい、おはようございます恭也さん」

そして、鼎と紅は同時に挨拶を返す。

「恭也、灰皿」

「はいはい」

鼎が煙草を恭也に向けながら言うと、恭也はすぐさま灰皿を鼎に差し出す。

「わりぃな」

全然悪びれもせず、鼎は言う。

「貴女は……呆れてものも言えませんわ」

その横で、紅が盛大に溜息をついた。

「おいおい、溜息ついたら幸せが逃げるぜ、紅?」

「貴女の所為でしょうが!!」

ケタケタ笑ながら言う鼎に、紅は叫ぶ。

「あっ、鼎お姉ちゃん、紅お姉ちゃん」

そんなこんなで居間につくと、それを見たフィーアが二人に声をかける。

「ったく、紅もいい加減にしねぇとフィーアみたいに可愛くなれないぜ?」

「なっ!?」

その言葉に、紅は顔をかなり赤くする。

「そうよねぇ……でも、このフィーアちゃんの可愛さはもう犯罪級よねぇ〜〜」

そう言ってベルフォードがフィーアを後ろから思いっきり抱きしめる。

「うふふふ、フィーアちゃんは皆さんの人気者ですね」

彩も同じようにフィーアをベルフォードと一緒に抱きしめる。

「むぎゅぅ……ベルお姉ちゃん、彩お姉ちゃん苦しいよ」

「あらあら、ごめんねフィーアちゃん」

彩は苦笑しながら腕の力を抜く。

「お前ら、入り口で群れるな……それにはようせい、朝食がさめるぞ」

それを見ていたマグノリアが溜息をついて言う。

「なんだ、マグノリアもやってほしいのか?」

そう言ってベルフォードはマグノリアを抱きしめる。

「マグノリアも可愛いぞ」

「なっ、ななななななななな!!!?」

「おぉ、どもってるどもってる」

マグノリアの耳元で囁く様にして言うベルフォードに、マグノリアはかなり顔を赤くする。

そして、それを見た鼎は腹を抱えて笑い出す。

「マグノリア、なに照れてるんですか? 自分の年を考えてくださいよ全く」

「なんじゃと…………」

しかし、そんな中でマグノリアに対して爆弾を落とすのは決まってシオンか、燈狼である。

「フィーアが可愛いのは周知の事実ですが、貴女は自分がいったい今何歳だか自覚していないんですか?」

嫌味っぽく聞こえるが、燈狼にはそんな気持ちはこれっぽっちもない。

むしろ、鷹狼に言わせると平然と相手の神経を逆撫でする事が出来るのが燈狼の特技らしい。

「やはりおぬしとは……一度じっくりと話し合わんといけないようじゃの」

「やれやれ、時間の無駄ですよ?」

マグノリアを中心として風が渦巻き始め、燈狼は壁においてある自分の剣を持つ。

ちなみに、この家の居間にはたくさんの武器がおいてある。

上から恭也・鷹狼・燈狼・鼎・レイル・紅・彩・ベルフォードの順番である。

「ふん、おぬしは暫く病院のベッドの上で安静しておれ」

「貴女は修道院でも行ってその粗野な言葉遣いを直してくる事をお勧めしますよ」

まさしく一触即発の状態である。

皆は毎回の事なので、すでに食堂へと進んでいる。

それに、絶対にこの二人を止めてくれる人がいるから大丈夫なのである。

「マグノリアお姉ちゃん、燈狼お兄ちゃん……喧嘩は止めようよぅ」

涙目になって、フィーアが言う。

フィーアは極端に親しい人が喧嘩や争う事を嫌がっている。

このあたりは、鷹狼にもいえることだが……

「…………そうですね、フィーア」

剣の柄においていた手を放し、燈狼はフィーアの頭を撫でる。

「フィーアに免じて今回は見逃してやるわ」

「それはボクの台詞ですよ」

フィーアの見えないところで火花を飛び散らせる二人。

「うん、じゃあいこ」

二人の手をとってフィーアは食堂へと行こうとする。

「死んでも貴女とはこう言う関係にはなりたくないですねぇ」

今の状況を見て、燈狼は言う。

子供にせっつかれている夫婦に見えるのである。

「妾とて同じ事」

お互いフン、と顔をあわせずに食堂に入る。

「おや、やっぱりまたフィーアにとめられましたか」

すでに席について食べ始めていた鷹狼が言う。

「まっ、こんなかじゃフィーアが一番強いからねぇ」

「それは当たり前よ」

鼎とベルフォードが口をそろえて言う。

「むっ、今日の味噌汁は味が違うな……」

「そうですか? 何時もと作り方を変えたつもりはないんですがね」

レイルと馨は、どこぞの夫婦の会話をしている。

座り方は上座に馨、その右にレイルが左には鷹狼が座っている。

レイルの隣に鼎、紅が座りその隣に恭也、彩、ベルフォードが座る。

鷹狼の隣は今しがた来た燈狼、マグノリアが座り、シオン、エイヴァと続く。

フィーアは座りたいところに座らせようといって毎回席が違う。

たいてい、ベルフォードや鼎が呼ぶのでその近くだが……

「今日はお父さんの隣に座る〜」

そう言って、フィーアは恭也と彩の間の席に座る。

「うふふふ、何だか恭也さんと夫婦になってしまったような気分ですね」

笑顔で、彩が皆に言う。

「まっ、彩の子供だって言うんならフィーアは合格ね」

「どうしても恭也の遺伝子がどこにも見当たらないけどな」

彩の言葉に、ベルフォードと鼎が好き勝手に意見を言っていく。

「それで、皆さんは今日はどうしますか?」

箸を置き、馨が皆に尋ねる。

「私と紅は買い物だ」

「ええ、そろそろ服や小物など見に行きたいので」

と、鼎と紅が言う。

「私もついて行って宜しいですか?」

「彩が行くんなら私も行くよ」

「ああ、私は構わないよ」

彩とベルフォードも鼎達に付いていくようである

「私たちは特訓ですよ、燈狼、シオン、エイヴァ、マグノリア」

「えーーーーっ!!?」

鷹狼の言葉に、シオンが叫ぶ。

「これからフィーアちゃんと遊ぼうと思ってたのにぃ……」

「…………残念」

シオンとエイヴァが目に見えて落ち込む。

「私とレイルは今晩の準備でしょうかね」

「そういえば、そうだな」

「俺も手伝います」

馨の言葉にレイルが頷き、それに恭也が協力を申し出る。

「フィーアはどうしますか?」

そして、馨がフィーアに尋ねる。

その瞬間、一斉に皆がフィーアを見る。

「うんとね、私は……」

 

 

 

 

 

1、鼎達と一緒に買い物に行く

2、鷹狼達の特訓を見に行く

3、馨達の手伝いをする

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

ははははははは、夢は具現化するのだ!!

フィーア「夢は夢で終わらせるのが妥当よ」

何とでも言うがいい、具現化してしまった夢はもう誰にも止められないのだぁぁぁぁ!!

フィーア「ほかのSS書かないで何してるかと思えば、まるっきり趣味に走ってるじゃない」

こういう話もいいかなぁって考えてたら……

フィーア「ついつい書いちゃったと?」

イエス、サー

フィーア「じゃあ、このSSをさっさと書き上げなさい」

レンジャー!!

フィーア「…………なんで、レンジャーなの?」

んっ? なんとなくかな。

フィーア「はぁぁぁぁ……では、また次回で」

ではでは〜〜〜




うーん、あらゆるキャラたちが登場〜。
美姫 「新旧と取り乱れての朝の風景」
騒々しくも、ほのぼのとした温かさをご提供〜。
美姫 「さて、選択肢以降が非常に気になるわね」
ああ。果たして、それぞれの選択の向こうでは、何が起こるのか。
美姫 「続きを楽しみに待ってますね」
ではでは。



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