注)これは私が雑記ネタとして浩さんに送った外伝 月村 魔璃の漂流譚〜虚像世界の魔術師達〜の小ネタです。

  本編である月村 魔璃の麻帆良冒険譚とはなんら関わりはありません。

  オリジナルキャラ・オリジナルデバイスが出てきますのであしからず。

  設定や、パワーバランスがおかしい所もありますが、お許しを。

  それでもいいと言う方は、どうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外伝 月村魔璃の漂流譚〜虚像世界の魔術師達〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一

 

 

 

「管理局、と大層に名乗っていても…管理しきれていないものが在るとそれごと無かった事にする。

なんて、自分勝手な人達」

 

背中に炎の羽を生やしながら、魔璃が言う。

 

「平行世界の人に対してあまりにお粗末な問答ですね…

貴方達からすれば、私達など所詮モルモット程度の存在ですか」

 

魔璃の言葉に、クロノは唇を噛みしめる。

上層部が彼女に何をしたのか知っているから、クロノは何も言い返せない。

 

「どうですか、昴…自分と同位体を見た感想は」

 

そして、魔璃は自分の眼下に雄々しく立っている相棒に問いかける。

 

「ビックリしたけど、魔璃の言いたい事もわかる気がするよ」

 

魔璃に言い返すのは、黒いバリアジャケットに身を包んだ【昴】と言う少女。

本名 中島 昴……この世界のスバル・ナカジマの平行世界での同位体。

その昴の前には、傷ついて倒れ付しているスバル、ティアナ、エリオ、キャロの4人。

魔璃の眼前にはクロノが、デュランダルとS2Uを持って対峙している。

 

「まだ、私達の邪魔をしますか?」

 

蒼い小太刀をクロノに向けながら魔璃は尋ねる。

 

空の名を冠する非人格・小太刀型の蒼きアームドデバイス『シエル』

そして魔璃のもう片方の手には弓の名を冠する紅き小太刀『ラルク』

 

「教えて欲しい、何故そうまでして僕たちに敵対する?」

「強いて言うならば、貴方達が気に入らないから、ですかね」

 

クロノの質問に、魔璃は苦笑しながら答える。

 

「子供っぽい答えだとは思っていますが…それでも、私はこう答えるしか出来ません。

あなたはどうですか、クロノ・ハラオウン。

突然目の前に広がった世界は自分が居た世界と似て非なる世界で。

そしてそこにいる者達が自分の尊敬していた人達と全く違うことになっていたら……」

 

魔璃と、昴の現状。

突如この世界に連れてこられて、広がった世界は似て非なるもの。

そして自分の知り合いが全て、偽者に見えてしまうような錯覚。

親兄弟、仲の良い友人ですら、憎しみの対象に見えてしまうこの世界で。

 

「あなたなら、どうしますか…クロノ・ハーヴェイ?」

 

魔璃が呼んだのは、魔璃が言っていた世界でのクロノの事だと、クロノは理解する。

 

「昴、新たに近づく気配があります…おそらく、なのは叔母さんたちだと思います」

 

「オッケー、魔璃。 いくよ、ソニックエッジ」

all right, my master.

 

魔璃に返事をし、昴は自分のデバイスに声をかける。

そして昴の言葉に、デバイスも答える。

 

昴のデバイスは、両足に装着されたインテリジェンスデバイス、音速の名を冠する『ソニックエッジ』

そして両の手には非人格・拳装着型のアームドデバイス、母と姉から譲り受けた『リボルバーナックル』

その二つをかり、昴はなのは達を迎え撃つ。

 

「スバル! ティアナ!」

「エリオ! キャロ!」

 

なのはとフェイトが、自分の部下の名前を叫びながらこちらに迫って来る。

 

(昴、此処は退きましょうか…カートリッジがあと8発しかありませんので)

(魔璃がそれで良いなら、私はかまわないよ)

 

念話で確認を取り、魔璃はカートリッジをラルクとシエルにそれぞれ込める。

コッキング音が鳴り響き、空になった薬莢が空から落ちていく。

それに呼応するかのように、昴もカートリッジをそれぞれ一発ずつ左右のデバイスに込める。

ミッド式とベルカ式が交じり合ったような、

それでいて見た事のないような魔法陣が2人の足元に浮かぶ。

 

「なのは叔母さん、クロノさん、今回はここで退かせてもらいます」

「待って! 魔璃ちゃん!!」

 

クロノとなのはに頭を恭しく下げる魔璃に、なのはは叫ぶ。

 

「どうして! なんでこんなことをするの!?」

 

少し泣きながら、なのはは魔璃に尋ねる。

 

「…………貴女達には、きっと判らない感情でしょうから」

 

小さく呟き、魔璃は術式を展開する。

淡い光りが、魔璃と昴を包み込む。

そして、徐に魔璃は飛行呪文を解除し、昴の上に墜落する。

 

「魔璃ちゃっ…!」

 

それを見たなのはが魔璃目掛けて手を伸ばそうとするが……

 

「リボルバァァァァァ!!! シューーーーーートッ!!!」

 

地上からの昴の凄まじい砲撃が、なのはと魔璃の間を通り過ぎる。

二筋の閃光は、なのはと魔璃の間と、フェイト目掛けて撃ち放たれる。

フェイトは咄嗟にシールドを張り、その攻撃を防ぎきる。

そして、その昴の上に魔璃が落ちてくるが、昴は魔璃をシッカリ抱きかかえる。

 

「音速疾走!!」

sonic move.

 

昴の叫びと共に、音速の速さで昴達はその場から消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

そのニ

 

 

 

「昴」

「どうかした、魔璃?」

 

二人揃って臨海公園のベンチに座っている時、魔璃が唐突に昴を呼ぶ。

 

「貴女の世界では、なのは叔母さんはどんな方でしたか?」

「高町戦技教導官? そうだなぁ……」

 

魔璃に尋ねられ、昴は思い出すように声を出す。

 

「管理局のエースオブエースで、数少ないSランク保持者で……」

 

指折りながら、昴は思い出していく。

 

「銀ねぇが、一番尊敬してた人…かな」

 

最後に、昴は悲しそうな顔になる。

 

「でも、銀ねぇは任務中の戦闘で……」

「言いたくないことまで、言わせてしまったみたいですね」

 

その昴の言葉に、魔璃は申し訳なさそうに謝る。

「ううん、大丈夫。

魔璃の所為じゃないし、それに大分吹っ切れてきてもいるし、銀ねぇも今は普通に暮らしてるから」

 

謝る魔璃に、昴は気にしていないと答える。

 

「銀ねぇ、高町戦技教導官と一緒の部隊になってすっごく喜んでたんだけど…

ある事件で、魔法を使う事も、歩く事も出来なくなるかもって大怪我負っちゃって……」

 

昴の脳裏に思い出される、嫌な記憶。

全身を包帯で包み、苦悶の表情しか浮かべない姉の銀河。

姉の仕事は危険なんだと思ってはいたけど、それでも割り切れなかった。

 

「私、その時高町戦技教導官に言ったんだ…何で助けてくれなかったんですか、って」

 

子供だったから、その言葉を投げつけてしまった。

 

向こうもきっと必死に助けようとしてくれていたはずなのに。

 

「だから、私は努力した。 負けないように、死なないように」

 

姉が使えなくなってしまったナックルの片割れを貰いうけ、必死になって訓練に励んだ。

 

「で、その後管理局入りしたんだけど直ぐ止めちゃって」

「何故、ですか?」

 

苦笑しながら言う昴に、魔璃は疑問に思いながら尋ねる。

 

「言い分と実態のズレが、もどかしかったからかな…

子供みたいな発想してるってのは自分でも判ってるんだけど、納得いかなくてね」

 

海を見つめながら、昴は答える。

 

「魔璃はさ、管理局について、どう思ってる?」

「最低な集団、と言ったところでしょうか」

 

昴の問いに、魔璃は間髪いれず答える。

 

「よっ、容赦ないね……」

 

魔璃の答えに、昴は苦笑しながら言い返す。

 

「何も管理局の職員全てがそうだとは私も言いませし、私もそこまで傲慢ではありません。

ですが、こういった組織の上層部があんな状態では、最低と言わざるを得ません」

 

この世界に来て、管理局に案内されて。

まるでモルモットのような扱いを受け、人間であることを否定された。

そんな組織に対して、どうして好意的な感情を抱けようか。

 

「でも、なのは叔母さんやクロノさんに対しては、完全な八つ当たりですね」

 

苦笑しながら、魔璃は言い出す。

 

「自分の知っている人に似ていているからって、生きてきた時間は全くの別だから、違うのは当たり前なのに。

そう理解してはいるのに、なぜか許せなくなってくるんです」

 

理解は出来ても、意識下ではそうはいかない。

 

「それに、何だか馬鹿にされたような気分なんです…私の両親が、家族が、友人が。

この世界の人たちを見ていると、全部虚像に見えて…否定し続けないと、自分の存在も嘘に思えてしまって」

 

何とはなしに、自分の掌を見つめてみる。

ちゃんと在るのに、ないような錯覚に陥ることもあった。

 

「だからこそ、今の私にとって貴女だけが心許せる友人です、昴」

「私もだよ、魔璃」

 

そう言い合って、二人は楽しそうに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

その三

 

 

 

この世界に来て、管理局と敵対してから。

魔璃はこの場所にずっと住んでいた。

九台桜隅の一角にある別荘……魔璃の母の親戚であり、自分も随分と良くしてもらった綺堂家の別荘である。

ここは私有地にして人もあまり来ないことから、隠れる分にはちょうど良かったのである。

桜に対して多少なりとも罪悪感があったが、住む場所がないと話にならないので魔璃は此処を無断で借りている。

 

(帰れれば…さくらさんには何かお礼をしよう……)

 

そう考えつつ、魔璃は麻袋の中にあるものを机に取り出していく。

見た目は銃弾の薬莢に見えるが、デバイス用のカートリッジである。

今まで使った着たカートリッジの空を、情けない話しだが再利用しているわけである。

魔璃には後ろ盾が何一つとてない状況だから、こういう物はそうしてまかなわないと戦闘が出来ないのである。

魔璃のデバイス自体、魔璃が管理局から強奪した物である。

実験と称して、魔璃に託されたデバイス。

もとより魔璃を戦闘要員か何かにするために開発したのであろう。

魔璃のスタイルを再現するために、二つの独立したデバイスを作り魔璃に渡したもの。

空を冠する『シエル』と弓を冠する『ラルク』

それぞれカートリッジは七発装填可能で、一発使うごとに薬莢は魔璃の足ポケットに落ちていく。

そして魔璃が装備しているカートリッジは全部で7発。

元から込めてある物と数えて、14発。

後の装備は、元から持っていた愛用の小太刀『八景』と『焔』の二振り。

 

「魔璃ー、ただいまー」

 

そこに、明るい声が響く。

 

「あぁ昴、お帰りなさい」

 

作業を一時止め、魔璃は部屋に入ってくる昴を迎える。

 

「あっ、今からカートリッジ作るの?」

「えぇ、前の戦闘でも結構使いましたからね」

 

昴の問いに、魔璃は頷きながら魔力の入っていない空のカートリッジを机に並べる。

それを大きめのボウルにいれる。

そして徐に、焔で自分の手首を切る。

そこから流れ出る血が、カートリッジに降り注ぐ。

魔璃は、こうするしか…魔力を込めることが出来ない。

血に含まれる大量の魔力を、カートリッジに込める。

 

「うっ……」

 

少しふら付きながら、魔璃は自分で切った手首の傷を舐める。

血が止まり、魔璃は傷口をタオルで押さえる。

 

「魔璃」

 

そんな魔璃を、昴は首もとの服をはだけさせながら呼ぶ。

 

「いつもすみません、昴」

 

そう言って、魔璃は昴の首筋に噛み付く。

カートリッジを作った後は、こうしてスバルに血を分けてもらっているのだ。

 

「んぐっ、んぐっ……」

 

少し青白かった魔璃の顔に、生気が戻る。

 

「ふぅ…ありがとうございます、昴」

 

礼を言って、魔璃は昴に噛み付いた所を舐める。

 

「ん〜、何でやっても慣れないね」

 

苦笑しながら、昴は魔璃に言う。

 

「昴には、迷惑をかけますね」

 

申し訳なさそうに、魔璃は謝る。

 

「全然良いって。 だって、私の分のカートリッジにも魔力を込めてもらってるわけだし」

 

ポンポンと、昴は魔璃の頭を撫でる。

 

「昴、出来ればそう言う子ども扱いは止めてほしいのですが?」

「だって、魔璃って可愛いんだもん」

 

剥れる魔璃にそう言って、昴は大いに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

 

なーんか、こう言うものが出来てしまった……

フィーア「本編書かずに、番外編の、更に小ネタを書くって言うのは動なのかしらね」

まぁ、たまの息抜きってことで。

フィーア「あんたはずっと息抜きしてるでしょーが!!」

あべしっ!!

フィーア「って言うか、設定からして無茶苦茶ね」

まぁ、小ネタだからそこまで深く考えてなかった……

フィーア「で、実際にこれを本編にして書くの?」

StrikerSは見てるんだけど、それ以前ってあんまり見てないからデバイスとか、色々判らない事が多いから書かないと思うよ。

フィーア「本編のほうは?」

修学旅行編をどうしようか迷ってる所で止まってる。

フィーア「さっさと書きなさいよね」

Oui.

フィーア「ではでは〜〜」





雑記でのネタが小ネタ集としてお披露目。
美姫 「やっぱり魔璃はこっちの世界のなのはたちを否定なのね」
みたいだな。にしても、ここまで管理局と敵対してるとはな。
美姫 「本編も楽しみだけれど、この小ネタ集も楽しかったです」
それでは、また〜。



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