注)これは突発的に思いついたネタです。
登場人物の性格、言動、設定は大幅に変わっております。
むしろ、名前だけ借りた別人の可能性もあります。
そんなのは嫌、このキャラはこんな感じではないと言う方は、おひきかえしを。
見た後での批判は、極力おやめください。
忠告はしましたよ?
これらの条件でもOKな方は、どうぞ。
背 恋 劇
徳 愛 場
「つっ、疲れたぁ……」
寮の自室に帰ってきて、ベッドに倒れこむ緋痲。
一睡もせず学校に行き、そこで更にまた千華留からの熱烈な愛情表現を受けたのだ。
心労的にはかなり来ている。
「あっ、お姉様お帰りになっていたんですか」
そんな緋痲に、部屋の奥から一人の少女が声をかける。
「あぁ、梦か……たった今ね」
声をかけた少女は梦・K・V。
緋痲の母違いの妹である。
ちなみに、今は料理中なのか、エプロンをつけている。
「昨夜はどちらの方へ?」
部屋に備え付けられているキッチンで料理をしながら、梦は尋ねる。
「しおねぇんとこ、一晩中寝かしてくんなくてねぇ」
「十条様は独占欲のお強い人ですから」
苦笑しながら答える緋痲に、梦も苦笑しながら答える。
「お姉様、今日天地会長から預かり物をしたのですけど」
「ひつぎから? どこ?」
「私のベッドの上の箱です」
梦に言われ、緋痲は梦のベッドの上に乗っている箱を見、そして開ける。
「……なんでやねん」
「お姉様?」
中を見て突っ込みを入れた緋痲に、梦が不思議そうに声をかける。
そして、梦がキッチンから出てきて箱の中を見ると……
「これは、お姉様の天地時代の……」
そう、箱の中に入っていたのは緋痲が天地学園に居た頃使っていた……二振りの刀。
「ひつぎのやつ、何でこんなもんを……」
「お姉様、手紙も入っているようですよ」
箱の隅のほうに折りたたまれた紙を見つけ、梦が緋痲に言う。
そして緋痲がその紙を手にとって、広げる。
「なになに……【緋痲さん、さっさと天地に戻ってきなさい】……はぁ?」
「ふふふふ、天地会長らしいストレートな言い方ですね」
訳が判らないといった風に言う緋痲に、梦は苦笑する。
「でも、お姉様が復帰なされると言う事は……私の格付けも一つ下がってしまいますね」
「いや、戻んないから」
楽しそうに言う梦に、緋痲は真面目な顔で突っ込む。
梦は現在天地学園高等部二年で剣技特待生、通称剣待生であり、Sランクの第三位につけている。
ちなみに、梦も一人で天と地の剣を振るう天地二刀の一人で、通称【銀碧の剣士】といわれている。
「残念ですわ、もしお姉様が復帰なされるとおっしゃるのでしたら、刃友になってもらおうと思っていましたのに」
肩をすくめながら、梦は緋痲に言う。
「梦と組んだってさぁ、今一盛り上がりにかけるような……つぅか、勝てる剣待生いなくなるじゃん」
「まぁ、勝てるとして天地会長と宮本さんぐらいでしょうか」
客観的に見て、この二人に勝てる剣待生はひつぎと静久の二人ぐらいであろう。
緋痲は元格付け二位、梦は現格付け四位。
しかも二人とも天地二刀でここまで上がってきたのだ。
個人相手なら、それこそ破格の強さを発揮する。
「あぁ、後お父様から手紙が……」
「今すぐ燃やせ」
「判りました」
梦が言い切るまでに緋痲は冷たくそう言い、梦は躊躇いも見せずに部屋にあるライターでそれを燃やす。
燃えカスが、パラパラと机の上に落ちていく。
「お姉様、相変わらずお父様が嫌いなのですね」
小さく笑いながら、梦は緋痲に向かって言う。
そしてそのまま、料理の途中だったために、キッチンへと戻る。
「あんな親父、好きになれって言うほうが難しいよ」
緋痲にしては珍しく、嫌悪感を隠そうともせずに言う。
「権力欲に取り付かれた人間ってのは、救いようもないもんだねぇ」
「それが、人間の性と言うものですから」
「考えたくもないけど、私にも梦にも……あの男の血が半分流れてるんだよね」
「DNA鑑定でも、そう出ていますしね」
緋痲の問いに、梦は淡々と答えていく。
「ですが、私はこの父の血をそれほど嫌ってはいません」
「へぇ、なんでさ?」
居間から梦の背中を見て、緋痲は尋ね返す。
「だって、この血はお姉様との繋がりを感じさせてくれますから」
振り返って、梦は心からそう思っているような笑顔で、言った。
「……はっ、可愛い妹にそこまで言われちゃ、嫌いになりきれなくなるよ」
少し顔を赤くして、緋痲は背中を向ける。
「むしろ、私はお姉様のもう半分の血が嫌いです」
緋痲には見えていないが、梦は無表情でそう言う。
「考えてもせん無い事だとは思います……でも、私はお姉様の体に流れるもう半分の血が、憎いです」
「母さんの、こと……か。 まぁ梦が好きになれないのはしょうがないよね」
自分の親父は、不義理な事をして梦の母親に梦を孕ませた。
その時の梦の母親の気持ちはどうだっただろうか、自分の両親に恨み言しか出てこなくなる。
「その事もありますけど、それ以上にその半分の血の所為で……私はお姉様の本当の家族にはなりえない」
血で見れば、義理の姉妹……だけど、同じ両親を持たないから、ちゃんとした家族になりきれない。
梦にとってはそれが苦痛でもあったが、ある種の喜びでもあった。
「でも、そのお陰で私はお姉様と愛し合うことも出来る……結婚も、しようと思えば出来ます」
「大胆な発言だねぇ、梦」
「真実ですもの」
笑いながら言う緋痲に、梦も小さく笑いながら言い返す。
「んじゃま、今日は可愛い妹の世話をお姉さんが焼いてあげよう」
「お姉様、二日続けて寝なくて大丈夫なのですか?」
「へーきへーき、学校で寝るからさ」
そう答え、緋痲は梦を抱きしめながら口付けをした。
そして翌日。
「うむぅ…やはり二徹はきついか……」
「無理をなさらないでくださいね、お姉様」
梦に支えられながら、緋痲は学校の方へと歩いていた。
「そう言えばお姉様はもうご存知でしょうか?」
「なにがさ?」
「今日、学園船のハンギング・バスケット・ポーラスターが学園都市の港に寄港するんです」
「あぁ、もうそんな時期か……」
梦の言葉に、緋痲は眠い頭を働かせながら言う。
学園船ハンギング・バスケット・ポーラスー号、通称H・B・ポーラスター。
超巨大な船が丸まる学園と言う豪華な学校である。
その学園に入るには、まず有名な家の娘、と言う事と金持ちである、と言うことが絶対条件に入る。
更に、何らかの形でこの学園船に寄付などをしていることもあげられる。
ちなみに、この学園船も女子校であり、進水式が行われて以来男性の搭乗は認められていない。
「ってことは、あの子らが来るのか……」
頭を抱えながら、緋痲が言う。
「お姉様、あの子ら、とは?」
「去年知り合った連中なんだけど、一様皆金持ちのご令嬢さんでね、今はポーラスター号に乗ってるんだ」
梦の問いに、緋痲は苦笑しながら答える。
「で、そん中に一人凄いのがいてね……自他共に認める【レズの王子様】なんだよ」
「そっ、それは……」
緋痲の言葉に、梦は引き気味に言葉を濁す。
「そいつは自分より一分一秒でも早く生まれた女には殆ど興味を抱かない、完全年下趣味の…そうだな、言い換えればロリコンみたいな……」
「ロリコンは酷いなぁ、緋痲さん」
「…………言われたくなきゃ年上の子猫ちゃんでも見つけてみせろ」
後ろからかけられた声に、緋痲は呆れながら言い返す。
そして、振り返るとそこには、中性的な顔立ちをした少女が立っていた。
「ボンジュール、緋痲さん」
「ボンジュール、杏里」
二人は挨拶をしながら、片手を上げる。
少女の名前は杏里・アンリエット。
日本人の母とフランス人の父を持つハーフで、学園船H・B・ポーラスター号セカンドクラスに在籍する自他共に認める【レズの王子様】である。
「久しぶりだねぇ、緋痲さん」
「一年ほどかな、最後に会ったのは」
「もうそんなにも経ってるんだね」
杏里と緋痲は、笑いながら会話をする。
「どうだい、学園船の乗り心地は?」
「最高ですよ、お風呂もあるし、可愛い子猫ちゃんたちも一杯しますし」
「二言目には子猫ちゃんかい」
嬉しそうに言う杏里に、緋痲は眉間を押さえながら苦笑する。
「ところで、緋痲さんの隣にいる方は?」
「あぁ、この子は梦って言って私の……」
「おぉ、美しいマドモワゼル…その黒い制服に身を包んだあなたのその姿には、天上におわす女神ですら羨むだろう」
緋痲が言い切る前に、杏里は梦の手をとって、恭しく言う。
「あっ、あの……」
対する梦は、どう対応していいのか迷っている。
「……杏里ぃ、人の妹にてぇだすなんていい度胸してるじゃない」
「へっ?」
心底低い声で緋痲に言われた杏里は、素っ頓狂な声を出す。
「この美しい女性は、緋痲さんの妹……?」
「そうだよ、梦・K・Vって言って私の義理の妹だ」
「はじめまして、杏里様。 お姉様の妹の梦・K・Vです」
ニッコリと、笑いながら梦は自己紹介をする。
「こちらこそ、美しいお嬢さん。 ボクは杏里・アンリエット。 学園船H・B・ポーラスター号セカンドクラス在籍の通称【レズの王子様】」
「ロリコンを付け足せ、ロリコンを」
「もう緋痲さん、ボクはロリコンじゃないってあれほど……」
笑いながら言う緋痲に、杏里はため息をつきながら言い返す。
「さて、美しいお嬢さん、あなたの意地悪な姉はほって置いて、ボクと一緒にお茶会でも?」
「たいへん嬉しいお誘いなのですけど、お断りしますわ」
「ははっははははははっ!!!!」
杏里の誘いをすぐさま梦は断り、それを聞いた緋痲は大爆笑する。
「あははははは、あ〜、お腹いたぁ」
「緋痲さん、笑いすぎじゃないかい?」
腹を抱えながら言う緋痲に、杏里は眉間を押さえながら言い返す。
「いやすまない、なんせあの杏里が瞬殺されたのなんか初めてでさ、それが私の妹相手だって言うんだから」
「お姉様、あんまり笑われると杏里様にも失礼ですよ?」
梦に窘められ、緋痲は一様笑うのを止める。
「悪い悪い、杏里お詫びといっちゃぁなんだけど私が君と君の子猫ちゃん達にお茶をご馳走しよう」
まだ時間はあるだろ? と言う風に緋痲は杏里に尋ねる。
「まぁ、それで今回は許してあげるよ緋痲さん」
「そいつは光栄で。 んなら麻帆良のカフェは拙いから……梦、天地のカフェは大丈夫?」
「はい、お姉様」
「じゃぁ、杏里。 あんたは子猫ちゃん達を連れて天地のカフェに来てくれ」
「わかった」
そう返事をして、杏里は船のほうへと戻って行った。
「お姉様、学校の方はよろしいのですか?」
「別に一日二日サボったぐらいでかわりゃしないよ」
心配そうに尋ねる梦に、緋痲は笑いながら答える。
「それよりも、梦もくるだろ?」
「それはもう、勿論」
尋ねてくる緋痲に、梦は最高にいい笑顔で答えた。
【設定】
梦・K・V
本編主人公でもある緋痲の母違いの妹で、中学一年までお互いを知らずに過ごし、育ってきた。
しかし、緋痲が天地学園二年の時に出会い、空白の時を埋めるかのうように懐いた。
だが、それも緋痲がミアトルに転入した事により、その関係は一方的に終わりを告げる。
それ以来、梦は緋痲を強く恨み、執拗に緋痲を狙い続けた。
しかし、リリアンに転入した緋痲から事情を聞いて和解し、それまで以上に緋痲に懐く。
今は天地学園高等部二年にして、剣待生であり、緋痲と同じく天地二刀を許可された剣士。
それゆえ、剣の実力はかなり高く、現在剣待生Sランクにして、格付け三位。
容姿は鋭い碧の瞳と、首までの銀色の髪をしている。
そして、その容姿から【銀碧の剣士】と言う呼び名が名づけられた。
あとがき
恋愛劇場シリーズ第3弾、背徳恋愛劇場をおおくりしました。
フィーア「今回は背徳と言うことで、緋痲の妹も参戦」
取りあえず、大体の主要キャラは出した、はず。
フィーア「まだスピカ組とか黄薔薇さま達が出てないわよ」
それはまぁ、のちのち。
フィーア「続きはどうするの?」
思ってたより反響が良いので、書きます。
フィーア「最初は叩かれるんじゃないかって思ってたぐらいだしねぇ」
まぁ、取りあえず一安心と言うことで。
フィーア「ではでは〜〜」
うーん、益々禁断の…。
美姫 「見目麗しき乙女たちの園で繰り広げられるのは…」
いやいや、これ以上過激な表現が出たらどうしようか。
美姫 「それを楽しみにしているくせに」
あはははは〜、笑って誤魔化せ〜。
美姫 「いや、声に出てるからね」
ぬおっ!
美姫 「それじゃあ、次回も待っていますね〜」
次はどんな子が出てくるのかな〜。