注)これは突発的に思いついたネタです。

  登場人物の性格、言動、設定は大幅に変わっております。

  むしろ、名前だけ借りた別人の可能性もあります。

  そんなのは嫌、このキャラはこんな感じではないと言う方は、おひきかえしを。

  見た後での批判は、極力おやめください。

  忠告はしましたよ?

  これらの条件でもOKな方は、どうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で、梦……わたしゃ明日雲隠れするよ」

夕食時、寮の自室で共に食事をしていた梦に緋痲はそう告げた。

「明日……明日何かございましたか?」

「明日はバレンタインデーだよ、明○製○の陰謀のね」

緋痲の言葉に、梦はあぁと返す。

「お姉様、毎年たいへんですわね」

「全くだよ、私にじゃなくてもっと年頃の野郎にでもくれてやりゃぁ良いのに」

「お姉様、この学園都市に男性は滅多に居ませんよ」

「まっ、居ても既婚者とかじじぃみたいなのしか居ないしね」

梦の言葉に、緋痲は笑いながら言い返す。

「そう言えば、麻帆良中等部に男性の若い先生が居ますね」

「若過ぎだってば……10歳の子供に恋愛関係迫ってどーするよ」

「それも一興では?」

お互いに笑いあって、二人は食事を再開する。

「まぁ、取りあえず明日一日雲隠れするよ」

「判りました、私の方も何も知らない事にしておきます」

「さっすが梦、姉の気持ちを理解してくれる優しい妹だね」

梦の頭を撫でながら、緋痲は言う。

「あの、お姉様……ですから、その……」

そんな緋痲に、梦は頬を赤くして、もじもじしながら何かを言おうとする。

「おっけ、おっけ、可愛い妹の頼みだもの……お姉ちゃんがちゃんと可愛がってあげるよ」

そう言って、緋痲は梦の口に軽くキスをした。

「まっ、まずは食事を済ましてからね」

「そうですね、お姉様」

二人は向かい合いながら苦笑して、食事を再開した。

 

 

 

そして翌日……

緋痲と梦の部屋のインターホンが鳴り響く。

「はい、どちら様でしょうか?」

そのインターホンに反応して、梦が玄関の鍵を開ける。

「まぁ、十条様に宮小路様、それに御門様も」

「朝早く、失礼しますね梦さん」

ドアを開けると、そこには紫苑に瑞穂、まりやの聖央の3人が居た。

「あの、緋痲さんはいらっしゃいますか?」

「お姉様ですか? 残念ですけど、お姉様は朝早くからお出かけになられたみたいで、私が起きた時にはもう居りませんでした」

申し訳なさそうに、梦は紫苑に答える。

「本当ですか? 匿う様な事があれば、私も黙ってはおりませんけど……?」

ニッコリと、黒い笑顔で言う紫苑。

その後ろでは、瑞穂とまりやが震え上がっている。

「匿うだなんてそんな、私が十条様からお姉様を匿う理由がおありだと?」

対する梦は、そんな紫苑の黒い笑顔も何処吹く風で、言い返す。

「……判りました、朝早くに申し訳ございません」

「いいえ、こちらこそ十条様の期待にそえず申し訳ございません」

そう言いあって、紫苑は瑞穂とまりやを連れて歩いて行った。

「お姉様もつくづく罪なお人ですわね……」

小さく苦笑して、梦は学校へ行く準備を始めた。

 

学校に着くなり、梦は緋痲の居場所を様々な学生達に聞かれた。

だが、梦は知らぬ存ぜぬの一点張りで、その数も次第に少なくなっていた。

そして、昼休み……

梦はカフェで昼食を取っていた。

「梦さん、よろしいからしら?」

「天地会長…別に構いませんよ」

梦に声をかけたのはひつぎで、その後ろには静久も控えている。

更に言えば帯刀も控えているが、あえて無視である。

「単刀直入に尋ねます、緋痲さんは何処に?」

目を細めて、ひつぎは梦に尋ねる。

「朝から申し上げている通り、私は知りません……お姉様は、朝起きた時にはもう居りませんでしたので」

珈琲を一口のみ、梦はひつぎに答える。

「本当かしら……あの梦さんを溺愛している緋痲さんが、あなたに居場所を告げないとは考えにくいのですが?」

重苦しい雰囲気が、二人を包む。

「お姉様にはお姉様の考えがあります……それに、天地会長はお姉様の言葉をお忘れですか?」

静かに、だが凛とした声で梦はひつぎに言い出す。

「お姉様は、今日この日以外にはチョコは受け取らない……そして、今日チョコを渡せた者に、自分の一日所有権を認めると」

何年か前に、緋痲はそう全生徒の前で暴露した。

学園都市の学生達の殆どが集まる年一回の集会。

その場で、緋痲は壇上に乱入しそう宣言した。

学園都市に来てから、緋痲は他の女子達から好意の視線を向けられていた。

そして、そのオープンな性格が災いして…学園都市に来てから初めてのバレンタインデーに大量のチョコを貰った。

それ以来、緋痲はチョコ嫌いになった。

正確には、大量のチョコの群れ、と言った方が正しい。

だからこそ、緋痲は宣言した。

このバレンタインデー以外ではチョコは受け取らないと。

そして、自分にチョコを渡せた者には一日所有権を認めると。

緋痲は自分の立場をよく理解していたために、こう言う方法を取った。

そしてそれ以来、緋痲はバレンタインデーには絶対に学校に行かず、どこかに雲隠れしている、と言うわけだ。

しかし、梦だけは一度だけ緋痲とバレンタインデーに会っている。

お互いの仲を取り戻す時に、一度だけ。

それも向こうから会いに来たものだから、梦は緋痲が何処に隠れているかなど知るよしもない。

「この言がある限り、お姉様は喩え私にでも居場所を教えたりはいたしません」

また一口、珈琲を飲む梦。

「それに喩え知っていても誰が教えてなどやりますものか。 えぇ、他人に教えるぐらいなら私がお姉様を食べます」

場が、一瞬にして凍りついた。

「何かしら、それは宣戦布告のつもり?」

心底底冷えする声で、ひつぎは梦に尋ねる。

隣に控えている帯刀や静久はじゃっかん震えている。

「まさか。 天地会長が私に勝てるとでも?」

挑戦的な目で、梦はひつぎに言う。

格付け的に言えばひつぎ達の方が上なのだが、今の梦はネジが何本か吹っ飛んでいる。

「……梦さん」

「天地会長」

お互いの名前を呼び合い……二人は。

 

「天地会長はお姉様に愛してもらった事など早々ないでしょう!! 私は昨晩もお姉様のご寵愛をお受けしましたよ!!」

「緋痲さんはもう既に私の家に部屋も用意しています!! それは即ち私と共に生きていく気があることの証拠!!」

「お姉様は昨晩も激しく私の体をお求めになり耳元で愛の囁きを幾度となくくり返しくださいました!!」

「私の時はそれはもう言葉に言い表せないぐらい激しく上の口も胸も下の口も沢山激しく愛してくれたわ!!」

「これを見なさいっ!! これはお姉様から戴いた大切な品でお姉様がつけている物とお揃いです!!」

「そんな物でしたら私だって似たような物は持っています!! 緋痲さんが私の耳元で優しく囁きながらくれた物です!!」

「そんな安物と私のを一緒にしないでください!! これはお姉様がご自分でお作りになられた私だけの物ですわっ!!」

「安物とは心外ですね!! 貴女の方こそ実はその辺りの購買で買ってきたような物ではないのですかっ!!」

 

ぎゃぁぎゃぁぎゃぁぎゃぁ、梦とひつぎは言い合う。

お互い、冷静になれば顔を真っ赤にするような内容を大声で暴露しあう。

「帯刀さん、ひつぎさん達を止めた方が良いですよね?」

「……止められる?」

帯刀に静久は尋ねるが、帰ってきた言葉に無言で首を横に振った。

むしろ、今この状態の二人を止められるのは渦中の中心人物である緋痲だけであろう。

「ひつぎさんも梦さんも、抜刀しないだけまだ理性があると信じたいです……」

さめざめと、静久は呟いた。

ちなみに、この言い争いは第一次天地大戦と呼ばれ、後世まで語り継がれたりする……

 

 

 

「いやはや、快適だわ……」

ハーブがたっぷり浮かんだお風呂につかりながら、緋痲が呟く。

「エヴァーッ、いい湯加減だよーー」

「判っている、少し待て」

緋痲の言葉に、お風呂場の扉の向こうから声が響く。

「あー、別にでっかくならなくても良いじゃん」

「小さいままだと、お前が不必要に抱きついてくるからだ」

扉が開くと、そこには大きくなったエヴァンジェリンが立っていた。

体には大きなバスタオルを巻いており、そのままお風呂に入る。

「態々隠すことないのに」

笑いながら緋痲はエヴァに言う。

今緋痲とエヴァがいるのはエヴァが造った別荘である。

外の一時間が、ここの一日となる逆浦島効果を持った魔法で作られたものでもあるが。

「いやぁ、一昨日のエヴァは激しかったねぇ」

「ふん、貴様の方こそ普段では考えられんくらい乱れていたくせに」

「そんだけエヴァが魅力的で凄かった、ってことだよ」

苦笑しながら言って、緋痲はエヴァの頬にキスをする。

「しっかし、魔法ってのは便利なもんだよねぇ……」

しみじみと、緋痲は呟く。

「ここで一日過ごしても外じゃ一時間しか経たないって言うんだから、驚きだよ」

「気紛れで造っただけだ……もっとも、今ではぼーやの修行でも活用しているがな」

「あー、ネギせんせーね……もちっと強くなったら私の相手もしてもらおっかな」

苦笑ぎみに、緋痲は言う。

「やめておけ、今のぼーやではお前に掠り傷一つつけられんぞ」

「そんなことないっしょ、だって茶々相手に一発入れたんでしょ?」

「あれは茶々丸が余所見をした一瞬の隙をついてだ……お前は、戦闘中に集中力を切らしはしまい」

緋痲の言葉に、エヴァは静かに言う。

「お前の戦闘時の集中力は凄まじい……一般の人間の中で育ってきたと言うのにな」

この別荘に入ってから既に2週間が経過している。

その間に、緋痲とエヴァは何度も実践訓練を繰り返した。

勿論魔法使いであるエヴァに緋痲は勝つことはできないが、それでも何度か危ない場面もあった。

「わたしゃ家庭事情が複雑だったからねぇ…子供の時は随分冷めたガキでね……」

昔に想いを馳せながら、緋痲は呟く。

「まっ、暗い話はなしにしよっか」

今までの会話はなしと言う風に、緋痲は言う。

「そ・れ・よ・り・もぉ」

ニヤニヤと笑いながら、緋痲はエヴァに近づく。

「せっかくおっきくなったエヴァが居るから……えいっ!!」

バッと、緋痲はエヴァに襲い掛かる。

「ちょっ、こら! やめんかっ!!」

「いいじゃんいいじゃん、減るもんじゃないんだからさ」

抵抗するエヴァに、緋痲は笑いながら言い返して徐にエヴァの胸などを触っていく。

「バレンタインデーに私を一日自由に出来る権利、外の世界ではまだまだ時間あるから……良いよね?」

「んっ、これでは、お前が私を好きにしているではないか……んぁ」

甘い声を出しながら、エヴァは言い返す。

「小さいエヴァとは何度か愛し合ったけど、大きいエヴァとはまだ愛し合ったことなかったねぇ」

つぅーっと、緋痲はエヴァの首筋を舐める。

「さっ、エヴァ……もっと可愛いところを私に見せてね」

「んぁぁぁぁぁぁっ」

 

この後、茶々丸が見に来たとき、そこには全裸で顔を真っ赤にしながら息を切らせているエヴァと。

妙にツルツルになった肌で、満面の笑みを浮かべている緋痲がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

バレンタインデー企画、今年は恋愛劇場シリーズからでした。

フィーア「ねぇ、全然バレンタインデーじゃないじゃない」

いっ、一様紫苑様とかチョコを持ってるじゃないか。

フィーア「本人に渡してないのにバレンタインSSを名乗るなぁっ!!」

がぶはっ!!

フィーア「まったくもぅ、こんなのをバレンタインSSなんて呼べないわよ」

うぅぅ、ネタが思いつかなかったんだよぅ。

フィーア「あれだけ準備期間を用意してあげたのにねぇ」

バレンタインネタって、言うほど簡単じゃないよ。

フィーア「じゃぁ、次はホワイトデーネタで」

……もっと難しいと思うよ。

フィーア「使えないわねぇ」

うぐぅ。

フィーア「お姉様、浩さん、今年のチョコは後日お渡しに行きます」

それはつまり……

フィーア「そっ、今週のハートフルデイズに持って行くのよ」

浩さん……がんば。

フィーア「どういう意味かしらねぇ?」

こっ、浩さんは沢山チョコを貰って大変だろうから、そういう意味で……

フィーア「まぁ、そういうことにしておいてあげるわ」

(暴力に屈するボクを許して、浩さん……)

フィーア「ではでは〜〜」





……う、ううぅぅ。か、隠れないと。
美姫 「でも、そうするとチョコなしよ」
ぐっ。俺を甘党だと知っての企みとは、フィーアもやるようになったな。
美姫 「ふふん」
いや、そこで何故お前が勝ち誇る。
美姫 「当然じゃない。と、それはそうと、ちょっと変わったパターンよね」
確かに。しかし、これはこれで。ちゃんとチョコも出てきてるし。
美姫 「うーん、この後、緋痲は見つかったのかしらね」
いや、それはないんじゃないかな。
美姫 「その辺りを好き勝手に想像するのもまた楽しいかもね」
うんうん。アハトさん、季節ネタありがとうございました。
美姫 「ありがとうね〜」



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