つよきす×とらいあんぐるハート3
『キスとハートの協奏曲』









 フィリスの一日









 フィリスは朝に目が覚めると顔を洗ったり身だしなみを整えて朝食を食べる。
 家族と一緒というわけじゃないのだが、毎朝慌しく準備していく

「おはよう、お義母さん」
「おはよう」

 挨拶を返してくれる母はありがたい。フィリスにとっては、義理だけど、母だと認めてる人である。
 それに何かと相談にも乗ってもらっているし
 ご飯を食べて、パタパタと歩いていく。これでもフィリスは保険医だ

「いってきます」
「いってらっしゃい」
「フィリス〜〜」

 二階からどたばたと聞こえる音を聞こえないふりして歩いていく。まぁ、ドアが閉まる頃に
 丁度玄関前に来るくらいなのだが

「相変わらずなんだから」

 父親のことも心配はするが、何時ものことなので諦めて歩いていく。

「急がなくちゃ」

 別に遅刻は無いが、あまり遅れて出るのも生徒としてどうかと考えてしまうのだ
 そして、登校途中の生徒たちに混じっていく
 どっちも学生に見えるのだが、学生たちは親しげに挨拶していく

「フィリス先生、おはよ〜」
「おはよう」

 挨拶を返しながら、フィリスは竜鳴館に到着
 挨拶で頭を女学生から撫でられたりしたが、無事に到着したので、薬品などをチェックしていく

「大丈夫だね。今日は恭也くん、来てくれるかなぁ」

 そんなことをのたまいながら、朝礼というか、朝の打ち合わせがあるので職員室へ
 仕事はカウンセラーがメインだ。それでも、けが人も多い
 そのために切らせない道具とかも多々あるのだ

「今日もか」

 大江山祈がまた来てないのは何時もの事になってきている。
 フィリスはそんな同僚みたいな人とは付き合いがある。
 校長のよく分からないアナログ会話を聞きながら、あることを考える。

『あの女は危険だ!』

 フィリスの中では、恭也とあの女を二人きりにはさせるべきでは無いと思ってる。
 話を終えて、フィリスは保健室で待ち人を待つ
 ちなみに、来ることはほとんど無いので……
 お昼休み前にフィリスは保健室から出る
 その間もひっきりなしに男女問わずから相談に乗ったり怪我の治療に当たる

「♪〜」

 鼻歌歌いながら歩いていく先は、3年の教室
 今日は昼前の授業に怪我するような授業が無いので、恭也を捕まえるために動くのである

「あら〜、フィリスさん〜」

 間延びした声で呼ばれたフィリスは、振り返る

「あ、祈さん」

 二人して手にはお弁当……きらーんと光る目

「保健室はいいの?」
「そうだぜ、チェリーガール」

 祈の横でパタパタとはためいてるオウムこと土永さんがそう漏らすが
 フィリスはにっこりと微笑んで

「ええ。怪我は多くても、大丈夫だと判断してますから
 それよりも、祈さんは良いんですか? 三年生ってあまり関係ないと言ってたと覚えてますけど」
「いえいえ、胸騒ぎを覚えまして」

 お互いに大人の女性としての対応ではあるが、二人の間には火花が散ってそうだ
 それに、後ろでは雷やら竜虎対決やらになってそうなのは気のせいだと思いたい
 チャイムが鳴り、生徒たちが慌てて出て行く。勿論、食料を巡っての徒競走だ
 皆、気にしつつも、先生二人の横を通り過ぎていく
 たまに起こることなのでって事だ

「あれ? フィリス先生と大江山先生、どうしたんですか?」

 そんな一触即発な状況で声をかける猛者は少ない。元生徒会副会長にして、風紀委員長の鉄乙女だ
 さすがに、そんな状況を見ては気にしないなんて事は出来ないのだが

「いえいえ、気にしないでください。ちょっと先生としては致命的な幼女と話していただけですよ〜」

 祈の攻撃。フィリスはぐさりと心に刃や矢や槍が刺さる
 背丈などもあり、フィリスは学園のマスコット的存在ともされてる部分がある
 そのため保健室も満員とかいうときもあるのだ
 あわよくばと狙う男子学生も多い

「でも、あと少しで垂れるようなおばさんには言われたくないですよ〜」

 真似て言うフィリス……年齢の差は1つ。だが、その差は大きいのだとか
 周囲に雷が落ちる。乙女は逃げ遅れた……南無南無

「え、えと」

 慌てて転進しようとするが

「それに、恭也くんを誘おうなんて、その体型で片腹痛いです」
「んなっ! べ、別にお昼くらいいいじゃないですか!?」

 と、スペシャルワード『恭也』により転進断念……ちょっとだけ気になりつつも、またかと考える
 ちなみに、恭也はのんびりと教室でご飯を食べれない現状に追い込まれてる。
 ちょくちょく起こる、この争いの為に、教室から離れなければならないのだ

「それに、こういうのできないでしょ」

 くすくす笑いながら祈は、胸をちょっと腕で形を変えてかがむ
 フィリスに谷間が見えるようにの配慮だ

「ううっ」

 悔しさとか云々が混ざってたりするのだが、周囲の男子学生たちは、確かに出来ないなぁと納得していたり
 女子学生たちは、フィリスの悲しそうな顔にちょっと萌えたりしてたりする
 そんなことはお構いなしに二人は、いがみ合うわけなのだが

「そ、そんなでかくてもいつかたれるだけの、塊なんです」
「でも、今要るものよね〜」
「ううっ」『なんで、リスティがああなのに、私は! シェリーだって』

 祈の攻撃に、フィリス轟沈か!!

「ま、小さな胸で悩めよな」

 楽しげな鳥というより、土永さん……ぷちって音が聞こえた
 周囲の皆は離れた……それも、かなりの速度で
 乙女もすぐさま気づいて距離を取ったほどである。天変地異を起こすといわれてるフィリス
 そして、土永さんは黒くなってしまっていた
 バチィィィという音と閃光の後に残されたのは、焼き鳥土永さんであった

「土永さん、美味しそうに焼きあがって」

 学生たちにとっては、それはそれで問題ではなどと思ったり
 何時も一緒に居るが、そんな可愛そうなとか思ったりはするが、絶対に声に出したりしない
 巻き込まれたくないのと、自分の身のかわいらしさからだ

「何してるんですか?」

 教室から恭也が出てきた。それだけで周囲の空気に一縷の光が舞い降りた。
 二人を止めれる人は、三年では数が少ない

「恭也くん」
「高町さん」

 フィリスと祈の二人に声をかけられ首を傾げ、焼き鳥を見る

「あまり喧嘩したら駄目ですよ」

 大人だ!! 周囲の人はそう思った。だが、次の言葉を聴くまでは

「子供じゃないんですし。それに、何で喧嘩が起こったか知りませんけど
 周囲を巻き込むのは良くないです」

 そういって、焼き鳥こと土永さんを連れて行く恭也
 治療をするつもりなのだ……女子学生たちはぽーっと恭也の背中を眺める
 大人の雰囲気を撒いて、美形の人……人気はおのずと分かるものである
 フィリスと祈の二人は、怒りが収まる

「戻りましょうか?」
「そうですね……今日も食べられなかった」
「あらあら」
『この胸お化けめ』
『この貧乳、油断なりませんわね』

 二人とも心の中では、お互いにののしりあうのが普通のようである
 だがそこは、大人であるために、抑えるのだ
 そして、何時もではないが、昼休みの漫才(周囲からはそう見える)も終わり
 風紀できなかったと落ち込む乙女だったりするが、そこは超人二人なので諦めろという学長平蔵の言葉があったり
 放課後になり、フィリスは鼻歌を歌いながら、ある場所に向かう
 そこには、フィリスに手を振る女性

「フィリス〜」
「フィアッセ」

 二人とも仲が良いのだ。フィリスは翠屋の常連組だし、勿論、恭也がたまに入ってるのも理由だ

「シュークリームとココアにしようかな」
「うん。じゃあ、今あいてるだろうし中にどうぞ」
「ありがとう」

 外での販売をしているフィアッセは店の中に戻るのは難しい
 そのために、中に入ると店員さんが先ほどフィアッセと話してるのを見ていたので、すぐに案内する
 シュークリームとココアを持ってきてもらって、周囲を見渡して恭也がいるかいないかを確認
 いないと思って少し落ち込むが、まぁ、また明日も来ようと心に誓う
 今日は一度しか会えなかったなぁと、寂しく感じながら明日は頑張ろうと思うのだ

「フィリスさん」
「なのはちゃん、お手伝い?」
「はい」
「良い子良い子」
「えへへ〜。お兄ちゃんなら、もうすぐしたら来ると思うよ」
「えっと」

 高町なのはは、とても侮れない子である。
 気が付くことは気が付いてるし、恭也との事もある程度熟知してるのだ。
 翠屋店長、高町桃子の血と故・高町士郎の血を引いてるのは確かだろうとフィリスは感じている

「コーヒー、出来たぞ。なのは」
「あ! お兄ちゃん」
「いらっしゃいませ」
「はい、いらっしゃってます」

 フィリスは恭也に笑顔で答える。恭也にはその笑顔ですら効果を示さないのだが
 フィアッセたちや手伝いでくる晶やレンたちも知っていても恭也の鈍感っぷりを知っていて安心するのだ。
 そして、シュークリームとココアを飲み終えてフィリスは翠屋を出て行って帰宅するのだ







 意気込みを新たにまた明日を迎えるフィリス。頑張れフィリス、負けるなフィリス
 いつか、思い人に想いが通じるときがきっとくるさ!! 多分だけどね









 あとがき
 短編連作第一作!!というか、フィリスをめったにというかほぼ初めてで書くのは厳しい
 それでも、何とか形に出来た自分に万歳!ネタがあって良かったというか何と言うか
 ちなみに、見せ場は祈とフィリスのやり取りです。毎回ではないが似たようなやり取りされてます
 ただ思うに、やっぱり祈先生のあの胸は脅威だと思ったりします
 では、遊び人でした〜。次回は……アインさんが出すのかなぁ?
 相談して決めるので、分かりません。でわでわ〜ノシ



アインさんと遊び人さんの合作〜。
美姫 「つよきすとのクロスね」
うんうん。全員入り混じってのドタバタ第一弾はフィリスと祈の先生対決か。
美姫 「こんな感じでこれからもお話が続くらしいわよ」
いや−、楽しみだな。
美姫 「次はどんなお話が待っているのかしらね」
次回も待ってます。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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