「仮想……世界……」

驚愕という思いが一周して外面に現れなかったのか、小さく唇を動かして僅かな空気の振動を俺の耳元へと伝えた彼女がそれまで以上に無表情だった。

 

「そうさ。君この世界は、その上にある真世界の涼宮春日が世界の記憶をもとに作りだしたもの。

つまり君も、その上の情報統合思念体も、この部室に集まる面々も、そして……涼宮ハルヒも、な」

 

涼宮ハルヒの終焉 本章第7話

 

再生と崩壊

 

こういう重大事実を告げるってのは、式典に私服で参加するくらいの適度な解放感と緊張感があってまたいい。

何も、これが世界を一変させたわけじゃねえが。彼女にとっては重大だろう。

もちろんこの世界の住人じゃない俺にはどうでもいい。ハルヒをお持ち帰りしようとしたことはあるが、今は有希ちゃんがどういう顔をするかを楽しむためのネタにしているくらいだ。

さて、と俺が期待を膨らませる有希ちゃんの反応を観察してみる。

「…………」

あれ、無反応か? それとも動揺してる、か?

「話がいきなり大きくて頭に入らなかった、かなぁ?」

俺は挑発に近い嘲弄的な口調で彼女をからかってやる。なんか拍子抜けるな。でも予想通りか。

「ありえない」                                                                                                                                  

きっぱりと。果敢に敵対する有希ちゃんは凛々しいまでに無表情と口元の緊張を保って俺を見つめる。あんまりつまらないので、咥えたタバコから紫煙を一気に吸い取る。

「ありえないっつっても事じ――」

「ありえない」

刹那に急接近した有希ちゃんの提げた金属片が鋭く閃きタバコと煙を薙ぎ灰が落っこちるのを待たず顎辺りを狙った後ろ回し蹴りをかわすも俺からタバコが弾き飛ばされサービスも無く繰り出される蹴りに続く逆袈裟懸けが空しく刃音を高鳴らせ剣圧だけが胸板から首筋を撫でると同時に残る勢いを活かした縦回転からの逆風気味の左斬り上げが踏み込み強く放たれる。

が、俺は反射だけのバックステップで全て避けて見せた。

一瞬の武器生成から連撃まで――さっきのはやけに良い動きだが、まだまだか。

最後に肺に溜まった煙を完全排出。

「っとっと。……怒ってたりする?」

喉笛へと、飛んできたに近い刺突を気障に指二本のみで軌道を逸らし鍔を押さえて受け止め、戦闘状態を終了させてからの一言。重要確認事項だ。

「貴方との会話に実利が無いことは判明した」

相当御冠だわこりゃ。

「でも嘘は吐いてないよ。ま、信じてもらわなくてもいいけどね」

言いながら言い出しが良くなかったのは自覚があった。

にしても、吸い始めなのにしけもくになっちまった一本は勿体なかったな。最近は分煙もさることながら、肝心の値段が高くなり続けてて困る。七つ星が300円だったころが懐かしい。というか、元はといえばトモが総理就任以来延々と税率上げ続けやがるからだ。

叔父貴殿の後を継いだ二世にしては強引すぎる。

いい加減無理矢理にでも値段下げてやろうか。

しかし……なんだ、このもどかしい感覚は。闘いじゃ久しく覚えなかったことなんだが、どうしたんだ。

(まあ、いいか)

「こんだけ言っておいてなんだけど、実は証拠は無い。でも、俺はそう信じてるよ。だからこの世界に居るし、こうやって君と戦り合ってるってわけ」

苦笑を交えた軽い歓談のつもりだが、どうにも有希ちゃんは会話をする気が無いらしい。こうはっきりと拒絶の意志を示されながら独語のように喋繰り続けてるってのは、嘆きの壁にでも話している気分でもうなんか生産性以上に情緒が欠けている気がする。

「終わった」

「そんな急かさなくたって、俺の話はもう終わり――って!?」

はめられた、というのがこの瞬間の直覚。

砂時計の砂が落ちるように物音も無く、周囲の壁と机と椅子とそれからもうその他諸々の備品、おまけにさっき天井に突き立てた銃剣までが紅茶に入れられた砂糖と同じに量子レベルに崩れて消えていく。積雪のように、足元には砂漠が広がる。が、足の感覚はもう無かった。

「ちょい待ち。君の目的は俺の捕獲じゃなかったか?」

「今のわたしではあなたを捕獲することは不可能と統合思念体は判断した。だからあなたの有機情報結合を解除、その後回収分析を行うことで――」

そこまで言い切って、やっと緊張を解いた有希ちゃんは、少し疲れたように更に堪えるような小声でこう続けた。てか、もう俺の身体腰まで消えてるんですけど。

「そこから情報を得ることにした」

それが、有希ちゃんの――いや、彼女の親玉殿の結論らしい。

ああ、なるほどね。

さっきから地味な肉弾戦ばかりしてたのは、そっちに力を注ぎ終わるまでの陽動ってことか。もどかしかったのが吹っ切れた、って俺の身体も存在が吹っ切れてますがっ!?

「もう終わり」

さよけ。はあ、意外に早かったな異次元人としての俺の死も。

おっと、っと、意識が……――

 

 

状況終了。

わたしの全力を以ってしても辛勝。これはあまりにも非常な事態。

もし、あの男が最初から本気だったらわたしはどうなって、何をされていたか解らない。

体に籠もっていた余計な力を抜く。

柄に無く、安堵しているのだろうか、わたしは。

でも、もしあの男の世界からあれ以上の強力な存在が来訪するとしたら。

『代わりの俺が来る』

彼の言葉が私の中で無意識のうちに再生された。

もしそれが事実なら今度は全てが壊れる。わたしが、わたしを取り巻く世界が、……きっと彼も。

それは避けるべき。なんとしても。

「……?」

何かが……。

「光…………?」

粒子状の光が風に流されるように浮遊移動し、空中で収束して形を成していく。

球体、かと思えば、砂時計。そして……人?

そんな、でも、まさか…………。

「ありえない」

わたしらしくない、このように口に出して思考を曝すなど。

でも、本当に、こんなこと、あるはずがない。

「でもありえちまうのが、俺ってやつ」 

再び現われた龍峰正悟は、さきほどの制服姿とは違っていた。

鎧。まるで体表に沿うような最小容積の入れ物を、彼は着込んでいた。

首を守るように外套の襟が立ち、纏められた外套が腰から下では翼手類の翼の様な鋭利な裾をはためかせていた。

そして腰には反りが強い日本刀らしき刃物が鞘に納まっている。

狂ってる、こんな馬鹿げた存在……。

「狂ってるから、五狂生なんだよ」

 

 

まったく、予想外もいいとこだ。俺だって依頼を遂行するにあたってこの世界で無傷でいようとしてたわけじゃない。この先あの神人ともやり合うことだってあっただろうし、いくらかの肉体の破損はあると考えていたが、依頼を蹴ろうと考え付いた後で、しかも細胞レベルでバラされるとは思わんかった。おかげで拘束制御がみんな解けちまって、本来のナリに戻っちまったじゃねえか。

「どうだ、これで無駄だと解ったろ」

ゆっくりと着地して、一息入れる。タバコは……いかん、この姿だと出せん。つーか鎧とタバコは似合わん。

「まあいい、これこそが俺の力ってやつ。君がどう足掻こうが、この力には太刀打ち出来ないよ」

足音を綺麗に響かせるよう、足取りは重く、穏やかな声を紡ぎながら、一歩一歩有希ちゃんへと近づく。

「いや、来ないで」

有希ちゃんは打ちひしがれてへたれこみ、終いには団子虫も真っ青可愛らしく縮こまってしまった。

そこまで怖がってくれると力の片鱗を見せてやってもある意味正解だったな。さっきまで人形だったかと思えば、ちゃんといい感情(モン)持ってるじゃないか。

「それが本来の君の感情ってことかな」

「わたしの……?」

「言ったはずだぜ? 異次元にある六つの階層から成る魔界、俺はその最深層、 

第六層界の頂点に立つ、第六天魔王だと。魔王がたかだか肉体を壊されたぐらいで死ぬと思ったのか?」

イカれた異次元人が勝手に魔王なんつう大それた自称をしてるだけと思っていたであろう有希ちゃんに皮肉たっぷりの口の緩みを向ける。

実際のところ、権力はよみがえった先代に、権威は第五天魔王後継者たる彼女に奪われて、俺に魔王としての影響力はほとんど皆無なんだが・・・・・・。あかん。自分で譲っといていまさらながら情けない。だからこそ、こんなとこで好き勝手やってるんだが。

っと今はそんなこと考えてる場合じゃない。今のでここの統合思念体がいかにド阿呆な存在か文字通り身を持って思い知らされちまった。相手が俺だからよかったものの明確に殺しにきやがったからな。これで俺が何も言わずに帰ったら、連中はマジでタカたちを殺しかねん。ここでもし目の前で俺の地震察知能力が死んでるかと思うほどに身体をガタガタと震わせている有希ちゃんを消したとしても連中にはなんら痛手にならねえで、他のやつら――例えば喜緑とかに俺の存在した周囲を探らせるだろう。

最悪タカたちは殺されたって異次元人で異世界人の俺には何の影響もない。ただちょっと心苦しいだけだ。だが、俺に対しての行動から見ると歯止めがきかずにその周りにも手を出すかもしれない。そうなると一番ヤバイのは・・・・・・

(栞嬢、だな)

全くもって結局彼女のことを考えなきゃなんねえのか。とはいえ、万が一彼女が殺されたとしてそれがもし俺の世界に知れ渡ったら、それこそ世界間、飛龍に言わせれば次元間戦争に発展しかねない。あいつらの彼女への狂信は第五天へのそれと変わりないからな。当然その責任を追及されて俺の首と身体は離れて二度と再生不可にされるだろう。もちろん他の六天魔に。釘を刺すために部室に来たはずなのにこれでは火に油ではないか。

(となると・・・・・・)

 頭の中で一応の対応策をまとめた俺は短く鼻で笑った。

「全く、君らは運が悪いな。いや自業自得というべきか。よく頑張ったと褒めるところだが・・・・・・」

鎧の擦れる音を出しながらゆっくりと腰にぶら下げた鞘から剣を抜き取り、その切っ先を彼女に向ける。いつもより刃の反射光が強いのは制御が外れて溢れだした魔力のせいだろう。

「ただ、自分の命を縮めるだけだったな」

黒い歪んだ笑み。俺が意識して浮かべたそれがスイッチとなったのだろう。

震えていた少女の瞳がそれ以上ないほどに大きく見開いた。

その刹那、今まで団子状態で丸くなっていたその身体もアナコンンダに睨まれた兎のように後ろへと大きく跳ね上がる。

「逃がすか! ボケッ」

すかさず彼女の着地地点を予想し、視線を向ける。そこか。

「ふんっ」

見定めた地の上に有希ちゃんの細い足がついた同時に俺は手ぶら状態だった左腕を気合いとともに掌を上にして目の前に小さく振り上げ、それを呼び出した。

彼女の周りの砂漠六方から砂塵を巻き上げながら飛び出したそれは、蛇のように華奢な体に纏わりつき、締め上げていく。裸ならさぞ官能的だろう。

「六封黄煌縛」

自分に何が起こっているか感じる間もなかっただろう有希ちゃんは、身体に食い込んでくる痛みから逃れようとクモの巣に引っ掛かった蝶のようにもがき、今まで彼女ですら見せたことのないくらいの焦りをその表情に浮かべている。だが、

「無駄だ。その鎖は混じり気なしの俺の魔力で仕上げてあんだ。君には絶対抜け出せねえ」

所詮、蝶に抗う術などはない。あとは蜘蛛の、捕食者の思うがまま。 そう、食らおうが、食らわまいが。

「わかったらさっさと落ちろ」

指を弾いて砂の空間に響かせた乾いた音に反応し鎖に迸らせた閃光が彼女に苦悶の顔を最後に残させてその意識を奪う。まさに糸が切れたマリオネット状態。いや、身体は鎖で支えているので、操作を止められたそれといったほうがいいかもな。

さてと、これで有希ちゃんは放置できる。次に目覚めたときに抱くのはどんな感情か楽しみだ。

右斜め下で制止させていた刃に左手を添え、刃を少し引かせる形に構えなおす。それと同時に注ぎ込んだ魔力に応え、刀身の根元から桃色のオーラを滲み出す魔天刃。

この程度なら今の状態でも十分か。これ以上やると余波で有希ちゃんもぶった切りそうだからな。

制御を失ったことで小指一本でも破壊可能になった華奢な動かぬマリオネットを見据え、半歩分足を滲み寄せる。

(あれか)

視覚を遮り、心眼で彼女の中にあるソレを標的として見定め、

俺の足は地を離れた。

黄砂の地に初歩で踏み込んだ跡を残し、低空でその間を滑走し、そのまま一気に距離を縮める。そして間合いに捕らえた彼女をすれ違い様に腰を捻り返して切り上げた刃の弧に包ませた。おそらく意識があったとしても今までの俺の動きを見切れていなかった彼女には自分が斬られたことにすら気づかんだろう。

うまくいった。アレの気配は完全に消えている。

振り返って目にした彼女の体が無傷だったことに力加減が的確であったこととひとつの標的が沈黙していることを確認しにひとまず息を吐く。

俺は再度指を鳴らして、有希ちゃんの体を捕らえていた鎖を光の粒としてその拘束を解いた。支えを失い、俺の方とは逆の向きに前のめりに静かに倒れこむ彼女はまだピクリとも動かない。電圧間違えたか?

まあほっときゃそのうち目ぇ覚ますからそれはいいとして、まずこの砂漠を戻さなきゃならんな。 おっとついでにあの二人も。 年のせいかすっかり忘れとった。

自分の内面的な老化に苦笑しながらも、俺は剣を鞘に戻し、片膝を折って屈みこんで左手を地に着け、魔力を流し込んだ。それに反応し、砂中から這い上がるようにもとの部室が形を取り戻し始める。俺と彼女の距離も徐々に縮まり、再構成を済ませた長テーブルが二つその間に入り込む。

こうしてみるとこの世界は便利なもんだ、と足元に転がっている銃剣を拾い上げて、亜空間に戻しながら、ある種の感心を宿した目で部室を見渡した。ただもとの部室を思い出して魔力をばら撒きゃ元通りになんだから。これも仮想世界だからできることであって、向こうだと一々物質の存在粒子を手動で組み替えなきゃならん。 

まったくこの世界を創った春日は本来どんだけの力ぶら下げてるんだか。晴日の力がかわいく見えてくるほどに恐ろしい。そう思うと同時に俺はソレを消したであろう真世界の""にも興味が沸いた。

・・・・・・いやそれは飛龍が訪れてから多少なりともあった。違う世界の俺がどんな顔をしてどんな力を持って、そしてどんな人生を送っているのか気にならないやつがいたらそいつは最初っから自分に興味のない無機質極野郎だ。少なくとも俺は自分が歩んだかもしれない道というものを知りたいと思った。まあ、それ以上にハルヒのことに頭が回っていたが、一度会ってみたいとは思うほどの関心は今も持ち合わせていた。

だが、今俺の心を占めているのはもっと別の何かだ。興味というベクトルで括るにはどこか黒い感じ。

恐怖? 

いや、違う。これは――

 

「妬み、か」

愛すべき者を護れなかった、いや自らの手で殺してしまった男の、愛ではなくただ情だけでその者を救いだした男への。

(アホか、俺は)

生まれ膨らんだ卑小でしかないソレを払拭するように俺は鼻で笑った。もちろん自分自身にだ。たしかに真世界の俺は春日を救うことができた。でもそれとは別に護れなかったもの、救えなかったものもあるはずだ。 それに関して言えば、今度は俺が妬まれる側になる。見事に堂々巡りの無いものねだりだ。そんなもんに執着したって仕方ない。隣の柿はうまく見えるもの。ただそれだけのことだ。

俺は俺として魔王として、俺の世界を維持していくには変わらない。 他の世界がどうだろうと、俺は秘琉第六天であることに変わりはない。そう、神滅第六天でなくともかまわない。先代と六天魔と妖蘭様と、そして数多の英傑たちと、俺たちの世界を次代に繋いでいければそれでいい。“彼女”が生まれる、その時まで。

(だからさっさとこっから退場しなきゃな)

 

ほんのわずかな一刹那の自嘲の笑みを浮かべ、俺はいまだ倒れたままの有希ちゃんの両側の空間に両手を翳した。

その直後に渦を象りながらゆがみ始めた空間はやがてその中心部に澱んだ紫を彩わせた穴を生み出した。そして、

ドサッ

「っと」

「うわっ」

今まで蚊帳の外に放り出して、五感が残量が皆無の電池並みに役に立たない闇の狭間をさ迷っていたであろう青年2人を無造作に吐き出した。

ちと乱暴すぎたか。

 

もろに腰の辺りから床に落とされた彼らは両方とも頭を抑えながら上半身のみ起こして、屈みこんだ体制で声を唸らせてあたりを見渡し、自分が今おかれている状況を飲み込もうとした。

 

「な、長門っ!?」

最初にすぐ隣にうつ伏せの状態で倒れている彼女に気づいたのはキョン君だった。 それに反応して一樹……ええい、ややこしい。もとい古泉君が即座に同じ方へと首を傾けた。

懸命に有希ちゃんの体を揺すりながら呼びかけるが、なしのつぶて状態で彼女は動かないまま。ほんとに電圧間違えたかもしかして。

 

「長門に何をした?」

きつい視線で俺のほうを振り向いて開口一番にそれか。 着込んでる鎧はスルーかよ。

「何って、肘撃ち一発、後頭部殴打一発、ボディブロウ一発、そして高電圧を吹っかけただけだよ」

挑発的にこれまでの自分の彼女への攻めを口にする俺にキョン君とともに古泉君も怒りを潜めた鋭い視線を俺に向けてきた。だが、俺は気にせず緩めた口もとでこう続けた。

「そんな大したことじゃねえだろうが 今の彼女にとってはな」

「何だと?」

「彼女に食らわせたのはそれくらいだが、彼女はそんなことどうでもいいんだよ今は」

「どういう意味です?」

今度は古泉君が返してきたさっきまでの焦りはどこへやらずいぶん冷たい口調だな。

それにしても今のこの距離がこの世界の3人の距離か。倒れている長門有希ちゃんに対してそれを抱きかかえるキョン君は焦りと怒りが混同し、一方怒りはあるがまだ冷静さを失っていない古泉君。

……まるっきりこちらの世界とは逆じゃないかこれ。

「どういう意味、かはね」

焦らすように一度鼻で笑って、

「今目ぇ覚ました彼女に聞けば?」

弾かれた様に二人はすぐに彼女に視線を戻すとその目が半開きの状態で、さらに開き続けていた。 よかったショック死されてたらどうしようかと思った。

「長門! 大丈夫かっ?」

「長門さん いったい何があったんですか」

2人の呼びかけに瞳の色を取り戻した有希ちゃんは同時に今まで閉じていた瞳を大開にしながら即座に起き上がりキョン君の腕から離れた。別に彼が嫌いとか、逆に恥ずかしいとかではないだろう。今の彼女にそういうことを思う余裕はないはずだ

起き上がりすぐさま自分の体の至る所をまさぐる有希ちゃんに不振に思ったキョン君が再度、

「お、おい長門っ、いったい何があったんだわかるように説明してくれ」

彼の問いかけに手を止めて少し目を伏せてしまった彼女はその小さな口を動かして

ささやいた。

 

 

「情報統合思念体が崩壊した」

 

 


あとがき

 

お待たせしました終焉第7話をお届けします。

前回より5ヶ月空き(

お待ちいただいた方々申し訳ありません。

その分今回は作りこみましたのでお楽しみいただけたと思います。

タカ「そんなわけあるか! ドアホ!!」

ヒ、ヒドイ。

だって仕方ないじゃないか。とあるゲームが発売されて、それがあまりに終焉とネタがかぶってたからやる気なくしてたんだよ!

タカ 「ああ、アレはひどかったな被り具合が。でもよお前ならそれすらネタにできるだろ?」

もちろん、もうネタにしてる(ニヤソ

タカ「さよけ、ところでとうとう正悟の本性ばれちまったな」

ここでばらさなかったら後々面倒なんでね。

タカ「しかも先代や六天魔のことまで仄めかしてやがるが、出すのか? 今後登場予定は?」

先代含めての6人のうち4人は出すつもりだよ。一番早く出てきそうなのは・・・

タカ「やっぱり先代か?」

いや違う第三天だ。

タカ「……おい、まだあのネタやる気だったのか?」

当たり前です

タカ「もう好きにしやがれ……っと、再三確認するがこれハルヒSSだよな?

そうだとも。キョンも古泉も長門も出てるじゃないか。

タカ「だが肝心のヒロイン、ハルヒが出てきてないぞ、何よりなんか栞嬢の扱いがえらく目立つんだが。まるで彼女のほうがヒロインじゃねえか」

……まるでじゃなくてマジで前半、彼女ヒロインなんだが(

タカ「なん…だと…」

いや正直ね。painwest様に訪れて初めてマリみてに出会ったんだけど、これほど私のSSにすっと入り込んだ人は彼女と聖さんだけだったわけで。

タカ「当初はゲスト扱いだったが、いつの間にやらヒロインにってか?」

そうその原因の半分は第五天魔王にある!!

では次回もお楽しみに

タカ「まあモデルがあの人じゃなあ」




有希が逆転かと思いきや。
美姫 「そこまで甘くはなかったみたいね」
だね。寧ろ、その事で逆に情報統合思念体の方が消えちゃったみたいだし。
美姫 「正悟の正体もここで明かされたし」
いや、本当に次回はどうなるんだろうか。
美姫 「次回も待ってますね」
待ってます。



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