とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのは








魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜

第二話 新しい住人










 なのはは、ユーノと言う名前のいたちもどき(フェレット)を飼うように頼んだ
 おとなしいということで、両親や皆の了解を得て、一緒に暮らすこととなる
 槙原獣医院では心配されていたが、なのはの説明を聞いて、電話を掛けた恭也により説明されていた
 また大丈夫かどうか怪しいので連れてきて下さいとの事だった

「ありがとう、お父さん、お母さん」

 両親へとお礼を言うなのはに、両親の二人は顔を見合わせて笑顔になる
 『ちゃんと世話をするんだぞ』という二人の言葉に頷いてる
 ただ一人、恭也だけはずっとそのいたちもどきを眺めてる

「恭也、どうかしたのか?」

 恭也の視線の先のことを気にして、士郎が声をかける

「何でも無い」

 恭也は何事も無いかのように、そういうと、そのまま歩いていく

「散歩してくる」

 恭也はそのまま外に出ていった
 なのはは認められた事が嬉しくて、気づいてなかった
 そして、家族内で誰も気づいていなかった……恭也が事の本質を見抜くという力を持つことに





 恭也は恭也で、神社に着ていた
 そこには誰も居ない……普段なら神咲那美や久遠が居るが今日は居なかった
 恭也はそのまま神社のお賽銭箱の横に座る
 がさがさと音が聞こえて、飛び込んでくるのは鳥
 お賽銭の中には大概鈍く光り輝くお金が入っている
 それが災いして鳥が寄るときがあるのだ

「鳥!?」

 だが、それに気づき恭也は慌てて避ける……何より大きさが違いすぎるのだ
 このとき、なのはとユーノの一人と一匹(一人)も気づいた……ジュエルシードの反応が近いと
 ただ恭也の中に入ったものは全く気づかれなかった

「こいつの中にもある」

 そう呟いた恭也は自分の武装の心もとないものだがと小刀と鋼糸を取り出す
 小刀4本、鋼糸は1番と5番……どちらにしても今戦うのは得策では無い

『呼んで、あの子の中の番号を』

 頭に声が聞こえる恭也は不思議そうに周囲を見回すが何も聞こえない
 だが、頭の中の声は続ける
 『シリアルナンバー20』と

「シリアルナンバー20、こちらに来い!」

 その声は大きなものでもなく、鳥は羽ばたき、恭也へと突進していく
 だが、その突進は途中で力尽きたように落下する
 恭也へとその石が吸い込まれたおかげで

「くっ」

 恭也は落ちてくる鳥を受け止める……まだ息もあり、しばらくしたら眼を覚ます
 ただ、そこに不運にも変身、杖持ち、ユーノが肩にのったなのはがやってきた
 気配だけで恭也は誰か気づき、そして、姿を見て隠れる
 どこか違うなのはの状態に気づいてこその恭也の選択

「ユーノくん、何も居ないけど」
「確かにジュエルシードの反応がしたのに!」
「でも」
「うん、気配も魔力反応も消失している」
「どういうこと?」
「分からない」

 恭也は気配がばれないように必至に隠しながらも驚いていた
 ユーノが喋ったことに関してもそうだが、なのはたちの会話が気になっていたのだ

「でも、戦いの後はあるね」
「うん」

 二人は困ったように社を見る……ほぼ全壊の社
 勿論、恭也もそれは気づいていたが、会話を聞くことに集中する

「まず分かったことだけど、此処で戦闘があって、誰かが持っていったんだろうね
 同じ、デバイスでもって」
「じゃないと、魔力があふれてるはずだからって事だよね」
「うん」

 恭也は話を聞く

「元に戻るね」

 そういうと、なのはは魔法少女から元の姿へと戻る
 何時もの気配へと戻ったなのはに恭也は何となく読めてきた気がした
 そして、ユーノという生き物を連れてきた理由も
 なのはから手伝うと言い始めたということも
 巻き込まれても、自分の信念を持つのは、高町家の性みたいなものだ

「ユーノくん、帰ろうか?」
「そうだね」

 そういって二人は離れた
 恭也はそっと出て行って、鳥を撫でる
 鳥は小さく恭也を見て、飛び立つ……恭也の周囲を飛び『ありがとう』という風に飛んでいった
 恭也はそれを見て、ため息をついた

『あの石をなのはと、いたちもどき、ユーノといったかが集めてる
 じゃあ、どうして俺の中にそれが入っていく? いや、それよりも俺の中にあると気づかない?
 インテリジェンスデバイスといったか、あの杖みたいなのがそうなのだろうが
 それじゃあ、俺はそれそのものなのだろうか?
 しかし、それでは俺の今の体や意識は作り物?
 分からないことだらけだな』

 恭也はそういって、考えながら階段を下りていく
 長い石段を降りていって、家へと戻る
 恭也は気づいていなかったが、恭也は小さな怪我をしていた
 士郎は苦笑いで子供じゃないんだからなどと言いながら、恭也に救急箱を投げ渡した
 恭也もそれを受け取り治療していく
 なのはや美由希はどうかしたのか気にはなったが、たまに鍛錬で怪我をするので
 その鍛錬だと何時ものことと片付けていた

「なぁ、なのは」
「なぁに、お兄ちゃん」
「ユーノくんと呼んだ、それって、いたち? それともフェレット?」
「ふぇ、フェレットだよ」

 なのはは少し慌てながらも応えていた。士郎は家に居た……店員として働いてはいるが
 実際のところ今日は休んでいたのだ……昼ごろに桃子に説明して、了承を得たのだから良いのだろうが

「そうか……すまない。ちょっと気になってな」
「そうなんだ」
「ああ、そうなんだ……あ、それと、ユーノとは一緒に風呂に入るな
 かあさんと美由希もな」

 恭也の言葉に、特に美由希から声が上がる

「どうしてだよ、恭ちゃん!」
「そうだよ、どうしてお兄ちゃん」
「貞操観念の問題だが、そのフェレットはオスだろ? 何より、動物は水を毛嫌いしたりして
 引っかいたりするときがあるからな」
「そ、それなら、ユーノくんは大丈夫だよ」
「なのはが良くても、お風呂に早めに入るなのはが入って、ユーノの毛などが排水溝などに絡まっては困るからな
 だから、洗うときは俺が洗う……父さんだと怖いから却下だ」

 何気に士郎を度外視した恭也
 その頭内にあるのは過去の偉業の数々……美由希も知らない過去の偉業もある

「なんで、俺だと怖いんだよ」
「父さんのことだし、どれくらい水の中で生きれるかとか考えて、お風呂に漬けそうだ
 更には、排水溝に入るかなぁとか考えそうだから、危険すぎる」
「おま、言うに事かいて、そんなことを言うか!!
 お前だって考えなかったわけじゃないだろうが」

 恭也と士郎の小さな喧嘩は日常茶飯事だ……といっても、大体が士郎の子供っぽさが目立つのだが

「実行しようとは思わないな……第一、生き物は大切にだ」
『生き物、フェレット』

 恭也の言葉に、ユーノは徐々に落ち込んでいく
 動きは何とか保ってるが、内心ずたずたであるのは変わらない

「それと、少し汚れてるから、早速洗おうと思うのだが
 なのはも見ていくか? 犬と似たような洗い方になるが、アリサの所で洗ったこともあるし
 忍の所で猫も洗ったしな……」
「見学していいの?」
「ああ」

 恭也に言われ、なのはからユーノを片手で抱っこする

「ちっ、ちょっとした実験じゃね〜か」
「実験でも駄目っ」

 なのはの言葉に士郎は頷いた
 末っ子+娘には特にとっても甘い士郎
 桃子と美由希は苦笑いするだけだった
 ただ、恭也がユーノを洗いたいといったことが意外といえば意外だったようだ

「意外ね〜」
「まぁ、あいつも本当は犬とか欲しかったのかもしれないけどな」
「そうなの?」
「恭也の小さな頃、一度行った家で大きな犬がいてな
 それと戯れてる恭也を見たとき、年相応に見えたんだよ……あの時は驚いたぞ
 恭也の全開笑顔なんて」
「見たかった」
「私も」

 桃子と美由希はそんな幼いような恭也を知らないので、二人して同じことを呟くのだった
 お風呂場からは、ぬるま湯などを作り、恭也となのはの仲のいい声が聞こえる

「相変わらず、なのはには甘い奴だなぁ」
「シスコンだよ、恭ちゃんは」

 士郎と美由希の言葉に桃子は不思議そうな顔をする
 『それだけだろうか?』と……恭也は何があっても言わない
 士郎にも、桃子にも……不安の入り混じる目

『なのは〜、こそばゆい〜〜〜』
「このあたりはわきだが、砂埃が入ると厄介だからな」

 そういって恭也は撫でるかのように、優しく優しく洗う
 だが、もしもそれが人の身であったなら……笑いたくもなるだろう

『が、我慢して、ユーノくん』

 恭也は小さく聞こえる声……なのはとユーノは言葉を発してないのに喋っていることに気づいた
 目を見て会話をするわけじゃないが、それでも聞こえる声
 テレパシーというものかと理解する

「下も同じように洗っていくんだ」
「お、お兄ちゃん」
『ぼく、もうお婿に行けない』

 心の中で涙を流すユーノ……確かに大また開きは屈辱である上に、そういう言葉もある
 そして、丁寧に洗い終えた恭也はふぅと一息入れて……顔などを丁寧に拭いていく

「拭くときは出来るだけ水気を取ることをメインとするから、柔らかいだけじゃなく
 吸水性の優れたタオルを使うのが良いだろう……これで」

 恭也は簡単に説明し、自分が濡れることも構わず拭いていく
 なのははそんな恭也にありがたいと思いつつも、後でユーノをどうやって慰めるか考えていた

「そうなんだ……ありがとう、お兄ちゃん」
「いや、このままだとまだ濡れるからドライヤーなんかを使うのだが、それを大体の嫌う傾向がある」
「そうなの?」
「ああ、ドライヤーは熱いからな……何より、乾燥しすぎては困るだろ?」
「うん」
「だから、暖めながらこうやってタオルで包んで拭いていくんだ」
「そうなんだ……でも、アリサちゃんの家のは大きいよね?」
「バスタオルで包んで、動かないように言っておくと大体動かないんだそうだ
 アリサはなんだかんだで世話しながら、ちゃんと教育もしているようだぞ」
「なるほど」

 頷いて返すなのはに恭也は満足げな顔をし

「大体の手順は分かったな?」
「うん」
「じゃあ、次は後片付けだ」
「そうだね」

 毛などが色々散っている……洗って落ちた分だ
 それらをすくい取って恭也は袋に入れていく

「こういう髪の毛とかもそうなんだが、排水溝などを詰まりやすくする原因になるらしい
 流すんじゃなく、出来るだけとって流したほうが良いだろう
 本当なら、後でパイプの中を洗うものなどを入れると良いが、今回はこれくらいで良いだろう
 何より、パイプの中を洗うものが無いからな」
「うん、じゃあ後で買いにいかないとね」
「そうだな……ついでにユーノのトイレする場所なども買わないとな」
『だ、大丈夫だからって伝えて〜〜〜〜〜〜!!! なのは、お願い!!』
『でも、難しいよ……だって、フェレットって事で飼う訳だし』
『ううっ』

 そして、ユーノの拷問(本人談)はその日と次の日まで続くのだった







 つづく








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