とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのは








魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜

第五話 管理局局員、執務官クロノ登場










 恭也は士郎と桃子から相談を受けていた
 というのも夜中に出かけているなのはについてだ
 放課後にも帰りが遅かったりするので心配しての配慮

「だから、なのはの事をそれとなく探ったりしてくれないか?」
「なのはなら、大丈夫じゃないか? もしも変なことがあったら、それこそ相談でもしそうだし」
「だがな、夜中出かけてることもそうだが、お前は心配じゃないのか?」

 士郎の言葉に恭也は少し考えているようだ
 そして、一つ言葉を漏らす

「なのはの気配のそれが、俺たちに似通ってきている
 だから、俺も気になってちょこちょこと調べてみた」
「調べたのか?」
「まぁ、それとなくだが、近すぎたら気配でばれると思ったのであまり近づかないけどな」

 恭也はそう言ってから、なのはの事は大丈夫だと伝える
 何より、信頼してるからこそ何かあれば手を出すつもりだとも……恭也がなのはに甘いと
 そのことを知ってる二人は恭也の事だし、何かある前に手を出すだろうと踏んだ

「じゃあ、なのはの事をそれとなく、頼むな」
「まぁ、だが、良い友達だって居るのだし大丈夫だろう」
「息子と娘なら娘が大事なんだ、男親は」
「分かった分かった……まぁ、なのはが変なことはしてないぞ
 それだけは確かだ」
「分かった……何か分かったら教えてくれ」
「分かった。かあさんもそれで良いか?」
「ええ。でもね、恭也、あなたも無理したら駄目よ」
「分かってるさ」

 だが、この時恭也自身も気づいてないことが恭也の内部で起きているのだが
 それは誰にも知られてない事……そのことが起こるのは先のことだった






 なのはとフェイトと何度目かになる対面を果たしていた
 ジュエルシードを奪い合う戦いに2人は激化をたどる
 何より、戦いの様子を監視されてるなど知らない
 そして、その近くには恭也も着ていた
 結界を張られても、全く影響を受けず、更に二人と二匹の戦いを見つめる
 気づいてない二人と二匹……そして、管理局も恭也の存在に気づいて居ない
 ただ、恭也は気づいていた。フェイトの体に走っていた鞭の傷跡
 隠そうとしても見えるのは、恭也の視力のよさとも取れる
 ただ、恭也自身気づいてない点がある。それは……恭也の目が、左目が蒼色になっていることだ
 何時もどおりの視力、それと、少しだけの情報……なのはとフェイト、ユーノとアルフの情報が見えてる
 それだけの違いだが、それは最初からあったことなので、恭也は気にしないことにしている
 何かの変化の一つだろうと
 そして、ジュエルシードが暴走を開始する前に、一人の男の子が現れる
 執務官のクロノである。二人と二匹に動きを止めるよう、戦闘を止めるよう言うが
 フェイトはジュエルシードへと手を伸ばすが、クロノに阻まれ、そのままアルフがランダムに飛び逃げた
 恭也は逃げたフェイトを目で追い、その後なのはとクロノの様子を見る

「逃げられたか? 何で邪魔をした?
 何より、これは危険なものだと」

 だが、そのジュエルシードがクロノの杖の中に消える前にジュエルシードが動き出す
 二人はすぐさま気づき、なのはは近く止めようとする
 だが、そのジュエルシードに意識があるのか、なのはの魔法を避ける
 もともと当てる部分が小さいために、当たりにくい
 更にクロノも魔法を唱え、止めようとするが、連携の出来ない二人のため止めることが出来なかった

「どうして!? 急に! エイミィ」

 クロノは誰かと通信しているようだ
 ジュエルシードは消えた……空中で溶け込むように
 なのはは、不思議な感じに襲われていた
 前もあった……結界を解いたら何か分かるかもしれないけど
 それを言うつもりもなかった。だが、なのはたちはこの時、この場に誰が居たか確認しておくべきだった

「とりあえず、事情を説明するからアースラに連れて行かせてもらう」
『ユーノくん』
『うん、僕もついて行くし、絶対なのはの迷惑にならないようにするから』
『ありがとう』

 恭也はそれに付いていけるかと悩んだが、止めたようだ
 なのはとクロノ、ユーノが消えた先を見つめ、その後きびすを返す
 フェイトのお家へと向かう





 なのはとユーノは事を聞いて、全ての事情を説明し、ジュエルシードは預かっておくこととなった
 ユーノとなのははお手伝いとして、居ることとなった
 クロノは、ため息をつきつつも艦長の言葉に従った
 リンディ・ハラオウンは更に先を考えていた……ジュエルシードが消えたとき、そこに誰が居たか?
 いや、魔法では捕らえられなかったが、もしも、魔法じゃなく違う何かで結界の外に居て
 ジュエルシードが結界の壁を越えていたらと
 だからこそ、リンディ艦長になるほどの能力を持つのだ
 そして、なのはたちは安堵していた……何せ、フェイトのことも心配だったのだが
 捕まってないという言葉に
 アースラの中で治療を受けながらも、何とか事を聞いていくなのは
 ジュエルシードの危険性なども含まれる





 さて、恭也はフェイトの家に勝手に上がっていた
 鍵があるのだから、入るのは更に簡単になった……非合法の物で入る恭也も恭也なのだが
 土曜の昼間なので、ほとんど誰も居ない

「きょうや」

 アルフが不思議そうに恭也を見る
 何で此処に……その意味が強い

「いや、時間が空いたからな……一応は休日に当たる日なのだから
 昼ごはんとは行かないが、甘いデザートを買ってきたんだ、食べないか?
 どうも俺は食べれないけどな」

 恭也は行きがけに翠屋によって買ってきたのだ
 桃子は仕切りに『彼女? 彼女? 紹介は?』などと聞いていたが
 士郎も気になってはいるが、恭也の『全然違う』という全否定により分からないこととなった

「怪我してるのか? 救急箱を貸してくれ……ある程度の治療は出来る」

 そういって、アルフは口にくわえて救急箱を恭也に託す
 恭也はアルフから救急箱を受け取り、頭を撫でる

「ありがとう」

 アルフは気持ちよさそうに鳴く
 その反応に困ったのは、アルフとフェイトだった

『どうして、鳴いてるの!!?』
『あ、アルフ、しっかり』
『うう〜〜』

 そんな二人の反応を他所に、恭也は傷口を丁寧に洗ったり、消毒し包帯を巻いていく
 時折痛そうな顔をするフェイトに気遣いながら、丁寧にガーゼやら包帯やらを使っていく
 その手つきのよさに、怪我したことあるなども分かっていくフェイト
 アルフも手つきに関心しつつ、今日は甘いものとお土産をちらりと見る

「これで良いか?」
「はい、ありがとうございます」

 魔法の攻撃事態は問題なかったみたいだ……非殺傷設定にされていたためだ
 そのおかげで怪我というのは少ないが、ジュエルシードやらの怪我は殺傷能力があるために
 怪我があったし、何よりフェイトの母親、プレシアからの鞭での攻撃の跡が生々しく残っていた
 アルフは目をそらすことも出来ず、気落ちした顔をしていた

「どうぞ」

 動こうとするフェイトを押さえ、恭也が入れた紅茶と翠屋のお菓子
 それで顔が綻ばせたフェイトの顔に年相応なところもあると、恭也は安堵した
 そして、アルフも口を少し汚しながらも食べて、口の周りを舐め取る

「美味しい」

 翠屋のシュークリームをもくもくと食べるフェイト
 本当に美味しいので、言葉を発してからは、すでにそれに集中していた
 恭也の事も目に入ってないようだ
 恭也自身はというと、紅茶を飲みながら一人と一匹の様子を見ている
 鞭の跡のことは聞かない……ただ、のんびりとしているようにしか見えない
 フェイトは食べ終えて、自分の今までを振り返り、反省していた
 何より、醜態のようにも思えたのだ
 何故、醜態に思えたかの所まで考えてないのだが

「持って来たかいがあったな……また、今度も買ってこよう」
「あ、ありがとうございます」
「単なる時間つぶしみたいなものだ」

 そういって、紅茶を飲んでる恭也を見て、フェイトは聞いてみる

「社会人さん?」
「違う」
「会社とかで疲れたから一人でゆっくりとかじゃないんですか?」

 年齢が大幅にずれてることに気づいてないフェイト
 というよりも、恭也が老成しすぎてるというところがもっとも大きいのだが
 士郎が若いのもあるが、恭也と士郎が並ぶと兄弟でも通りそうだ

「これでも大学生なんだがな」
「……え?」
『だいがくせい?』

 フェイトは世界の大学を考え、そして、言葉を詰まらせた
 アルフにいたっては『大学生』って何って所なのだが、すぐさまフェイトから念話が入る

『高校の後に入る学校かな? だから、社会人に近いけど、まだ学生なの』
『うそっ! どう見たって、20代後半、いや、その考え方とかとったら30代前半』
『私だって驚いてるんだから……というより、普通に大学生って言葉を考えちゃったよ』

 と、フェイトとアルフは色々失礼なことを考えつつも聞くことにした

「院生ですか?」
「いや、まだ一回生だが」
「……失礼ですけど、年は?」
「ん? 19だが、どうかしたか?」

 恭也は士郎が怪我を負ったとき、自分が家族を守らねばならないと思い
 誰にも言わないまま、中学の頃に家を出て行ったのだ
 そして、一年後武者修行へて戻ってきていた……だが、それはそれ、これはこれなので
 今は関係ないが、フェイトとアルフからしたら、不思議でしかない

「もっと年上かと思ってました。すごく落ち着いてるし」
「まぁ、色々あったからな」

 恭也は少し思い出していた……忍や那美、フィアッセのことを
 夜の一族、神咲の霊力、HGSのことを

「まぁ、それよりも何かあったのか?」
「いえ、別にたいしたことは無いですよ」
「そうか」

 恭也はほとんど聞かない
 でも、フェイトには相談しても良いかもとか、色々思考が回る
 更に自分たちのことを踏み入ってこない態度とか優しさ
 そんな恭也だからこそ惹かれている
 それが、女としてか、人としてかは分からずとも
 信じても良いかもと思えるくらいには、考えている

「あの、少し話しだけでも良いですか?」
「ああ、構わないぞ」

 恭也の言葉にフェイトはこれまでの事や先ほどあったことなどを包み隠さず話す
 そして、何より重要なのがジュエルシードを集めていることとその理由を知らないことも
 そのことに恭也は関心を持つが、言葉に出さずフェイトの話を聞き続ける
 アルフも大体を知っているとは言え、こうやって良く話すフェイトに何も言わなかった
 大体の内容を聞いても、恭也の雰囲気は変わらず
 ただ聞いているだけだった……2時間ほどして全ての話の内容を聞き終えた

「分かってもらえないと思うから」
「まぁ、話したりしていくうちに分かるものなんだと思うのだが……自分から一人になろとしなくても
 俺には話してくれたわけだから、話してみても良いんじゃないか?」
「多分ですけど、もう無理です……執務官が居たから」

 恭也の頭の中に黒い服を着た男の子が浮かぶ……あれの事だろうとも理解する
 ただ恭也は何も言わず話を聞くだけに留めるつもりだった
 ちょっとした息抜きにもなるだろうというのが目的だ

「高町なのはさんの事は、悪いとは思うんです……ジュエルシードを集める時会って
 集めるためだけに怪我は無いと思っても、怪我しちゃったりしてるかもしれないし
 ジュエルシードによって思いを増幅された動植物も、傷付いちゃったりするんだと思うと……」

 恭也はそんなフェイトの頭を幾度か撫でる

「優しいんだな」
「あ」

 大きな手、優しい手つき、撫でられてる頭

「フェイトは悪いことをしてるとは思ってないのだろう?
 だが、傷つけることを嫌なのだろう……母親のことは大切で板ばさみになっているんだ」

 恭也は少し考えていた……どんな言葉をかけたら良いか

「俺から言えるのは大した事じゃないが、フェイトはフェイトで生きてるんだ
 だから、お母さんと話し合うことも必要だと思うし、そのなのはさんと話がしたいなら
 声をかけたら良いんじゃないか? 理解できるできないは、その後にわかることだと俺は思う」
「そうですか?」
「ああ」

 恭也の言葉に頷くフェイト
 二人と一匹はその後冷えた紅茶ではなく、再度入れなおした紅茶を飲み
 恭也は玄関から出て行った……鍵を返そうとしたが
 フェイトが持っていて構わないということで、そのまま持っている事になった
 恭也は『また来るから』という言葉に、フェイトは少し名残惜しいと思いつつも頷いて返していた
 アルフもまた着てほしいなぁと考えていた。出来るならお土産を〜などとも







 つづく









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