とらいあんぐるハート×魔法少女リリカルなのはA's









魔法少女リリカルなのは〜守りたいものありますか?〜A's

番外編7 フェイトと恭也の午後











 語られなかった物語……そこでは二人の秘密が一杯であった
 なんせ二人は魔導師であったから





「待たせたか?」
「いえ」

 デートの待ち合わせの会話のようだ
 先に声を掛けたのは恭也、そして返事したのをフェイト
 普段ならそれだけなのだが、今日は二人して待ち合わせ、デートである
 フェイトは制服を恭也は黒い服を着ている
 ほぼ毎日と変わらない

「しかし、出かけるというか、街の案内が午後だけで良いのか?」
「……結構知ってます
 本当はたくさん案内してもらいたいところですけど、なのはやアリサ、すずかが教えてくれるから」

 ちょっと照れてるのかうつむいて言うフェイト
 恭也も確かに、あいつらの方が詳しいからなぁと考える

「何処を案内してほしいんだ」
「あっち側を」

 その方向は駅の反対側

「ああ、そっか……翠屋とも正反対だしな」
「はい……その、駄目ですか?」
「いや、構わないぞ……そうだな、あっちだと少し歩くことになるが良いか?」
「勿論です」

 フェイトと恭也は歩いていく

「フェイト、カバンを下ろしてくれないか? お財布と携帯だけ取り出してポケットにでもしまってくれ」
「え? はい」

 言われたようにするフェイトに恭也は苦笑い
 少しは何がどうなのか考えてくれって言いたいのだが、素直だからなって事で諦めたゆうだ
 フェイトは言われたようにする

「ちょっとカバンを預けよう……ずっと背負い続けはしんどいだろ?」
「ありがとうございます」

 恭也は預けて鍵を捻り持つ

「預かっておいたほうが良いのかな?」
「はい、お願いします」

 フェイトは恭也に鍵を預けた……理由はいろいろとあるが、落としても困るというのが一つだ
 駅の反対側にはあまり目立ったお店は無いが、それでも色々と建っている

「花屋さん、手芸屋さん、文具店、工具店、工務店、金物屋、写真屋……結構ありますね」
「まぁ、全部は回れないが、花屋と手芸屋が良いかな」
「はい……あ、それじゃあ、あちらのお店は?」

 フェイトが指差した先のお店には質屋と書かれていた

「あれは中古販売の店だ……物品を買い取り、次にお店に並べて売るんだ
 それなりのものが安く手に入るから、ディスカウントショップやリサイクルショップに似てるぞ」
「そうなんですか」

 そういって、お互いに花屋や手芸屋を覗く
 アジアン風やチリ風などの小物店などもある……売れてるかどうか微妙だが趣味なのかもしれない
 更にはサリーなどが置いてある民芸店もあった
 色々見て回り、二人はふぅと一息つく

「どこかに入って休憩しよう」
「そうですね」

 駅をはさんで反対はにぎやかだけど、こちらはちょっと静か
 多分人通りとかもあるのだが、それ以上にバス停などが無いことも起因してるだろう
 あっち側にバス停なども全てある……駅前にしてこちらは穴場と化してる

「此処なんかどうだ?」
「シンプルですね……此処にしましょう」

 ファンシーなところに一度入った二人は店員さんの反応に困っていた
 可愛い子ですね〜から始った買ってオーラに押し負けして
 恭也はフェイトに二つのリボンを送った

「いらっしゃいませ」

 コーヒー店……店内は明るくも無く暗くも無く
 シンプルにメニューにはコーヒーの種類があるだけで軽食などは無い

「コーヒー専門ですが宜しいですか? 趣味なもので」

 腰を曲げず歩いてきたおじいさん
 元気な証拠だ

「ええ、ちょっとした休憩なので……それで、カフェラテできますか?」
「おぅ、任せてくれ……こちらの子にだね
 お前さんはなんにする?」
「ブレンドで」
「分かった」

 フェイトは何か言おうとするが、コーヒーを思い返し止めた
 苦いのもあるからだ……美味しいの(恭也が入れた)を飲んだときは美味しいと思ったが
 恭也なりの判断と甘い方が良いだろうと考えた恭也に感謝した
 疲れもあるし甘いものの方が良い

「お待たせしました」

 しばらくしてから二人の前にあったかな飲み物が置かれる
 そして、おじいさんは離れていく
 カウンターの中で使ったものを洗っていく
 早めに洗うと出来るだけ綺麗になるというものだ
 カップなどもあっためられたものは、あったかい

「ふぅ」

 恭也はブレンドを飲んでいく
 フェイトも同じようにゆっくりとだが、甘くあったまるカフェラテを飲む

「美味しい」
「ああ、美味しいな……隠れた名店だな」
「嬉しいことを言い寄ってからに……何も出さんぞ」
「いえ、出してもらってます」
「そうじゃったな……また、二人なら来ても良いだろう
 その代わり、あまり人に広めんで送れ
 そのために、わざわざ見つかりにくいところにしたんだから」

 それぞれの理由
 万人に知られたくない
 そんな思いがあるのだろう
 二人は頷いて返す

「一度は手に入れた味を人が着たから失ってしまうのは寂しいものなんじゃ」
「そうですか」
「まぁ、お前さんがたはわかってそうじゃからの
 それにもう年じゃからな……名前を聞いておこう」
「高町恭也です」
「フェイト・T・ハラオウンです」
「分かった……覚えておこう
 まぁ、高町恭也の方は有名じゃし覚えてるけどな」
「俺を?」
「ああ、商店街の催しで、士郎さんが出ておるじゃろ? それじゃ」

 恭也は納得して頷く……フェイトも士郎を思い返して納得した

「それじゃあ、ご馳走様でした、とても美味しかったです」
「ふぉっふぉっふぉ、そう言われるためだけに入れておるからな」
「また来て良いですか? 今度は友達連れてきたいけど、騒がしいのは嫌なので一人できます」
「そうかい? まぁ、確かに雰囲気が違うと思う……ま、此処には落ち着いた者たちが来るんだ」

 そして、二人はお店を出て歩いていった
 お店の主人はその後、のんびりとテーブルなどを拭いて店を閉じた
 一日数名のみ、お店に入ってきた人と少し会話をして閉める
 趣味の世界……本当にそんな感じだ

「あったまりましたね」
「ああ」
「恭也さん、今度は何処に行きましょうか?」
「ずいぶんあったまったし……そうだな、駅前の方に戻ろうか? 夕方だしな」

 恭也とフェイトは来た道を戻り駅の方へと歩いていく
 このことに驚いたのは、付いてきた者たちだ
 皆、早くって言ってる状態なのだが……こういう時に限り遅れるものだし
 何より人が多かった

「で、そこで何をしてるんだ?」
「本当にどうしたの?」

 二人してその言葉をぶつけた相手は、見捨てられた者だった
 といっても、逃げてる後姿が見えてるので、大体は分かってての声をかけたのだ

「美由希、余裕があるみたいだから一度病院行って足を見てもらえ
 元気が有り余ってるなら、後で付き合ってもらおう」
「えっ!?」
「鍛錬みっちりくわえてやろう」

 ちょっと嬉しい声からすぐさま下がった
 付き合ってもらおうって所だけ取れば嬉しいのかもしれないが、鍛錬でしごかれるだけだった
 涙をる〜と流しそうな美由希だが、足はそこまで痛くなさそうに歩いていく
 病院へと一応向かうつもりなのだ
 恭也とフェイトは苦笑いで自分たちを追いかけた者たちにどうしようか考える

「ま、今度にでも何か言うか」
「そうだね……あの、恭也さん」
「ん?」
「手繋ぎませんか?」
「まぁ、構わないが」

 不思議に思いながらもフェイトは誰も見て居ないからって事と
 ちょっとだけ恭也とふれあいたかったからという事で駅まで手を繋ぐ
 恭也もいぶかしみながらも受け止め、手を繋ぐ
 4時くらいになれば、人も変わる……フェイトのカバンをロッカーから出して
 中身を確認して二人は駅ビルへと入る
 実際には駅ビルの中にある本屋に用事があるのだ
 恭也がだが、フェイトはついていくことにしたのだ

「盆栽?」
「ああ、松がほとんどだがこうやって育てていくんだ
 枝やら下の石やら、コケなんかも自らで丁寧にしていくミニチェアの庭だな」
「箱庭の中の庭園って所ですか?」
「ああ、それに近いと思うんだが、精神鍛錬にな」
「心の修行ですか?」
「そうだな……ちょっと家に寄るか? 家まで送るし」
「それは良いですけど」

 そして、恭也は盆栽の雑誌を買って家に到着する
 最初恭也は先に本を買う予定をしていたが、女性を待たせては悪いと思ったのだ
 用事があるというのは大変である
 二人はそのまま高町家へと移動し、恭也は道場へと移動する
 フェイトもついていって、中に入る
 中には小さくとも神棚なども置いてあり、道場だ

「えっと」
「まぁ、気にしないでくれ……飾りというか、一種の心構えのようなものだからな」

 フェイトは頷く
 興味はあるがじろじろ見る場所も少ないから、自然と恭也を目に入れていく
 なのはたちはなのはの部屋にいるのだが、まさか近くにフェイトが居るのは知らない

「まず、今の状態は何もしない静かな状態と考えたら良い」
「はい」
「で、次に動くときの状態」

 フェイトにもぴりぴりと感じる恭也の状態
 間違いなく戦闘するときの状態だとフェイトは認識する……その違いについても

「まぁ、俺の場合この次があるが、気づかれるので止めよう」

 今でも抑えてる状態だと分かるのに、この段違い
 更にまた静かな状態に戻ったときに気づいた……何故、この次を出さないか
 フェイトは震えているから……体が小刻みに揺れてるのだ
 震えてる

「まぁ、なんだ……悪いな、怖がらせてしまって」
「いえ……あれが恭也さんの本気とは言わないけど、戦う時の状態なんですね」
「そうなるな……だから、普段はこの静かな状態を出来るだけ続けたい
 そのために、ああやって盆栽をして自らを抑える鍛錬をしているんだ
 その座禅とかもするんだけどな」
「精神統一ですよね?」
「ああ」
「……私も一時期そういうの考えて、座禅じゃありませんけど
 静と動を考えてて、なかなか出来ないのを実感しました……毎日して、やっと出来ることなんですね」
「多分、そうなんだろう……俺も最初は抑えることが出来無かったことだからな」
「何か植物でも育ててみようかな」
「少しは和むかもしれないし、良いかもしれないな」
「はい」

 フェイトは頷いて、外へと出る
 話が過ぎて時間が夕飯時になってはフェイトが困るだろうからだ
 何よりリンディさんも心配するからだ
 そして、夕闇が落ちる頃、二人は歩いてマンションに戻る
 近い場所なので問題は無いのだが、フェイトは恭也と共に一つの種を買った
 秋からも蒔いて大丈夫な花を……育てるために





 だが、恭也との進展は少ししかなかったフェイト
 それでも満足だった……恭也の世界というべきものに触れられたから
 そして、誰にもいえない秘密……喫茶店
 あそこには、誰も連れて行けない
 皆、あそこに店はあるが、あそこは入りにくいだろう
 また恭也と共に行こう、と

「この事件が終わったら、誘ってみようっと
 それまでは、お花もしっかりと育てよう」

 種の蒔き方などを店員さんから聞いて、小さなプランターも買ったのだ
 恭也がお金を出してくれたのだ……プレゼントとはまた違うけど
 自分が出すといったのだが、恭也が良いからって事で買ってくれたものだ
 マンション云々も伝えてくれて、土などもしっかりとし
 こうやるんですよっていう説明までしてくれた
 そして部屋の外で育てるのだからって事で置かせてもらう

「良いわよ」

 リンディさんもOKをくれたから




 恭也とフェイトのデート
 これからまたいつか……








 おわり








 あとがき
 というわけで、今回は書いてみました……フェイトのマル秘デート
 マル秘というほどでも無いけど、あの午後の一時二人はどうすごしたのかなって
 でも、皆案内してそうな所を除外して、駅の反対側っていうことで
 設定資料集も持ってない自分が書いてもよくはないのだけど、こんな感じにしてみました
 言うなれば穴場……夜になっても明かりは絶えないけど
 それでも、ちょっと暗いような不思議なお店がたくさんあるところ
 そして、皆には無い魅力がるところ……静かでゆったり出来るところ
 そういうイメージをこめました……二人には静養もいるんじゃないかなって
 二人とも静かなイメージがあるので、似合うと思ってしてみました
 シグナムと恭也も似たようなイメージあるのだけどね……違うのに使ったので
 フェイトと恭也とでしてみました。この後フェイトは植物を育てて行くことを覚えていく
 花を育てるフェイトっていうのが可愛いなぁって。恭也は盆栽です
 でわでわ、ほなね〜(^^)ノシ




ふ〜。結構な量があったけれど一気に読んでしまった。
美姫 「短編形式だったのもあって、すいすいと読めたわね」
だな。それぞれとの日常。本編とはまた違った感じで。
うんうん。いやー、堪能したな〜。
美姫 「遊び人さん、ありがとうございました〜」
ありがとうございました。



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