とらいあんぐるハート×マリア様はみているSS









設定……
恭也は三薔薇を知っています(以上)
恭也が高校3年生の秋頃だと思ってください
一応オールエンドで完治してます(何ていうか適当だよなぁ)
というわけでレッツラゴ〜(ちょっと頭が飛んでます)







『薔薇は優雅に咲き誇る16』










「次は何処に行きますか?」

 俺はそれを聞いてみると、全員がどこにしようか考えてるようだ

「とりあえず、先ほどの疲れを癒すために飲み物でも買いましょうか?
 こういう時はこういうの便利なので」

 そう、先ほど取った無料券だ……
 5枚つづりで色々なクラスのが一品から二品タダになる
 なんとまぁ、太っ腹な所だ……というより、当てる人がいないだろうという
 凄く適当な配慮からだろう
 うちの学校なら数名は可能だが、緊張状態が続く中という事となると話は別だ
 まぁ、その場合もある程度何か考えていたみたいだが……
 祥子から盆栽をどうぞと貰ったので、後でクラスに持っていこう……
 そうだ!!

「すみません、先に盆栽を自分のクラスの方に置いておきたいので、行っても良いですか?
 確か3年も何かしてるクラスあるので、飲み物もそこで買えるかと……
 俺のクラスも缶ジュースを売ってるみたいですし」
「それなら、そこに行きましょう……恭ちゃんに重たい盆栽を持たせたままというのも悪いし」
「重くは無いのですけど、むやみやたらと目立っているので」

 そうなのだ……女性5人も居ながら真中盆栽を持つという俺は
 正直な話、異様な光景だろう……それでも、祥子や蓉子、江利子、聖、志摩子は綺麗だから
 もう、俺が注目を浴びてるのは何となくで気づいてきたが、それ以上に彼女達に悪いし
 何かいちゃもんつけられてたら悪いからな……

「でも、恭ちゃんのクラスって……」
「ああ、女装コンテストだろう……あれは体育館で大々的にするから問題なしだ
 多分、今は普通にその募集とジュースを売ってるはずだ
 誰か知り合いが居たら、少しは安くなるかもしれないし」

 そういって歩いていく……実質1人分は足りない計算なのだ
 まぁ、そのあたりについては俺は気にしないが……
 一応晶たちから食べ物を貰っているし

「まぁ、翠屋のお菓子をかあさんから貰いましたので、ティータイムに使えるでしょう」
「もしかして、宣伝?」
「ええ」

 かあさんが渡したときに言った言葉を思い出す

『恭也、いいこと、これは宣伝よ……皆に幅広く渡すのよ!!
 良いわね!!』

 というとてつもなく恐い顔をしてかあさんが言っていた……
 正直、そのときの顔を一言で表すなら、恐慌という感じだろう

「だから、何故か一袋分くらい貰いまして
 クラスで分けようかとも思いましたけど、流石にそれだと分かってる人も多いので
 志摩子や祥子にも味わって欲しいなと……前も食べてましたけど
 あれは、シューなどがメインでしたから」
「ありがとうございます」
「本当に……あれは美味しかったです」

 そういってもらえると嬉しいものだ
 まずいとか言われたら、困りものだし……

「翠屋なら先ほどのより美味しいものが食べられるかしら」
「そうね……それならいいのだけど」

 そういって、お互いにうなずき合う蓉子と江利子
 何ていうか手厳しいな……それも優しさだと思うが……
 ちゃんと認めて、その間にある何かを確りと言えるというのも優しさだと
 ちゃんと考えていえるなら一番だろう……

「此処だ」

 俺はそういって教室に入る
 それぞれ手などを離してついてくると、俺の机を見る
 机の中には教科書などがまばらに入っている
 といっても、特別授業に使うのばかりだが……最近は蓉子、江利子、聖のおかげで全て持って帰っている

「た、た〜〜〜〜か〜〜〜〜〜ま〜〜〜〜〜ち〜〜〜〜く〜〜〜〜〜ん〜〜〜〜〜〜」

 幽鬼のごとく現れる級友忍
 その顔は正直見ていて恐いというよりも、危ない
 綺麗な人なのに少し勿体無いとか密かに思うが……俺は言わない
 それを言ったら、後で何を言われるか分かったものではないからだ

「何だ、忍か……あ、これでジュース5本頼む
 彼女たちからオーダーは聞いてくれ……俺はちょっと用事で戻ってきただけだし
 文化祭のことは一切関与しなくていいと校長命令だから、校長に全部言ってくれ」

 俺はそうきってすぐに盆栽をおく
 ふむ、少し日向すぎかな……ま、また太陽の位置が変わるだろうし
 後で、枝も切れば問題無いだろう……それが楽しいのだし
 お、これは川原の石だな……いいものを使っている
 今度、俺も手に入れに行くか……ふむ、たまには良いな

「って、何で私がんなことしないといけないのよ〜〜〜〜〜〜!!!!!
 しかも、ライバルのためになんて!!!!」

 忍がぶち切れている……いつも眠そうか、壊れてるが
 今日は壊れてるに拍車が掛かっているな……
 その様子は正直危ない人だ……避けて通ればよかったかな?

「蓉子と祥子は紅茶でよかったのか? 缶ジュースだし期待はしないでくれな」
「分かってるわ」
「ええ」

 そして、俺はクッキーを取り出す
 一袋でもそれなりの量がある……かばんにこの袋が後5袋はある
 美由希たちも詰まれてたので問題だな……

「忍、営業だ……翠屋のクッキー早い者勝ちで出させてくれ
 その代わり、ジュースを買ったものに限りだがな」

 にやりと笑って営業を手伝う
 といっても、俺は面倒なので手を出さないが

「そんなことしないで、高町くんの笑顔とかで売ったら
 それはもう飛ぶように売れると思うのだけど……」
「それは、恭ちゃんが嫌がるのでやめたほうがいいですよ」
「そうそう」

 志摩子と聖が揃って言う
 かじっているクッキーが可愛らしくもあるが……ちょっといじらしく
 何ていうか、こういう姿をしていても絵になる彼女たちが凄いと思う……
 自分達も文化祭が終わったばかりなので大変だろうになどと密かに思う

「む〜〜、高町くん、この女の子たち誰よ!?」

 俺が何か言おうとすると、手で遮られる
 というか、実力行使で止められた……横に江利子と聖が抱きついて俺が驚いてる隙に
 蓉子が話し始めただけだが……

「はじめまして、高町恭也さんと仲がいいリリアン女学園から来てます
 水野蓉子です……」
「同じく、佐藤聖です」
「同じく、鳥居江利子です」
「一学年下の小笠原祥子です」
「二学年下の藤堂志摩子です……」
「一応全員学園なので、その関係で恭也と知り合いになり、
 ちょっとした事で此方の文化祭を手伝っていただいたので、此方の学園の文化祭の案内をお願いしました
 それで、何か問題がありますか?」

 蓉子はにっこりと微笑みながら言うが、その目は真実を語っている
 といっても、凄く綺麗だから、なんとも言えないが
 忍がふるふると何か言おうとして考えている
 沙絵さんが楽しげに此方を観ているが……何も言うつもりは無いらしい
 さすが、此処のクラスで一番、楽しいことに目が無い人だ

「何で恭也なのよ!?」
「私達が恭也を好きだから……それ以外の説明は要りますか?
 それとも、先に自分たちが好きになったからと言って、それで全てを流すおつもりなら
 それこそ恭也の意思を無視した形では無いのですか?」

 確りとはっきりという蓉子

「さすがね〜」
「ま、蓉子って意外と容赦ないし……祥子の時も楽しげではあるけど
 苛めるの好きだからね〜」
「そうですね……お姉さまはそれでも面倒を見てくださいますけど」
「確かに紅薔薇さまはそういう所ありますね」

 などと俺を間に挟んで会話をしないで貰いたいものだ

「で、恭兄様はどう思いますか?
 お姉さまが頑張ってる様子を見て……」
「蓉子さんらしいというか、彼女の素敵さが分かる時ですよね」
「妹として嬉しい限りですね……ありがとうございます
 お姉さまは江利子さまと聖さまを纏めてますから、ある意味で私達のお姉さまという感じですし」
「そうだね……恭ちゃんもその辺は見抜いてるでしょ」
「まぁ」
「だから、私達は安心してるの……相手が実力できそうにないし」

 そういって笑顔を俺に向ける
 なんとも頼もしいことだ……

「じゃあ、何……恭也をそっちの文化祭に巻き込んで此方のことをないがしろにさせてもいいと?」
「あら、恭也はそのことについては、問題ないと言ってましたわよ」

 忍が此方を睨みつける
 だが、俺はクラスのことにはノータッチなわけだし、ある程度手伝いはしたものの
 あまり頑張らなくても大丈夫と言われたのだ……
 だったら、問題は無いだろう

「へ〜〜、恭也は問題ないと……あれだけ忙しかったのに?」
「そうか? 忍は寝てるくらいの余裕があったわけだろう?」

 俺は2日前のことを思い出して言うと、それを聞いて少し頬を赤くして忍は言い返す

「で、でも、あれは疲れてただけで、授業中じゃないの!!?」
「だが、寝てたのは変わりないし、あの時は確か準備に切り替えるとという担任の
 優しい心意気だったと思うが、違ったか?」
「むきーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 効果音を立てるなら、ドカーーーーーーーンという景気のいい音が立つだろう
 景気が良くなるかと言えば、ならないような気がしないでもないが……
 と、蓉子がため息をつきながら、一言漏らす

「それに準備は手伝った……後は剣道部の方を手伝うだけで免除になったはずだ
 俺はそれしか聞いてない」

 そういうと、話を切って全員を見ると、蓉子、祥子、江利子、聖、志摩子は食べ終えて
 ちゃんと片付けをしていた……そこまでせんでも良いのに
 缶ジュースはあまりおきに召さないだろうと思っていたら案の定祥子は飲めなかったようだ
 まぁ、変に甘ったるいのも多いからな……100%オレンジとかならマシかもしれないが
 まずいかもしれないな……当たり外れの激しいジュースである

「で、でも、クラスが困ってるのを見過ごすというの?」
「困ってるのか?」

 俺は苦笑いを浮かべながら、周囲のクラスメートに聞くと
 全然という風に首を横に振る……それを見て忍の顔が真っ赤になる
 もう、どこに向けて怒りをぶつけたらいいのか分からないのだ
 荒れそうである……

「大丈夫なようだし、俺は彼女達の案内があるから……
 でわ、また明日にも来れたら来るから」
「高町くん、女装コンテスト着て欲しいな……赤星くんも出るし」
「そうか、だったら笑うために行くよ」
「うん、待ってるから」

 何故か頬を赤くして、応える女子生徒
 どうかしたのだろうか?
 よく分からないが、俺は彼女たちを連れて出る
 次は何処に行くか全く考えてなかったが、何処に行きたいのだろうか?

「ね、恭ちゃん、赤星って明日の剣舞の相手じゃないの?」
「まぁ、そうだな……心配か?」
「ううん、恭ちゃんの剣の腕前は知ってるつもりだから……」
「じゃあ、何かあるのか?」
「男の人なのに、女装させられるってのもかわいそうだなぁって」
「まぁ、出したのは女子で結託していたらしい」
「そうなんだ……あれ? 男女半々じゃないの?」

 そういわれて、俺が苦笑いを浮かべるしかない

「じつは、そのときに俺が居なくて女子が攫っていったらしい
 俺も良く知らないのだが、誰もそのことを話さないし」
「へ〜、でも、恭ちゃんは出なくていいって良かったね」
「全くだ」

 志摩子の言葉に江利子も加わる
 聖と蓉子と祥子は何やら話しているようだ

「で、次はどこか行って見たい所あるか?」

 俺はそう聞いてみる……というか、俺は行きたいところが無いからな
 主体性が無いのではなく、ただ、行っても知ってる所が多いというだけだ……
 で、微妙に俺が行きたい場所より、違う場所の方が良いだろうと思ったのだが

「恭ちゃん、恭ちゃん……此処行きたい」

 そこには園芸部の展示で薔薇展をしているようだ
 自分達で栽培した花を愛でながら、紅茶を入れますとの事だ
 言うなれば、薔薇の中で紅茶を飲もうという事なのだが……

「俺は似合わないと思うのだが……」

 俺はそういうが気になるという事と何時の間にやら内装を覚えてしまい
 学校の中というのは意外と覚えやすいのかもしれないが、ひっぱられていく
 俺もどうにでもなれという感じで歩いていく
 似合う似合わないじゃなくて、彼女達を連れて行かないとやっぱりダメだろうという
 ちょっとした思い込みがあるからだ……そういうことにしておこう
 誰に何を言われても何を言われても、言い訳完了←主に自分のためだが

「此処ね」

 ある教室を借り切って、薔薇を愛でながらというものらしいのだが
 内装が見えなくしてあるのはある種の効果かもしれない
 俺はそう思いながら、そのままドアを開けて中に入る

「いらっしゃいませ〜、6名様ですね……案内いたします」

 そういって、長机1つ分のところに6人で座る
 テーブルの上に薔薇はなく、周りに置いてるところは上手いと思う
 匂いの関係であまり近くにおくのは良くないという事だろう
 そして……紅茶の中にはローズヒップを浮かべるようなのもあるらしい

「本格的ね……それに、紅茶だけという薔薇を好きな人のためにっていう設定かしら
 自分達で育てたものを見てもらいたいという事ね……」
「確か、ロサ・キネンシスは紅薔薇であってますよね……気品あふれてますね」
「そうかしら? 私は白の方が綺麗だと思うけど」
「え〜、でも、黄色とか品性があって良いと思うけど」

 何気にお互いの薔薇を愛でながら飲む紅茶
 紅茶に置いてはあまり良いものを使ってるとは思えないが
 それでも薔薇は綺麗に咲いており、年中咲かせてるわけじゃないのに
 この時期に咲かせるというのも大変な作業だろう

「あ、此処に花言葉が書いてある……っていっても大まかにだけど」

 聖がそういって、薔薇の花言葉を読み上げていく

「えっと、赤は『愛情、熱烈な恋』で黄が『君のすべてが可憐・嫉妬・薄れ行く愛・美
』で
 白は『私はあなたにふさわしい・尊敬』だって……」

 何ていうか、悩むような内容だな……

「恭ちゃんから頂いたら嬉しいだろうね」

 志摩子、なんつうことを言うんだ!?
 しかも、恥ずかしいし……

「出来るなら、赤か紅って所ね」
「本当ね……」

 いや、それを言われても困る気がするのだが……本当に

「でも黄色も捨てがたくないですか?」

 それを言うなら、全員に赤を遅らせてもらいますが、黄色は何ていうか恐いぞ

「でも、私達が赤い薔薇を恭ちゃんに送れば問題なしじゃない
 こうやって言ったからには分かるだろうし……」
「本当ね」
「白薔薇さまの言うとおりですね」

 いや、愛称みたいなので呼ばなくてもいいけど、その前に俺が恥ずかしくなってきた
 園芸部の人たちにじろじろと見られている……それこそ、恥ずかしいくらいに……
 というか、そこでこそこそと話さないでくれ
 何を言ってるか気になるし……そこは置いておくしかないが

「恭ちゃんからの告白かぁ〜、分からないね」
「そうね……というよりも、恭ちゃんが告白してくれるかどうか私達にはわからないし」

 そういうことを本人の前で言わないでくれ
 しかも、ちらちらと此方を見ながら……祥子と志摩子も苦笑いだし
 江利子と蓉子と聖はとても楽しそうに話してる

「ん〜、恭ちゃんが誰を選ぶかだよね」
「そうね……恭也が選らんだ人なら応援というか、祝福は出来るのだけど
 友達として最悪でも付き合っていきたいかな……」

 それはもちろんという感じで頷くが……

「でも、自分を選んで欲しいというのが望みよね〜」
「ええ」

 それを本人の目の前で言わないでくれ
 しかも、此方を見ながら

「恭ちゃん、頑張ってください」
「お姉さまたちはからかうの大好きですから……」

 ため息をつきつつも、志摩子も祥子も全く止める気は無いらしい
 というか、止めるのを遠慮してる節も見られる
 いや、違う……この2人も十分に楽しんでるんだな
 何気に書かれてる薔薇の花言葉を見ているし……

「恭ちゃん、私達の誰か選ぶときだけで良いから、紅薔薇送ってよ」
「あ、それ賛成」
「それはいい考えですね……それと一緒にロザリオなんかを渡されたら
 もう、そのまま倒れてしまうくらい幸せでしょうね」

 志摩子は夢を膨らませてるようだ
 というか、俺がロザリオと赤い薔薇を持ってるのも様にならないだろう
 そんな言葉をかけようとするが、流石にそれをしたら何を言われるか分からないので止めておく
 何か言いそうだからだ……江利子が少し残念そうにしてるし……
 気づいてよかった

「恭ちゃん恭ちゃん、シルバーリングでも良いよ」
「けほっ」

 俺はそれを言われて咳き込んでいた
 流石にそれは恐いものだ……確かシルバーリングは婚約の証だった気がする
 違うか? プラチナで結婚十年目か何かだったはずだ……
 父さんが知ってるかどうか知らないが
 で、結婚の時にダイヤモンドだった気がするが
 違うかもしれない……どうだったっけ? そのうち聞いておくか

「聖、からかわないでくれ」
「う〜ん、結構本気なんだけどなぁ〜」
「本気でもまだ学生だから困る」
「私的には良いかな……だって、兄さんたちの相手疲れるし」
「江利子まで」
「あ、私も高校卒業したらOKです
 父さんなら恭ちゃん知ってるし、すぐに良いよって言いそうですし」
「志摩子もか……」

 段々と諦めがついてきた

「それを考えると紅姉妹が一番大変ね……蓉子も祥子も苦労しそう」
「……私はいいんですけどね……苦労はしそうですわ」
「私はどうなんだろう……あまり深く考えたことはないけど
 多分すぐにOKもらえる気がするわ……」

 いや、もうどうとでも言ってくれ……
 何がなんだか分からないような状態ではないけど、恥ずかしさ一周して戻ってきた
 再度恥ずかしさが広がった気がするのは気のせいか?

「その話は置いておいて……次は何処に行きたいか決めたか?」
「恭也、それほどまでにこの話題から離れたいと?」
「そういうわけじゃないが、今は文化祭を楽しみたいじゃダメか?」

 俺はそういうと、全員が顔を赤くして

「そ、そういうならね……」
「うん」
「そうだよね」
「そうね、楽しむのが先よね」
「そうよね」

 何やら、ごにょごにょいいながらそのまま次行く場所を決める
 今日は意外と人の入りが少ないのを見越して、あまり大きなことはしない
 だから、明日がメインであるわけだが……どうするべきかな?

「室内展示とか見て回りたいかな……写真部とか新聞部とか見たら
 この学校の歴史とかも分かりそうだし、色々と役立つと思うんだ
 祥子と志摩子にとっては」
「あら、聖にしては珍しく建設的な意見ね」
「たまにはね……志摩子に何か出来ることって少ないし」
「そうなんだ……その点、蓉子はもうかまいまくりだもんね……」
「……否定が出来ないわ」

 薔薇3人の言葉に祥子は小さくなり、志摩子は困った表情をしている
 まぁ、でも此処の歴史って何があるのか俺も知らないしいいことかもしれない
 何かに興味があるなら、それを見に行くのも必要なことだろう

「決まりだな……じゃあ、先に写真部で……次に新聞部と学内の歴史がわかるような場所に」
「そうだね」

 聖も賛成し、俺達は移動を開始する
 薔薇もそこそこの品質を保っており、鉢植えにしているのが上手い具合に働いてるようだ
 ただ、少し土の匂いがきついのが難点といえば難点か……
 慣れてるものにはなんてことないが……なれないものには辛いかもしれない
 今度は蓉子と祥子が俺の左右を抑え、後ろには志摩子、聖、江利子が並んでいる
 俺は連れて行かれてるのか、連れて行ってるのか分からない状態だ
 どちらかといえば、引っ張っていきながら、引っ張られてるという言葉がピッタリだな

「こっちです」

 教室間の移動だが、写真部と新聞部は隣接してる教室を使ってくれてるので案内が楽だ
 隣には新聞部がでかでかと張り出している……
 中に入ると写真撮影も出来るようだ……想い出に一枚どうですかとかのポップが見られる

「わ、恭ちゃんがたくさん」
「そこは、高町先輩隠し撮りシリーズですね……他に赤星先輩の隠し撮りとかもあります」

 ああ、そういえば、過去に幾度か撮られてたな
 まぁ、全部背中だろうが……

「全部背中なんだね」
「そうなんですよ〜、追っかけてとっても、もう全て背中……
 背中しか無いのです〜、というわけで、皆さんで一枚どうですか?
 もちろん、高町先輩も含めて」

 何やら、江利子と女生徒が話している
 俺も写真に撮られるのか? あ、赤星はカメラ目線もあるから
 多分、これは頼んだ奴だな……しかし、何で俺らが多いんだ?
 志摩子、先ほどからじ〜と眺めて何をしている? 祥子まで……
 蓉子は何か見ては楽しそうだし……聖も同じくだ
 何も考えずに此処に来たが、問題があったかもしれない
 俺の意見も述べなければいけないな……

「一応、高町先輩のプロマイドと赤星先輩のは売ってるのですけど、
 結構いい値段で買ってもらってるんですよ〜」
「へ〜、時価なんだ」
「まぁ、ちょっとした競りですよ」
「なるほどね……あまり高いとダメよ」
「はい」

 いや、写真部の子よ……君が教えられてどうするんだ?
 江利子や聖、蓉子は年上だろうが……それでも、そんなに変わらないんだから
 しかし、何で俺なんだろうか? 他にもいい奴なら居るだろうに……
 って、志摩子と祥子は何気に手に取ってるし……

「あ、すみません、コレ下さい」
「私も」
「私も買おうかしら」
「いいね」
「皆で同じの買うのもアレだし、それぞれ違うのを買って見せ合えば
 お手軽ね」

 そして、それぞれが買うと、何故か俺をじ〜と見られる
 な、なんだ!?
 す、凄く嫌な予感がする……

「恭ちゃん、集合写真撮るよ」
「聖、それは幾らなんでも」
「恭也、ほら」
「よ、蓉子、祥子や志摩子が嫌がるかもしれないし」
「あら、私は構いませんよ」
「私も……それに、一人一人と全員でって頼んでありますから」

 頼むな〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!
 俺の心の叫びは全く聞こえることなく、そのまま通り過ぎていく

「俺が隣で良いのか?」
「恭ちゃんが隣でなかったら頼まないよ」
「そうよそうよ」

 聖と一緒になって江利子も同じ様に言う

「普通の写真ですと、明日か今日の昼過ぎになりますけど良いですか?」
「もちろんよ〜、取りに来たらいいのかしら?」
「放送でお呼び立てしてもいいのでしょうか?」
「ええ、じゃあ、それでお願いできる?」
「はい」

 呼び出し放送は許可無く行える
 それは、どこぞの誰かがサボったとなれば、それが大々的に公表されるからだ
 もしも、それがばれたら、恥ずかしいことこの上ないし、一緒に居る本人も恥ずかしいという
 多面的な効果を及ぼす……何でこんなものが残っているのか分からないな

「じゃあ、高町先輩は真中の椅子に座っていてください
 後は好きな格好で抱きついたり、キスしてくれてもいいので、撮りますから」
「分かりましたわ……順番はさっきの通りで、志摩子からよ」

 年下から順番みたいだ……って、それも違うか
 ほとんど同じ年齢なんだし……
 と、志摩子は背後から抱きついて、顔をお互い前を向くという形の写真をとる
 甘える妹と兄というように見えなくも無いが、吐息が頬にあたりとてもくすぐったかった
 恥ずかしさもあるのか、おたがい頬が熱かったというのもある
 顔をくっつけていたので、ひげが伸びてたらちくちくと当たったかも知れない
 剃って置いてよかった……身支度は明日も確りとしよう
 何が起こるか分かったものではない……ま、小刀と飛針、鋼糸は持ってるので
 ある程度は何とかなるだろう……多分

「じゃあ、次は聖ね……何をするか期待してるわ」
「よ、蓉子?」
「聖、凄くいい笑顔してるから」
「う〜ん」

 聖は少し考え込むと、俺の隣に膝立ちでいると、座っている俺の逆に手を当てて、そのまま
 俺の頬に口付けをする……顔が真っ赤になってると思う
 それはもう、果てしなく恥ずかしいというか穴があったら入りたい
 聖は嬉しそうにそのまま口つけてるし、俺は目が泳いでるだろう
 しかも、パシャっと写真のシャッターを切る音と、フラッシュの音が響く
 何かが崩れているような気がするのは気のせいか?

「高町先輩はさすがですね〜、絵になりますし」
「そう?」
「ええ……モデルが良いから写真の撮り概があります」
「ま、それについては否定しないわ……江利子〜」
「あ、うん……聖がああきたら、私はどうしようかなぁ」

 どうもせんでください……何か言おうと思うのだが、聖や志摩子の体温が頬からはなれず
 記憶に残ってしまっている……2人の香りも……
 柔らかかった頬と唇が……多分今の俺は真っ赤だろう……それほどまでに頬が熱い
 耳たぶも真っ赤かもしれない

「じゃあ、私はやっぱりこうかな……」

 江利子は俺の顔を腕で抱きしめる感じで俺の頭の上に自分の頭を持っていき
 きゅっという感じで顔を横向けにする
 写真のシャッターを切る音がする……フラッシュもたかれる
 何ていうか、もう俺は固まるしかなくて
 左側にたっている江利子、左耳からは柔らかな感触と彼女が生きているという音
 そして……胸の柔らかさが……
 意識が真っ白になりそうで、でも、此処で倒れたら悪いと思う心が意識を手放さない
 頬に当たっている彼女の柔らかさ、そして……
 終わって満足なのか、そのまま次へと移るために蓉子と祥子を見る
 は、早くおわらしたいという思いを込めて……

「じゃあ、次は祥子ね」
「は、はい……」

 祥子はがちがちに緊張している
 あ、これならマシかもしれない……などという薄い望みを考える
 薄すぎるかもしれないが……

「えっと、恭兄様……座ってるのを交代して、私を後ろから抱きしめてくれませんか?」
「あ、その手段があったか……」
「祥子さま、羨ましいです」

 俺はすでに呆然だった
 祥子は俺を立たせると、俺の意思関係なしに準備をする
 俺が祥子の肩に手をかけて、ふわっと抱きしめると、俺の腕を祥子の指が固める
 そして、俺の頬と祥子の頬が当たる……ぐあっ、さ、祥子の香りが……
 う、腕にむ、胸が……だ〜、抱きしめるな〜〜〜〜
 心が悲鳴をあげながら、シャッターを切られる
 これがティオレさんにばれた日には……絶対に逃げよう
 でないと生きていけない……

「恭兄様、ありがとうございます」

 祥子はそういって、腕を解く
 俺は、すでに意識が腕やら香りやらで、もう一杯一杯で
 次でラストだと思うと、どーんと来いだった……
 というか、ドンと来い!!
 もう、何でもOKだ

「じゃあ、閉めいきますね」
「来なくて良いです」
「遠慮しなくても大丈夫ですよ」

 そういって、蓉子は椅子を長いすに取り替えて、お互いに座る
 すると、俺の左手を重ねて、お互いの胸の高さまで持っていき横を向く
 腰から上を横向きにして、俺の右上は彼女の腰を、彼女の左手は俺の肩を持つ
 そして、彼女の顔がアップで映る……見える場所が全て彼女の顔になりそうなとき俺は目を閉じた
 感じられる彼女の香り、そして……彼女の柔らかさ
 手の平の温かさと胸に当たる彼女の胸
 抱きとめるようにある彼女の柔らかさが俺に安らぎをくれる

「わっ」
「蓉子もやるわね」
「本当ね」
「というか、凄いわね」

 目を閉じながらも感じる彼女達の香り
 そして、彼女たちの優しい温もり……蓉子も目を閉じてる
 シャッターが切られて、写真撮影が終わりかと思ったが、違った

「さ、最後は皆でだね……」
「そうだね」

 そして、俺は皆が隣に立っている写真を撮り、終わりを継げた
 ちなみに、横手2人から抱きしめられながら、後ろ3人の2枚と
 俺の足元2人、肩に手を当て2人、後ろから抱きついてるの1人の1枚が撮られた
 最後のは前が祥子、蓉子、肩は聖、志摩子、後ろが江利子だった
 想い出としてそれぞれ集合のは6枚ずつ、自分達のは2枚ずつで俺の分も頼まれていた
 もうどうにでもなれというやけっぱちな気分で頷いていた……
 そして、次に行く新聞部に行くのだった
 すでにこの写真部のことが広まっているのも知らずに……







 つづく〜〜〜〜







 あとがき
 ネタって難しいね
 シオン「文化祭で何していたかが如実に現れる会話ね」
 カメラマンしてたり、委員長として仕事してたり、美化作業してたり
 ゆうひ「何してるの?」
 さぁ……1人でポツポツと見ながらだったかなぁ? 確か……
 シオン「あ、この写真におにゃのこと写ってるの発見!!」
 これは、確か委員会活動で色々撮ったときだね
 ゆうひ「あれ? でも、この子抱きついてるけど」
 これはギャグみたいなのと、ナチュラルハイになってたからね
 シオン「……嘘ね」
 そ、そんなわけな、なななな、無いじゃないか〜〜〜(視線そらせ)
 ゆうひ「その態度で分かるわ……過去の女ね」
 いや、お前らを恋人じゃないから、過去とか言われても微妙だし
 シオン「で、付き合ってたの?」
 いや、実際は何もしてない仲だよ……ちょっと特殊な関係だっただけだから
 ゆうひ「どこぞのゲームみたいにやっちまいましたとか?」
 違うよ……単にぶつかって悪かったねって謝ってたらカメラ持ってたし、撮ってって事で撮ったのだ
 シオン「へ〜〜」
 ゆうひ「撮ってたね……なんであんたまで写ってるのかしら?」
 近くに居た一般の方が可愛らしい彼女さんね〜から始まり、撮られた……
 シオン「苦労したの?」
 その後、何のことなく撮られ、渡した写真……コレは、まぁ、二枚してお互いに持ってるだけだね
 ゆうひ「何一晩の思い出みたいな事考えてるのよ」
 一日の思い出だよ……ま、そういうのも嫌いじゃないから、自分はいいなと思ってる
 シオン「ふぅん……で、続き頑張れ」
 腕が痛くなければね
 ゆうひ「でわでわ、またね〜」
 ほなね〜(^^)ノシ



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