『シグナムにゴスロリ服着せよう(邪笑』





 私ことシグナムはただいま、罰ゲーム中である。学生たちに見られる屈辱
 OLたちにも、ちらちらと見られてる。パンツとYシャツ
 そして、翠屋と銘打たれたエプロン
 提供は、高町恭也である。女の服でスカートを嫌がった私のためにと準備してくれたらしい
 で、本人はというと、桃子さんに捕まった

「で、で、どんな関係なの?」
「いや、単なる剣士仲間みたいなものだ。父さんも聞いてないで仕事しろ」

 高町恭也は大学生らしいが、今日は講義が少ないらしい。
 で、様子を見に来てくれたらしい。お客の入りは上々らしいので良いのだろうが

「かあさんもだぞ」
「もぅ〜、それじゃあ、本当に彼女とかじゃないの?
 こんな美人で綺麗な人」
「俺には不釣合いだろうが。違うから」
「ふぅ。とりあえず追求は後でね」
「まだするのかよ」
「だって、貴方あれだけ美人に囲まれて、なんとも思わないの!?」
「皆、確かに美人だが、親友や家族だろうが」
「それ以外に思わないわけ!?」
「親友だとは思ってるぞ」

 盛大なため息をついてる高町桃子。ここのパティシエは落ち込みながら厨房へと戻っていった
 なんだろう、凄く寂しそうな背中に見えた

「いらっしゃいませ」

 挨拶は基本らしく、入店してきたお客様をでむか……える

「お〜、やってるんやね」
「本当、ちょっと意外」
「でも、似合ってますよ」
「シグナムはそういう格好も似合いますね」

 小学生がお帰りらしい。主はやて、アリサ、すずか、フェイトと揃っている
 ん? なのははどうしたんだ?

「お兄ちゃん、ただいま」
「ああ、お帰り」

 何時の間に、高町恭也の傍へと寄っていったのだろうか?
 私は目で見えなかった。相当早かった?
 それとも、すずかとアリサを見ると苦笑い

「相変わらず仲の良い兄妹だよね」
「恭也さん、素敵だから。なのはちゃんがユーノくんのことを友達って言うの分かるよ」

 比べては失礼なんだろうが、確かにユーノと恭也を比べたら、恭也の方が良い
 って、そんなことは置いておこう

「席に案内しますね」
「奥の席を使え」
「あ、はい」

 恭也からの指示に従い案内する。大体は人が見える位置などを先に埋めていく
 奥からも必要だが、一番奥は人数が多いときに使うのだ
 外のカフェテラスも使えるが、今はしないらしい

「シグナム、慣れてきた?」
「昼の時が果てしなく地獄でしたから。高町恭也がニヤニヤ笑いながら、頑張れ〜などと
 お昼を食べながら言ってたときは、どれだけ叩いてやろうかと思ったことか」

 私が愚痴らしいものをこぼすと、主はやてがこちらを見て笑う

「あはは、恭也さんなりの意地悪ちゃうか? それか、肩の力を抜くようにって意味で」
「かもしれませんが、忙しい時にそれされたので、怒り心頭でした」

 抑えられたのは、さすがに武力を振るうわけには行かないというのと
 桃子が先に話してくれていたからだ

『恭也は、あれで集客率をアップさせる子だからね。多少面白がっちゃう悪戯っ子だけど
 許してあげてね。まぁ、本人は無自覚なんだけどね』

 確かに無自覚だ。恭也が講義で居なかった時間は多少隙間があったのだが
 今はそれすら無い。学生のお帰りの時間だと言ってもだ
 恭也は立ち上がり、エプロンをつけてる

「手伝ってくれるの?」
「……多分、かなり集まる」
「??」
「回転率は下がるかもしれないが、上手くことを運べばかなり儲かるってことだ
 父さん、飲み物系統頑張ってくれ。松尾さん、かあさんはケーキとシュークリームは大丈夫か?」
「ええ」
「大丈夫だけど、なんで?」
「昔、かあさんと父さんがしたことだ」

 なんの話かさっぱり分からないのだが、注文を受けて四人に頼む。
 恭也は恭也でてきぱきと動き始めると、本当に集客と回転のことがぴたりと当たった
 桃子と士郎の二人もそれで思い出したのか、そのまま働き続ける
 私にはさっぱり分からないが、私も動き続けないといけないので、考える余裕が無い
 なのは、主はやて、フェイト、アリサ、すずかの5人も忙しそうだしということで
 お菓子を食べたら出て行った
 笑顔は無理だろうからしなくて良いって言っていた恭也だが、本人は無自覚で入店した女性たちを落としてる
 主はやてがそう言っていたので間違いないだろう。
 鍛錬などをして鍛えてる私も疲れてきている。休みも貰ってるが
 正直なところ、凄く疲れた。
 夜の八時、一通りの業務を終えたと言える

「疲れた」
「いや〜、恭也がまさかうちの経営に手を出すとは思わなかった」
「父さんたちが過去、しただろうが。綺麗な女性を雇って、男装させて店員
 その時の集客率は凄かったって」
「まぁ、そうだけど。一切宣伝してなかったのに、何で?」
「俺が大学の講義前にぽろっと赤星に伝えておいた。今日が決行日で
 面白い物が見れるってな」
「それで回りまわったってわけ?」
「ああ」

 鬼が居る。そして、私をえさにした本人は良いことしたなどと言ってるし
 負けた私が言うのもなんだが、正直に悔しい

「確かに店員でも生活出来るわよ。どうどう、うちでバイトしない」
「えっと、それは」
「ま、今日はお手伝いなんだ。また、気が向いたら手伝ってくれるって」
「そう」

 高町恭也、恐ろしい男だ。気が向いたら、などと言わせて絶対やらせるタイプと見た
 だが、更に恐ろしいことを提示してきた

「次はかあさんがコーディネートしたら良いじゃないか」
「そう♪ それは楽しみね〜♪」

 片付けをしつつ鼻歌が出ている。なんでだろう、悪寒しかしない
 負けられないというプレッシャーが
 そして、この日一日の恥ずかしい姿は終えた





 おまけ

「シグナム〜、見たわよ〜」
「将がこれで良いのかよ」
「は〜」

 主はやてが見せたのだろう、携帯のカメラで撮られた映像
 そして、引き伸ばされた画像。
 シャマル、ヴィータ、ザフィーラと続く言葉に私は無言でレヴァンティンを構える

「「「え?」」」
「大丈夫だ。痛いのは多分一瞬だから」

 笑顔だったと主はやては言った。正直疲れもある。だが、あんな痴態を仲間たちにからかわれるというのは
 恥ずかしさを通り越して怒りだ

「だいぶたまっとったみたいやからなぁ」

 主の声が聞こえたような気がしたが、みねでどつき倒した仲間たちが居た

「はぁはぁはぁ」

 気絶した仲間をそのまま放置しておいた。今日のことは忘れよう、絶対に






 あとがき
 シグナムの災難終わり。人災だけど
 そして、男装という事にしました。何故かスカートがタイトスカートとかのイメージが先行してしまい
 エプロンでタイトスカートだと似合わないと思ったからです
 パンツルックで白いシャツ。恭也のようないでたちでも似合うと思います
 長い髪の毛をしっかりとポニーで。『お姉さま』などと思いましたが
 ……男性っぽい女性ですからね。お姉さまでも間違いじゃないかなぁ
 でわでわ、これで〜ノシ



シグナムの罰ゲーム。
美姫 「翠屋にとっては良い日だったみたいね」
だな。まあ、シグナムにとっては災難だっただろうけれど。
美姫 「しっかりと写真に撮っている辺り、流石ははやてって所かしらね」
あははは、確かに。
美姫 「それじゃあ、今回はこの辺で」
ではでは。



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