とらいあんぐるハート×リリカルなのは


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クロノと美沙斗のお話です。A's終了後って所で








『黒二人』









 縁側でのんびりと座っている人が一人居る。その人は、美由希さんのお母さんに当たる
 僕の聞いた話ではそうなんだけど、士郎さんや恭也さんは苦笑いで受け入れていた
 本人は嫌がっていたようだってな事をなのはから聞いた

「クロノくん、どうかしたのかい?」
「いえ。今日はなのはのことでのお礼を言いに、来たんです
 母さんも来る予定で先に僕だけが来させてもらいました」
「ああ。そのことか……別に構わないのに」

 美沙斗さんはこの世界で言うところの危険人物とか色々な意味合いの人に当たるらしい
 でも、そんな様子は見られない……そんな感じもしない

「でも、なのはのおかげで助かりましたから」
「まぁ、あの子はあの子で色々あるし、今は友達の所行ってるからね
 帰ってくるのは、もう少し遅いけど良いのかい?」
「はい……僕の休暇を貰ってきているので」

 縁側に座る僕にお茶を差し出してくれる。美沙斗さんは良い人だ

「どうも」

 お礼を言って受け取って外を見る。恭也さんの盆栽と美由希さんのガーデニング
 こうもミスマッチだと驚く。でも、道場や池など変わった部分もある
 地球の日本の家という感じらしいのだけど、和と言うものらしい

「どうかしたのかい?」
「いえ……その、お庭が変わってるなぁっていうか」
「まぁそうだね……恭也たちが大切に育ててるから」

 そういうのは分かる……それは何となく

「そういえば、クロノ君もなのはと同じで魔法を使えるんだよね?」
「えと、まぁ」
「そうか」
「どうかされましたか?」
「力におぼれないようにねって事を伝えたかっただけだよ」
「力におぼれる?」

 美沙斗さんは何が言いたいのだろう?

「私は力に溺れ、敵を忘れ、分からずに動いた愚か者なんだ。止めたのは恭也だけどね」
「恭也さんってどうなんですか? 魔導師としての力は望めないって事です
 最低ランクのFでしたし。皆さんもそんなに高くありません」
「私たちにはそのような力は無いのだろうね。ま、恭也は言うだろうけど」
「なんと?」
「『戦い方は人それぞれ……勝ちたいなら自分の戦い方をするまでだ』ってね」
「それは美沙斗さんを破ったことと関係があるって事ですよね?」

 話は簡単に、美沙斗さんが負けて、復讐を違い形に変えてるだけだって聞いてる
 だから、恭也さんと美沙斗さんから直接話を聞ける機会は凄く少ない
 何かのネタとか、考えになるかもしれない

「恭也は私を殺さずに捕まえる事を念頭に置いて、私は殺すつもりで戦った
 その思いの差はことのほか私たちの剣に置いて証明されたってわけだ」
「え?」
「剣術は殺す方法の一つだという私の考えは、恭也の守る時に最大の力を発揮する御神に倒された
 私は御神流の剣術しか使いきれず、本来の考えを本来の先祖たちの望みを忘れたために
 本気の本来の御神の剣士に負けたって事だよ」
「恭也さんはそのことを?」
「多分、言っても聞かないだろうね。それに、ほとんど足も治ってるから
 最近は楽しそうだよ」

 全く見えないんですけど。どう見ても普通の寡黙だし

「楽しそうですか?」
「士郎兄さんが怪我をしてから、無理に動いた反動もあって、恭也は子供時代を子供らしく過ごしてないからね
 なのはの世話もあったわけだし……なのはの無茶なところや、確率が低くても可能性があるなら
 手繰り寄せる奇才は恭也の考えからだろうね。似てないと言ってても似てるものだよ」
「戦いを見せてもらったことあるんですか?」
「ああ。リンディさんとはお茶飲み友達だからね」

 というか、母さん、会ってたんだ……全く、今度は僕まで参加ってどうなんだろう?
 砂糖入れた母さんの甘党茶を飲むつもりではないだろうけど

「私は剣士としては恭也に負けてないつもりだったよ。だけど、負けたんだ
 フェイトさんとなのはの戦いも似たようなものだったしね」
「最後のワンチャンスを逃さないって事ですか?」
「というよりも、折れない信念で持って、相手を平伏させるだけの力を持ってるんだよ」
「なるほど。僕もそういうのがあれば良かったんですけどね。執務官になると難しい」
「そういうものじゃないかな? 君は周囲を見て選んでいかないといけない
 周囲の人たちを守るためにもね」
「そうなんですけどね」

 一度だけ見せてもらったというより、盗撮した、恭也さんたちの鍛錬は
 人を超えたものだと思った。更に言うなら、こちらのカメラを一つ一つ破壊もされた
 モノアイとされる自分たちのものを瞬時に斬ることにより自分たちの映像が乱れる
 それを連続して起こさせて魔法が切れたのだ
 早いとかそんなことは思ったけど、もっと違うことを考えた
 実践剣術……シグナムは喜ぶのではないだろうか?

「美沙斗さんたちは、僕らの使う魔法に対抗できると思いますか?」
「私たちに危害を加えるなら、どんな手を使っても、対抗するよ」

 小さく微笑んで言うけど、僕は言葉を失う。今、もしも僕が魔力を上げて襲いかかって
 この人に勝てる可能性は無い。すでに相手のテリトリー内に居るのだ
 例えば、肉食獣のテリトリーの中に入っている草食獣のような
 底冷えしている感覚

「悪かったね」

 ふっと緩む……肉食獣が消えた感覚。なんだ、今のは?
 僕たちの魔法には無い空間と空気

「いえ。でも、そういうことですよね?」
「ま、私は相手が誰でも、家族を傷つけるものに対しては容赦しないよ
 美由希は甘いから分からないけど、それでも恭也と士郎兄さんは容赦しないだろうね」
「もしも僕たちが喧嘩を売ってでもですか?」
「必要ならね。例えば、なのはを人質にでも取ってみたら良いよ。恭也の不破の血が確実に動くだろう」
「あの、何か違うのですか?」

 血って言われても僕たちの場合は全然違うから分からないんだ

「恭也は御神に近いけど、やっぱり不破なんだよ。私は一応は御神
 だからね、恭也はもしも相手が自分の家族を血に染めるようなことをしたら、間違いなく相手を殲滅するよ
 守るために牙を向く……それがどんな相手でもね
 そのときは私も相手になるよ。魔導師だったかな? あの程度なら、何とかなりそうだしね」

 その言葉は驚かされる。どうして何とかなるって?
 それに、普通の人なら絶望的なはずだ
 勝機を見出す何かがあったって事なんだろうけど
 空に浮いてる敵に対して攻撃手段なんて、ほとんど無かったと思うし
 あの直線的な針は良ければ問題ないはずだ
 それでも、何か裏技があるって事だろう

「あの、失礼ですけど、人ですよね?」
「ああ。だけど、中に修羅も鬼も抱えてるね」

 恭也さんたちはそれを抱えながらも前を向いてるって事だ
 でも、僕は考えてしまう……もしも、僕がこの人たちと戦うなら上空に上がって
 魔力で攻撃すれば終わるはずだ、と

「世の中理不尽な事ばかりだよ。過去酷いことしたから何時殺されても可笑しくない
 でも、仕返しとばかりに動いても何も変わらないからね」
「はい……美沙斗さんは、最近楽しい事ありましたか?」
「ん? 楽しい事かい? 美由希のドジがほんの少し減ったかな」
「えと、それ、楽しいですか?」
「娘の成長を喜べる心が残ってるのは嬉しいよ」

 それほどまでに、疲弊した心をしていたって事か……あまり突っ込んだ質問も悪いし

「なのはは元気でやってるかい?」
「ええ。毎日元気にしてますけど」
「それなら良いのだけどね……あの子は無茶をしすぎる傾向がありそうだからね
 どこぞの誰かさんに似てるから尚更だよ」
「恭也さんの事ですよね?」
「そうだよ」

 即答だ……恭也さんも叔母の美沙斗さんには弱いらしい
 桃子さん曰く「私のいう事じゃなくて、美沙斗さんのなら聞くのね」って事だから
 まぁ、尊敬もしてるのだと思うけど

「お茶がなくなったね、新しくいるかい?」
「いえ。ありがとうございます」
「いやいや。恭也から貰ったものだしね」
「そういえば、その恭也さんは?」
「あの子は今、座禅を組んでるよ。気づいてなかったのかい?」
「え?」

 そういって、指を指された先、確かに居た
 道場のドアも開いてるし、中が見えるようになっている
 見えなかった。認識できなかった。
 そんな言葉がよぎる。もしも、あの状態で斬りかかられたら……僕は生きてない

「あの、ずっと居たんですよね?」
「そうだね」
「声をかけてくれても良いのに」
「それだと、精神鍛錬にならないからだよ。私はちょっとした監視役だよ」
「監視役?」
「動きすぎで注意されてるからね」

 なるほど。無理のし過ぎって事か

「静かな湖面や静かな場所を考えての、精神統一だよ。恭也は昔からその手のことを一生懸命にしてたって聞いてる
 だから、時間が空いたら、ああして精神を統一し、自らを律してる」
「凄いですね」
「ま、私もやってるときはあるよ。今は声をかけても聞こえてないだろうし」
「聞こえてないのですか?」
「多分ね」

 多分なんですか?

「さてと、リンディさんが来たよ」

 チャイムがなって、ドアを開く。というか、何で分かるのですか?
 そういえば、恭也さんも似たようなことをさらりとやってのけるし

「お邪魔しますね」

 そういって、入ってきた母さんは僕を見て

「黒二人ね」

 ……凄い失礼だよ、母さん

「ふふっ、いらっしゃい」
「お邪魔してます」

 美沙斗さんは全然気にしてないようだ
 母二人で話すこともあるだろうから、場を離れる。
 母さんの嗜好を知っても、気兼ねしない美沙斗さんは凄いな

「クロノがお世話になって」
「いやいや、気にしないで下さい」

 その日、なのはのことのお礼を再度言った。まぁ、なのはは自分で言ったし大丈夫って事だけど
 なのはの昇進祝いもかねてだ……照れてたりするけど





 そのちょっと後、あの事件が起きた





 おわり







 あとがき
 難しいなぁと思ったことだけど、それよりも書くネタが無くて、お互いの自己紹介みたいになってしまった
 でも、書き上げてちょっとだけ分かった。二人の印象真っ黒だろうなぁって
 恭也も黒いけどね
 いや、まぁ、それは放置して、今回は会話メインで薦めてて、お茶飲みながらの話
 お互いに話しながら分かっていくみたいなところを
 美沙斗の人外発言は、まぁ、士郎や美由希も多少なら魔導師相手に戦えるって事の裏づけになるなぁ
 恭也とか平然とフェイトとか倒してそうなイメージあるけど、無理だな
 上から、スプラッシュザンバーで一撃だw
 というわけで、これで〜ノシ 初パターンでした








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