『An unexpected excuse』

  〜赤き妖精編〜






「俺が好きな人は……」

 恭也は空を見上げ、如何いうべきか考えてるようだ
 ただ、誰しも言いたくないことはあるわけで

「居るには居るが、それが、そうだというのに当てはまるかどうか考え物だから」
「??」

 意味の分かるような分からないような答え
 周りは首をかしげる者、如何いうことか聞いておきたい者と別れていく
 その際に、恭也はふと漏らした

「とりあえず、好きな人は居るし、その人とも親交が深いから
 誰かと付き合うという気も無い」
「それって、うちらや皆が知ってる人ですか?」
「いや、知らないと思う」

 恭也の答えに、それが如何いう人か、どのような人かが気になる

「とりあえず、質問がこれで終わりなら……」
「恭ちゃん、何か用事でもあるの?」
「本を返し忘れてたんだ……放課後はバイトがあるからな」
「そうですか……お邪魔してすみませんでした」
「いや……それでわ」

 恭也が歩いていくのを見つめるFCの面々
 誰か好きな人が居るという事は、自分たちはすでに望み薄
 でも、遠くから見つめる高値の花は、とても綺麗なものなのだ
 何より、赤星と恭也の仲が親密でなくて良かったと思う者も居るのだから

「ふぅ」

 ため息をついてる恭也
 本を返し終えて、そのまま屋上へ
 本来は立ち入り禁止区域の屋上だが、恭也はそのまま扉のノブに手をかけて出る

「またせたか?」
「パパおそ〜〜い」

 不貞腐れてる、赤い髪の少女

「すまない」
「もう、良いよ……それじゃあ、次の本借りて来てくれた?」
「ああ、これで良いんだろう?」
「うん♪」
「オルファは勤勉だな」
「えへへ〜」

 楽しそうに本を見る
 そこに書かれてるのは、少女小説だった

「こんなにゆっくり本読んだり、教えてもらったりすることなかったし
 何より、パパ、一緒に居てくれるから」
「出来るだけ、傍に居るって言って置いて居てない時もあるんだが」
「大丈夫だよ……それに、パパ、恋愛はずっと傍に居るからいいってものじゃないもんね」
「誰かから教えてもらったのか?」
「ううん、本に書いてた」

 どんな知識を少女小説から、少女漫画から仕入れてるのやら
 恐ろしいところである

「しかし、ファンタズマゴリアから離れて、かれこれ数ヶ月か」
「パパの傍にいたいって我侭言っちゃったけど、良かったの?」
「俺は構わないが……そろそろ限界かもしれない」
「何が?」
「あ〜、ほら、オルファの戸籍とか作って、此処の人だって思わせた方がって事」
「でも、オルファ、此処の知識ないし、まだ成長途中だから……
 パパと一緒に居る時間の方がほしいな」

 言われた言葉に弱い恭也
 恭也は苦笑いをして、オルファの頭を撫でる

「てへへ〜」

 嬉しそうなオルファ
 2人の様子を見ていると、父親と娘という風にも見えなくも無い
 ただ、父親が高校生で娘も小学高学年から中学の中までの間なので、ちょっと難しいか
 父親の方は制服で判断だが……恭也だし

「皆と離れて寂しくないか? ウルカさんにも懐いてただろうに」
「大丈夫だよ……だって、オルファは生涯を共にする人見つけたし、幸せだもん」

 恭也は少し嬉しそうに、照れ隠しでオルファの頭をぐしゃぐしゃと力づよく撫でる

「一杯幸せになろうな」
「うん」

 2人はちょっと高い空を見上げる
 自分たちの世界とは違う世界での戦い
 そして、自分たちが勝って戻ってきた
 1人は戻ってきて、恭也と共に、こちらの世界に来た
 違うハイベリアへと……世界は多数あり、空も多数ある
 その言葉の通り、最初2人は、どこぞの巫女のうっかりで違う所に飛ばされかけた
 だが、2人は元の場所へと戻り、一緒に居る
 オルファと恭也はそれから共に居る

「この世界にマナがそこそこあって良かった」
「オルファもそう思う……でも、パパってば、心配性なんだから」
「性分だ」
「でも、心配してもらえて嬉しいよ」

 オルファの言葉に苦笑いの恭也
 チャイムが鳴り響く

「パパ、授業は?」
「今日はこのまま寝たい気分だ……疲れたし」
「あはは……じゃあ、はい、特等席〜♪」
「本当だな」

 恭也の頭をうんしょって引張り、オルファの膝上に置かれる
 膝枕と呼ばれるものだ

「少し恥かしいが人が居ないし、良いだろう」
「パパったら……」

 苦笑いのオルファ

「1時間位したらチャイム鳴るだろうし、起すね」
「頼む……俺の愛しき子よ」
「うん」

 恭也が眠りに落ちる
 オルファはそっと空を見上げ

「皆、今、オルファは凄い幸せだよ
 だって、好きな人と愛してる人と一緒に居れるから」









 おわり









 おまけ

 さて、その様子を見ている人が居ました
 それは、オルファの盾や剣である、ウルカだ……
 屋上の影に隠れ、陽の光の当たらぬ場所で、じ〜っとオルファを見つめる
 オルファのことが心配で、結局、再度世界が繋がる瞬間に飛び込んだのだ
 ファンタズマゴリアでは大変な騒ぎだろうが、気にしてないだろう

「恭也殿〜、早く気づいてくれ〜」

 るる〜っと涙を流しながら呟くウルカ
 数日後、ウルカは空腹で倒れてる所、恭也とオルファにより救出される事となった











 あとがき
 いや、まぁ、これは書いておきたいじゃん
 シオン「でも、あんたオルファは越してないじゃん」
 ……だったっけ?
 ゆうひ「誤魔化すな」
 だね〜
 シオン「で、どうなの?」
 何が?
 ゆうひ「だから、そのことについて」
 如何とも、言えないかな
 シオン「おいおい」
 あははは
 ゆうひ「笑って誤魔化すな!」
 へぶぅ……パンチが出てるパンチ
 シオン「良いじゃない……」
 良くないよ
 ゆうひ「説明無いけど、勝手に補完して〜」
 いや、まぁ、説明は一通りで言うなら、ユートはエターナルだから忘れられたって事で
 シオン「誰、エンドよ?」
 アセリアって事にしておいてくれ
 ゆうひ「で、黒き妖精こと、ウルカは気づいて使命を果たすために頑張ってるって事ね」
 まぁ、そんな感じ……
 シオン「感じって」
 事実だし
 ゆうひ「でわ、また〜」
 ほなね〜(^^)ノシ




今度は、オルファ編〜。
美姫 「最後にはちょっとだけどウルカも出番があったわね」
ちょっと可哀想な出番だったけどな。
美姫 「皆のいない所でこっそりとのんびりと過ごす二人」
って、普段はどうしてるんだろうな。
美姫 「確かにね」
まあ、そんな細かい事は兎も角、ほのぼのとしてて良かったです。
美姫 「それじゃあ、いよいよ最後ね」
後残る妖精さんは彼女だな。
美姫 「それじゃあ、また次で〜」



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