『An unexpected excuse』

   〜塚本 八雲編〜








「俺が好きなのは…………」

 その頃、恭也の後ろといっても100メートルほど後方でも一人の女生徒が同じような状況にあった
 それは、モテル女性の性なのか、逃げてきたが此処まで来て追い込まれたというのか
 打開策はお互いに無く、似ている性質の二人
 とことん異性からの行為に気づいても、好意には気づかない二人
 鈍感王と鈍感王妃のなせる業とも取れる
 一人は自分に向けられる好意がある者の心は読めるのに、それでも気づかない
 もう一人も他人の機微に関してなら、とてもよく読めるのに気づかない
 かわいそうなのは周囲ではないだろうかというほどだ

「わ、私が好きな人は……」

 追い込まれ考える女生徒
 美人、聡明、そして家庭的と三拍子そろえた少女の答えを今か今かと待ち構えてる男子生徒
 と、その姉……名前を塚本天満と言う
 頷いて気にしてる様子

『もしも高町先輩とかだったらどうするんだろう?』

 惚れてる一人の男、日野がそう心に思った
 それを読む聞かれてる女生徒、八雲
 このまま逃げれないと思う八雲
 そして、恭也も逃げれないという同じ状況
 ただ、噂で聞いていた……一年の美人の新入生が居て、塚本八雲という名前であることが

「俺は、塚本八雲さんが好きなんだ」
「私は、高町恭也先輩が好きなんです」

 その二人の言葉は同時にその言葉を発した
 お互いにただ今は決められないからという思いを込めて

「でも、俺なんかを相手が好きになるわけないだろうが」
「私は告白も何もしてませんし、ただ気になる男性としてですけど
 だから、他に好きな人とか聞かれても困ります」

 似たような言葉で追い払った
 八雲の姉、天満は走り出していた……高町恭也の元へ
 そして、恭也の告白を聞いたサラも走っていた
 忍たちは唖然としていた
 恭也が自分たち以外を選んだことが意外だったのだ

「天満どうしたの?」
「私の妹のことをお願いしようかと思って」

 思ったが即実行の天満……何気に妹の告白=その人と付き合うという形になっているようだ
 そして、それを聞いた者たちはどういうことという顔をしている

「サラ、どうしたの?」
「高町先輩が八雲のこと好きだって……」

 呼吸を整えながら言うサラ
 その言葉に男たちは諦めようという言葉が出てくる
 未練がたくさんありそうだが
 そして、教室、体育館、校庭、職員室というあらゆるところで大声が出てきた
 それは、難攻不落鉄壁鉄人鈍感王と天然無自覚モテ要素多数保有鈍感王女の突然告白によるもの
 その日、二人は会うこと無く終えることとなった




 学校新聞を賑わせる二人の赤裸々告白……もとい、昨日の様子
 照れることなく堂々と言い切った二人を祝福するなどの言葉が書き並べてあった
 お互いがまだ告白してないということも
 恭也は頭を抱え、八雲はどうしようか悩んでいた
 ただ、二人ともお互いに自分たちの特異性を理解してない
 好意をもたれやすい性質を持つということに……そして、お節介焼きが多々居るということに

「で」
「どういうことなんでしょうか?」

 屋上に二人を閉じ込めていた
 そんな行動を起こしたのは、天満、高野、そのほか多数
 忍、那美、美由希、そのほか多数

「出れないな」
「はい」

 屋上手前のドアには、机やら椅子やらが積み重なっている
 恭也でも少しは手間取りそうな感じだ
 小太刀があれば別だが、二人はそのまま放り出されたのだ

「八雲さんでよかったよな」
「あ、はい……以前、伊織のこと、ありがとうございました」
「いや、俺が勝手にしたことだから気にしないでくれ」
「そうですけど、私にとっては助かりました」
「そうか」

 恭也はどかっと座る……その様子に八雲も隣に座る
 恭也の視線の先は空と雲
 八雲も同じように見ている

「動物好きなんですか?」
「嫌いではないな、八雲さんは?」
「私は好きです」
「そうか」

 二人とものんびりと話してる
 ちなみにその様子は、忍たちの手により校内放送で事細かに流れていたりする
 全校生徒の注目の的……というより、二人のためじゃなくみんなのためみたいだ

「しかし、悪かった……こんな騒ぎになるとは」
「いえ、私もこんな大きなことになるなんて」

 お互いに苦笑いをして、困った顔
 周りは面映いことなんだが
 全く恋愛要素の含まれてない会話に、周りの緊張は抜けていく
 ただ気づいてないだろう
 恭也と八雲の手がつながってることに……優しく触れる二人の指先が絡み合ってる事に

「あれは、逃れるための嘘のつもりだったんだがなぁ」
「私も同じような理由なんです……まだ、誰かを好きだとは
 本当勝手に利用したようですみません」
「いや、俺も似たようなところがあるから、気にしないでくれ」

 その言葉に周囲はどよめく
 じゃあ、『私(俺)にもまだチャンスはあるのでは?』と

「困ったな」
「はい」
「それに放送で流れてるし」
「はい」

 そりゃあ全校放送を流していたら丸聞こえだろう、屋上でも

「八雲さん」
「はい?」

 恭也は八雲に近づいてその人だけに聞こえるように話す

『これから告白するから、OKしてくれ
 そしたら、お互いにこれからの混乱は避けられるだろう』

 頷く八雲

「俺は塚本八雲を愛してる」

 さらに大きな声が漏れる

「その告白受けます」

 八雲の答えにさらに周囲がどよめき大声が漏れた
 屋上前の机や椅子たちを退ける音が響き渡る
 恭也と八雲の二人はそっと息を吐き出す
 その様子は似通っている





 ただ、二人は周りからばれないように適度に距離を取りながらも
 しばらく一緒に過ごす……優しい内面を持ち合わせる二人
 その二人の物語は此処から始まる
 残り数ヶ月、恭也と八雲の二人の恋の結末は!!?





 立ち上がる男 花井春樹
 そのほか男たち
 そして、女性たちも立ち上がる
 八雲を恋敵(ライバル)として



 そんな中、二人は互いに意識していく
 それが二人にとって+となり、マイナスの要素にならず

「八雲」
「恭也さん」

 視える八雲と読める恭也……二人はお互いを必要とする
 それは、自分たちが人とは違うと認識してるから
 夜の神社で二人は月が見守る中……




 もうすぐ文化祭、恭也と八雲どうなる!?




 つづく(嘘です、無理です、ごめんなさいm(_ _)m)






 あとがき
 という感じどうだろう?
 シオン「School Rumbleからです」
 いや、そこより先にこっちに反応してくれ
 ゆうひ「というより、続きそうなんだけど」
 …………え?
 シオン「続きそう」
 だね〜
 ゆうひ「だね〜じゃね〜よ」
 あはは〜、でも、最後にむりって、嘘って書いてあるし大丈夫だよっ、きっと(力説)
 シオン「肩痛めた後の第一作目、短いし」
 仕方ないだろうが
 ゆうひ「駄目駄目君め」
 ……いや、結構痛いんだよ、肩
 シオン「左肩いためたようで、筋が炎症と水が溜まるという極々たまのことだそうです」
 それってほぼ無いって事じゃないのって感じがしますけど
 ゆうひ「だね……でわ、また〜」
 良かった殴られなかった
 シオン「でわ、これより公開処刑を……逝ね」
 え?
 ゆうひ「潔く逝ね」
 ぎゃはばふ〜〜〜〜〜〜〜(撃沈)






怪我人にも容赦なしの二人が……。
美姫 「素敵よね」
いやいやいや。
美姫 「今回はスクランからね」
本当にこのシリーズ、色々な人が書いてくれるお陰で、色んな作品とクロスしてるよな〜。
美姫 「本当にありがたいことよね」
うんうん。
美姫 「さてさて、果たして本当に続くのか?」
こらこら。またお前はそんな事を……ぶべらっ!
美姫 「うーん、やっぱりアンタをぶっ飛ばす方が一番しっくりくるわね」
う、うぅぅ。酷い。



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