『An unexpected excuse』

   〜塚本 八雲 続編〜








 恭也と八雲の告白の後、八雲は播磨宅(従姉弟の家)で漫画を描いていたり
 恭也は恭也でSPをこなし大怪我したりとしていたが
 文化祭当日が始まった
 恭也の大怪我の後、八雲は何度か恭也の見舞いへと訪れる
 中間期の時なのにも関わらずだ

「お、高町」

 とうとう文化祭当日……高町恭也、中間を入院中の病院で監視の上受けた……
 何気に小型マイクと小型耳打ちの双方でクリアしたり……フィリスが許可した

「怪我大丈夫なのか?」
「ああ、ちょっと響くくらいで生活には支障が無いくらいだ」

 リハビリをして、復活した恭也をクラスメートは受け入れていく
 といっても、本当に支障が無いくらい動いてるからだが
 バタバタと走ってくる音が近づいてくる
 制服のままドアを開ける音

「はぁはぁ」

 顔を少し赤くして走ってきたようで、その女の子は恭也を見て驚いていた

「どうして」
「退院の日は言っていたと思うが」
「退院の日に学校に来るなんて」
「それに、文化祭着てほしいと頼まれたからな……」

 恭也の言葉に少し困った顔の八雲
 恭也は八雲を見て小さく微笑む

「そんな心配することじゃない……それよりも、そろそろ始まるぞ」
「あ、はい」
「送っていこうか?」
「い、いえ……」

 八雲は自分の行動を思い返し照れてしまい、そのまま走っていく
 そのほかにも自分に向けられる好意の視線のせいということもあるが

「と、そうだった……八雲、待ってくれ」

 走っていったようで居なかった
 恭也は仕方ないとため息をついて

「少し出てくる」
「しゃあね〜やつだな……良いぜ、後でコーヒー頼むな
 最初からお前なんだから」
「分かってる」

 言われて恭也は赤星とクラスメートにお礼を言ってかばんを持って歩く
 赤星は……

「あいつも恋してるんだなぁ」

 ちなみに、全く違ったりします
 お互い振りだけでもと完璧にこなしてるに過ぎない
 さて、その頃一年の教室では騒ぎが起きていた
 もともと有名な恭也が八雲を追っかけたおかげで八雲の周辺で色々と聞かれてるのだ
 勿論恭也も巻き込んで

「高町先輩、八雲のどこが好きになったんですか?」
「色々ありすぎて言えない……で、用事を先に済ませたいんだが」
「あ、すみません」

 女性たちの質問をさくさく答える恭也
 とまりどまりながらも答える八雲
 ただ、恭也は聞かれるリストを作り頭で答えをインプットしただけだが

「八雲、これ」
「あ、これ」
「ちょうど手に入れてな……先に渡そうと思ったのにさくさく戻るから」
「ごめんなさい」

 八雲の前には、茶碗、茶筒、急須というお茶セット
 しかも、結構な一品だ

「以前ほしがってただろ?」
「え、でも、これ」
「貰い物なんだが、俺はもう持ってるし」
「お家の方が」
「うちでは、紅茶派が多いからな……気にしないで貰ってくれ」
「分かりました」

 そういってお茶セットを受け取る
 かばんの中に丁寧に入れていく

「それじゃあ、これだけで来たんだ……心配かけたようですまない」
「いえ……その」

 と、そこに

「あ」

 声だけ漏らし、恭也と八雲は振り返る
 そこでは天満が口を押さえていた……少し時間を貰い八雲に会いに来たのだ

「おじゃましました〜」
「ち、違うの姉さん」

 八雲は慌てて、立ち上がり走っていく天満を追いかける
 恭也は置いてけぼり……天満のほうが足が遅いので、すぐ追いつくだろう

「あれ? 高町先輩は行かなくて良いんですか?」
「まだ怪我がしっかり治ってないし、無理するなって」
「えっと、その怪我大丈夫ですか? なんでしたら送りますけど」
「そこまでのことじゃないし、八雲のお姉さんのことは八雲に任せるさ」
「そ、そうですか……(意外と淡白なんだ)」

 色々と考えていくサラ……不注意発言多い恭也

「と、始まる頃には戻らないと戻りにくくなるな
 じゃあ、これで」

 恭也が歩いていく……サラは八雲が出て行ったドアを見て
 そして、恭也に近づく

「ついでに高町先輩の喫茶店寄らせてください」
「まぁ、構わないが……そうだな、コーヒーだったらご馳走しよう」
「ありがとうございます」

 にこにこと微笑みながらついてくるサラに恭也も仕方ないとあきらめる
 そして、三年の教室のお客一人目はサラに確定するのだった
 さて、その頃天満と八雲の追いかけっこが終了して、何とか八雲の説得を聞き入れる天満
 サラは恭也と学際(というかどうか微妙だが)歩けて、ちょっと嬉しかったり
 それを美由希や他の女性たちにも見られたりしたが、気が付かない
 恭也は知り合いの視線というくらいは気づいたが……それが、噂を呼ぶ



『高町先輩が後輩の子と一緒に歩いてた』
『サラさんの好きな人は高町先輩だ』




 憶測が飛び交う中、当の本人たちはたいてい気づかないもの
 もともと噂に疎い恭也は、そんなものだろう
 そんな中八雲の方も問題が発生していた……戻って着替えたらサラが居ないといわれ
 高町先輩についていったということだからだ……当番があるのにと思い悩み
 つれてくることにする

「あの」

 高町恭也のクラスはそこそこの繁盛を見せていた
 恭也コーヒーと恭也と赤星のツインタレントのウェイター
 女性たちが並んでいるのだ
 その中で一人ぽ〜っと恭也を目で追うサラ
 サラの前に魔法使いの格好で出てきた八雲

「あれ?」
「仕事あるから」
「うわわっ、ごめん」

 慌てて立ち上がるサラ

「ほら、高町が入れたコーヒーだ……」
「あ、赤星先輩」
「塚本さんも飲むか?」

 赤星に進められ悩む八雲
 と、赤星の後頭部にハリセンが叩きこまれる

「なっ」

 こぼさないあたりはさすが赤星だ

「ほら、一人に構ってないで動く……でないと、働く時間増やすよ」
「うぃ」

 後ろにかまえるは、委員長……ハリセンで突っ込むことを得意とする人だった

「ごめんね〜」

 謝りながら歩いていく……器用な人である
 と、その二人の後ろから恭也はコーヒーを持ってくる

「二人とも仕事があると行かないと駄目だぞ
 クラスの人たちに迷惑になるからな……俺が言えた義理ではないが
 と、八雲、飲んでいってくれないか?」
「あ、はい」

 恭也に進められたのは飲む八雲
 素直であるとも言えるが……あったかいコーヒーは二人の空気が甘いそれをきりっとさせる

「美味しい」
「良かった……サラさんもお迎えが来たので」
「……はい」

 残念そうなサラ……恭也に進められたと進められてないとの差は大きいらしい
 八雲の心に小さな違和感……どうして自分に話しかけないのかという事
 ちょっとした心のきしみ

「八雲、どうかしたか?」
「あ、いえ……その、ここ終わるのどれくらいですか?」
「昼前の11時には上がるが」
「それじゃあ、迎えに来ますね」
「え?」

 恭也に近づき大きな魔女服と帽子で隠し小さく漏らす
 秘密の会話を教室でするのだから、一応の対策か

「恋人同士とのことですし、その、これくらいは」
「了解」
「分かった……じゃあ、待ってたら良いか?」
「はい」

 サラが少しふて腐れるが、仕方ないとあきらめる
 付き合ってる二人を邪魔しては悪いと思ったのだ……勿論、それ(八雲との友情)とこれ(恋心)は別だが



 昼前、11時になって八雲は仕事をサラに押し付け(逃げた罰)、恭也の元へと訪れる
 恭也は椅子に座ってコーヒーを入れていた

「恭也さん」
「お疲れ様」

 着替えをしてない八雲は魔女の格好のままだ
 恭也も違う衣装を着ている……髪の毛を上げて前髪を横に流し制服からスーツへと
 それだけを見れば普通なのだが、さらにネックレスやブレスレットといった装飾もつけてる

「ホストなんだそうだ」
「……その、似合ってます」

 八雲、本心の一言である

「そうか、ありがとう……じろじろ見られて困ってたんだ
 行こうか? 先にどこに行く?」
「それじゃあ、その今度は私がご馳走したいので」
「茶道部だったか」
「はい」

 茶道部はただいま準備中とされていた
 だが、八雲と恭也の二人は入ると、それぞれに服を着たりセッティングをしている

「どうぞ」
「おお、高町くんか……どうかしたのかい?」
「人通りが多くて、ちょっと」
「まぁ、女性客は君らのクラス、男性客は2年のクラスだからな」
「派手なのをしてるようで」
「まぁね」

 と、そんな先生と生徒の会話をしてると八雲が着替えて到着
 婦警の姿をしていた

「えと」
「八雲、似合ってるぞ」
「あ、ありがとうございます」
「高町くんも言うようになったものだ」
「遅くなってすみません、先生も似合ってます」
「ありがとう……私の趣味ではないのだがね」

 そんなこんなで茶道部、喫茶が開店……恭也は裏でのんびりとお茶を飲んでいた
 何気に緑茶、しかも縁側で日向ぼっこ風
 お日様当たる場所でのんびりと椅子と机……絵になりすぎである
 その頃八雲は播磨くんを励ましたりと大忙し
 恭也はその間もお茶とお茶菓子をたしなむ……完璧におじいちゃんである
 ちなみに数名ほど学生と気づかないものも居たとか
 ホストが疲れて、しばらくの休む場所として選んで一人のんびりとたたずむ姿に見えたとか見えなかったとか

「お待たせしました」

 昼がだいぶ過ぎて夕方近く
 恭也はいまだのんびりとしていて、椅子に身体を預けて寝ていた
 八雲は恭也を覗き込む……その顔を見て、寝てるだけと判断した
 魔女の服を持ってきて恭也にかけようとする
 不意に手を持ち恭也はそのまま八雲を見つめる

「あ」
「え」

 お互いに固まる……恭也はその行為をうっかり間違えて捕まえた事を
 八雲は今自分のしようとした行為のことを

「きょう、や、さん」

 きゅっと握られてる八雲は少し驚いてる

「やくも」

 夕日が二人を照らす
 一枚絵のように見える姿は、手がつながって一つの影を作り出す
 どきどきする二つの心臓
 お互いにお互いの顔から目が離せない
 金縛りにかかったように二人は見詰め合う

「「あ」」

 二人は同時に声を出し、固まる
 何か言おうにもタイミングを逃す

「離してもらえますか?」
「あ、ああ、そうだな」

 何とか冷静になり八雲は手を離してもらう
 が、心音が響く
 どきどきの鳴り止まぬ中

「あれ? 八雲くん、それに高町くん、まだ居たのかい?」
「高野先輩」
「すみません、遅くまで」
「いや、構わないよ……それに、高町くんが居てくれたおかげで、かなり稼いだからね」
「そうですか」
「八雲くん、今日の分は終わりだから……そうだな、高町くんに送ってもらうと良い
 ほら、カバンだ……高町くんの分も」
「助かる」
「ありがとうございます」

 高野さんは恭也を見て、小さくため息をつく

「あまり無理しないほうが良い」

 そういって歩いていった……恭也は頬をぽりぽりと指先でかいた

「恭也さん、帰りましょう」
「そうだな」

 八雲はそういって恭也を見る……恭也はゆっくりと立ち上がる
 魔女の服から着替え、さらに制服へと戻る
 恭也も着替えはあきらめたようだ

「八雲さん、少し待ってくれないか」
「え?」

 普段より歩みの遅い恭也
 そのことにはっと気づき八雲はそっと恭也の指先に指を絡める
 手をつないだともとれる

「その、私が先に行きそうだったら合図ください
 それに送ります……心配ですし」
「分かった」

 八雲の言葉に恭也はあきらめ、送られる
 恭也と八雲のお手て繋いで下校は会う人会う人に見られることとなった
 ゆっくりと歩く二人の様子は仲睦まじい夫婦のようにも兄妹のようにも見え
 それはほほえましさもあるのだった




「此処がうちだ……あがっていくか? お礼にお茶くらいは」
「えっと」

 携帯を見て八雲は頷く

「どうぞ」

 恭也から出された紅茶を飲み、驚いた顔をする

「これ」
「まぁまぁだな」
「十分美味しいのに」
「……今度、本当に美味しい紅茶をご馳走しよう」
「え、でも」
「今日は付き合ってもらったし」
「いえ、でも」
「ありがとうございます」
「あ、はい」

 丁寧に言われ八雲は頷く
 ソファに二人隣あって座っているので身体が近い
 とんと当たる八雲
 お茶を置いて寝てしまったのだ
 膝上から紅茶のカップとソーサーをテーブルに置き、恭也は八雲にひざ掛けをかける
 自分の上着を彼女にかけ、紅茶をすする
 安心したんだろうと勝手につけて





 そして、文化祭一日目は何事も無く(ありまくりだと思う)終わるのだった






 その日、八雲は高町家で目が覚めて、顔を真っ赤にそめて塚本邸へと戻ろうとしたそうな
 天満は皆で店で食べたので平気だったそうな
 八雲は高町家でご飯を食べて帰った







 つづく








 あとがき
 いや、まぁ、続けられるしね
 シオン「でも、分からないんだよね」
 次はイベントで考えたらなんだろう
 ゆうひ「クリスマスかな?」
 ま、恭也が関係あるのはそれくらいか
 シオン「でも、人の噂も75日だから、そのくらいになれば」
 いや、意外と忘れないものなんだって
 ゆうひ「なるほど」
 自分がそうだし
 シオン「忘れないの?」
 ん〜、ちょっとした事を暗記しちゃうのって大事だから
 ゆうひ「でわ、また〜(また黒いこと考えてる)」
 ほなね〜(^^)ノシ








続きが出たよ〜。
美姫 「これもあの二人の努力よね」
おーい(汗)
美姫 「うんうん。私も頑張らないと」
そこは頑張らなくても…。えっと、今回は文化祭みたいだね。
美姫 「よね。うーん、ゆっくりと二人の気持ちに変化が?」
どうなるのかな。嘘から始まる恋ってな感じだよな。
美姫 「果たして、続きが出るのかどうか」
楽しみにしてます。



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