本作は『Schwarzes Anormales』の作者であるペルソナと、

『リリカルなのは プラス OTHERS』を書いておりますFLANKERの合同作です。

 

 本作では『リリカルなのは プラス OTHERS』の設定を使用しておりまして、

『Schwarzes Anormales』の世界になのはたちが出かけるというものです。

 

 これは両作品の番外編であり、要するに本編とは違うパロディ――パラレルワールド的物語です。

 蒼牙がこの作品では生き返っておりますが、

 だからと言って『リリカルなのは プラス OTHERS』で彼が生き返ることに繋がるわけではありません。

 そのあたりはご理解ください。

 またこの作品が『Schwarzes Anormales』に影響を及ぼすわけでもありません。

 なお、この話は『蛍火VS蒼牙 ――歪なる者たちの戦――』を継承しており、2人は出会ったことがあるという設定です。

 

 また、多分に両作品のキャラが壊れ気味になったりすることもあります。

 イメージを壊したくないなどのご理由がある方はお読みにならない方がいいかと。

 

 あしからず、ご容赦ください。

 

 以上のことをご理解頂けるなら、どうぞお読みください。

 では。


 

 

 

 

 

合同企画第2弾

ドタバタコメディー(?)

  なのはとフェイトの戦 ――気づけよ鈍感兄貴ども!―― 1

 

作:ペルソナ&FLANKER     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある日の時空管理局所属の次元航行巡洋艦『アースラ』。

 闇の書事件もいろいろあったが解決し、今現在は『アースラ』も通常任務で各地を転々としている。

 そんな『アースラ』の艦内を歩く1人の少女。

 

「今日も特に何もなかったけど、事件がないならいいことだもんね」

 

 なのはである。

 闇の書事件以降、本格的に時空管理局所属の魔導師となることに決め、恭也と共にこの『アースラ』に配属されている。

 とは言ってもまだ仮に過ぎないので、のちに『アースラ』以外の部署への配属もありうるだろう。

 

「お腹すいたなあ……お兄ちゃんはまだ鍛錬するなんて言うけど……」

 

 もう6時間はぶっ通しでしているというのに、恭也はなのはに先に食堂に行っておいてくれと言って鍛錬を続けている。

 なのはも恭也と共に鍛錬をしていたのだが、さすがに彼の体力についてなどいけるはずがない。

 そもそもなのはは運動神経が鈍いし、体力もそれほどあるわけではない。

 だいたいがまだ9歳の女の子。当たり前と言うべきでもある。

 

「ご飯くらい一緒に食べたいなあ……」

 

 恭也はここ最近、膝が完治したことと、新たなデバイスに慣れるためと言って鍛錬に精を出している。

 剣士として高みへいける。魔導師として早く一人前に。

 そんな思いがあるのだろう。

 特に――

 

「蒼牙さんがいるからわかると言えばわかるんだけど……」

 

 恭也の親友である蒼牙が戻ってきた。

 あのとき、フェイトを護るためにジュエルシードの暴走を抑えて死んだ蒼牙が。

 それをフェイトと共に恭也は喜び、以降、彼は蒼牙と本当によく話して一緒にいる。

 現在、蒼牙も『アースラ』におり、時空管理局で贖罪をしようと決めたようである。

 なのはも彼が戻ってきたのは嬉しいと言うべきだろうが、その分か、恭也がなのはに割く時間も減っている。

 

「……まだ何となく蒼牙さんとは話せないけど……」

 

 それも仕方ないことだった。

 なのはは初めて蒼牙と会ったとき、彼に刀を突きつけられた。殺されかけたこともある。

 いかに元に戻った蒼牙といえど、その過去があってはそうやすやすと接触できない。

 何とか彼ともう少し普通に接することができないかなとなのはは思っているのだが……。

 

「あ、フェイトちゃん」

「なのは」

 

 食堂に入るとフェイトがその蒼牙と一緒にいた。

 

「ぬ……俺は下がるとしよう。また後でな、フェイト」

「あ……はい」

 

 なのはを見た蒼牙はそこで立ち上がって食器を返し、そのまま食堂を出て行く。

 なのはにチラリと目をやり笑ってくれたが、なのははぎこちない笑みを返すしかできなかった。

 何となく、フェイトと蒼牙のせっかくの時間をとってしまった気がしたからだ。

 

「えと……ごめんね、フェイトちゃん。蒼牙さんとお話してたのに」

「あ、ううん、いいよ。まだちょっと兄さんとはうまく話せなくて……」

「そっか……」

 

 フェイトの気持ちもわからないでもなかった。

 共に兄妹と認め合っても、やはり諸々の事情があるし、そもそもフェイトも蒼牙も不器用な兄妹だ。

 話をしようにも互いを気にして上手く話せないのだろう。

 なのはは注文したメニューを持ってきて、フェイトの隣に座る。

 

「どんなお話してたの?」

「うん。好きなものとか趣味とか……もっといろいろ聞きたいんだけど、兄さんもなかなか時間が取れなくて」

 

 蒼牙はなのはから見ても無理してないかと思うほど任務に出ている。

 彼は恭也同様に己の身を犠牲にしてでも、という雰囲気があり、自分がしたことの責任を大きく感じているらしく、

 そのためか次々に仕事を引き受けている。

 恭也もだいたい同じようで、2人は共にいるときだけは本当に気が休まっているような感じだった。

 なのはとしては恭也が蒼牙を気にかけているのはわかるのだが、そのために構ってもらえないのはちょっと不満だ。

 

「兄さん、なのはとももうちょっと話ができたらって言ってたよ。何だか避けられてるみたいだって言ってた」

「あう……そんなつもりないんだけど」

「うん。兄さんも自分がしたことは理解してるみたいだし、なのはの気持ちもわかるよ」

 

 フェイトはその後も蒼牙とのことをいろいろ話してくれた。

 戦闘訓練や料理、ちょっとした外出。とても嬉しそうに。

 それを聞いていると無性に羨ましくなる。

 蒼牙はフェイトとの時間をしっかり取っているのに、我が兄はどうかと。

 

「なのは、どうかしたの?」

「あ、ううん。その、フェイトちゃんがちょっと羨ましいかなって」

 

 理由を話すとフェイトも同じだよと言ってきた。

 戻ってきたばかりの頃はフェイトを最優先に時間を取っていた蒼牙だが、最近は明らかに時間が減ったのだと言う。

 

「今だって、たまたま兄さんが先に食堂にいただけで、ここ一週間くらい、まともに話をする時間もなくて……」

「お兄ちゃんもだよ? しかもお兄ちゃんの場合、仕事じゃなくて自主訓練だし」

「に、兄さんだって、仕事ばっかりなんだよ? クロノに聞いたら、引き受けなくていい仕事まで引き受けてるって……」

「お兄ちゃんは蒼牙さんと一緒に行くことが多いけど、私とは最近行ってくれないんだよ?」

 

 不満を打ち空ける2人。

 

(お兄ちゃんも蒼牙さんも、ちょっと『お兄ちゃん』としての役割を忘れてきてるのかも……)

 

 自分の責任の重さを自覚しているのはいいことだが、そのためにフェイトを犠牲にしている。

 なのははそう考えた。

 蒼牙がフェイトをないがしろにするというのは考えられないが、

 彼は『兄としてフェイトのそばにいるには自分はまだまだ不適格』と考えている節がある。なぜなら復讐で罪を重ねたから、と。

 

(一緒にいてあげることが大事なのに)

 

 フェイトは蒼牙がPT事件で一度死んで以来、寂しい思いをどこかでしていたのだから。

 フェイトのためだというのはわかるが、一番大事なことはまず一緒にいてあげることだ。

 そこでなのははふと思う。

 一度、蒼牙をどこかに誘ってみないかと。蒼牙に兄としての自覚があるかを見てみたい。

 なのはとしても蒼牙とは仲良くしたいし。

 

(フェイトちゃんの親友として、蒼牙さんの考えをちょっと聞いてみないとね)

 

 それに恭也がなのはに構ってくれないのだから、ちょっと今度はこちらから恭也を避けて少し困らせよう。

 そう、妹に構ってくれない兄が悪いのだ。少しそれを自覚してもらわなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思い立ったら行動。これがなのはのいいところ。(ある意味、悪いところでもあるが……)

 

「蒼牙さん!」

「ん?」

 

 蒼牙は後ろから走ってきたなのはに振り返る。

 

「なのはちゃんか。俺に何か用か?」

 

 我ながらもうちょっと優しい言い方ができないものかと思いつつ、蒼牙は親友の妹に話しかける。

 正直、なのはが自分を避ける理由はわかっているし、それも当たり前だと思っている。

 フェイトの兄と名乗るには自分は罪を重ねすぎた……贖罪のため蒼牙はとにかく仕事を請け負っていたが、

 それは同時になのはやクロノ、ユーノ、アルフたちにも認めてもらうためだった。

 相手が子供だろうがそんなことは蒼牙には関係ない。

 彼らは立派であり、蒼牙は恭也同様、年齢だけで人を判断などしないから。

 彼らは認めるに値するし、蒼牙としては自分こそが認めてもらわないといけないと考えていたのだ。

 

「あ、あのですね、えっと……」

「ああ」

 

 せっかくそのなのはが自分に話しかけてくれたのだから、と蒼牙はいつも彼女に対している恭也を思い出しつつ、

 また昔の桜花と疾風に対している自分を思い出しつつ、なのはへの態度を少しでも和らげようとする。

 ……はっきり言って恭也を真似ても無愛想だし、そもそも蒼牙も無愛想なので、なのはにすれば普段と変わらないが。

 

「その、今度の日曜、時間ありませんか?」

「……あるにはあるが」

 

 最近休まず任務があるたびに出ているのだが、リンディにいいから休みなさいと諭された。フェイトのそばにいてやれと。

 だから久しくフェイトと何かするかと思っていたのだが、先ほども食堂で切り出せず。

 例えば自分といて楽しいだろうかとか。いつもいつも誘うたびにそれが戦闘訓練だとか料理ばかりだからなとか。

 女の子としてもっと何か別のものがいいだろうが、蒼牙はあいにく11年も裏の世界にいたためにそれがわからない。

 だからなのはが食堂に来たとき、自分がいるとなのはとフェイトの会話が冷めてしまうと思って退席したのだ。

 

「あ、じゃあ、私今度買い物に行きたいと思ってたんです。その……よければ付き合ってもらえませんか?」

「ぬ。構わんのだが……俺と行ってもあまり楽しくないと思うが? フェイトや恭也のほうがいいのではないか?」

「む〜……お兄ちゃん、最近構ってくれないんです。フェイトちゃんは、その、ちょっといろいろあって……」

「そうか……」

 

 蒼牙は少し苦笑しながらなのはを見た。兄に構ってもらえなくて拗ねる。

 それはまるで昔の桜花を思い出させる。疾風にばかり構って怒っていた桜花を。

 

(ふふ……フェイトといい、なのはちゃんといい、本当に桜花を見ているようだ)

 

 そして「フェイトはいろいろあって」という言葉から、フェイトは日曜の予定が埋まっていると蒼牙は受け取った。

 ならば自分が誘っても仕方ないし、何よりせっかくなのはが誘ってくれたのだから応えないといけない。応えたい。

 それにこれもまた『義』でもある。

 

「わかった、日曜は空けておくとしよう。楽しみにさせてもらう」

「あ、はい! 私も楽しみにしてます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日後。フェイトは機嫌が悪かった。

 

「……また一緒にいる……」

 

 原因は今、廊下の先にいるなのはと兄。

 

「お兄ちゃんってば、なのはの心配をまるで考えてくれないんですよ〜」

「はは、あいつの無茶は今に始まったことじゃないがな」

「やっぱり昔からそうだったんですか?」

「ああ。まああれがあいつのいいところでもあるんだ。ある程度は大目に見てやってくれ」

「う〜……でもでも、やっぱりお兄ちゃんは無茶しすぎです!」

 

 怒っているように見えるが、しかし楽しそうになのはが蒼牙の横で身振り手振りも加えて話をしている。

 というより、もはや原因は蒼牙1人にある。

 あんなになのはと上手くいかないと悩んでいたくせに、笑顔まで見せて。

 

「…………」

 

 ここ数日、なのはと蒼牙はよくいろんなところで見かけた。

 

『蒼牙さん、この訓練の後、時間ありますか?』

『ぬ。あるが、何か?』

『え、え〜とですね。ちょっと宿題の方がたまってまして……わからないところが……』

『……大変だな。まあ、俺でどうにかなるなら手伝うが……あくまで教えるだけだぞ?』

 

 フェイトとしては蒼牙がなのはと仲良くしてくれるのは嬉しいことだし、最初のうちは微笑ましく思っていた。

 ただそれがこうもちょくちょく短期間のうちに何度も見かけると、さすがにフェイトとしては面白くない。

 

(……何だか本当の兄妹みたい……)

 

 蒼牙はフェイトの兄だ。もちろん血のつながりもない、ただ2人が兄妹だと言っているから兄妹なだけだが。

 それでも絆はあると信じている。恭也となのはに負けないくらいと思っている。

 だが今のなのはと蒼牙は最近のフェイトと蒼牙に比べればよほど兄妹らしく見えるのだ。

 はきはきと明るいなのは。話のネタも尽きない。無愛想な蒼牙だろうと、なのはは話しかける。

 フェイトはそうもいかず、互い黙り込んでしまったらそのまんま……。

 蒼牙は自分よりなのはといる方がいいのかな、とさえ考えてしまう。

 

「あはははは、そんな世界があったんですか〜」

「ああ。俺も初めて見たときは驚いたものでな――」

 

 そんな話は聞いたことがない。それが尚更フェイトの苛立ちを増す。

 さらに言えば、なのはも蒼牙もフェイトに全く気づいていない。少なくとも蒼牙なら気配に鋭いはずなのに。

 つまりそれだけなのはに気を許している――そうフェイトは考えた。ますます気分が悪くなる。

 さらにさらに、ここ数日……

 

『あ、兄さん。その、ご飯一緒に食べませんか?』

『ぬ……いや、すまん。これからクロノと本局へ出向かねばならんのだ』

 

『兄さん、あの、訓練の相手をしてほしいんですけど――』

『艦長です。蒼牙くん、至急艦長室へ来て下さい』

 

『兄さん――』

『蒼牙、先日の任務の件だが……』

 

 とまあ、何ともタイミングが悪かったり、いろいろと横槍が入ってきてしまい、しかも……

 

『にい――』

『あ、蒼牙さん! 明日の約束なんですけど、この世界に行くことにしましたから!』

 

 これが一番だろう。

 どうもなのはと蒼牙は明日の日曜に一緒にどこかに行くらしい。

 休日の外出。せっかくフェイトも休日なのにだ。

 

「蒼牙さん、明日の準備はできてますか?」

「ああ、できてはいるが……何と言うか、服がな……こういう服以外なくてな」

「……女の子とのデートにそれはないですよね、蒼牙さん?」

「ぬ……まあ、さすがにマズイとは思うが、服の組み合わせにはまるで疎くてな……」

「仕方ないですね。なのはが見繕ってあげます。どんな服にするつもりだったんですか?」

「ああ、助かる。組み合わせはまあ――――と、こういう感じにしようかと思っていたのだが」

「……地味です」

「ぐっ!」

「もう〜、蒼牙さんはお兄ちゃんと一緒で素材はいいんですから、もっと外見を気にするべきです!」

「ぬう……」

 

 実は蒼牙を誘おうと思って声をかけようとしていたフェイト。だが蒼牙はすでになのはという先約済み。

 フェイトと休日もいてくれない。しかも今の会話にもあったが……。

 

(なのはと……『デート』……)

 

 妹をほったらかしてデート? フェイトのご機嫌を損ねるには充分である。

 もういっそ、蒼牙のからかい好きのせいじゃないかと――蒼牙は自分を困らせて楽しんでいるのではないかと。

 そんなふうにまで考えてしまうフェイト。

 

「……いいよ、兄さんがその気なら……私だって」

 

 そしてフェイトは偶然角から出てきた恭也を発見した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フェイトに声をかけられ、恭也はとりあえずその話を聞いた。

 内容は明日一緒に出かけないかとのこと。

 別に空いているから構わないのだが、なのはと一緒の方がいいのではと思って言うものの、なのはは用事があるらしい。

 

(そう言えば日曜に蒼牙とどこかに行くとか言ってたな)

 

 蒼牙もその話はしていた。

 少しはなのはが自分に気を許してくれたのかもしれないと蒼牙はホッとしていたし、

 恭也も親友が少しずつわかってもらえるのは嬉しいことだった。

 だが蒼牙は本当ならフェイトと過ごすつもりだったらしく、またフェイトを寂しがらせてしまうなとも言っていた。

 

「フェイト、用事があるのではないのか?」

「いえ、明日はないですけど……」

 

 蒼牙が言うところによるとフェイトは何かすでに用事があるから誘えないため、なのはの誘いに応じたと聞いている。

 とりあえずフェイトの用事はキャンセルにでもなったのだろうと踏んで、恭也はフェイトの約束に応じることにする。

 

「ふむ、行きたいところでもあるのか? む、何なら蒼牙となのはと一緒に行くというのは――」

 

 

 

「ダメです」

 

 

 

「む……フェイト、怒っているのか?」

「あ、い、いえ、何でもないです! で、でも、とにかく兄さんとなのはと一緒はちょっと……」

 

 何か理由があるのだろうか。皆目見当がつかないが。

 何にせよ、フェイトの機嫌があまり良くないのだから、その気分発散に付き合う方がいいだろうと考える。

 

「……まあ、わかった。しかしどこに行く?」

「あ、それは決めてるんです」

 

 ならばそれで恭也としては異論はない。

 

「そう言えばフェイト、少し聞きたいことがあるのだが」

「はい、何ですか?」

「いや、その……ここ最近、なのはがどうも俺を避けてる気がしてな。何か聞いてないか?」

 

 数日の間、恭也はなのはと何度か話そうとしたのだが、そのたびになのはは……

 

『なのは、丁度よかった。これから飯でも――』

『なのははこれからフェイトちゃんとお仕事です。お兄ちゃんお1人でどうぞ』

 

『あ〜、なのは、その、何を怒ってるのか少々わからんのだが……』

『……そのままわかるまで考えて下さい』

 

『なのは――』

『あ、蒼牙さん。今度の日曜のことなんですけど――』

 

 もはや取り付く島もないというもの。

 

「なのはがですか? さあ……何も聞いてないです」

「そうか……」

 

 そうしてフェイトと明日の約束をして別れ、恭也は食堂に来た。すると丁度席に着いたばかりらしい蒼牙と会う。

 時間はすでに遅いので、また任務にでも出ていたのだろう。

 

「恭也、お前も今から飯か?」

「ああ、少々鍛錬をしすぎた。気づいたらこんな時間でな」

「相変わらずだな。ほどほどにしておけよ。また壊すぞ」

「お前もそんなに仕事仕事と言ってたら、体が持たんぞ。急いては事を仕損じる、というだろう?」

「まあ、わかってはいるんだがな……」

 

 互いに苦笑し、恭也もメニューを取って蒼牙の対面に座る。

 しばらく剣のことや仕事のことなどの話をする。

 

「あ〜、そうだ。お前、なのはちゃんとケンカでもしてるのか? お前の話をするたびに怒っているぞ、彼女」

「む……おそらく、最近あまり構ってやれなかったからだとは思うのだがな……」

「俺が言えるセリフじゃないが……ちゃんと構ってやれ」

「お前よりかは構ってやっているつもりだぞ。お前こそ、フェイトともっと一緒にいてやれ」

「ぬ……せめて食事などちょっとしたことに時間を割こうとしているのだが、どうにもタイミングが悪くてな……」

 

 互い似たり寄ったりである。いらないところまでそっくりな親友同士。

 そこで恭也が明日のことを切り出す。蒼牙はフェイトの用事とは恭也と出かけることかと考えた。

 明日行く世界のことを話すと、蒼牙が「ん?」と顔を上げた。

 

「俺たちが行く世界もそこだぞ」

「なに? フェイトはお前たちと一緒ではないと言っていたのだが……」

「誘ってくれるのはありがたいが、女の買い物など、俺にはさっぱりわからん。恭也、何かいい助言はないか?」

「……俺がそんなこと詳しいと思うか? 俺が知りたいくらいだ」

「しかしお前は恋人がいると聞いているぞ? なら少しくらいわかるだろう」

「いればわかるというものでもないぞ。女心なるものは俺には理解できん」

「ぬう……それにしても、なぜあの2人は互いを誘わんのだ?」

「わからん。聞いてはみたが、お前となのはとは行けないと言うんだ」

「やはり……何か俺に怒っているということか? だがそれならなぜ同じ世界に行くのかがわからんしな」

「なのはとフェイトが喧嘩しているわけでもなさそうだしな……これもまた女心かもな」

「複雑怪奇極まりないな、女心とは」

「まったくだ」

 

 ため息をつく兄が2人。複雑どころか簡単なことこの上ない理由なのだが……。

 

――――自分たちが原因とは思いもしない恭也と蒼牙である。

 

 

 

 

 

 こうして焼き餅妹たちと、その妹たちの考えをまるで読めない鈍感兄たちの、ドタバタな一日が始まる……。

 

 

 

 

 

――続く――

 

 

 

 


あとがき

  ペ「さて、始まってしまった『なのはとフェイトの戦 ――気付けよ鈍感兄貴!――』。

    思えばあれはチャットの中での事でした」

  F「たまたま話していたら……『あ、いんじゃない、それ?』という感じで始まったよねえ〜」

  ペ「ですね。最初は軽い気持ちだったのにどんどん肉付けされて言って」(w

  F「もはやとどまることを知らず、フェイト好きの私は嫉妬させたくてたまらなくなったわけで……」(爆

  ペ「私としてもなのはとフェイトの嫉妬している姿は見たかったので……、まぁ、そんなこんなで始まったこの作品」

  F「今の時点では妹たちは兄に対してヤキモチ焼いてるだけですがね。どんどんと……ねえ、ペルソナさん?」(邪笑

  ペ「えぇ、面白いことに、そしてとある人物が関与しちゃって凄いことに」(ニヤソ

  F「なんと、他の作者の方々にも協力を仰ぎ、コス――ゲフンゲフン!」

  ペ「しかも二部構成というトンデモなことに。そしてコス――ゲフンゲフン」

  F「言っちゃダメじゃないですか〜、ペルソナさん♪ コス……なんて♪ くけけけけ」(爆

  ペ「あぁ、すみません。まさか2人がコス……なんて言っちゃダメでしたね くくくくっ」

  F「本編より進みが速いという事態に『それはどうよ?』と思いつつ、しかし筆が進みに進む!」(マテコラ

  ペ「本編では出来ないですからね。本編ではお目にかかれないドタバタ……、だがそれは誰かさんの暗躍のせい」

  F「彼』の暗躍に期待をしてますが……マジで恭也と蒼牙は鈍すぎ!

    どこまで似てるんだお前らは、とツッコミがしたい今日この頃です」(笑

  ペ「『彼』も大概に鈍いですが二人はそれに輪をかけて……」(苦笑

  F「なのはとフェイトの苦労と奮闘を乞うご期待です!」

  ペ「『彼』の暗躍具合がどうなるのかも見てもらえると嬉しいです」

  F「ペルソナさんの作品のアヴァター世界で暴れる、私の『リリなのプラアザ』キャラを、ご堪能ください!

    そしてペルソナさんのあのキャラにも注目!!」

  ペ「長くなることは確実ですがそれでも長い眼で見ていただけると嬉しいです」

  F「そいでは今回はここら辺で。最後に……チャイナ最高〜〜〜〜!!」(核爆

  ペ「では、次話でお会いいたしましょう。…………この人と組んで本当に良かったのかな?

  F「くけけけけけけけけけ…………」(エコー





もしも的なお話のドタバタ。
美姫 「一体、どんな騒動が繰り広げられるのかしらね」
お二人の合作でバトルではない日常のお話が読めるなんてな。
美姫 「今からとっても楽しみね」
ああ。そして、○○○〜、○○○〜、○○○〜、○○○〜、○○○〜。
美姫 「はいはい、アンタもそこまでにしときなさいよ!」
ぶべらっ! う、うぅぅ。とっても楽しみに待っていますよ!
美姫 「待ってますね〜」



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