空と翼の軌跡

LOCUS OF 20

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――て言うか私、なんでこんなことしてるんだろう?」

『Master, You said that(貴女が薪) I pick up firewood together(拾いを手伝うと言った), wouldn't you(からでは)?』

「うん、そうなんだけど……」

 

 レイジングハートはかさばるので待機状態に戻っており、なのはの胸元で揺れている。

 小さい体に拾い集めた薪を持って、なのはは引き返していた。

 周囲は森。

 夜ともなればさすがに不気味で、そばの茂みが音を鳴らすとなのはは素直に反応してしまう。

 

「風で揺れただけだから心配しなくていいぞ、お嬢さん」

 

 前を歩く、肩になのはよりずっと多くの量の薪を担いでいる男性が顔も向けずに手だけ振って。

 なぜ後ろが見えないのにわかるのかとは言わない。

 と言うか、そういう疑問もなのはは浮かばない。

 多分、気配がどうのこうのなのだろうと、すでになのはの中では自己完結されている。

 

――――普段、恭也が同じようなことをやっていたから。もう慣れた。

 

 レイジングハートまで口を挟まない辺り、すでに高町家の常識がレイジングハートにすら侵食したのかもしれない。

 今夜の野営地にしようと目の前の男性が言った場所に戻ってくる。

 すでに燃えていた薪がパチパチと火花を上げており、そばに立てている肉や野菜がいい感じに焼けている。

 

「うん、いい具合に焼けている。ほら、腹が減ったろう。座って食べようか」

「は、はあ……」

「ん? 肉は嫌いか? 魚の方が良かったかな?」

「いえ、そうじゃなくて……いただきます」

 

 とりあえず何となく反論しづらくて、なのはは素直に従うことにした。

 実際、ずっと恭也を探して臨海公園の林の中を探し回っていたため、腹は減っていた。

 その上、薪集めまで手伝ったのだから尚更。

 

「いや、悪かったな。小さい子に薪拾いを手伝わせてしまって」

「あ、いえ。ジッとしてる方が申し訳ないので」

 

 目の前の男性は近くの小川から汲んできた水をキャンプ用の、飾り気のないコップに入れて手渡してくれる。

 そのまま飲んでも大丈夫なのかとは思ったが、その辺りはレイジングハートがOKを出してくれる。

 と言うか、レイジングハートが喋っているのに、すでに驚きもなく受け入れているこの男性が、

 なのははいろいろな意味でわからない。

 空を飛んでいるのを見られたのに、何も聞かずに食事に誘ってくるし、よくわからない機械で火を起こすし。

 なのはは少し遠慮気味に棒に刺さる野菜を口にしながら、チラリと男性を見る。

 口髭を少しだけ生やしているが、他は綺麗に剃られているし、不潔さはなく、

 むしろ紳士的なおしゃれに見え、ダンディーさを醸し出している。

 茶色の髪はかき上げられ、それなりの年齢ではあるだろうに爽やかな青年のような印象を受けた。

 それなりの年齢というのも、なのはが「オジサン」と呼ぶべきか「お兄さん」と呼ぶべきかで躊躇したとき、

 彼の方から「おじさんは料理もできるし、なかなか上手いぞ?」と自分の方から言ってきたからだ。

 

(着ているものが何かちょっと昔の人みたい。狩人さんのような……)

 

 とは言っても猟師のような毛皮だとかは羽織っていないが、明らかに現代の地球の先進国ではまずない。

 どこかゲームの中の冒険者みたいな服装だった。

 男性は1本の串に刺していた野菜や肉を食べ終え、串にまた新たなそれらを刺していき、薪をくべながら火のそばに。

 そして焼けていた別の串を取ったところで、なのはの視線に気づいたのか、笑ってきた。

 慌てて視線を外して誤魔化すように肉にかぶりつく。

 

「熱っ! って、ああ!?」

 

 まだ熱々だったことは完全に思考の外。

 それにかぶりついたはいいものの、熱くて離してしまい、その勢いで肉が落ちた。

 

「おっと」

「!」

 

 が、肉は地面に落ちきる前に、空中で止まった。風が取り巻き、ふわふわと浮かんでなのはの手元まで浮上。

 目を奪われていると、男性が小皿を取り出し差し出してくれた。

 それを反射的に受け取ると、その上に肉はポトリと落ちる。

 

「串に直接かぶりつくのは女の子としては食べにくかったか。いや、すまんすまん。気が回らなかったな。

 何せ娘がそういうことを気にしないで豪快に食べる子なもんでな」

「そ、そうなんですか。あ、その、ありがとうございます」

「うん、ちゃんとお礼が言えるのはいい子の証拠だ」

 

 確かに食べにくかったのは事実。

 ただ特に女の子として、とは考えていなかったのだが、なのはは「それってどうだろう?」と思ったのでそういうことにおく。

 なのはの中で男性が『良く気がつく人』となり、周囲にはあんまりいないタイプだなと思う。

 似ていると言えば……父の士郎だろうか。

 士郎も年齢に似合わず若く見えるし、髭こそ生やしていないがガタイは良く、笑うと好感を持たれる。

 ガタイも大きいが威圧するほどではないし、家族びいきの分を差し引いても頼りになるので、

 桃子もそうだが、相談しやすい人に当たるらしく、喫茶店には士郎と桃子の2人に会いに来る客もいるくらいだ。

 士郎と色々と通じるところがあり、なのはは何となく目の前の男性と父は気が合いそうだと思った。

 

「あとは色々気になって食べられなかったかな? 食事中は静かに食べるという子もいるから黙っていたんだが」

 

 本当に色々と気が回るらしい。紳士とはこういう人を言うのかもしれない。

 

「えっと、特にそういうことは気にしません。むしろうちは食事中も賑やかで……」

「そうか、実を言うとうちもだ。俺も喋っていた方が好きでな。

 ただこの歳にもなると、時折ただのよく喋る親父だと若い子には思われてしまうもんでね。

 遊撃士ともなると若い子だろうと話を聞く機会があるし、迷子の一時預かりなんてこともあるし」

「遊撃士?」

 

 聞いた事がない単語……それ以前に、レイジングハートが通訳してくれるわけでもなく、

 日本語が通じていることに今更ながら気づくなのはであるが、『遊撃士』という聞き慣れない言葉に首を傾げる。

 男性は「ふむ……」と何やら1人で納得するように顎に手をやっていたが、ややあって説明してくれた。

 要するに何でも屋みたいな職業かな、となのはは聞きながら結論付ける。

 犯罪者の逮捕や民間人の護衛から、ちょっとした探し物や喧嘩仲裁、魔獣退治まで。

 

「……魔獣?」

「ん? さっき襲われていただろう? あれはロアドランという凶暴な魔獣でな、リベールでもルーアン地方に生息しているが」

「……ごめんなさい。わからないです」

「ふむ……これもわからないか」

 

 リベール、ルーアン。

 地名のようだが、なのはには聞いた事がない。少なくともまず日本じゃありえない。

 おまけに魔獣ときた。

 まあ、あんなダチョウ(?)が地球にいるとしたら、なのははダチョウのことを嫌いになってしまいそうだが。

 確実に別の次元世界に来たのは間違いないようだ。念話でレイジングハートとそれを確認し合う。

 

 

 が、わずかに念話にジャミングが入ったようにレイジングハートの声が聞きづらかったのが気になった。

 

 

 外見上、黙り込んだようにしか見えないため、男性は「どうかしたかな?」と聞いてきて、なのはは我に返り、

 何でもないと手を振った。

 とりあえずまた肉が焼けたようで、男性はとりあえず食べながら話そうと、串から肉や野菜を外して皿に乗せてから渡してくれた。

 

「あの、おじさんのお名前を聞いてないんですけど……って、私もですよね」

 

 そう言ってから自分もまだ名乗ってないことを思い出し、

 気がつく相手に対してどれだけ自分は気が利いてないんだと自分をちょっと叱咤しつつ、名乗ろうとする。

 

「えっと、人の名前を聞くときは自分から、ですよね。あの、私――」

 

 

 

 

 

「ナノハちゃん、でいいのかな?」

 

 

 

 

 

 男性は事も無げになのはの名前を口にした。

 何度驚かされればいいのかという疑問が浮かぶほどもう何度目かわからない驚きを表情にして、なのはは唖然とする。

 名前を口にした覚えはない。レイジングハートもなのはのことは『マスター』と呼ぶ。

 男性はなのはの様子に笑っていた。

 それがよく自分をからかう恭也が浮かべるものに似ていて、つい反射的に恭也にするように頬を膨らませる。

 

「はっはっは、悪かった悪かった!」

「……おじさん、お兄ちゃんみたい」

 

 肩を怒らせ、どうにも他人と思えなくなってきた男性に、なのはは恭也にそうするようにため息をつく。

 

 

 

 

 

「ふむ。彼もからかい好きなのか。それは初めて知ったな」

 

 

 

 

 

 今度こそなのはは息すら止めて男性を見つめた。

 自分をなのはと知っているのならば、それは誰か知っている人に教えてもらったに他ならないだろう。

 そして今、兄のことを口にして、男性は「彼」と言った。

 それが導き出すものは……と、なのはの頭は混乱しそうな思考をゆっくりと纏め上げる。

 

「あの、お兄ちゃんを知ってるんですか!?」

 

 立ち上がって男性に詰め寄る。その拍子に膝の上の皿に置かれていた肉や野菜が地面に落ちてしまうが、なのはの意識外。

 

「ああ、知ってるよ。知ってるから落ち着きなさい」

「あの、私、お兄ちゃんを探してて、それで、ここまで来て……!」

「ナノハちゃん」

「は、はい……」

「驚かしたのは悪かったが、まずは落ち着こう」

 

 男性はなのはの頭を軽くぽんぽんと叩き、もう片方の手をなのはの肩において「深呼吸だ」と。

 素直にそれに従い、なのははゆっくりと何度か深呼吸した。

 そして地面に落ちた肉や野菜に気づき、謝りながら拾う。さすがに食べられないが。

 

「すいません……」

「いや、俺にも非があるから気にしなくていい」

 

 なのはは普通に会話が流れたので気づかなかったが、完全に男性のペースに乗せられていたらしい。

 さりげなく魔獣や遊撃士のことを口にして、なのはがこの世界の人間かどうかを探っていたようだ。

 

「知りもしない人間から尋問なんてされたら、警戒心を持たれてしまう。

 騙すような真似をしたことは悪かったが、できれば理解して欲しい」

 

 それも遊撃士としてのスキルなのかもしれないと思い、なのはは別に構いませんと返す。

 探られるのはいい気分ではないが、悪いこともしていないのに尋問されるに比べれば確かにマシだ。

 だいたい、自分もこの男性がどういう人かを警戒して探ろうとしていたのだから、おあいこだろう。

 

「どうして私がこの世界の人間じゃないってわかったんですか?」

 

 食事が終わり、ゆったりとカップにコーヒー、なのはは紅茶をもらって飲みつつ、2人はちゃんとした話に入った。

 すでに名前は教え合い、男性はカシウス・ブライトという名前で、遊撃士という職業にあり、

 彼曰く、結構強くて有名な方らしい。

 確かに魔獣を一撃で倒すその棒術は見事だったと思うし、恭也や美由希の鍛錬を見てきている身としては、

 只者じゃない、と思う程度にはなのはも武に通じてきている。

 

「そりゃ空を飛んでいたらな。まず俺たちにはできんことだ」

「あれ? でもさっき……」

「確かに俺たちも魔法を使える。だが空を飛ぶ魔法はない」

 

 カシウスが懐から何やら懐中時計のようなものを取り出して見せてくれる。

 時計の針のように動く精密な構造が奥に見え隠れしており、表面には6つの綺麗な宝石のようなものが取り付けられ、

 それぞれの宝石を取り付けた丸い穴を繋げるような回路がある。

 

「"アーツ"と俺たちは魔法のことを呼んでいる。

 このクオーツと呼ばれる、ある鉱石から作られる石をこの戦術オーブメントに取り付けることで魔法が使えるんだ」

「へえ〜」

 

 興味があるのか、覗き込んでくるなのはだったが、我に返って恥ずかしそうに引き下がる。

 カシウスは笑いながら戦術オーブメントをしまいつつ、話を続ける。

 

「で、君のお兄さん――キョウヤ・タカマチ準遊撃士のことでいいのかな?」

「は、はい!……って、準遊撃士?」

 

 まさか別の人間のことを言われているのかと思ったが、カシウスが口にするキョウヤ・タカマチの特徴は、

 確かになのはの兄、高町恭也そのもの。

 同じ遊撃士だから、というあたりから、なのはは遊撃士繋がりで知り合ったのかなと想像した。

 確かに魔獣退治や民間人の護衛をするという遊撃士は恭也にうってつけだとなのはも思うし、

 恭也は生き生きとしてやっているんじゃないかと。

 

 

 ……そう考えるとこの1年間、まるで恭也は現状を憂いていないような気がして、なのはは少し複雑だったが。

 

 

 とは言え、カシウスの話だと恭也が来たのもおよそ1年前との事だから、確かに1年間、働かずに過ごせるわけがないし、

 何か職を探さなければ生きられないわけで、一応理解はできた。

 納得はできないが。

 

(お兄ちゃん、会ったらお説教)

 

 別に怯えて縮こまって助けを求めていてもらいたいわけではないし、

 もしそんな恭也を見たらなのははかなりショックを受けるだろう。

 とは言え、カシウスの話を聞いているとあまり悲観してもいなさそうな感じなので、それはさすがに不満だ。

 ほとんど八つ当たりに近いが、妹心は複雑なのです、と自分に言い訳しておく。

 恭也にしてみれば、兄心は無視か、という話だが。

 

「お兄ちゃんとはどこで?」

「武術大会で戦ったんだ。初めて会ったのは王都グランセルの遊撃士協会支部で、そのときはちょっと挨拶したくらいだった」

「え、お兄ちゃんと戦ったんですか!?」

「ああ。初めて見たときから若いながら相当の実力者であることはわかったが、戦ってみて尚一層彼の実力の高さが窺えたぞ」

 

 恭也も相当の剣好きであることはなのはも知っていたが、

 あまり目立つことを好まない兄が武術大会などに出場してまで戦おうとしたことには、ちょっとだけ驚いた。

 カシウスには勝てなかったようで、やはりこの人はかなり強い人なんだと、

 きっと「ちょっとは」どころではないんだろうと思いつつ、そんな人が恭也を褒めることに気を良くする。

 

「彼も妹を探していると言っていてな。何にでも全力全開な妹だと言っていたよ。魔法を使うこともそのときに聞いている」

 

 その恭也が話をしていたときに僅かながら寂しそうな顔を見せたことをカシウスが口すると、

 なのははやっぱり自分を助けようとしてここに来たのだろうと思い、

 申し訳なさと、反面、自分が信じていた事が当たっていたために嬉しさを感じる。

 恭也はやはり自分が大好きな兄だと。

 そのなのはの様子で察したのか、カシウスはなのはが物思いに耽っている顔を見つつ、微笑んだ。

 それと同時に申し訳なく思う。

 

「お兄さんに会いたいだろう?」

「はい、それはもちろん!」

 

 カシウスはそこで一旦黙る。

 

 

 

 

 

 今の自分の身、そして請け負っている任務からして、すぐになのはを恭也に会わせてやることはできないのだ。

 

 

 

 

 

 なのはも急に黙り、難しい顔をするカシウスに、少し不安になる。

 

「本来なら、君を今すぐ遊撃士協会に送り届ければ、他の遊撃士に頼んで君を彼のいるリベールに送ってあげることもできるんだが」

「いえ、あの、場所さえ教えて頂ければ自分で……!」

「おいおい、別世界からやってきた人間が1人でどうする? 見知った人間もいないのに」

「あう……そうでした」

 

 確かに恭也の言う通り、お転婆ではないが全力全開だなとカシウスも苦笑する。

 まあ、10歳そこらならそんなものだろうと思うが。

 

「さすがに俺も君くらいの子供に1人で行けとは言えん」

 

 恭也の妹ともなればもはや他人ではない。危ない真似はさせられない。

 しかしそうは言ってもこのまま自分に付いてこさせるのも危険すぎる。

 

「俺は今、ある任務のために密かに動いているんだが、その任務のためにリベールには戻れないんだ」

 

 ここはリベールの北、大国エレボニア帝国領。

 

 

 

 

 

「これは結構知られていることなので言ってもいいんだが……。

 このエレボニアにある遊撃士協会支部が猟兵団(イェーガー)に襲撃をかけられていてな」

 

 

 

 

 

 物騒な話に、なのはもカシウスが負っている任務の重要性が何とはなしに理解できた。

 居住まいを正し、背筋を伸ばしてなのははカシウスの話を聞く。

 カシウスはどうやらその調査と応援のためにこちらに来ているらしく、今はある作戦の遂行のため、偵察を行っているらしい。

 今、エレボニアにいる遊撃士たちはその多くがこの事件に係りっきりになり、エレボニア帝国軍も動いているほどで、

 なのはを送り届けてやる人手はなく、預けるにも遊撃士協会支部も今はいつ猟兵団に狙われるかわからない危険な場所。

 かと言ってエレボニア帝国軍や政府などに匿っておいてもらうわけにもいかない。

 なのははこの世界の人間ではない。戸籍などない。

 それを問われたらなのはは捕まりかねない。

 子供なのだから手荒な真似はされないだろうが、それでも身動きが取れないことになってしまうだろう。

 

「今は遊撃士協会とエレボニア帝国軍が共に動き、これからの両者の互いへの信頼がかかった重要な作戦でもある。

 正直、そんなときに下手な疑念を持ち込みかねないことはしたくないんだ」

「そうですよね……せっかく仲良くできるチャンスを私のせいでダメになんてしたくないですし……」

 

 とは言え、このまま連れて行くというのも危険。

 ここで待っておけというのもあまりに無責任であるし、カシウスもすぐにはいい案も思いつかない。

 

「あ、あの、私、魔法も使えますし、いざとなれば身を護ることくらいできますし」

「ここで待つのか?」

「ご迷惑をかけるわけにもいきませんし……」

「食べ物とか寝る所とかどうするんだ?」

「……ごめんなさい、無理です……」

 

 アウトドアなんてレベルではない。サバイバルだ。ここは魔獣のいる森なのだ。

 なのははしょげてしまい、カシウスは悩んでいる暇もない。

 彼女を宥めなければと笑いながら近寄るが、なのははいきなり顔を上げてカシウスを見た。

 カシウスですら驚くほど真っ直ぐな目で。

 

「じ、じゃあ、お手伝いさせてください!」

「……ダメだ。危険すぎる」

「これでも私、武装隊士官候補生なんです! 何度か実戦だって経験してます!」

 

 そこまでは恭也から聞いていなかったため、カシウスは少し首を捻った。

 武装隊? 士官候補生?

 

――――魔法使いとは聞いていたが、こんな子供が?

 

 外の世界とは、こんな子供にすらそんな危険な仕事を負わせるのか、と。

 遊撃士とて危険だし、エステルとヨシュアがそんな職につくことに対して、思うところがないわけではない。

 それでも16歳にもなれば自分の将来を考える時期だし、エステルに至っては小さい頃からの夢。

 子供の夢を全否定することはカシウスもしたくないし、エステルは毎日棒術を磨き、それなりの腕にはなった。

 まだまだではあるが。

 とは言え、まだ10歳そこらの子が軍隊のような場所で、というのは……。

 

「……いや、ダメだ。何とかしてしばらく身を隠せる所を探そう」

「でもそんなことしてたら、カシウスさんのお仕事の邪魔になります。大切なお仕事なんですよね?」

「そりゃそうだが、知り合いの妹さんを危ない場所に連れて行くことはできん」

「本当に危ない場所ならそのときは邪魔しないように隠れてますから!」

 

 焚き火を挟み、カシウスとなのはは睨むように互いを見合っていた。

 なのははただ必死だが、カシウスはその必死の目がとても気になった。

 

――――どうやったらこの歳の子供にここまでの目ができる?

 

 危ない場所と知っても行きたがるのは子供にはままあること。

 だがなのはの目は強がりや意固地なんてものではない。

 

「私が時空管理局に入ったのも、たくさんの人の笑顔を護りたいからなんです。

 お兄ちゃんみたいに、誰かを護れる人になりたくて」

「…………」

「この世界はまだ次元に進出はしてないから、直接は関係ないかもしれないですけど、

 でもそれと皆の笑顔を護ることは全く関係ないです。

 この世界の人にも笑顔でいて欲しいんです」

 

 確かにこの子はあの恭也の妹らしい。

 その目が、その覚悟が、本当にそっくりだ。

 言っていることは恭也と違って青臭く、理想が多分に入っているものではあるが、

 護るということへの拘りは恭也にも負けていない。

 だが……

 

 

 

 

 

(とは言え……今回の襲撃事件には明らかにおかしい部分が多い。俺の推測通りなら、おそらく『身食らう蛇(ウロボロス)』が係わっている)

 

 

 

 

 

 盟主と呼ばれる首領に導かれ、裏から世界を動かそうとする謎の組織。

 遊撃士協会や、七耀教会の総本山であり、その秘密部隊でもある『聖杯騎士団』、

 大国エレボニア帝国やカルバード共和国ですらその実態を掴めず、存在するのかどうかすら疑問視されている。

 だがカシウスは彼らが実在し、確実に何らかの目的のために動いていることを知っている。

 

 

 

 

 

 何せ、5年前にその『身食らう蛇』の凄腕のエージェント――『執行者(レギオン)』に命を狙われたのだから。

 

 

 

 

 

 『執行者』No.XV――"漆黒の牙"という暗殺者に。

 

 

 

 

 

 彼らは得体が知れない。未知の力を知り、はるかに優れた技術を有する。

 彼らが係わってきているとカシウスが思ったのも、今回支部に襲撃をかけてきた『ジェスター猟兵団』は、

 さほど名が知れているわけでもなく、ただのごろつきの集まりに近いことだったのが切欠。

 猟兵団と言うとあまりいい印象が持たれないし、実際に金さえ積まれれば何でもするという猟兵団もあり、

 猟兵団の運用を禁止しているリベール王国の外では遊撃士協会と猟兵団の対立は事あるごとに起こっている。

 『ジェスター猟兵団』はどちらかと言うと何でもするタイプだが、

 エレボニア帝国内で遊撃士協会を潰し回るような規模を持つ猟兵団ではなく、

 エレボニア帝国内でこのような行為を働けば遊撃士協会のみならず、エレボニア帝国からも厄介払いされることは確実。

 なぜそんな行動に出たのかわからないが、カシウスが応援に来た途端、彼らは慎重に動き出し、

 こちらの狙いを読んだように撤退したり進出してきたりと、まるでこちらを誘うかのような行動を取っている。

 そして最近は遊撃士協会とエレボニア帝国軍に追い込まれるように北の地に撤退の繰り返し。

 しかも一気に撤退するでもなく、少しずつ少しずつ。

 

(まるで駒だ。チェスで捨て駒を使って陽動するように……)

 

 猟兵団を手駒のように扱っているなど、かなり大きな組織。

 しかもジェスター猟兵団には少し前まで凄腕の軍事教官が就いて指導していたとのこと。

 その教官の足取りはまるで掴めず、まるで今回のことのために訓練を積ませるためだったとも取れる。

 『身食らう蛇』であろうとなかろうと、かなり危険なヤマだ。

 

「私の魔法なら、戦闘以外でもお役に立てることはあると思います」

 

 索敵用の"サーチャー"や防音の結界。空の飛行。

 確かにそんな事が可能なら、作戦の幅は広がるが……。

 

 

 

 

 

「それに……もしかしたら私たちの世界にも関係することかもしれないんです」

「? それはいったいどういうことかな?」

 

 

 

 

 

 なのはが言うには、なのはの所属する時空管理局という組織は、現在この世界を厳重な監視下に置いているらしい。

 何やらとんでもない遺物がこの世界からの干渉を受けて反応し、周辺の次元世界でもかなり騒がれているとのこと。

 重要な部分はやはりなのはも士官候補生だけあって秘匿義務から喋れないようだが、そこはお互い様だ。

 

「少なくとも民間人のお兄ちゃんが巻き込まれている以上、管理局の人間としては放置できません。

 怪しいと思うところがあれば調査しないと。民間人の調査と事件の予防は管理局の大切なお仕事です」

「……理由付けとしてはなかなか立派だな」

 

 連れて行ってもらえないなら、なのは個人が動く理由を作ってついていくということ。

 大人に対して論理で負かそうとは、なかなか大胆な子だとカシウスは笑う。

 単に兄と早く会いたくて仕方なく、兄と同じように人を護りたいだけだろうに。

 

「私は自分の意思で動きます。自分の身くらい自分で護ります」

 

 そのくらいの力はある。この1年間、そして最初の3ヶ月、みっちりとしごいてもらったのだから。

 だがそれでも。

 遊撃士が民間協力者と動くことはあるし、民間人でも凄腕の人間はいる。

 しかしなのははどう見ても見た目からしてこの世界の常識から言えば戦場に駆り出すなど論外。

 

「もう、護られるだけなんて嫌なんです……」

「…………」

 

 止めようと口を開いた直後。

 そのまま何を言えず、カシウスは悲痛な表情を浮かべてやや俯きがちななのはを見据える。

 

「お兄ちゃんは私を助けるためにここに来て、私は何ともなくて。1年もお兄ちゃんを助けにいけなくて……。

 ようやくお兄ちゃんの手がかりを見つけてこっちに来たんです!

 ここまで来て何もできないなら最初から来ません」

「……とは言え、1人ではな。とりあえず君の部隊の上官たちと少しでも話せたらいいんだが」

「……来たのは私1人です」

「なに?」

 

 武装隊だの士官候補生だのと言うくらいだから部隊で来たのかとてっきり思っていたが、

 確かにたった1人の少女がさっきも危ない目に遭っていたのに誰も来ないし、通信で応援を呼ぶ様子もなかった。

 どうやって来たのかと尋ねると、人づてに聞いた、恭也がこの世界に来たときと同じようなことをなのはは言う。

 煙の中を通ってきたと。

 

「帰るアテは?」

「…………」

 

 さすがのカシウスも頭をかくほかない。

 帰るアテがないどころか、本当に煙の先がこの世界かどうかの保障もないのに飛び込んで来たと言うのだから、

 呆れるどころか言葉もない。

 子供ゆえの直情さゆえか。

 

(だがそれだけ彼の事が心配だったわけか……)

 

 兄妹揃って無茶なことをする恭也となのはに、カシウスは苦笑を浮かべた。

 ただ、それだけ彼らが相手のことを大切に思い、相手のために必死になれる人間であることもわかる。

 正直、このまま放っておいても、この子は勝手に動いてしまいそうだ。

 先ほどは無理だと言ったが、1人でリベールまで飛び、遊撃士協会を見つけさえすれば、恭也と会える可能性は高い。

 遊撃士協会では恭也が頼み込んでなのはの目撃情報がないかをチェックしていることもあるし。

 ただ空を飛ぶ魔獣とているし、やはり危険は危険だが。

 結局どこかに匿わせるにしても時間がかかるし、作戦のためにも下手は打てない。

 今の遊撃士協会は危険な場所だし、連れて行こうと行くまいと危険なことに変わりはない。

 

「…………わかった。ただし本当に危ない場所には行かないこと、約束してくれるな?」

「は、はい!」

「なら俺が後はしっかり護ってやればいいだけのことだ。仮にもS級遊撃士だからな。それくらいできんと務まらん」

 

 一度決めたらカシウスも男。遊撃士としてやり遂げてやるのみだ。

 なのはは顔を綻ばせ、思い切り頭を下げて御礼を。

 重い話はここまでだ、とカシウスはいつまでも俺を続けそうななのはを制し、半ば無理やりに話を変えた。

 懐から戦術オーブメントを取り出し、なのはの気を向ける。

 カシウスの狙い通り、なのはは興味深そう。やっぱり子供だ、と思ったことは内緒にして魔法談義など。

 

「えっと、つまり、カシウスさんたち自身が術式を編んで使うわけじゃないんですか?」

 

 術式や何やらと言われてもカシウスにわからないと思い、なのはは試しに"アクセルシューター"の術式を見せてみる。

 虚空に浮かぶ魔法陣とこの世界の人間にはわからないであろう文字。

 なのはの色である桜色に染まるそれらに、カシウスは感心したように「ほう」と瞬きをしながらジッと見てくる。

 その反応が子供のようで、なのはは少し笑いながら彼が「もういいよ。ありがとう」と言うまで術式を展開し続けた。

 

「原動力は何なんですか? やっぱり魔力ですか?」

「魔力……と言うものかどうかはわからないが、おそらく間違いないだろうな」

 

 オーブメントにはエネルギーが蓄えられているが、それはオーブメント自体を動かす動力であって、

 魔法を起こすためのエネルギーとしての魔力とは異なる。

 七耀石には不思議な力があり、それが魔法を起こす源だと一般にも言われている。

 

「う〜んと、つまりそのオーブメント自体のエネルギーはあくまでオーブメントを動かす電池みたいなものなんですね……」

「デンチ? はて、それはいったい何なのかな?」

 

 電気のことは知らないんだなと、なのははカシウスの様子から察する。

 割と先ほどから聞いていると、導力はなのはの世界のエネルギーでは電力に最も似ている。

 原理は全然似ていないのだろうが、使われ方が。

 今では何にでも導力が使用されているのは、電力がそこら中で使われているなのはの世界と同じだ。

 なのははカシウスに電気のことを話すが、意外と当たり前と思っていることを教えるというのは大変だと思った。

 人間は当たり前だと思っているものを、実は「そういうもの」という程度の認識でいる事が多いもので、

 これを説明するのは意外と骨であることが多いのだ。

 

「ふ〜む、なるほど……確かに君の説明を聞く限りなら確かにデンチみたいなものだな」

「たぶん、オーブメントがハードウェアで、クオーツはソフトウェアみたいなものですね。

 ハードを動かすための電池がオーブメントのエネルギーで、魔力はソフトウェア自体が持っている、ってことかな」

「……まるで専門家みたいな言い方をするんだな」

 

 カシウスにもさすがにわかることとわからないことがある。

 なのはの言っていることはどうにも理解できず、

 カシウスはどうしても浮かんでくる知り合いの機械好きの孫のことを思い出してしまう。

 彼女とは歳もそう変わらないだろうし、気が合うんじゃないかなとカシウスは笑った。

 

「あ、あはは……すいません。たまにお兄ちゃんにも呆れられちゃうんですけど……」

 

 機械好きなところを、恭也は馬鹿にはしないが呆れていた。

 なのはのような女の子が機械好きとは珍しいのではないかと。

 悪いことではないのだが、と言い難そうに苦笑いする顔を、なのははよく覚えている。

 

「まあ、動力に関してはそんなところだ。

 ただ、どんなに発動させるのは機械が行っているとは言え、同じアーツでも威力や精度は本人の精神力や技術力が物を言うんだが」

「あ、そこは同じなんですね」

 

 カシウスが先ほどのような風の魔法を見せてくれる。

 小さな竜巻が足元で起こり、今度はその周辺をパチパチと電気が。

 そしてカシウスは緑色のクオーツを抜き取り、今度は赤色のクオーツをはめる。

 すると薪に火をつけたときのように炎が生まれ、青色のクオーツをはめると今度は水が噴き出す。

 

「もしかして、クオーツっていうその宝石を変えるだけで、いろんな系統の魔法が使えるんですか!?」

「そうだ。

 ただし、クオーツにも純度の問題などから性能差があって、強力な魔法を使うには性能のいいものを買い揃える必要があるし、

 強力な魔法の発動には、オーブメントのエネルギーも比例してたくさん必要になるんだが」

 

 なのはにとっては羨ましいというか、少しだけずるいとすら思えることだった。

 なのはたちの魔法は術式を知るために勉強し、何度も構築して練習しなくては使えない。

 最初こそなのはもほとんど感覚だけで魔法を組んだとは言え、ユーノに基礎をしっかり教えてもらってのこと。

 それでも初っ端からいきなり形として発動できるのは珍しいが、

 何も知らずに何でもできるほど、なのはたちの魔法も軽い存在ではない。

 ただその代わり、魔法の種類や魔法でできることとしては、圧倒的になのはたちの魔法の方が上だった。

 

「あとは、魔法をメインに使わない者でも戦術オーブメントは持っている」

「え、何でですか?」

「身体能力を向上してくれるからだよ。『炎』なら筋力などが上がるし、『時』なら速度が上がるといったようにね」

身体強化系(ブースト)がデフォルトでってことですか……へえ〜……ふ〜ん……」

「…………」

 

 あまりに食いついてくるものなので、カシウスがついつい戦術オーブメントをなのはに渡してやると、

 なのはは途端に目を輝かせて戦術オーブメントを手にし、色々と弄り始める。

 もちろん、クオーツを外して見てみたり、オーブメントを掲げてみたりする程度だが。

 

「私にも使えるってことですか?」

「ちゃんと君専用の戦術オーブメントを持てば可能だな。それは完全オーダーメイドなんだ」

「あ、そうなんですか……むう〜……」

 

 少し残念そうになのはは戦術オーブメントを睨んでいたが、ややあってお礼を言いながら返した。

 機械好きなところは本当にティータそっくりだなと、カシウスは世界が違っても同じような人間がいることに、

 次元世界という規模の話が途端に身近に感じられてしまう。

 もっと考え方が違ったり、極端に外見が違ったりとするものを考えていたのだが、

 恭也の件と今回のなのはのことで、先入観は当てにならないなと思わせられた。

 

「まあ、今の君には必要ないだろう。君には君の魔法があるんだし」

「……実はちょっとその点で問題が……」

「ん?」

 

 なのはが神妙に、しかも悪いことをしたかのように体を縮こまらせて。

 特にそんな覚えはないが、とカシウスも首を捻る。

 

 

 

 

 

「実はその……何かこの世界、大気中の魔力が異様に少なくて……レイジングハートとの念話も上手くできないんです」

 

 

 

 

 

 レイジングハートはおそらく喋る杖のことだろうと当たりをつけるカシウス。

 念話とはよく本などでもあるが、なのはがすぐに念話で話しかけてきたもので、

 頭の中に直接声が届いたようなその感覚に、カシウスも多少いきなりで驚く。

 彼の様子に、なのはは少しだけ仕返しができたようで笑っていたが。

 レイジングハートが何か喋り出すものの、生憎カシウスにはわからず、なのはが代わりに通訳してくれた。

 

「レイジングハートが言うには、多分、このクオーツっていう宝石の原石が原因じゃないかって」

「クオーツの原石というと、七耀石か? そりゃまたどうして?」

「たぶん、大気中の魔力が少ないのもこれが原因なんです。

 この世界の魔力は大気中にあるんじゃなくて、こうしてこの……七耀石、でしたっけ?

 こうやって石の形で存在しているんだと思うんです。あの、魔獣が魔法を使うことってありますか?」

「ああ、あるな。アーツが強力な魔獣も結構いるぞ?」

「魔獣がこの石を食べるとか、もしくは石そのものの魔獣とかは?」

「どちらも確認されているな」

「じゃあ、やっぱり間違いないと思います。この石が魔力になっているから魔獣はオーブメントなしにアーツが使えるんだと思います」

 

 だから使い手の魔力が関係ないのも頷ける。

 魔力がない世界もあるわけで、基本的な物理法則等は世界間であまり差はないが、魔力や魔法に関してはそういう面がある。

 元々魔法のある世界でも魔力のない人間がいるように、魔法については先天的な要素が大きく、

 世界自体が魔力に優れた世界なのかそうでないのかということがあってもおかしくはないだろう。

 あまりその辺りはカシウスにはわからないが、とりあえずわかることは1つ。

 

「俺を騙したな?」

「あう……」

 

 魔法が使いにくいのに魔法を使って手助けするだの、自分の身は自分で護れるだのと。

 カシウスが少しだけ厳しい視線を向けると、なのはは小さい体をより縮こまらせる。

 そのまま無言の圧力で責め立て、なのはは反論できず、ごめんなさいと謝るばかり。

 

「やれやれ……彼に会いたいのはわかるが、大人に嘘をつくのは感心しないな。仮にも命に関わることなんだぞ?」

「ごめんなさい……」

「……まあ、もう一度言ってしまったことを今更反故にはできんしなあ。

 ちゃんと最後には隠さずに言ったわけだし、それに免じて許そう」

 

 民間人の保護は遊撃士の義務。

 どのみちカシウスはなのはという『迷子』を見つけた以上、保護し、安全を確保しなくてはならない。

 

「とりあえず今日はもう休もう。明日は悪いが朝早く発たないとならん」

「お仕事ですか?」

「定時連絡のために町に戻る必要がある。それと……君のその服はどうにも目立つからな。服屋で調達せんと」

「あ……確かにこの服はちょっとまずいですよね」

 

 バリアジャケットは確かに目立つ。

 それに魔力がかなり食われるため、なのははすぐにバリアジャケットを解除し、元の聖祥大付属小学校の制服に戻す。

 これでいいですか、と顔をやれば、君の魔法は便利だなあと苦笑いするカシウスが。

 

「とは言え、荷物もないようだから……服もそれだけだろう?」

「……はい」

「本当に考えなしにきたんだな……彼に会いたい一心なんだろうが、もう少し物事を考えて行動するようにしなさい」

「気をつけます……」

 

 計画性がないと恭也に言われたこともあり、また士郎と似ているところのあるカシウスの説教に、

 なのはは何も反論できずに謝って返すのみだった。

 

 

 

 

 

――続く――

 

 

 

 


あとがき

 シンフォン

  こんにちは、シンフォンです。

  恭クロや、格好いい恭也をみたかった人達ごめんなさい(笑)

  今回の焦点は、弾頭の補給に難のある魔砲少女とおひげのおじさんです。

  まあ、メインは双方の「魔法」のあり方。

  リリカルと空の軌跡をクロスさせる上での設定的な擦り合わせですね。

  今後、二人がどうなるか、なのはがいつ恭也に再会できるかは語ることはできませんが、

  とりあえず、もうちょっとで再び恭也が焦点に。

  いよいよ、大きくうごきだす空の軌跡1stの物語。彼の介入でどう話が動くのか・・・。

  FLANKERさんの手腕にこうご期待!w

 

 クレ

  というわけでソラツバ20でしたが如何だったでしょうか?

  恭クロがないので比較的冷静なクレです。

  さて、今回のことを簡単に纏めてみる。

 

  ・気配読みは高町家ではデフォ

  ・お兄ちゃん、ちょっと「おはなし」しようか

  ・魔王無双封印!

こんな感じでしょうか(笑)

  恭也を表ルートとするならなのはは裏ルート。

  恭也の存在が物語に変化をもたらしたように、なのはの存在もまた物語に変化をもたらします。

  それが良い変化なのは悪い変化なのかは今後の展開を見逃すな!ということでひとつ(笑)

  ……FLANKERさーん、恭クロまだー?(ぁ

 

 FLANKER

  関西人の私としてはいろいろとツッコみたい人がいるが、まあ私も冷静になって今回は抑えておこう。(笑

  というわけでFLANKERです。

  このところの遅さには誠に申し訳ありませんが、作家陣も各々の仕事が忙しく、なかなか話し合いができない状況で……。

  私個人についてはまだいいとしても、他の皆さんは忙しい身ですので、それについては御了承ください。

  さて、なのはがやってきてカシウスと会ったわけでありますが、この時期のカシウスは帝国に出払っていた身。

  今しばらくはなのはも恭也とは会えないですね。感動の再会はちょっと後に取っておくといたしましょう。

  なのは問題は未だ全て解決とはいかず、少しずつ詰めている状況です。

  本当にこの問題児は……まあ、手のかかる子ほど可愛いとは言いますけれども。(苦笑

  基本的になのはも空の軌跡の魔法設定に比重を置いて従うという方向で行きます。本来の魔法は切り札的なものでしょうかね。

  いや〜、あんな砲撃バカスカ撃てたら、トロイメライだろうが吹き飛ばし、封印区画に大穴空けちゃいそうですし。

  歴史的建造物にそんなことしたら考古学者のユーノくんにブチキレられますよ。(笑

  そんな冗談はさておき、というか捨て置き。次回はツァイスに向かったエスヨシュ。

  この2人のサイドは原作通りに進むことなので、ちょっとした幕間のような感じでお楽しみくださると助かります。

  それでは失礼をば〜。

 

  ……恭クロは少なくともエルベ離宮人質解放作戦まで我慢しなさい。(笑

 

 enna

  はい、こん〇〇は、ennaであります。

  カシウス・なのはサイドでお送りしたソラツバ20話、いかがでしたでしょうか?

  なのはからしてみれば、ようやく見つけた恭也への手掛かりですから、

  カシウスさんから離れよう等とは考えてもいないでしょう……。

  まあ、カシウスさんの方が危険地域真っ只中にいるなのはを放り出すこともないでしょうがw

  ともあれ、なのはは暫くの間、カシウスさんと行動を共にすることになります。

  その間にも、様々な事が恭也達を襲う事になりますが……ま、その辺は次回以降にて。

  ではでは、次もお楽しみに!

  「イース7を買って、ただ今絶賛ハマリ中!」なennaでした〜w




今回はなのはサイドのお話。
美姫 「恭也の事を知るカシウスといきなり出会えたのは運が良かったとも言えるけれど……」
うーん、どうも時期的には運が良いとも言い難いみたいだな。
危険地域の真っ只中って感じだし。
美姫 「なのは自身の魔法も制限されるみたいだから、自分の身を守るのも簡単じゃないでしょうね」
そんな状況下でどうやって動く事になるのか。
美姫 「恭也との再会を楽しみにしつつ、次回も待ってます」
待ってます!



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