「ぐす……圭一…………」


泣いている梨花に影がさした

梨花が振り返ると、そこには羽入がいた

羽入は真剣な顔をして


「梨花……まだ、あいつに勝つ方法は残ってます」


その言葉に梨花は眼を見開き羽入を凝視する


「でも、この方法を使うと、もう繰り返すことはできなくなるのです」


「……どういう意味?」


「僕と梨花が一体化することで時魔法が使えるかもしれないのです」


時魔法――魔法使い達が目指す一つの到達点、現代最強の魔法の一つ、術者の力量によっては死をも越えると言われる

昔から魔力が溜まるような特別な場所(雛見沢)にかかる事はあるが個人でこれを使える人は現代には世界で三人しかいない

しかし、時間を繰り返すことが出来る羽入と、その血縁である梨花の力を合わせれば雛見沢内でなら使うことができるかもしれない

梨花は立ち上がると周りを見渡し

レナ、魅音、沙都子、詩音、悟史、そして圭一を見た後、羽入のほうを向き






「いいわ。やりましょう。このくだらない悪魔の脚本を終わらせるために…………」










 ひぐらしのなく頃に


  〜裏運命編〜


第六話 運命の崩壊









「う……ん、ふぁ〜」


布団からおきあがり窓を全開にした


「う〜ん! 今日も空気がおいしいな」


朝の爽やかな空気を浴び俺は自然と呟く

俺ってこんなキャラだっけ?


「それにしても何か壮絶な夢を見ていたような……」


う〜ん、なんだっけな?

みんなと一緒に何かをしてたような……

俺が考えに更けていると


「圭一〜! ご飯できたわよ〜!」


「今、降りる!」


母さんに返事をしながら俺は一旦考えを打ち切って下へと降りる

降りるとリビングから香ばしい良い匂いがしてきた

ふむ、この匂いは、ご飯とお味噌汁とアジの開きだな


「いただきます!」


速攻で席に着き食べ始める

まずは、お味噌汁

う〜ん! この適度な味噌の濃さが良い!

うん! アジの開きはご飯とあって最高だ!

東京にいた時の俺は毎日この飯をボイコットしてたんだよな……

今、眼の前にその時の俺がいたら殴ってるな


「ごちそうさま!」


俺は食い終わると直に部屋に戻り制服に着替える

レナを待たすわけにはいかないからな

着替え終わるとカバンを持って玄関に下りる


「行ってきます〜!」


「行ってらっしゃい。レナちゃんと仲良くね」


母さんの言葉を後ろに聞きながら俺は待ち合わせ場所へと向かう

ん? なんでレナの名前が出たんだ?

そんなことを思いながら俺は待ち合わせ場所へと急いだ
















「あっ! 圭一君! おっはよ〜!」


待ち合わせ場所につくと、いつもどおりレナがいた

本当にこいつは何時に来てんだか


「おはよ〜レナいつもながら早いな」


レナは俺の言葉に満面の笑みで……




「だって、彼氏を待つのは彼女の役目なんだよ、だよ」




「そうか、そうか。まあ彼女は待つ役目だよな〜」




うん、うん、レナらしいな、彼氏を待つのは彼女の……え?




「レナ、誰と誰が彼氏彼女だって?」




レナは俺の言葉が意外だったのかきょとんとした後




「そんなのレナと圭一君に決まってるんだよ、だよ」




OK、どうやらさっきのは聞き間違えじゃなかったみたいだな

うん、と言う事は俺はレナの彼氏でレナは俺の彼女ということだな

…………って、なんじゃそりゃぁぁ〜!! 落ち着け俺!これは、どうせ魅音とかの企みか何かだ!

今日の部活に関係あるのか? それなら早急に対処しなければ! 罰ゲームなら速やかに順応するんだ!

だ〜!! 順応してどうするんだ!? クールになるんだクールに! まずはレナの様子から何かを感じ取るんだ!

YES! MY理性!

俺がレナの方を向こうとすると先にレナが顔を覗き込んできて




「どうしたの圭一君、体調悪いのかな、かな?」




ああ〜、もう何かとろける〜俺の脳がとろける〜

はっ! なんて表情だ!俺の萌心をこれだけ高鳴らせるとは!

こうなったら! ドッキリだろうがなんだろうが楽しんでやる!




「いや、大丈夫だぜ。それより、そろそろ行かないと魅音に何か言われるぞ?」






「魅音って誰?」






レナのその一言は俺の心を固まらせるのに十分だった

今、レナは何て言った? 魅音を知らない? これも嘘か?




「冗談きついぜ。それじゃあ何だ? 沙都子、梨花ちゃん、悟史、詩音も知らないってか?」




軽く言ったつもりだったが言葉が震える

レナの表情から真偽は読み取れない

元から本心を隠すことがうまいレナと言うのもあるが俺が動揺していたのも理由の一つだった






「知らないよ。東京のお友達?」






レナの言葉から俺の思い違いかと考えた

でも、どこかでこのことを否定している俺がいる

あいつらが俺の空想の人物などありえない

その時、何故か夢のことが頭をよぎった




「夢? 夢のハズがない、だってあれは……」




そうあれは、確か……




「圭一君!」




「はっ!」


何か掴めそうな気がしたがレナの声でまたわからなくなった

せっかく開きかけた扉が閉まってしまった感じだ


「早く行かないとちこくしちゃうんだよ、だよ」


「ああ……行こうか」


釈然としないものを抱えつつ俺達は学校へと向かう

歩き始めると直にレナが手を握ってきた

俺は、不思議とその手に何も感じられなかった

俺に向けてくるレナの笑顔、温もり、存在、全てが曖昧なような気がした
















「行くよ羽入」


「はい」


羽入は実体化をとき、梨花と一体化する

すると、それだけですさまじい魔力が迸る

単純に考えても梨花+羽入ぐらいあるが今の梨花達の魔力はそれ以上だ

これこそが絆の強さ

1+1は2ではなく3にでも4にでもなる

今の梨花達は圭一すら越える存在となっていた


「ぬ!?」


そのすさまじい魔力に酒呑童子はおどろきとともに梨花を見る

しかし、魔力の出所が梨花とわかると表情を再び余裕へと変える

実際、魔力は圭一より上でも戦闘力は圭一の方が上だ

何故なら圭一は己の魔法を熟知していて、その魔法を完璧に使いこなせていたからこその強さだからだ

だが、梨花達の能力は云わば未知数

まあ、だからこそ酒呑童子を倒す可能性があると言えばそうだが


「どうした? 仲間が殺されるのをみて気でも狂ったか?」



「ふん! とりあえず、あなたを倒してやろうと思ってね」



酒呑童子の挑発を軽く流しギッと魔力を溜めると








「時波逆流」








すると、倒れていた魅音達の体が光に包まれる

そして、巻き戻しをするかのように体の傷が消えていく

五秒ぐらいで、みんなは無傷の状態になっていた


「あれ? おじさん確かやられたはずじゃ」


「どうなっているんでございますか?」


「むう〜」


「これはいったい」


「まさか、伝説の時魔法とは、なかなか楽しませてくれる」


しかし梨花には、誰の声も聞こえていなかった

その視線にあったのは圭一とレナ、どちらも体の傷は戻っているが起きる気配はない

    ・・・・
時魔法は極めれば死をも越える

まだまだ、未熟な二人には圭一達の魂の復活までは出来なかった

梨花は唇を噛みながら涙を耐え




「みんな! あいつを倒す!」




みんなには、それだけで全て通じた




「圭ちゃん……レナ……」


「圭一さん、レナさん……」


「レナ…………圭一」


「圭ちゃん、レナさん……」




みんなは圭一達をチラッと見ると、みな一様に憤怒の形相で酒呑童子を睨みつける

そんな、梨花達を相手にして悠然と立つ酒呑童子

圭一にやられた傷はもう無く最初と違うのは体力だけという状況だった




「さあ、こい! 人間ども!」






「「「「「「ああ〜!!」」」」」」






一斉に全員が突撃した

だから圭一の体が動いたことには誰も気づいていなかった
















「ッ!?」


「どうしたの? 圭一君?」


学校が終わりレナと一緒に帰っている途中に俺は何かを感じた

学校にも魅音達がいた形跡がなく本気で夢の人物かと思い始めていたが今のが、また俺にあれは現実だと伝える

キーはやはり朝見た夢である

そしてレナは何かを知っていると言うことだ

こうなれば、一か八か



「レナ」



「何、圭一君?」


レナは感づいているのか少し警戒しているようだ

しかし、それで俺の考えは確信へと強まる






「みんなの所に戻ろう」






瞬間、レナはかなり動揺する

こういう場面では冷静沈着のレナがここまで動揺すると言うことは俺がここまでわかっているとは思っていなかったんだな

唯一の長所が口先なのを思い知らせてやる!

…………言ってて悲しいが




「何言ってるのかな? レナわかんない」




「レナ、芝居はいいだろう? 俺はもうわかってるんだ、あの夢が現実でこれが夢であることを」




レナの表情が悲しみで彩られる

どうやら合ってるようだな

結構半信半疑だったがな




「でも、圭一君あそこに戻ったら、また死ぬような戦いをしないといけないんだよ!?」




今まで見たことも無い悲しみでの激昂




「私は! 圭一君に傷ついてほしくない!戦って欲しくない!」




俺と眼があうのが嫌なのか下を向く




「レナだけを見ていて欲しい!」




レナの言葉の一つ一つが靄のかかった記憶を払っていく

そして……








「だってレナは圭一君のこと愛してるんだもん!」








その言葉とともに俺の記憶は戻り

周りの風景は消え宇宙のような漆黒の空間になる

俺とレナの姿も戦っていた時の姿に戻っている

レナは、その場にへたり込んで下を向いている

時折、光るものが落ちているのが見えたが何も言わなかった



「心配してくれて、ありがとう。だけど俺は大丈夫だから」



できるだけ安心するような口調で話す

すると、レナはゆっくりと顔をあげ俺の顔を見る

そして、何かを考えた後フッと笑って




「やっぱり梨花ちゃんには敵わないのかな……」




って、そっちのほうか確かに梨花ちゃんも大切だが……




「何言ってんだよ! 俺は全員が大切だって!」




レナがいて魅音がいて沙都子がいて梨花ちゃんがいて悟史がいて詩音がいて羽入がいる

そんな日常が俺は大好きで、そして守りたいんだ





「俺が欲しいなら! 頑張って俺をほれさせてみろ! 今はまだ誰にも恋愛感情はないからな、うん? でも俺のことを好きなのはレナだけだしな……」





「ふふっ! 何それ、まったく圭一君は? 本当に鈍感なんだから!」





「へいへい、どうせ俺は鈍感ですよデリカシーないですよ〜だ」




「「ハハハッ!」」



顔を見合わせ両方とも噴出してしまった

レナも俺の言葉を聞いて元気を取り戻してくれたみたいだし

それにしても、なんであそこで鈍感が出てくるんだ?

部活っぽく言ったのがダメだったかな

まあいいか



「レナ」




俺はレナへと手を伸ばす






レナも俺へと手を伸ばす






二人の手が重なり合った瞬間、世界は光に包まれた
















「いっけ〜! 風弾風玉!」


魅音は酒呑童子へと向けて高圧縮された風の塊を連発する

しかし酒呑童子には浅くしか傷がつかず直に回復してしまう


「こざかしいわ!」


「結界二式・土壁!」


魅音へと放たれた真空波を沙都子が土の盾で防ぐ

先ほどからこのような戦いが繰り返されている

みんなの技は致命傷を与えられず

反撃され、それを他の人が防御する

このままでは魔力・体力がつき梨花達が負けるのは必須だろう


(どうすればいいの! 奴は直に再生して……再生! そうかなら)


「悟史! 詩音! 何とか一分持たせて!」


「「了解!」」



「闇黒激風」



「鬼怒雷突」




闇の暴風と雷が同時に酒呑童子をとらえる

さすがに効いているのか酒呑童子は顔を歪める


((いける!))


二人はそう思いさらに力を込める

しかし、酒呑童子は眼をカッと開くと




「この程度で!」




「「うわ〜!」」



剣で全てを切り裂き逆に霧散した闇エネルギーを加え悟史たちに放つ

二人は攻撃に全て注いでいたため抵抗できず飛ばされる

そして魔力を溜めている梨花に気付き攻撃しようとしたが遅く魔法は完成する








「時空改変」








すると梨花へと攻撃しようとした酒呑童子の手が止まる




「うっ! 何故傷が治らない!」




今までなら数十秒で治ってしまう傷が一向に治る気配がないからだ

酒呑童子は、あせりながらもこれが梨花の魔法のせいであることはわかっているから梨花へとすさまじい形相で突っ込んでくる




「おじさん達を忘れてもらっちゃあ困るよ! 風来風月!」


「梨花になにするんですの! 土砂岩爆!」


「ぐっ!!」


酒呑童子は梨花へ攻撃するのをやめ魅音達の技を交わす

今の酒呑童子は回復ができないため、できるだけダメージを負いたくなかったのだろう



「「闇弾! (雷弾!)」」



魅音達の攻撃を交わし着地した瞬間を狙って悟史達が技を放つ

質より量と言うことだろう

何千何万にも及ぶ攻撃は流石の酒呑童子も交わしきれずまともに喰らう

攻撃が収まると酒呑童子は膝をつく体のあちこちは傷だらけで腕は一本なく眼も何個かつぶれ角も何本か折れている

梨花達も決して無傷ではないが回復がなくなった今、梨花達が圧倒的有利だ

しかし、みんなは勝利を確信していても気を抜くことはなかった

勝負の最中に気を抜くなど愚の骨頂だと言うことは普段の部活で嫌と言うほど学んでいる

そして、酒呑童子を囲む様に立つとトドメを刺すために一斉に攻撃を放とうと魔力を溜める

酒呑童子は動こうにも動けない

今までは驚異的な回復力のため痛みを長時間耐えると言う事がなかったのが幸いしている




「これでトドメよ!」




梨花の合図とともに、みんなの攻撃が一斉に酒呑童子を捕らえる

そして爆発が起き爆風が吹き乱れる

爆風が収まると上空から何かが落ちてくる

落ちてきたのは酒呑童子の首だった

梨花達は、それを見て一瞬、顔をしかめる

そして、だんだんと敵を倒したことを理解し




「「「「「…………」」」」」




無言で涙を流す




嬉しさと悲しみの混ざった涙であった




これで惨劇は終わった忌まわしき悪魔の脚本は終結は終わる…………そう思ってた






酒呑童子の眼が突然見開き宙に浮き梨花へと襲い掛かってくる






「「「「「ッ!?」」」」」






みんなは一瞬、遅れて気付くが遅かった






「「「「梨花! (梨花ちゃん!)」」」」






みんなが叫ぶが梨花は動くことができず眼を驚きで見開き絶望の表情をする






酒呑童子は、その凶暴な歯が梨花に触れそうになった時






「炎波天昇」






一瞬速く炎の龍が酒呑童子を吹き飛ばす

そして吹き飛ばされた酒呑童子に向かって一人の少年が剣を携え






「光天剣」






巨大な光の刃が酒呑童子を飲み込み

一片も残らず消滅させる

少年は一人の少女と一緒に梨花達の所に向かってくる

みんなは最初は呆然としていた

誰かはわかっている

けれど、期待し違ったときの落胆が恐いからだ

恐る恐る相手の顔を見る






「「「「「「う……うう…………圭一!レナ!」」」」」」






みんなといつのまにか戻っていた羽入が涙を流しながら少年達を見て叫ぶ

先ほどと違い、その涙は嬉しさだけだった

圭一とレナは、涙を堪えながら笑顔を見せ






「「みんな……ただいま!」」






梨花達は顔を見合わせると頷き








「「「「「「おかえり!」」」」」」








みんなは笑顔で仲間の帰還を喜ぶ




手を取り合わせて喜ぶ




笑顔で涙を流す




しかし、突然圭一は後ろを向く




そこには宙に浮いている酒呑童子の剣があった




「あれが全ての闇か……」




みんなが驚く中、圭一は静かに喋りだす




「恨みの集合体これが酒呑童子を闇へと堕とした」




確かに剣は禍々しいほどの闇のオーラを纏っている




「これが最後だ。こいつを倒したら全て終わりだ」




圭一はマントを取る、するとその剣は漆黒の剣へとなる

圭一は光輝く剣と漆黒に輝く剣を構えるとみんなのほうを振り返る

みんなは圭一の顔を見ると一斉に頷く

圭一は軽く微笑むと






「みんな、行くぞ!」






圭一が闇へと走り出す、その後を追うように、みんなは走り出した

闇は全てを飲み込むかのように闇の斬撃を放ってくる

巨大な斬撃を圭一は光と闇の斬撃で相殺していく

全てを相殺すると圭一の後ろから魅音と詩音が飛び出し






「「鬼風鬼雷!」」






荒れ狂う風と雷が剣を直撃する

次に沙都子と悟史が






「「闇黒死地!」」






地面から吹き出るように闇の奔流が剣を捉える

そしてレナと梨花、羽入が






「「「水火氷撃」」」






水と火、氷が混ざり合いながら巨大な暴風が襲う

直撃し軋む音が響く

だが全ての攻撃を受けきるとオーラが増してきた

しかし圭一は攻撃が放たれる前に両方の剣を煌かせながら








「破光闇剣!」








光と闇のエネルギーの奔流が混ざりあい圭一達の視界を防ぐほど巨大なものになり襲い掛かる

だが、相手も圭一が攻撃を放ったすぐに行動を起こしていた

全体からオーラを噴出すと自ら破光闇に突撃した

ぶつかりあう巨大なパワー

負けそうになると圭一は、もう一度破光闇剣を繰り出した

先ほどと同じ様に放ったら終わりの物じゃなく魔力をこめ続け放出し続けた

少しの間ぶつかりあいは拮抗していたが圭一の魔力が限界にきたのか少しずつ後退し始めた






「ぐっ!」






押し切られそうになった時、後ろから炎、風、土、氷、水、雷、闇の攻撃が圭一の攻撃と混ざりあい押し返す

圭一が後ろを振り向くと、そこには全ての力を振り絞るかのように使っている仲間がいた








「こんの〜!!」








その光景を見て圭一はさらに力を込める






圭一達の攻撃に耐えれなくなったのか刀身に無数のヒビが出来る






それを感じ圭一達は痛む体にムチうち全ての魔力を搾り出す






「みんな! もう少しだ! 終わったら夏休みを楽しむぞ〜! 光竜――」


「圭一君! 終わったらデートしてね! 火竜――」


「え!? レナいまの発言は!?……うぅ〜後でしっかり聞くからね! 風竜――」


「デ、デート!? 圭一さん! 明日覚悟していてくださいませ! 黄竜――」


「……ふふふふふふふ「り、梨花! 向けるほう間違ってるのです!」ほんの冗談よ。氷竜――」


「あうあうあう、絶対本気だったのですよ……まあ僕には関係ないのです。水竜――」


「悟史くん! 私たちもデートしましょうね! 雷竜――」


「むぅ、恥ずかしいよ。でもいいよ。闇竜――」


軽口を叩きあい苦しいはずなのに笑みが浮かんだ

そして髪がゆれ魔力が竜へと変化し上空に現れた








「「「「「「「「――真・滅・波!!」」」」」」」」







八匹の竜は咆哮をあげながら混ざり合い一つの竜へとなった

そして目の前の闇目掛けて光を闇を自然を引き裂きながらぶつかった







「「「「「「「「いっけ〜!!」」」」」」」」







遂に剣の刀身は砕け散り光となった攻撃は剣の本体を飲み込む

それと同時に起こった光が圭一達の視界をうめる








「「「「「「「「はぁはぁはぁ…………」」」」」」」」








光が収まり雨の音が場を占める








そこには酒呑童子も剣もなかった








圭一達は互いに顔を見合わせると微笑みあい――倒れた








だが、みんなの顔には自然と笑みが浮かんでいた








降りしきる雨の音だけが静かに鳴響いていた








ひぐらしの声は、もう聞こえなかった…………






あとがき

圭一達の大逆転勝利〜!!

梨花「一次はどうなるかと思ったのですよ」

いや〜まさか勝てるとはね

梨花「でも剣がラスボスだったのですか?」

正確に言えば酒呑童子の恨みの念がこもったため自我をもったんだ

梨花「つまり酒呑童子が生きている間は自我は無かったってことですね」

そういうこと

梨花「それじゃあなんで圭一達は生きていたんですか?」

それは次の話でわかるよ

梨花「次はエピローグなのです」

そこで重要な役割を持つよ

梨花「気になる方は次話エピローグを待ってください」

それじゃね〜





おおー、逆転だ〜。
美姫 「本当にどうなるかと思ったけれどね」
うんうん。次でいよいよエピローグなのか。
美姫 「どんな結末が待っているのかしらね」
次回も待ってます。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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