『An unexpected excuse』

  〜吉野千絵編〜


「俺が、好きなのは…………」

「どうも〜」

「「「「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」」」」

恭也と美由紀希は気配を読んでいたのでよかったのだが
相手の気配を読めないものは突然登場した少女に絶叫をあげた。

「吉野さん突然現れるのはよくありませんよ」

「しかしこれは私のアイデンテティみたいなものですし…」

「たまには普通に登場してくれませんか」

「う〜ん……わかりました。今度は高笑いしながら登場することにします」

「いや勘弁してください」

そんな二人のやりとりを見ていた面々はだが、とりあえず忍が声をかけた。

「恭也、その子はだれ?」

「彼女は吉野千絵さんだ」

「はぁい、吉野です」

「なぜ海鳴にいるのかは知らんが……」

「えっ、恭ちゃんと会う約束とかしてたんじゃないの?」

「いえ、本日は私たちの学校の用事で海鳴に姫たちと来る必要があったのです。しかし浅間が
私の分の仕事も変わってくれるということで手持ち無沙汰となってしまった為、だったら風芽丘に来て
高町くんに会っていこうかと学校内を散策させて貰いましたが見当たらない状況。
となると今までの高町くんの取るであろう行動パターンから推測し、屋上に向かってみたものの
ここでも肩透かしを食らいました。
そこでどうして見つからないのか考え、ふと今の時間で食堂にもいないとなれば残る候補はここ
……ということになります」

「はぁ、すごい情報判断力ですね」

「恐縮です。これでも姫の執事兼参謀兼お守り役ですから」

よく舌を噛まないものだと恭也や美由希たちは感心していた。

「だがショックです。俺も単純な行動しかしていないと言われてる気が……」

「そうとも言うかもしれませんね」

「なんだか負けた気分です」

「ならば勝者はご褒美をもらえると思うのですがw」

「たしかに…。なら翠屋のシュークリームでいいですか」

「いえ、それよりも別のものの方がいいですね。」

「?」

「失礼します」

そういうと吉野さんは抱きしめてきた。
あまり会えないということで大胆に甘えてきたのである。

「うん、この匂い……すーはー」

「汗臭くないですか?」

「……平気です。それにしてもあいかわらず麻薬みたいな効果をお持ちですね」

恭也はなんとも言えない表情をしていたが、嫌がっていないどころか嬉しそうにしていた。
家族や友人たち、FCも全員それがどういうことか理解した。



「は〜、恭也があんな顔してるよ」

「恭ちゃんがのあんな顔、なのは以外にしてるの初めてみましたよ」

「お師匠もやりますな〜」

「たしかにな〜」

「ちょっと嫉妬しちゃいますね。しかもまだ抱き合ってるし」

抱き合いはじめてから、10分たっても離れることがないのでFCの面々は立ち去っていった。
それからしばらくして昼休みの終了のチャイムが鳴り響いた。

「恭也〜、私たち先戻るね」



恭也に抱きついたまま吉野は声をかけた。

「チャイム鳴っちゃいましたね」

「そうだな」

二人きりになったという事で、口調を本来のものに戻すのであった。

「恭也はこれから授業は大事だったりしますか?」

「いや元々自主登校だし」

「ではもうしばらくこのままで///」

「千絵はやはりエッチだな」

「そ、そんなことはない……ざますよ!?」

「いや、エッチだ」

「いえいえ、あなたの方がエッチです」

「いやいや……」

「いやいやいや……」

そんなやり取りをもうしばらく続けている二人。
はたからみるとおかしな事をしている二人なのであった。



「いつまでもこんな押し問答しててもしょうがないか」

「そうですね…。ではどこかお勧めの場所にでも連れて行ってください」

「臨海公園でいいか。そこでタイヤキでも食べよう」

「以前言ってた、カレーとチーズですね?」

「ああ」

「では早く行きましょう。こっちに住むようになったときの為に色々な場所を覚えなければ……」

「えっ?」

凄まじい一言をついでのように言う千絵の方を見ると不吉な笑みを浮かべていた。
これ以上、ドッキリはないよなと心配をする恭也なのであった。





<おわり>



何か行動的というか。
美姫 「凄い子ね」
うん。人前であそこまでするとは。
美姫 「牽制の意味もあったりしてね」
参謀というぐらいだしな。
美姫 「でしょう。それに最後にさりげなく一言を」
しかも、その後に笑顔。この後、何かあったのか、なかったのか。
美姫 「ちょっと想像してみると楽しいわね」
うんうん、投稿ありがとうございました。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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