お読みくださる皆様へ
今回はネタの為に「とらいあんぐるハート3」「IZUMO2」以外の作品が物語中に出てきます。今後出ないですが今回だけでます。






トライアングル IZUMO   
不破たる剣の閃記



7話「彼は決して絢爛舞踏とは関係ないはずです」











「まぁ、待て待て。其処まで殺気をだすもんじゃない。俺は君達に危害を加えるつもりは無いよ」
それが馬に乗った男の最初の言葉だったが、そう言われても恭也としては警戒を説く理由は見当たらない。
両脇の明日香と芹より少しだけ前に出て何時でも庇えるような体勢を取る。
その様子に男は苦笑しつつ
「すまん。俺達も戦続きで気が立ってたんだ。後ろの部下達を少し下がらせよう」
男の行動に恭也は内心の動揺を隠しつつ、少しだけ警戒を解くそぶりを見せる。が、同時に幾つかの疑問を持った。
(・・・後ろの隠れていた連中と違って余裕すら感じる態度。それに戦?何と戦ってる?)
必死で状況を理解しようとするが、頭が良い悪い以前に不可思議な出来事が多すぎて判断できない。
その恭也の混乱を上乗せする一言が男から放つ。
「あんまり懐かしんで驚いたな・・君達、出雲学園の生徒だろ?」
「は、はい!」
深まった疑問で答えなかった恭也ではなく明日香が答えた。
明日香の答えに満足しながら何処か遠い目ながら面白い物を見る笑顔になり
「女子の制服は変わったんだなあ・・・あっちは、何年経ったんだろうな」
「「「・・・」」」
3人はキョトンとした表情で男をみていた。
明日香、芹は元からだが、話しているうちに恭也も目の前の男は敵で無いと薄々だが感じるようになってきている。
そして感傷から帰ってきた男は笑顔を向け
「その様子じゃ事情が飲み込めてないんだろ?」
「・・・そうですね」
肯定した恭也に男は続けた。
「まず俺の名前だが塔・・カグツチ。此のネノクニを治める人間側のリーダーをやってる」
「ネノクニ?」
一瞬、根源世界を思いつきそうになるが違う世界なので捨て置く。
「まぁ一言で言えば死後に来る世界・・ついでに人間以外にも悪霊とかもいるぞ」
「・・・」
小説なので御見せ出来ないが3人は顔が引きつったり開いた口が塞がらない状態になっている。
恭也でさえ呆然としているくらいなのだ
(此の人、頭大丈夫かな?)
(関ってはいけない人かも?)
挙句に声に出さないが芹や明日香は結構酷い事を思っていた。





「どう説明すれば分かってもらえるかな?」
目の前の3人を見ながらカグツチは本気で困っていた。
科学的に説明できる物ではないし、出来ても相手が理解できるのかと言う問題も来る。
かと言って「此れは呪法の力です」で通じるとは葦原の国の性質を考える絶対に無理。
(それにしても・・・なんていうか・・何処かで視たような子供達だな?)
目の前の3人を見ながら昔の友人達を思い出す。
ふと苦笑しようとした時、恭也から不思議な呪力を感じた。



「此の気・・・蔓と契約したのか?」
「どうして、それを?」
カグツチの発言に唯一事情を知っている為か恭也は思わず声を上げた。
「その様子だと勝ったようだな。フム・・・」
「アレが悪霊ですか?」
自分は悪魔(悪霊)と契約してしまったのか?と言う感情から少しだけ不安になる。
対するカグツチは、その言葉に少し困った顔になるが
「あれは正確には精霊だな。だが、他の大型の獣とかは悪霊で間違いは無い。そう言えば考えてみてくれ。あんな生き物は君達の世界には居ないだろ?」
恭也には突然変異種とか昔山の中で戦ったとか色々と反論は出来るが一般の常識から言えば反論は無意味である。
そして一応の常識人たちである二人は
「本当に死後の世界?」
「そんな・・・私達死んじゃったの!?」
見事に信じきっていた。








「そうじゃないから、話しがややこしいんだがな」
腕組をしながらカグツチは難しい顔をする
「君達は生きたままでネノクニに来たんだ、昔の俺のようにね」
「それ「カグツチ様!」」
昔の俺と言う言葉の意味が気になって聞き返そうとした時に一人の男が駆け出してきた。
「なんだ?」
「敵の残存部隊発見の方を知らせに来ました!距離は数一〇里先の森に潜伏してるとの事です」
僅かに思考すると
「追撃命令を!ゼンギョウを隊長として騎馬隊を中心に編成を急いでくれ。弓隊と槍隊は引き続き周辺の索敵を!」
「は!」
カグツチの命令を受けた男は直ぐに消えた。





3人は状況が現実離れしすぎた所為で付いていけるのか不安になっていた
それでも物語りは進む。
「此の道を下って半日ほど進めば里がある。其処に向かってくれ!俺も夜には戻ってくる」
道を指差しながら馬に鞭を入れて走り去っていく。
「「「・・・・」」」
暫く何も言えずに立ち尽くしていたが遂に恭也が口を開いた
「とりあえず坂を下っていくか?」
「そうね」
前に進むかしか道は無いと言わんばかりに3人は空元気を出して進んで言った。



















「疲れた〜暑い〜!」
空元気を出して進んで行ったはいいが、3時間も歩けば流石に疲労は蓄積する。
そんな訳で芹は大声で叫んでいた。
(太陽の高さからして3時間か・・)
士郎との旅は基本は車輌を使うが相手は士郎である。
時に路銀を使い果たす事もあり、その時は徒歩がメインとなった事も多い。
「そうだな、少し休むか?」
「さんせ〜い!」
まして悪霊と戦いも時々発生しており、休める時に休む事の必要性は十分理解していた。





「よいしょっと・・・恭也、どうしたの?」
偶々に在った塚に腰掛けた芹は自分を見つめる恭也に気付く。
聴き返された恭也は感慨深く頷きながら
「ん?ああ、昔に比べて変わったと思っただけだ?」
「変わった・・・そうかもね」
昔の自分達を思い出す二人。
少しだけ置いていかれた明日香は少しだけ頬を膨らませながら
「昔の芹さんってどんな人だったの?それに二人は何処で会ったの?」
「何処でか・・・」








「そうだな・・俺が最初に芹にあったのは山の中だ。具体的に言うなら北河神社の後ろの山でな」
「うん!確か恭也は芝刈り、私は川に洗濯物を洗いに・・・」
突如割り込んできた芹だが其処まで言いながら黙ってしまった。
何と言うか目の前に弓を構えた明日香が笑っていたのだ。
「早く続きを聞きたいな〜」
その二人のやり取りに呆れつつも恭也は続けた。
「俺が鍛錬をしていた時に悲鳴が聞こえたんだ」
「悲鳴?」
明日香は直ぐに話の内容を予測した。
悲鳴と言うのは芹であろう。
「ああ。芹が山で見かけた野犬と遊んでいた所に熊が出たんだ」
「く、熊ぁ!」
野犬と遊ぶと言うのだけでも結構非常識なのかもしれないが、それ以上に熊に襲われたと言う所のほうがインパクトは強い。
そして話が予測どおりならば答えも凄い事になる。
「でだ・・・俺が駆けつけると其処には満身創痍になりながらも芹を庇って戦ってた犬と熊が居た」
「・・・・」
その言葉に芹は表情が暗くなった。
同時に明日香も少しだけ顔が引きつっている。
「とりあえず、飛針を投げつけて目を潰した跡に芹と犬を下がらせた」
其処まで言い「後は普通に倒しただけだ」と言った頃には既に明日香の笑いは力がないものに変わっている。
そりゃ、10歳くらいで熊を一体倒したと言う時点で非常識さを感じないほうがどうかしているだろう。









「あの犬・・此処で会えるかな?」
力ない笑顔の明日香とは別に普段とは違う表情の芹が祈るように言う。
「会えると良いな」
答える恭也も同感であった。
此の一件の後に無事保護された二人と1匹だったが芹を庇っていた犬の状況は既に終わっていた。
芹を守る為に激しい体格差を誇る熊に勇敢に立ち向かっていった結果として骨が折れただけでなく内蔵にも裂傷が入っていたのだ。
「本当・・・お菓子一個だけで・・本当に」
「芹・・・」
遊ぶきっかけとなったのは飢えていた犬に芹がお菓子を上げた事に始まる。
其処から一回の食事の恩で犬は芹を守って散った。
「会えるとおもう、そしてお礼を言え。俺にはソレしか言えん」
「・・・そうだね!だったら張り切っていきますか!」
















「それにしても、芹・・」
「何、恭也?」
先ほどまでシリアスな展開だったのだが急に終息した雰囲気が恭也から滲み出る。
恐らくだが別世界の美由希が居れば言うだろう
――うちの兄は苛めっ子なんです――
「お前の座ってるのって何だか知ってるか?」
「これ・・?そういやなんだろ?」
改めて見回してみると構造は特殊である。
横に置いてある岩の上に縦長い岩が置いてある形。
何処にでもある(?)変哲も無い塚だ。
「それは塚といってだな・・」
だが芹は今までアメリカに居た。
日本で住んでいたと言っても幼少の頃である以上は日本の知識に多少の誤解や欠如が無いとは言い切れないし、事実そうである。
「要は墓だぞ、それ」
「ななななんあななんあな・・・何ですって!」
小声で「墓の他にも昔の標識としての塚もあるがな」と付け足すが、わざと聞こえないように言っている。
完全に苛めっ子モードが起動していた。
「祟られるかもな・・」
「嘘・・・マジ・・座っただけなのに?」
呆然としながらも恭也の「祟り」と言う言葉に顔色を悪くする。
しかし彼女は気付かない
すでに何度も悪霊を撃退していた事に。
と言うか、そっちのほうが祟られるのでは?と明日香も突っ込みたい気分になっていたりする。









「まぁ、実際は墓よりも標識としての面が強いがな」
これ以上怖がらせるのは嫌だと思い・・もとい転校初日の様に混乱されて殴り飛ばされるのは避けたかっただけなのだが種明かしをする。
「良かった・・」
くどいが何度も悪霊を屠りながら進んできたのを棚に上げて安堵。
此処で話が終われば良かったのだが終わっていなかった。
「アレ?何か書いてある?」
縦長い岩の部分の一箇所に指を刺す明日香。
「う〜〜〜ん、二・・・・・ギ?ダメ、読めないよ」
何とか読んでみようとするが岩自体が古い物なのだろうか穴やヒビが多い。
辛うじてだが「二」「ギ」は読めたが他は無理である。
「ニギ・・でも間に隙間があるから一文字入るんじゃない?」
「だな・・」
芹の指摘どおり「二」「ギ」の間には少しだけだが隙間があった。
「・・・横一本線が辛うじて見えるな・」
穴とヒビの所為で消えかかってるが少しだけ長い横一文字がぼやけて見えた。
「って事は・・・ニーギ?」
「豪華絢爛にしか生きられない女性みたいな名前だね」
芹の出した解答に何故かウケた明日香も笑いながら言う。
しかし彼女達は気付かなかった
今別の世界で起きていることを・・・










無名世界観
第六世界群「式神世界」

ねじれた城「アーカヴ要塞」の一室では一人の少女と二人の大男が睨み合っている。
「では少女よ!」
「貴様の口上を聞いてやる!」
大男は剣を振りかざしながら叫ぶ。
対する女性「ニーギ・ゴージャスブルー」も笑みを浮かべ
「其れはの青の物語の一つ!
決して諦めない少女の話!
自分を置いていった男が良すぎた!
ならば・・此の涙が本当ならば最後まで追いかけて見せると!
突撃、突撃、突撃だぁ!!」
天高く指を刺しながら絢爛舞踏にして人類の決戦存在(笑)ニーギ・ゴージャスブルーは叫んだ。







「お兄ちゃん?」
「恭也?」
異世界にトリップしてた恭也を二人は見つめていた。
「いや・・・なんか知らないが別世界が見えた気がする・・」
言葉に呆れながらも3人は立ち上がった。
休憩も終わって進みだした。
















此の時彼等は知らなかった。
塚の中に封印されている存在を・・


「だせぇ・・だせぇ!」
「・・・頼むからニニギ様から開放してください・・ソレが私の最後の願いです」
後に出雲学園に旋風を巻き起こす男が眠っていた事を


















後書き

神楽:異動って酷いよね
クオン:ガルるる(の割にはガンオケ青とか視まくってたろ)
神楽:いや、そうなんだけどね・・ほら最後に導入された「式神の城2」のネタの為には・・
クオン:ガル!(世界が違うだろ?っていうか非難でないか?今回のねた?)
神楽:ソレって・・・10歳前半で熊を一匹屠った事?
クオン:ギャう!(恭也だったら普通に出来ると思うが・・それよりも式神の城2のネタを挿入した事だ)
神楽:だってニニギって名前が「ニーギ」に見えたんだぞ!
クオン:ガル!(逆切れスンナ!)

クオンの盟友スピキオの猫パンチで崩れ落ちた神楽。
その後の彼の所在を誰も知らない・・・





とりあえず、自分たちの世界とは違う所っていうのは納得したみたいだな。
美姫 「でも、まだまだ詳しい子とは分かっていない現状」
果たして、恭也たちの運命や如何に!?
美姫 「次回も待ってますね〜」
ではでは。



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