注:この作品では一部の設定に対する独自の解釈なされております

 

 

 

 

 

 

果てしない虚空の中で赤の光が舞う。

黒き咆哮を上げて己が敵を屠る。

しかし、其の後方に控える白き箱舟の主は呟いた

「まだだ・・・ピースは揃っていない」

来るべきモノは未だ届かないことに焦りを隠せないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツヴァイ・ハート

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロローグ

 

 

 

 

 

夕暮れ時。

次の日は晴れと思わせるくらい気持のいい色をしている。

川もキラキラと輝き透き通るかのような水の流れ。

その土手を歩く二つの影。

だが、困った事に気分の良さを曲げる幼いひしゃげた声が聞こえていた。

「ひっく・・・ふっ・・・ぐっ」

気持の良い夕陽は逆に彼の気持ちを更に鬱にし、涙も拭かず肩を上下に揺らしながら地面を睨み付けて歩く。

それとは対象に片方の影は空を見ていた。

「ひっく・・・ぐす・・・」

「ああああ〜〜〜〜もう、いい加減にうじうじしない、恭也!!」

泣いてない方の影・・・おそらく年上の女性の声が泣いている影・・・年下の少年に向けて声を上げる。

何故か持っている竹刀の切っ先を地面に向けて突き刺した。

もっとも・・・恭也と言われた少年は地面に顔を向けたままだった。

(見せたくない・・・)

顔を上げない理由は簡単。

泣き顔を見られたくないだけだった。

「自分から挑んだケンカで負けたからって泣かない!男の子でしょう!」

何気に性差別発言だが無視を確定。

それは兎も角、「負けた」扱いされる事は恭也にとって認められない。

「負けてない!」

「負けたでしょう。鏡を見なさい」

其の姿はボロボロ。

服は砂まみれで口を切ったのか血の塊がこびり付いている。

しかし、その外見よりも彼の表情こそが「負け」だった。

「・・・・・」

確かに相手は4人ほどだった。

それでも本来の彼ならば負ける理由は無い。

しかし、今の彼には左足の怪我・・・・歩くのも辛くなるような生々しい物がある。

「まったく・・・入院先からいなくなってと聞いてすっ飛んできてみれば・・・」

彼女・・・・・イサミ・タカマチ・・・つまるところ姉が通らなければ更に酷い目にあっていたことは明白だった。

「ああいった奴等は普段ケンカしない分、いざと言う時は加減のかも知らないのよ」

「だからと言って・・・みすみすと見逃すわけにはいかない!」

「誰に似たのかしらね?」と呟きながらイサミは頭を軽く掻いた。

似る以前の問題が明白なのだが言ってしまう。

「弱いんだからさ?」

「くっ」

恭也は否定できない。

姉・・・と言っても現在の日本の状況でありながら今は亡き士郎が「姉だ」と言っただけで小さいときから一緒だったものだが・・・今最大の壁である彼女の言葉は真実。

「はぁ」

イサミはため息をつき

「ケンカは負けたかもしれないけど、勝ち取ったものだってあるでしょ?」

「え?」

其の言葉に初めて顔を上げる

「あの子、お礼言ってたわよ?」

思い出すのはボロボロのヌイグルミを持っていた少女。

イサミは「ありがとう」が自分でなく恭也に向けたものだと気付くのに0コンマ秒もかからなかった。

「あ・り・が・と・う・よ。泣いてて気づかなかった?」

「・・・」

この後来ると予想される姉の弄りを避けるためにそっぽ向く。

「別に足の怪我でむしゃくしゃしてたとか、殴りたいからケンカしたわけじゃないでしょ?」

「ああ」

そして恭也に向き直してから何度目かは知らないがまた空を向いた。

「あんたが守った少女は無事だった。それで良いじゃない」

何も答えずに恭也は更に後ろを向く。

だが、其のかおは先ほどと違って誇らしかった。

「本当に嬉しいわよ、あたしは。かっこいいぞ、恭也」

先ほど以上に顔を赤らめる。

慕ってる姉に褒められるのは悪い気もしないのだった。

「さ、桃子母さんにも報告しよ。心配してるわよ」

良いながら歩き出したイサミに慌てて小走りで追いつこうとする

「恭也・・・もっと強くなりなさいね」

「え?」

唐突に話しかけてきた姉の言葉にキョトンとする。

「正義の味方になりたいのなら、何時までも泣き虫のままじゃ駄目だから。今よりもずっと強くなりなさい」

「姉さんよりも?」

しかし、其の言葉に急に吹き出し

「それは無理〜アタシはアンタよりも、美由希よりも強いんだから〜追い越されない〜」

「いや、そこで美由希を引き合いに出されても・・・」

姉弟は歩き出す。

通り過ぎた鉄橋を電車が通り過ぎると恭也は声を掛けた。

「正義の味方に負けは無いんだな?」

「当然!正しい人と違う人が戦って、正しい人が負けると思う?」

その夕陽に照らされた笑顔が綺麗だった。

「強いとか弱いじゃないの・・・正義の味方は諦めない、逃げない。自分が正しいと知ってるからボロボロにされても、何度も叩かれても立ち上がれるの」

「諦めない・・・」

かみ締めるように

 

「それに正義の味方は一人じゃない・・・正しい事をしていれば皆が助けてくれる、応援していてくれる、支えていてくれる」

 

「だから相手が強い悪い奴でも最後の最後で勝てるのよ」

 

「本当の正義の味方には世界が味方してくれるのよ」

 

 

 

 

 

「姉さんも?」

 

 

 

 

「当たり前じゃない!あんたが正義の味方として戦うのなら何時だって、何処だってアタシは必ずアンタを助けてあげる」

 

「だからアンタも絶対に諦めたりしちゃ駄目だぞ」

 

 

 

もうすぐ夜へ移る境界の時間。

其の夕映えの中で二つのシルエットがくっきりと映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2017年

 

 

「寒いな・・?」

布団から起き上がった恭也は予想もしない寒さに疑問を持ち窓を見る

と言っても窓は曇っていた。

外が見えん、と呟いて立ち上がると

「雪か・・・」

轟音が鳴り響く空の下の地上は白銀の世界だった。

 

 

「恭也〜〜〜時間、大丈夫〜〜」

 

 

響く桃子の声に目覚まし時計を見る

「・・・・」

黙って着替えを掴み取りながら上着を着なおす。

何時もの朝練の時間だと思っていたのだが+3時間のオマケが付いていた。

(珍しい夢を見たものだが・・・)

夢のせいのするのも考え物だが珍しく考えてしまう。

「キョウヤ〜シノブも待ってるよ〜」

「今、降りる」

姉的存在のフィアッセの声に急いで階段を降り立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時をさかのぼり13年前・・・200X年。

地球上空を周っていた月が崩壊、其の破片は地表に降り注ぎ大量のデブリが発生した。

地球壊滅ともいえる災害が襲った。

それと同時に遥か太古より地球に先住していた珪素系人類「ディゾルブ」が周知の物とされる。

互いに水面下で戦争を繰り広げていた両種族は月の崩壊によって壊滅した地球の復興の為に手を取る事となる。

そして、半分にまで減った人口の補填と労働力確保の為に動物等の遺伝子を組み込んだ第3の人類「ハイブリット」が生まれることとなった。

始まる復興のはず・・・

2007年の第1次復興計画から一年の2008年。

事故により理遅延した復興に更に暗い影がよぎった。

宇宙の彼方から謎の生物群の襲来。

「エルシド」と名づけられたソレらとの戦争が勃発。

そして2017年においても続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハムハム・・パクパク・・・遅いわよ、恭也」

「人の家で飯を食べながら言う奴に言われても説得力が有るとはいえんぞ?」

「まぁまぁキョウヤ〜皆で食べるのが美味しいと思わない?」

味噌汁を啜りながらノンビリしている忍に思わず突っ込みを入れるがフィアッセがなだめてくる。

よく見ると此方の時計は自室の時計よりも時間が早い。

此処に来て「忍が待ってる=時間ギリギリ」ではなく「忍が待ってる=一緒にご飯食べてる」事に気付いた。

「今日の味噌汁は蜆汁です」

「まぁ、おサルにしては良い出汁見たいやし、美由希ちゃんやなのはちゃんにも食べさせたいもんやな」

「美由希は富士だし、なのはは豊田・・・帰ってくるまで半年くらいなのよね・・」

都合あって家に居ない二人を思い出すようにいう桃子。

「む・・・俺への嫌味か?」

「そんなわけ無いって〜恭也のいけず〜」

本心の嫌味でない事は分かっているし軽い感じで返す。

なにせ二人は今の世界にとっては稀少な存在なのだ。

本来ならば恭也も入るのだが諸事情により漏れてしまっている。

「さて・・・しのぶ」

「ん・・?」

未だにノンビリ食べている忍に一度だけ目を向けてから立ち上がり

「先に行くぞ」

少し朝の事を根に持っているのかもしれない、

外に出て空を見上げると巨大な戦艦が舞い上がっていた。

 

 

 

 


後書き

 

 

俺のSS進行は、かーなーりー遅い!

 

 

神楽です。

半年の時間が経過して何してるんでしょうね・・不破たる完結してないのに

言い訳するなら事故ったり、連続転勤したり・・・

実際は戦場の絆にハマッテただけですm(― ―)m

 

と言う事で今回始まりましたのはツヴァイヴォルターとのクロス作品です。

何と言うか・・・・前作ジオグラマトンを見てからカブトを見るとね・・・

一応はジオグラマトンのほうが先です

どうでも良いですけど、ゼロノとゼロノス・・・名前似てますね

予定としては原作を主体とした混合ルートを展開していきます。

キョウシロウと違って生身がディゾルブ一歩手前まで強い恭也はどうなるのか?

そして知人の考案した機動兵器用の神速は発動するか?

 

では〜





クロス元の作品は知らないんだよな〜。
美姫 「どうも戦争しているみたいだけれどね」
うん。恭也と忍がどんな存在なのか。
美姫 「恭也の夢に出てきた姉も気になるわね」
次回もお待ちしてます。
美姫 「待っていますね」



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