この話はSS【八神の家】の幕間ではなく、もしも(IF)の話です。

ですのでSS本編がもしStSまで進めば、必ず相違点が出る代物です。

ですから二次創作のIFを了承できる剛の者以外の方は読まれない方が賢明です。

 

注1)リインフォースが空に還らず闇の書の闇はどうにかなっています。

注2)階級に関しては自衛隊で使用されているものを流用していますが、将官の階級は原作通り第二次世界大戦時の日本軍の階級名に倣っています。また作中階級が明記されていない面々の階級については作者の捏造設定です。

注3)速人の外見年齢はリインフォースと同じかちょっと幼いぐらいです。(髪の長さはリインフォースとフェイトの中間程度で、ストレートです)

 

 

 

 

 

 

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魔法少女リリカルなのはAS二次創作

【八神の家】

とある可能性編 三つめ:とある休日

 

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――― 機動六課隊舎最寄のベンチ ―――

 

 

 

  燦燦と陽光が降り注ぐ中、ティアナは隊舎から最も近いベンチに気だるげに座りつつ、呆と前を見ていた。

 

「………………………」

 

  何かを待つわけでもなく、眼前の光景に何かを思うでもなく、ティアナは朝食後から既に2時間程呆としてベンチに座った儘過ごしていた。

 

 

 

―――

 

  ティアナは超回復の為と速人の都合の為、今日1日は完全に自由待機(休日)となっていた。

  だが、既に2週間以上毎日夜明け前から気絶するまで全力疾走を繰り返させられていた為、いざ休みとなっても、最近毎日昼近くまで酸欠で朦朧とするか気絶するかのどちらかだった為、朦朧としている状態が癖になっているのか、睡眠が足りていても今一脳が働かず、ベンチで呆としていた。

 

―――

 

 

 

  まるで寝ている時の様に体温を自ら殆ど発生させていない為、ティアナは強い日差しとアスファルトの放射熱の中に居ても、汗一つ垂らさず呆とし続けていた。

 

 

 

――― 機動六課隊舎付近のベンチ ―――

 

 

 

 

 

 

―――機動六課部隊長室――― 

 

 

 

「………………退職後にやることが見つからないおじいちゃん見たいやな………」

「寧ろ急にリストラされて(暇を出されて)呆然としている中年みたいです」

 

 

 

―――

 

  はやてとツヴァイは先程隊舎管理人(アイナ)からティアナがベンチで呆けていて、〔休みらしいので今の所は放置しているが、それとは別に大丈夫なのか?〕、と訊ねられたと下から報告が上がってきたので、先程から休憩がてらに監視カメラで観察し、好き勝手なことを言っていた。

 

―――

 

 

 

「いや〜最近は海や空からの出向者(なのはちゃん達)が起こした問題は一応海や空(向こう)の責任に出来るし、揚げ足取れる機会を提供したってことで六課への風当たり(嫌がらせ)も弱まったし、レジアス中将が六課隊員の一人を気にかけてるって事でやっかみは在っても嫌がらせはゼロと言えるから、かなり余裕が出来たから隊員のメンタルケアに時間を割けるってもんや」

「余裕が出来たと言っても今までの仕事は殆ど残ってるですよ?

  いくら無限責任から解放されても今迄の問題を自発的に取り組んではくれないですから、向こうの担当者や担当課に仕分けして報告する作業はまだまだ残ってるです。

 

  はやてちゃんの暇潰しはそれが終わってからにしてくださいです」

 

  ティアナの様子を観察しつつもツヴァイは手元を動かしていた(最近の部隊長陣での休憩は、【仕事をしながら会話する】、という認識で、完全に休憩するのは昼休みぐらいになっている)。

 

「………マルチタスクが苦手な自分が恨めしい……」

「はやてちゃんは魔力制御で一杯一杯ですから仕方ないです。

  寧ろお姉さまが規格外なのです。凄いんです。平伏せ凡人共です」

 

  誇りに満ちた顔で毒を吐くツヴァイにはやては若干頬を引き攣らせながらツヴァイに訊ねる。

 

「なぁツヴァイ?

  私ってツヴァイのマスターなんよな?」

「はいです」

「何かリインに比べてえらい扱いがぞんざいな気がするんやけど?」

 

  はやてのその言葉にツヴァイは全身から闘志の様なモノを漲らせながら答えた。

 

「当然です!

  お姉さまだけでなくお兄さまを含めたツヴァイ達は一心別体………いえ……三位一体です!!

 

  ツヴァイは自分が一番大事です。

  だからお姉さまとお兄さまは別格です!!

  はやてちゃんだけでなく、他の誰もが付け入る隙なんて微塵も在りませんです!!!」

 

  無自覚に周囲へ魔力を振り撒きながら熱弁するツヴァイ。

 

「…………一応私はツヴァイのマスターなんよね?」

「はいです。

 

  お兄さまとお姉さま達との間に越えられない壁はあるですが。

  ………こう…………三次元と十一次元的な開きが」

「八次元の差は良う解らんけど、どんだけ開いてるんかい…………」

「世界中がなのは(イタイ悪魔)で埋め尽くされてるのに、全員が全員思慮深さと協調性と思い遣りを持つようになって、その上誰かを傷付けるのを嫌うようになってじゃれ合いの喧嘩程度の争いしか起こらない世界になるくらいです、って言えば超えられない壁の無茶振りが解ると思うです」

「…………そらまた………えらい無茶振りやな…………」

 

  ツヴァイの中の自分は、リインフォースと速人にそれだけの差を空けられていると知り、頬を引き攣らせながら少なからず落ち込むはやて。

  そしてその原因を作ってしまったツヴァイは若干慌てた様子で直ぐにフォローを入れだす。

 

「だ、大丈夫です。

  はやてちゃんやヴィータちゃん達はツヴァイの中ではきちんと他の人達と壁が在るですよ?

 

  こう………六角形の波紋が広がる心の壁の様な無茶振りの壁が」

「…………さっきより相当ランクの下がった無茶振りやな。

  …………1億枚在ってもさっきの無茶振りには届かん気がするわ………」

 

  引き攣った笑みと苦笑の中間の笑みを浮かべながらはやてはそう言い、改めて空間モニターに映るティアナを見ながら話しだした。

 

「まぁ、心が荒みそうなこの話はこれまでにして、…………ティアナ……どうしよか?」

「別に今日は放って置いても良いと思うですけど、此れからの自由待機時間(オフ)もずっとこんな調子だと遠くないうちに抜け殻か廃人になると思うですから、早めに何とかした方が良いと思うです」

「……そやね。

 

  個人的に仕事漬けにした相手が抜け殻か廃人になるのは嫌やし、………部隊長としても有能な人材の能力低下の阻止は賛成やし、……………一肌脱ごか」

 

  そう言ってはやては空間に現れたコンソールを操作し、その作業を終えてから改めてツヴァイに話しかける(はやてはブラインドタッチが出来ない)。

 

「ツヴァイの勤務はもう終わりにしたから、今からティアナと親睦を深める意味も込めて、気分転換に連れて行ってくれんかな?」

「それはいいですけど…………、そしたら六課に…………と言うか、はやてちゃんの傍に部隊長補佐(ツヴァイ達)が誰も居なくなっちゃうですよ?」

 

  一時的にとはいえ三名も在籍している部隊長補佐の全員が、六課にもはやての傍にも居なくなるのは問題が在るのではないかと問いかけるツヴァイ。

  しかしはやてはそれに笑いながら返す。

 

「心配要らんて。

  あくまでツヴァイ達は部隊長()の補佐やから、私がツヴァイ達に回す仕事が無いて判断したんなら、私の一存で簡単に休暇は出せるんよ。

 

  逆に部隊長の私と副部隊長のグリフィス君はそう簡単に休めんし、同時に休んだりどっちも六課から離れるとかは、基本的に上からの命令で仕方ない時以外はまず出来んけどな」

「…………それは解るですけど………暴走した時ははやてちゃん以外じゃ抑えられないですよ?」

「あ……………」

 

  すっかりそのことが思考から抜け落ちていたはやては露骨に顔を顰めた。

 

 

 

―――

 

  通常、六課隊員(主になのは)が問題行動を起こした際、速人が事態鎮圧に当たるのが最多で(主に速人の前で問題行動を起こす為)、次にリインフォースが事態鎮圧に当たり、最後にツヴァイが事態鎮圧に当たる事になっていた。

  尤も、ツヴァイはなのはよりも階級が下な上に同等以上の相当権限を保有していないとされている為、なのははツヴァイの言い分を基本的に聞き入れず、逆にツヴァイを脅しにかかるのだが、ツヴァイも一歩も引かぬ為、速人かリインフォースが駆けつける迄の時間稼ぎが主な役割であった。

  尚、グリフィスだとなのはが武力行使を行なった際に鎮圧出来ないのは目に見えており、そして鎮圧できなければ威厳が低下してしまうので敢えて鎮圧には赴かせず、初めから鎮圧が可能な部隊長補佐に不文律として一任されていた。

 

  一応はやてが直接赴けば鎮圧可能性は極めて高いのだが、ほぼ確実になのはが六課の最高責任者に歯向かい、部隊内に部隊長を軽視する風潮が蔓延する、若しくはなのはの信者達が多大な猜疑心を募らせ、更にはそれが部隊中に伝播する可能性が在った為、今迄はやては揉め事の鎮圧には部隊長補佐に一任するだけに留めていたのだった。

 

―――

 

 

 

  現段階ではティアナのことはそれほど優先度が高くはないが、早めに解決した方が得策であり、又、はやてとしては隊員の暴走を恐れて用件を後回しにするのも負けた感じがする為、何か良い案はないかと考えながら、独り言ともツヴァイに話しかけているとも取れる様に呟き始めた。

 

「暴走したなのはちゃんを抑えられるのは私とツヴァイ達だけ………」

「シグナム達も取り押さえることは出来るですけど、所属の違う出向者同士で権限が無いですから、迂闊に海や空若しくは空同士の派閥に皹を入れるような行動を命令させたと知られれば、後で海や空から非難が降り注ぐです。

  そして大本の責任の空の教導隊は、そのいざこざで自分達の責任を煙に巻くです」

 

  はやてが考え込み始めたのを見たツヴァイは、はやての考えを補佐する為、はやての独り言を補足することにした。

 

「部隊長の私がビシッとキめるのは………」

「愚策中の愚策です。

  威厳が上がっても不満や猜疑心が爆発寸前か爆発するまで高まるです」

「シグナム達が自発的に動くように場を調整したとしても、………いいとこ諌めるのが限界やね」

「です。

  それ以上はどっちも越権行為ですし、最悪火種を大火災に発展させるだけに終わるです」

「空の責任者に急いで連絡しても………多分無駄やね」

「ですです。

  多分後で責任を取るとか言って部隊長の管理問題にして、場が収まるまではこっちに丸投げすると思うです」

 

  考えれば考える程頭が痛くなってきたはやてだったが、めげずに更に考えを巡らせ続けた。

 

「なのはちゃんが普段暴走する原因の約7割は速人はんに会った時」

「もっと言うと、不満が溜まった時にお兄さまに突撃してるのもあるです」

「現在速人はんは居らん……か………ら……………てぇぇぇええっっっ!!!!???」

「大変ですっ!!

  ティアナに突撃するですぅっ!!!」

 

 

 

―――

 

  最近のなのははティアナの訓練内容を知ろうと躍起になっており、大抵は速人に突撃しているが、次に当事者のティアナにも突撃していた。

  尤も、速人が訓練内容の一切を機密として情報の開示及び取得を禁じており、又機密レベルはレジアス中将が認定した機密レベルの為、知ろうとすること事態が既に問題とも言える機密レベルであった。

 

  だが、当然そんな事で納得するなのはではなく、教え子の状態を把握するのは当然の権利と思っており(義務とは思っていない)、当事者だからと執拗にティアナに食い下がっていた。

  しかも幾度も即座に脅迫行為に移っており、更に速人やリインフォースが止めなければほぼ確実に脅迫から暴行(拷問)に移っている程の剣幕であった。

  そして其の事を知った本局の者達は、〔元教え子を脅迫乃至拷問して機密を得ようとしていた〕、などと言う事が世間に知られ、更に其れに呼応する様に今迄揉み消してきたことまで内部告発で表沙汰になれば、流石に自分達の地位や名誉も地に落ちると考え、公表差し止めの代わりに幾つかの常識的条件(更迭や罪を犯したと判断された場合の拘束権利等)を不承不承認めることとなってしまった。

 

  尚、なのはを切り捨てるという案を選択出来なかった理由は、仮になのはを切り捨てた場合はマスメディアへの事情説明が碌に出来ず、不審に思ったマスメディアが真相を嗅ぎ回り、万が一にでも真相に辿り着いて公表されない為であった。

  又、仮になのはを免職したとしても本人がゴネ、周囲に公表されるのと大差無い情報がばら撒かれる事態に陥ると判断した為でもあった。

 

―――

 

 

 

  速人だけでなくリインフォースも六課を空けているので、なのはからしてみれば正に邪魔者が居ない格好の状況であり、濡れたトイレットペーパーよりも脆いなのはの自制心を期待することは全く出来なかった。

 

 

  そして、速人とリインフォースが何時六課に戻れるか分からない以上、ツヴァイが時間を稼いでも被害が徒に大きくなる可能性が高く、更にはやてがなのはを抑えるのにも問題が在る以上、一秒でも速くティアナをなのはから遠ざけるべきだと両者判断し、互いに視線を数秒交わしただけで自分のすることを相手に伝え、即座に両者は行動に移った。

 

  ツヴァイは即座にティアナの許に文字通り飛んで行き、はやては少しでもなのはを足止めする為,

直ぐに部隊長室へ来るように呼び出しをかけた。

  そしてその甲斐もあり、辛うじてなのはがティアナへ突撃する事態は避けられた。

 

  尚、リインフォースが六課を空ける際、速人だけでなく自分も居なくなるのでなのはには注意するようはやてに述べていたのだが、リインフォースの説明不足とはやての後手寄りの思考が今回窮地に陥りかけた要因だった。

 

 

 

――― 機動六課隊舎最寄のベンチ ―――

 

 

 

 

 

 

――― とある街中 ―――

 

 

 

「………………今更ですけど、人間サイズになれたんですね……」

「仕事の時は小さい方が色色便利なので、仕事の時は基本的にずっと小さい儘なのです」

 

  普段着のティアナと、着替える時間が無かったので普段着に見えるバリアジャケット姿のツヴァイが街中を歩きながら話していた。

 

「後、普段着姿のバリアジャケットは、制服じゃない方が都合の良い時もあるですから、急にそういう場合になった時の為、部隊長補佐になる前に覚えたです」

「……………覆面捜査とかはしないと思うんですが?

  あと、魔力感知一発でバリアジャケットとバレると思うんですけど?」

「あ、その辺は確り対策済みです。

 

  バリアジャケットを構成と維持している魔力を徹底的に抑え、更に術式隠蔽の術式を組み込む事で、本人から漏れてる魔力と勘違いされるです。

  因みに構成と維持の魔力を低下させてるですから、性能はバリアジャケットとは名ばかりで、本当に普通の服程度しかないです」

「…………変身魔法がラクに思えるんですけど?」

「変身魔法は犯罪に使われ易過ぎる魔法なだけに、使用すると使用目的の説明が長くなりますし、上からは厳重注意が来るか始末書を書く羽目になるですから、バリアジャケットの方がラクなんです」

「なるほど………」

 

  ツヴァイの説明を聞いたティアナは、[補佐官ならそんな事態にも遇うんだろうな〜]、と思い、そういう不測の事態を予め想定していたツヴァイの準備の良さに感心しつつ、ふと自分も使えた方が良いのかどうか気になったので、速人の訓練と言う名の虐待、若しくは精神鍛錬と言う名の調教の記憶が鮮明過ぎる為忘れがちだが、正式な直属の上司であるツヴァイに訊ねることにした。

 

「…………私も使えた方が良いんでしょうか?」

「諜報や監査関係で働こうと思ってるなら、いつも服の下に別の服を着込むか別の服を持ち歩いて速着替えが出来るとかじゃない限りは覚えとくべきです。

 

  因みにさっきツヴァイが言ったのの他に、着ている衣装を変化させずに展開出来るバリアジャケットもセットで覚えとくべきです。

  そうでないと遠距離からの暗殺系統でアッサリ死ぬです」

「……………………」

 

  ツヴァイの何気無い発言で自分が誘われている所の危険性を感じ取ったティアナは、基本的に24時間睡眠から排泄の時に至る迄警戒可能なように精神改造を受けている意味が漸く報われる気がし、僅かだが明日への気力の糧としつつツヴァイに言葉を返す。

 

「虐待と調教が確りと役立ちそうで良かったです」

「あはは、ココで死ぬかもしれない危険に驚かないティアナは、少し壊れかけてるですね。

  良い傾向です」

 

  満足顔で危険発言をするツヴァイ。

  そしてそのツヴァイの発言でティアナは、〔天才ではないが一般の枠から外れかけている〕、と実感した。

 

「………凡人かもしれないですけど、今なら天才と謳われたなのはさんが出来ない事も少なからず出来そうに思えます……」

 

 

 

―――

 

  ティアナの裡で僅かに芽吹いた常駐戦場に類する意識に因り、今迄別格視していたなのは等の所謂天才という枠組みの者達が、〔非常に困難だが現状でも打倒可能(手が届く)〕、という認識になり、自身を卑下する傾向がかなり緩和され、結果、なのは達のことを話す際にどこか感じられた卑屈や自虐が性格の範囲内という言葉で済まされる態度に収まった。

 

―――

 

 

 

  僅かな期間で大幅な意識改革が起きているティアナを見たツヴァイは、先程より更に笑みを深くしながらティアナに話しかける。

 

「やっと気付いてくれたですね。

 

  訓練や試験でどれだけ相手を圧倒出来たとしても、それが実戦で活かせなかったら大抵役立たずです。

  そもそも実戦では相手の数や位置、他に主義思想や組織の建前が解ってるなんて稀です。

  常に周囲を警戒し、目の前の出来事に集中する危険性を理解していないのなんて、良くて二流です。

  逆にソレが出来てるなら試験や訓練結果で劣っていても十分その評価を覆せるですし、ソレが出来ていないのよりも更なる高みか深みに届くことも可能です。

 

  因みに管理局の白ける悪魔は二流ですけど宣伝効果は在るですから、色色と例外です。

  但し、広告塔にはなってるですけど抑止力にはなってないです」

「………………そういえば…………なのはさんがエース・オブ・エースと言われ始めた辺りから今までの間………特に犯罪が減ったとか聞きませんね……」

「当然です。減る筈無いです。

  首都防衛隊の騎士ゼストなら抑止力はあるですけど、イタイ悪魔に抑止力の期待は全然出来ないです。

 

  …………何でだか解るですか?」

「…………ええと……………」

 

  ツヴァイの問い掛けにティアナは数秒思案し、幾つか推測出来た。が、以前の様にそれを直ぐに言葉にするのではなく、一旦推測した内容について考察するという一手間を挟んでからツヴァイの問いに答えを返した。

 

「基本的に何処に居るか決まってないからですか?」

「赤点じゃないですけど赤点ギリギリです。

 

  確かに武装隊所属ですから、余程の大事件でない限りは陸の所轄には派遣されないですし、派遣されても陸は基本的に拒否するです。

  ですから陸での犯罪増加に歯止めがかかるワケ無いです」

「ですよね」

「で、他の理由ですけど、一つは純粋魔力攻撃のみの非殺傷設定攻撃にあるです。

 

  …………解るですか?」

「…………あーー、………もしかして一撃で気絶させられるから恐怖感が薄いってワケですか?」

 

  ツヴァイの言いたい事に思い至ったティアナはツヴァイに確認を取り、それに対してツヴァイは出来の良い生徒を誉める教師の様な顔をしながら頷き、更に話を続けた。

 

「基本的に遠距離からの一発KO級の砲撃をするですから、中っても痛いと思う暇も無いです。

  逆に騎士ゼストは非殺傷設定で攻撃してもデバイスは金属塊ですから、当たれば普通に骨は砕けて悶絶するです。

 

  実際騎士ゼストが捕縛した犯罪者の多くは手足の骨が砕けてて、痛さでのた打ち回って余計痛めて絶叫しながら色色洩らしつつ気絶するようなのが多いのは、一部でとても有名な話です。

  しかも命に別状が無い限りは逃げられないよう、基本的に護送完了するまで治療魔法は使用しないそうです。

  ちょうど睡眠薬で自害しようとした人の胃洗浄をする時、ワザと痛くするのと似た様な考えらしいです」

「…………確かレジアス中将が、[犯罪者の人権は守るべき市民より優先するものではない]、という問題発言の通りですね……」

「ツヴァイ的には解釈する側が法的知識をきちんと持っていれば何一つ問題が無いと思うです。

 

  その発言のせいで犯罪者の人権を軽んじる風潮が蔓延したらどうするとか本局の幹部達が言ってたですけど、そんなのそれを取り纏められなかった責任者達の責任です。

  局員として最低限の知識か一般的な良識のどちらかを持っていれば避けられる事態ですから、寧ろそこで非難することは自分達の部下が無能だと暴露している証拠です。

 

  第一、レジアス中将は容疑者じゃなくて犯罪者って言ってたです。

  どうして法を守っている者達を守っていない者達の為に危険に曝さなければいけないのかが解らないです。

  手足を全部吹き飛ばせば捕まえられたのを躊躇って取り逃がし、そして取り逃がした犯罪者が誰かを殺した時、遺族の方達に、[犯罪者の命を尊重していた為取り逃がしました。それと、悪いのは犯人だけで私は悪くありません。私は正しいです]、とか言えるのかって訊きたいです。言えそうな管理局で浮いてる悪魔を一匹知ってるですけど」

「………………前々から思ってたんですけど………………なの…じゃなくて、その悪魔て言ってる方が嫌いなんですか?」

 

  ほぼ確実にそうだと思いつつも、何故そこまで嫌っているのかを知りたいティアナは、恐る恐るという感じでツヴァイに訊ねた。

 

  そしてティアナのその疑問にツヴァイはティアナの予想の斜め上、若しくは斜め下とも言える答えを返す。

 

「嫌いじゃないです。

  単に言動や行動の結果の迷惑さに腹立っているだけです。

 

  例えるなら、テレビです。

  白い悪魔(テレビ)自体に好き嫌いは無いですけど、発言や行動(放送番組)に好き嫌いはある、て感じです」

「……………」

「まあ………フザケタ番組を流しているテレビを八つ当たりで壊すのと同じ感覚で壊したくなることが最近多いですけど」

「……………………………」

「因みに愛着はリモコンの電池並に沸かないです。

  もっと言えば再生紙使用のティッシュみたいな感じです。

  使って汚れたらポイです」

「………………………………………」

 

  どういう風に思っているかを聞けたが、何故そう思っているかを聞けなかったティアナは訊ねるべきか僅かに悩んだが、これ以上踏み込めば碌でもない事態に巻き込まれる可能性が在ると判断した為これ以上訊ねるのを止め、代わりに話題の切り替えを兼ね、別のことを訊ねた。

 

「……訊いといてナンですけど、これ以上この話を聞いていると碌でもないことに巻き込まれる予感しかしませんので、ひとまずこの話はここで終りにしましょう。

 

  ……で、話は変わりますけど、いったい何処に行くつもりなんです?」

「う〜ん……一応世情調査も兼ねて本屋さんと服屋さんとゲーム屋さんを回って、それからどこかで遅めのお昼ごはんでも食べて、後はぶらぶらしようかと思ってるです」

「……無難な感じですけど、あのままベンチで呆けているよりは有意義そうですね」

「有意義かどうかは分からないですけど、不特定大多数に迷惑を振り撒く事じゃないとは思うです。

 

  それと、有意義だから動くとかしてると、どんどん枯れていくですよ?

  やりたいからやるのが一番です。

 

  命短し恋せよ乙女。若しくは、少年よ野望を抱け。です」

「それは何か違う気が………………」

 

 

 

  そんな会話をしながらツヴァイとティアナは人込みの中に消えていった。

 

 

 

――― とある街中 ―――

 

 

 

◇◆◇◆◇ 同時刻 ◇◆◇◆◇

 

 

 

――― とある街中 ―――

 

 

 

  陽の光が降り注ぐ昼時前、適度な賑わいが在る街中をギンガとスバルは並んで歩いていた。

  だが、陽気と道行く周りの者達の楽しそうな雰囲気とは違い、両者の周りの雰囲気はかなり辛気で、通行人が通常以上に距離を取って擦れ違う程のモノだった。

  尤も、辛気さの原因はスバルであって、傍に居るギンガは完全なとばっちりであり、話しかけるのも躊躇われる辛気さも手伝い、ギンガはスバルの状態が時間経過で良くなるかもしれないという淡い期待に賭けていたが、見事にその賭けに負けて神経を磨り減らすだけに終わっていた。

  そしてこれ以上放置してもスバルの状態が良くなるどころか、自分の精神状態も含めて悪化すると判断したギンガは、なるべく自然な感じで明るくスバルに話しかけだした。

 

「こうして二人で出歩くのって久しぶりね」

「うん、そうだね」

「………」

 

  直ぐに会話が終了してしまい、磨り減っていた精神を更に磨り減らされ、ギンガは僅かに頬を引き攣らせた。

 

 

 

―――

 

  現在ギンガとスバルは機動六課に在籍(ギンガは出張だが)してから初の半日自由待機(オフ)を急遽言い渡され、久し振りに姉妹二人で外出をしていたが、外出時からスバルの表情は冴えなかった。

 

  急に半日オフを言い渡されたスバルは、丸1日休みとなっているティアナと久し振りに親睦を深めようとしたのだが、スバルがティアナを誘いに向かった時は既にティアナはツヴァイに連れられて六課を後にしており、自分の思惑の一歩目から躓いたスバルはかなり落ち込んだ儘ギンガに連れられて街中を歩いていた。

  尚、急遽半日オフを言い渡された経緯は、はやてがなのはを何とか引き止めている隙にツヴァイがティアナを連れて六課を後にした後、はやては未だ六課内に不安要素が多く存在していることを思い出し、不安要素を六課から一時的に外に出したかったからだった。

 

  最近は仕事量も減り、ロングアーチ全体で余裕はかなりあることを考慮し、不安要素を休暇と託けて六課の外に放り出すのが一番安全だろうと判断し、はやては自分の権限で簡単に休暇に出来るスバルとエリオとキャロを直ぐに休暇にした。

  だが、エリオとキャロはフェイトを丸め込んでデートでもさせればいいが、スバルは一人だと六課に残ってティアナが普段何をしているかを探る可能性が高い為、派遣元の責任者のゲンヤに事情を簡単に説明してギンガも半日オフに出来るよう後押ししてもらい、スバルを連れて六課から暫く離れてもらうことにしたのだった。

 

  そして大まかな事情を半日オフが言い渡された時にギンガは察し、見た目順風満帆ながらもその実、火器関係を大量搭載して沈没と誤爆と暴発の可能性が高い危険な船だと漸く実感が沸き、同情的な視線をはやてに送り、その視線を受けたはやては現状を認識してくれる者が増えたことに内心涙しながらも、[理由はともかく久しぶりに姉妹水入らずで楽しんできいや]、と笑顔で見送った。

  因みにスバルとエリオとキャロが担当する事務関係は300倍の量でもロングアーチは辛うじて問題無く捌ける程だが、リインフォースが六課不在の為副官として代行していたギンガが抜けるのは少なからず問題が発生し、ギンガは早くもロングアーチから重要者と認識されたのだった。

 

―――

 

 

 

  機動六課がどれだけ危うい状態に在るかを知っているギンガの表情は投げ遣り且つ自棄も混じっている為明るいが、ティアナと親睦を深めるという目論見が最初の段階で砕けたスバルは上の空であり、ギンガは何とかスバルを元気付けようと、再度勤めて明るく話を振った。

 

「あ、最近オープンしたばかりのデカ盛のお店に時間内で食べきれば只ってメニューが在るみたいだから、お昼はそこで食べようか?」

「うん、そうだね」

「……………。

  そ、それと丁度美味しいアイス屋がその近くみたいだから、食べ終わったらそこでアイス食べない?」

「うん、そうだね」

「………………………」

 

  スバルの上の空な台詞にギンガはの笑みは更に引き攣ったが、再三努めて明るく話を振った。

 

「ねえスバル。

  人物や物品を目的の場所に運ぶことを何て言うか知ってる?」

「うん、そうだね」(←運送だね)

「………………………………」

 

  慣れない駄洒落に挑戦してみたギンガだったが結果は全く芳しくなく、スバルにスルーされたばかりか周囲の者達の失笑を買ってしまい、ギンガは羞恥で顔が赤くなった。が、それでもめげずに努めて明るくスバルに話を振った。

 

「じゃ、じゃあ炭酸水に砂糖を入れた飲み物の名前って知ってる?」

「うん、そうだね」(←うん、ソーダね)

「………………………………………」

 

  流石に二度も周囲の者達の失笑を浴びるのは堪えたのか、ギンガは羞恥で真っ赤になって俯いてしまった。

 

  だが、俯く寸前に視界の端に先に出かけた筈のツヴァイとティアナを見つけ、羞恥など一瞬で吹き飛ぶ程焦りだした。

 

(な、なんでこの広い市街の中で同じ場所に居るのー!?

 

  ど、どうしよう?

  スバルとティアナを引き合わせても大丈夫なのかな?

  なのはさんみたいに特攻仕掛けないと思うけど、レジアス中将が情報制限してるとか街中で喋られたらスバルや現場に居る私達だけじゃなくて、最悪六課の皆さんや父さんにも迷惑が降りかかるよね……)

 

  ギンガはスバルをティアナと引き合わせても構わないかと考えたが、考え始めて直ぐに当事者以外に迷惑を振り撒く可能性が高すぎると判断した。

 

  そしてそれを踏まえた上でギンガは更に考え込む。

 

(あ、でも私が向こうに気付いてるんだから、向こうも私達に気づいてる筈。

  つまり…………、ツヴァイさんが特に気にした様子も無く移動してるのを考えると、特別な対応をする必要は無い……………よね?)

 

  ギンガは自分の思慮が浅いわけではないと少なからず自負していたが、熟考出来ない状況下でツヴァイに敵うとは思っていない為、下手に熟考してスバルに不自然さを見咎められるくらいならば場の流れに任せた方が賢明だと判断し、焦りが落ち着いた際に羞恥も落ち着いた為、今迄通りスバルに明るく話を振ることにした。

 

 

 

  そして、ギンガが場の流れに任せた結果スバルはティアナを発見し、濁声になる程の大声を上げながらティアナに突撃していった。

  尚、スバルは気にも留めていなかったが、ティアナに突撃する最中に何名か人を突き飛ばして軽傷を負わせており、ギンガは軽く手首や足首を捻った人達に持ち歩いている医療用テープでテーピングをしてからスバルを追った。

 

 

 

――― とある街中 ―――

 

 

 

 

 

 

――― 時空管理局・カリムの執務室 ―――

 

 

 

「これで終り………ですね?」

「はい。

  今の御方が本日予定されていた面談の最終者です。

  そして本日はグラシア少将を必要とする残務は在りませんので、勤務を終了なされても問題ありません」

 

  今し方訪問者が消えたドアを見ながら若干疲れた口調で呟いたカリムに対し、速人は何時も通り淡淡と告げた。

  そして速人の口から勤務を終えても問題無いと聞いたカリムは、修業時間が終わった事を喜ぶ学生の様な雰囲気で笑みを浮かべながら速人に話しかける。

 

「私だけでなく速人氏も勤務終了にしましたので、宜しければ少し御一緒しませんか?」

 

  異性だけでなく同姓すら多くの者が見惚れる笑みで速人をお茶に誘うカリム。

  普通ならば一つ返事だが、一つ返事をする普通の理由が全く存在しない速人は、普通ではないがカリムの予想の範囲内の言葉を返す。

 

「私的時間を利用して公務を片付けるので長居は出来ない。

  別室で控えているシャッハ・ヌエラを呼ぶ間しか滞在するつもりは無い」

 

  何となくその答えを予想していたカリムだったが、予想していた通りの答えだった為、浮かべていた笑みに僅かばかり落胆が混じったが直ぐにそれを払拭し、努めて穏やかに返事をした。

 

「御用事が在るのでしたら仕方在りません。

  御気になされないで下さい」

 

 

 

―――

 

  地位や肩書きや容姿も手伝い、これまで自分の誘いを断られた経験が殆ど無いカリムだが、単純に断られたという理由で落胆したのではなく、最近機動六課に圧し掛かる負担が大幅に減少したにも拘らず、先程の速人の言葉から察するに速人へ掛かる負担が目に見えて減っているように思えず、相変わらずな激務状態に落胆のしたのだった。

 

  尤も、実際は速人に圧し掛かる仕事は大幅に減っていたのだが、今迄後回しにした分の期限が近いことと、公開陳述会が近いということでレジアスから頻繁に呼び出しが掛かっている為、速人が捌く仕事の量が目に見えて減っている様には感じられないだけであった。

  尚、見た目は速人の仕事量が減っている様には感じられないが、桁を3〜4誤った報告としか判断出来ない程の仕事量から人権団体が猛抗議する程の仕事量に激減しており、移動中に公務関係に思考を割く事が殆ど無くなっており、移動中にツヴァイ達と談笑する時間(傍目にはツヴァイが邪険に遇われている様に見える)が取れる程にはなっていた。

 

―――

 

 

 

  普段は引き篭もりとも軟禁とも言える生活であるだけに外出することは稀であり、更にシャッハ以外の親しい者が居るのは更に稀である為、カリムとしてはその辺の街を一緒に歩いたり喫茶店で一緒に軽く食事をするだけでもしたいと思っていたのだが、忙しいならば無茶な提案をするものではないと思い、言葉にはせずに胸に秘めた儘にした。

 

  そして少なからずカリムが気落ちしたと表情や態度から判断した速人は、アリサとすずかが口を酸っぱくして何度も繰り返し言い聞かせていた、〔親しい者(特に女性)からの誘いを断ったからには穴埋めすべし〕、との言を思い出し、実行してみることにした。

 

「穴埋めとして62時間以内に連絡すれば、連絡時より70日先迄に限定するが400〜1200分は時間を空ける」

 

  穴埋めとは思えない、矢鱈条件付きの堅苦しい台詞を告げる速人。

  そして速人からやや前衛的な穴埋めの言葉を告げられたカリムは、苦笑ではなく不思議そうな顔をしながら言葉を返す。

 

「…………お言葉は嬉しいのですが………穴埋めという発言はらしくない気がするのですが?」

「何を以ってらしさなのかは判断し難いが、穴埋めを提示した理由は俺が友と思っている者が、〔親しい者からの誘いを断ったからには穴埋めすべし〕、という言を試行し、それによる各の反応と結果を得る為という理由からだ」

「……………………問いに誠実に答えて下さるのは美徳と思いますが、誠実すぎて不実な感じがしますので、少しばかりは歯に絹を着せたり秘密になされた方が宜しいですよ」

「虚偽や虚飾を実行する理由には足りえない」

「………そうでしたね。………………そういうお方でしたね………」

 

  大抵(速人に近しい者限定)は誠実に対応するものの、度が過ぎて逆に不実としか思えない速人の在り方に半ば諦めた感じで呟くカリム。

  だが、態態胸に秘めた儘の方が良い打算すら告げる不実な程の誠実さを持つからこそ速人であり、逆に世辞や虚飾を巧みに使う速人は魅力を感じない以前に気持ち悪いと直ぐに気付き、此の儘なのが一番だと思いながら速人に声を掛けた。

 

「それでは後程空いている日時が分かり次第連絡しますので、今はシャッハが居る部屋まで御一緒させていただいても宜しいですか?」

「進行方向上に在るので構わない」

「それでは余裕もないと思われるので行きましょうか?」

 

  この遣り取りが公人の時であれば安全上の問題として部屋にシャッハを召還するように速人は推し、そしてその通りになってしまっただろうが、現在は一応私人な為、制服を着て行なうべきではない行動以外は大抵融通が利く為、カリムの要求をアッサリと速人は呑んだ。

 

 

 

  その後、カリムは短い距離とはいえ、シャッハ以外の者と歩くという珍しい体験をしつつ、更に短い時間とはいえ歩きながら世間話をするという珍しい体験をし、かなりの上機嫌となってシャッハと合流した。

  しかし速人と二人で別室待機中だった自身の許に来たことを安全上問題が在ると速人とカリムにシャッハは述べ(カリムは注意だが速人はほぼ糾弾)、相変わらず速人を業務に支障が出る寸での域まで敵視しているシャッハにカリムは頭を痛めたのだった。

 

  尚、後日カリムは余裕が在る時間帯を速人に告げ、街を散策した後に食事をしたりしようとしたのだが、当然シャッハが出歩く危険性や速人が傍に居ると悪影響が在るので控えるようにと進言した。

  だが、ならば護衛にと上級騎士の称号を持つリインフォースと共に行くことでその意見を封殺し、リインフォースも交えて楽しい一時を謳歌した。

  因みに、後日自分だけ除け者にされたツヴァイが酷く落ち込んだ為、侘び代わりにツヴァイの要望を叶える運びとなったのだが、半日オフも難しい事を知っているツヴァイは入浴と就寝を共にするだけでいいと述べたのだが、場所が部隊長室だった為、リインフォースをはやてから浴びせられる視線で精神を大いに磨り減らすこととなった。

 

 

 

――― 時空管理局・カリムの執務室 ―――

 

 

 

 

 

 

――― Side:グリフィス・ロウラン ―――

 

 

 

………暇……ですね……

……………うん………

………と…いうより………味気…無い……なぁ………

 

  虚脱状態にしか見えないアルトとルキノとグリフィスの言葉がロングアーチ内に響き渡る。

 

仕事中に私語……するな……って………注意しないん…ですね………

…………いや………私語でもしないと…………皆放心しそうだし…………

あぁ…………………たしかに………

 

 

 

―――

 

  現在、ロングアーチが処理すべき仕事は普通ならかなりの量と言える程在るのだが、今迄氷水で溺れている最中に石を括り付けられ続けるのかの如き激務を耐え切った者達としては、現在の仕事を捌くことは転寝しながらでも可能な程容易であり、容易過ぎる仕事の為、皆集中出来ずにいた。

  しかも部隊長補佐官及びその副官が全員六課に居ない為、少なからず処理出来ない案件が在るが(はやてとグリフィスは易易と六課を離れられない為、出張関係を簡単には処理出来ない)、しかしそれすらも今迄で異常に培われた瀬戸際交渉を僅かばかり発揮すれば簡単に捌ける為、此の場に居るロングアーチの全員は手応えの無さに左遷されて暇になった者達の様に虚脱状態に陥っていた。

 

  尚、此の場に居る者達の感覚的には極地探検から近所の公園の散歩になった程仕事が簡単に感じられ、誰もが仕事をしているという実感を持てなかった。

  尤も、一応外部(六課以外)の者と対応する時は皆が皆膝蓋腱反射の如く本人の意思とは関係無く居住まいを正して上辺は問題無く対応するのだが、虚脱状態なのは相変わらずであった。

 

―――

 

 

 

  殆ど虚脱状態のグリフィスだったが、部隊長には未だ一般職員に回せない仕事が結構な量残っていることを思い出し、手伝う為ではなく、刺激を求めるという純度100%の利己心で部隊長室に向かうことにした。

 

………………部隊長室に行ってくる………

……はい………

………仕事…………他所のでもいいですから…………貰ってきて下さい……

………ああ……

 

  そう言って幽鬼の様にグリフィスは部隊長室に向かった。

 

 

 

 

 

「…………つまり仕事を増やさんと皆駄目になるっちゅうことか………」

「はい。

  昨日までも少なからず虚脱状態でしたが、溜まった分を殆ど消化し終えた今日は全員が殆ど虚脱状態です。

  ……このままではロングアーチの大半が精神科行きになり、残った者の仕事量が増えれば一部の者の症状は回復すると思いますが………」

「精神科の世話になった者達は自分が居らんでも普通に回るのを知り、虚脱を通り越して重度の鬱になりそうやな……………」

 

  はやての分の仕事を半ば奪う様に処理し続け、生気が戻ったグリフィスが仕事の手を止めずに更にはやてに告げる。

 

「正直、他所の部隊の仕事でも回してもらわない事にはスタッフの士気を維持出来ません」

「若しくは補佐官ズが外部と折衝をしている一部を振り分け………駄目やね」

「……ええ。

  いきなり一般職員に折衝の役目を廻せば相手が不快になるでしょうし、能力も高くないでしょうから相手の不興を買う可能性が高いです」

「それで六課への風当たりが又強くなったら目も当てられんしな………」

 

  マルチタスクが苦手なはやてであったが、会話をしながらグリフィスが処理しても構わない仕事を選別する程度は可能な為、仕事を選別しつつ更に話を続ける。

 

「しかし………知らん間にロングアーチの皆が脳内麻薬の出っ放しで半分廃人になっとったなんてな…………」

 

 

 

―――

 

  人間は特定の物理的刺激から特定の脳内麻薬を分泌して快感と認識すること以外に個個人に依るものの、特定の精神的刺激から脳内麻薬を分泌して快感と認識することが可能であり、更には快感として認識せずとも依存性の極めて高い脳内麻薬を特定の危機的状況下で分泌して集中力や身体機能を一時的に高めることが可能であった。

  そして何れの脳内麻薬も強い依存性があり、特に物理的刺激に因らず精神的刺激が分泌される要因となるモノは長時間(場合によっては一生)分泌される為、簡単に分泌条件となるコトに傾倒する可能性が高かった。

 

  特に、危機的状況下において分泌される脳内麻薬の大半は劇薬な為短時間で分泌が止まるものの、興奮状態を維持し続ける程度の脳内麻薬ならば精神に異常を来たす程度の代償で分泌され続けるので、戦地の只中やそれに類する精神的極限状況下では就寝時すらも脳が活発に活動を続けることがあり、それが余計に本人の自覚無しに特定の物事に傾倒させる原因となっていた。

  尚、この場合の興奮状態とは攻撃的に傾倒し易い以外に自身の五感や思考が鋭敏化され、視界外のモノすら把握可能と錯覚し(人によっては錯覚ではなく認識に至る)、快感や多幸感とは違った万能感を得ることが可能ではあるが、大抵は極限状態の最中に発動するので悦に浸る時間は無く、寧ろ恐怖や嫌悪の時間と認識されることが多いのだが、前途した通り、分泌時間が長期に渡ると自覚せぬ儘に依存してしまう可能性が高く、更には自覚してしまえば依存から脱却することが極めて困難になってしまうのだった。

 

  注意

  脳内麻薬(生体麻薬)は確かに医薬品(此の場合はドラッグでも可)と同等以上の純度であり、更に依存性は医薬品と変わらず在ります。

  ですが中毒症状は殆ど無く、医薬品の乱用は痩せこけたりしますが、生体麻薬は長時間及び長期間分泌可能な物は殆ど中毒症状が在りません(一時的な虚脱感(性行為後の脱力感等(厳密には違いますが))等が精精で、幻覚や被害妄想、更には死に至る心配はまず在りません)。

  よって充溢した日日を過ごすことは健康を害すことでは在りません。

  安心して充溢した日日を御過ごし下さい。

 

―――

 

 

 

  気が付けば一定以上の仕事をしていないと精神の均衡が取れない程仕事に依存しきっているロングアーチの面面に対し、はやては何処か人手の足りない部署に派遣する序に恩も売れないかと思いグリフィスに訊ねてみることにした。

 

「なぁグリフィス君。

  どっか他所の忙しい部署に派遣させて恩も売るっていうのはどやろ?」

「…………つい先日まで風当たりの強かった所の、しかも実績も無ければ階級も低い職員の派遣を受け入れてくれる部署が在るとは思えません………」

「そか………」

 

  碌に考えずに半ば思い付きで言った為、否定意見を出されても然してはやては落胆せず、否定意見に因って浮き彫りになった問題点を解消する案を考え、浮かんだ案をとりあえず又特に考えずに発言する。

 

「それじゃあ他所に派遣出来るようにする為、ロングアーチの皆に色んな資格を取らせよか?

  そんでその為に過密スケジュールにして虚脱状態になるのを防ぐのはどないやろ?」

「…………悪くないとは思いますが、就業時間を私的に活用することは問題ですので、その場合は公務という容にする必要が在りますね。

  そして公務にする以上資格試験の費用は六課が持つことになりますので、その辺りを経費として上を納得させる理由が必要ですが」

「そやね…………」

 

  はやてが考えてグリフィスが問題点を指摘し、それを繰り返すことで問題を解決するという一つの機構(システム)が完成しており、大抵の場合即座に単独で問題を解決する部隊長補佐達と違い、はやてとグリフィスの息が合っていることはロングアーチでは周知の事であり、実際今も息の合った会話で更に話を煮詰めていっていた。

 

「そやったら……担当する犯罪が起きる若しくは起きるとと予測される場所へ事前対処及び事後処理として少数をロングアーチより派遣し、担当事件が同時多発発生した状況下に置いても問題無く対処可能にする為、……って名目はどやろか?」

「……………確かに実現すれば理想的ですが、訓練生や新人でもない者を就業時間内に……しかも大人数をその為に時間を割かせる理由にはならないと思います。

  その間に事件が発生し、そしてその対処が疎かになれば本末転倒です」

「うーーーーーーーーーん。

  ……そやったら……………もういっそのこと他所の忙しい部署に頭下げて、〔経験積ませたいんで仕事分けてくれませんか!?〕、って頼んでみよか?」

「……………この前の模擬戦で、〔新人の二等陸士を非魔導師が短時間で高みに導いた〕、と、陸の各所で噂になっていますし、誰かが吹聴したお陰でレジアス中将直々の命で天神補佐官がランスター二士を鍛えているのが知れ渡っていますから、安くてもランスター二士の体験談、高ければ短期間でも構わないと天神補佐官に訓練を頼まれると思いますが、…………要求さえ呑めば後は任された仕事を正確且つ期日までに処理する責任を果たせるかだけが問題ですね。

 

  ………事件が起きた為に遅れましたなど、断じて罷り通りませんからね……」

「……………兎にも角にも速人はんに負担を強いるのは確定てわけか………」

 

  ティアナを派遣させても訓練の進行に遅れが生じ、後日遅れを取り戻す為に速人は纏まった時間を必要とすると思われるので、どちらに転んでも余程のエリートでも半月で衰弱死する仕事量が在る速人へ更に負担を強いるのはほぼ決定であり、それを十分承知した上で暫くはやては逡巡し、そして答えを出した。

 

「とりあえず他所に仕事貰うのは一度部隊長陣(全員)で話し合ってからにするとして、派遣されとる者達以外に部隊運用を効率化させる為に資格を取得させるから、以前程じゃないにしてもかなり仕事が増えても構わんて人達の数を確認。

  次に人数に応じて取得資格を暫定的に割り振って、更にそれを基に試験的に派遣するチームを暫定する。

  資格取得試験の費用は後で上から許可を取るか適当な名目で給料に手当てとして加算するから、今のとこ上に報告することは一切無し。全部部隊長の裁量で出来る範囲やからな。

 

  ………問題なければこの方針で今から動き出すつもりやけど、どっか穴ある?」

「少なくとも準備段階では致命的な穴は無いように思いますし、致命的でない穴ならば単純に仕事が増えたと寧ろ喜びそうですので、特に問題は無いと思います」

 

  余裕が残っているならば部隊維持の為に速人には負担を受け入れてもらう他無いとはやては結論を下し、グリフィスもはやてと同じく余裕が残っているならば更に負担を強いることも致し方ないと判断し、その点については言及せず、他には特に問題点が無いことを告げてはやての意見に賛成の意を示した。

 

 

 

  そして、それから直ぐにはやてとグリフィスは実行に移り、仕事が急激に増えるかもしれないという知らせにロングアーチのスタッフは生気を取り戻し、喜喜として賛成し、全員精力的に仕事に取り組みだした。

  尚、何らかの資格を取得することを希望した者は、移動や整備や清掃や調理関係者も含めた六課の殆どの者で、希望しなかった者は初めから対象外の部隊長陣と派遣された者達以外では自身の仕事に関する資格で最高位の資格を保持している者だけで、その者達は希望しない代わりに更にその技術を磨いていた。

 

  それと、先日職務意識の低さが露呈したシャリオは他所の仕事を放棄する危険性が懸念された為、派遣された者達とその上司の間の通信経路の確保や維持などといった仕事を割り振り、更に六課に対する海や空の苦情(やっかみ)の窓口にして暇が出来るのを防ぎ、仮に職務放棄しても問題が無い上に他所のやっかみを聞けば職務意識も挙がる可能性が在るとはやて達が判断した為、シャリオだけ他とは違った扱いを受けていた。

 

 

 

――― Side:グリフィス・ロウラン ―――

 

 

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  とある可能性編  三つめ:とある休日――――了

 

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【後書】

 

 

 

  稼ぐを追い越す貧乏在り。

  働けど働けど我が暮らし貧しさを増す。

  地道は近道なれど安全ではない。

  立証不可能ならば犯罪に在らず。

  体が資本なれど大事が過ぎればやがては破産。

  日本の平均就業時間にサービス残業は含まれない。

  盗人にも三分の理ならば詐欺法人には十全の理と理論武装。

  裁判を開く金が無ければ泣き寝入り。

  憎しみで人は殺せないが殺意を抱けば殺害に走りかねない。

 

  ……………以上、近況報告でした。

 

 

  話は変わりますが、速人のトンデモ頭脳さが精神分析系統に傾倒しがちで、具体的なトンデモ具合が解らないと指摘されましたので、目安として例を挙げるとすれば、【IF編では夜天の書若しくは闇の書の量産】、【大規模次元震を引き起こせる艦載砲の量産】、【某00ガンダムを特攻兵器級に量産】、【SSSランク魔導師の量産】、【老化停止処置(寿命は在る)】、【脳内記憶の転写及び遠隔改竄】、といったことが可能というレベルです(金銭や違法という問題以前に、人類の滅亡に巻き込まれぬ為に全く公表していません)。

  後、アリサとすずかの出鱈目具合の例として、アリサが

【カリスマ:A(良くも悪くもEX(ヤンドラ大量発生の可能性大))】

すずかが【サポート:A+(良くも悪くもEX(破滅の種を回りに振り撒く可能性大))】

といった感じです。若しくは、

〔シスプリの主人公(EMIYAやYOKOSHIMAやKYOUYAでも可)〕×〔ギルガメッシュ〕=〔アリサ〕

〔界王神(爺)〕×〔エンブリオ(ブギーポップ)〕=〔すずか〕

と、いった感じです。

  個人が強力でも人間全体は変えられない戦闘系チートと違い、個人が非力でも人間全体を変えられる内政系チートは、社会が大規模になるほど戦闘系チートより重要度が上昇しますね。

  因みにリインフォースは速人のなんちゃって万能型と違って正真正銘の万能型で、魔法関係以外でも殆どが速人と同等前後の水準です。

 

 

  それと今回のおまけのネギま!?ですが、御覧頂ければ直ぐに思い至られるでしょうが、作者はアーティファクトとかの設定を考えるのが大好きです。

  特にメリットに対してデメリットも付随する、所謂〔魔剣〕的な物が大好きです。

  ただ、当然出番など在りはしません(気に入られた方はどうぞ御使用下さい)。

  因みに作者は、

1.チャチャゼロ

2.トサカ

〜超えられない壁〜

3.ライフメーカー

4.エヴァ

5.クルト

が、好きです。

  逆に仮契約陣は全員………………。

  そして上記が理由で密かに茶々丸がハブられています(一応速人が茶々丸の仕事を完璧に捌けるのでエヴァンジェリンは茶々丸を然して必要としておらず、必要が在る時には超から借りる容を採っているという設定はありますが、ネギに惚れる茶々丸とエヴァ達との対立を浅くする為の苦肉の設定で、更には作者の好悪も多分に混じっています)。

 

 

  で、毎回恒例の作中補足です。

 

 

 

                                     

 

 

 

【作中補足(原作考察も混じります)】

 

 

 

                                     

 

 

【速人とリインフォースとツヴァイの階級と待遇と事情】

 

 

  三名とも本来ならば佐官になれるだけの実績と能力が在りますが、はやての下に就き易くする等の理由に因り、敢えて昇進せずに現在の階級に留まっています(三佐でも一応構わないのですが、定期昇進や何かの功績で簡単に階級が並ぶ可能性のある一階級下は難しいです)。

 

 

  リインフォースは公式の場及び記録に残る場合以外でAランクを超える魔力を揮っていないので、表立って海には引き抜かれません。

  ですが、それでも強引に海へ引き抜こうとする存在は居る為(ハラオウン一家等)、それを阻止する理由として機密を取り扱える上級管理官の資格を保有し、更に陸の重要機密情報を取り扱う事で〔機密漏洩防止〕の名目が立ち、一応海からの引き抜きを防いでいます。

 

  尤も、リインフォースもそう遠くない内に管理局を辞するつもりですので、長期間重要機密で在り続ける情報には触れていない為、それを盾に引き抜こうと画策する者が少なからず存在しますが、それは全て速人が未然に防いでいます。

  尚、リインフォースが保有している資格の中で最も相当権限が高いモノは一佐1相当権限で、条件さえ揃えばはやての後ろ盾を無視して命令することが可能です(当然部隊長陣以外の六課面面は知りません)。

  後、ベルカ領土で広大な土地を持ち且つ叙勲される働きをした事も在り、更に古代ベルカ魔法の担い手である等の理由で、リインフォースは聖王教会で上級騎士の称号を得ています(簡単に言えば凄い働きをした上に、教皇とその側近達に実力以外に精神性も認められた騎士です)。

 

 

  ツヴァイは原作通りはやてのデバイスとして登録されていますが、速人が強引に存在を繋ぎ留めた夜天の書が暴走した際に制御する為の安全装置である為、仮にツヴァイを引き抜けば夜天の書から切り離されたシグナム達以外の夜天の書関係の者が全員引き抜けますので、ツヴァイが一番強硬な引き抜きを何度も受けています。

 

  尤も、それを防ぐ為に夜天の書の直接関係者は陸で要職や重要機密に触れるなどしてツヴァイの重石と成り、更にツヴァイ自身が単体ではそこまで強力な魔導師でないという理由も在る為、現在も海から強引に引き抜かれずに済んでいます(それでも戦力的にAA以上ですが)。

  尚、密かに複数の資格(主に治療やデバイス等)を得ている為、最も高い相当権限資格は二佐で、此れもリインフォースと同じく機動六課では部隊長陣以外は知りません。

  因みに資格を取得した主な理由は、「自分の体は自分で治しますし、お兄さまとお姉さまの体もツヴァイが全身隈なく隅隅まで治すです。他の誰かに肌を見せるなんて認めないです!」、です。

  因みにツヴァイもリインフォースと同等の理由で上級騎士の称号を授与される筈だったのですが、〔研鑽を積んでいない自分は受け取れない(←意訳)〕と断り、騎士の称号しか持っていません。

 

 

  速人は予め管理局に在籍する期間をレジアスに明確に示し、更に期間が満ちれば管理世界で通用する戸籍を抹消して管理外世界で活動すると決めており、速人が重要な役職を長期間在任しないとレジアスは分かっているので陸の上層部にその旨を知らせ、後釜を狙わせることで切磋琢磨させる為に速人には様様な特権や重要な役職に就かせています。

 

  初期の頃は辞職時に拘束若しくは口封じを考えていたレジアスですが、速人の傍に居るリインフォースとツヴァイの能力及び取り逃がした時の報復を考慮し、更に不測の事態の時に協力を仰げる現在の良好な関係を維持していた方が得と結論を下し、レジアスは可能な限り良好な関係を現在も構築しています。

  対して速人は、私人としての評価(好悪)を公人の時に挟まない(レジアスは嫌っていても使えるモノは使っています)レジアスは評価しており、管理局を辞した後でも見返り次第では依頼を受けるつもりでいます。

 

 

  余談ですがレジアスが中将なのが意味不明です。

  中将は方面司令官で、総軍司令官である大将に纏められる存在ですが、管理局の中心と言えるミッドチルダ以外に大将が居るかどうか謎です。

  公開陳述会で陸の大将どころか中将すら見えませんでしたし。

 

  …………三提督で陸所属は一人もいませんでしたから、実は緊急時は海や空が指揮権を得られるよう、陸では中将が限界ではなかろうかと勘ぐっています。

  アメリカの首都どころか、首都であったフィラデルフィアやニューヨークにすら陸の大将や元帥が存在しないと思えば異常が解られるかと…………。

 

  因みにレジアスは陸の最高責任者ですので、機動六課で陸に所属している者のリミッター解除権限を無限に保有しており、仮にはやてが出張した部隊員の暴走を抑えるためにリミッター解除を申請すれば即座に完全解除されます。

  更に師団や艦隊指揮資格を持つ速人とリインフォースも、1回限りとはいえはやてのリミッター一時全解除の権限を保有しています(62時間全解除されます)。

  そしてツヴァイはリミッター一時全解除の代わりに常時飛行許可を得ていたりします(禁止区域以外限定ですが)。

 

 

                                    

 

 

【階級について】(長いので前半部分だけ読まれることを強く推奨します)

 

 

  この【八神の家】での管理局で使用されている階級です。

  一応原作通り佐官までは自衛隊の階級を流用し、将官からは旧日本軍の階級をしていますが、基本は自衛隊の階級です。

  尚、技官等は最低でも准士官待遇からとなっており(未満の場合は誰かの預かりの一般協力者に近い扱いです)、どんなに上り詰めても将官待遇(中将相当)を限界としています。

  それとシャマルが技官にも拘らず相当待遇ではなく階級持ちなのは、魔導師ランクを保有し且つ緊急時に戦闘要員として運用する為の措置です(派遣された純粋な技官を戦闘に投入すれば普通は責任を問われ、最悪責任者のはやてはクビになりますから)。

 

●【幹部】(佐官からがエリート中のエリート)

・〔??〕:大元帥・元帥・次帥・副元帥。(基本的に名誉階級で、職務は定められていません)

・〔将官〕:上級大将・大将・中将・少将・准将。(旧日本軍(・・・・)では大将からは殆ど名誉階級でした)

・〔佐官〕:一佐(一佐1(代将)・一佐2(上級大佐)・一佐3(大佐))・二佐・三佐。

・〔尉官〕:一尉(一尉1(上級大尉)・一尉2(大尉))・二尉・三尉。

 

●【准士官】(エリート予備軍)

・〔准尉〕:准尉。

 

●【曹士】(下っ端だが曹はある意味尉官以上のエリート)

・〔曹〕:曹長・一曹・二曹・三曹。

・〔士〕:士長・一士・二士・三士。

 

 

  以上です。

  但し、自衛隊の一佐1が旧日本軍の代将と同じというのは語弊があり、あくまで階級上同列と解釈して下さい。

  尚、一尉1と一尉2は完全な捏造で、自衛隊に一佐1は在っても一尉1は在りません。

 

  それと一佐1〜3と一尉1〜2は同階級での序列であって、通常は一佐1〜3や一尉1〜2も階級上は一佐と一尉と表記していますが、権限を区分する場合(着任時等)は階級の後に数字が追加されると解釈して下さい。

  後、リインフォースは一尉1で、なのはは一尉2で、辛うじてリインフォースが上官になっているので、なのはもはやて以外では一応命令にその場では従っています(平常時の最低限のモラル限定)。

 

  作者的に幹部の認識ですが、

 

・〔尉官〕:御飾りでも成れるエリート階級(あまり犯罪は揉み消せない)。

・〔佐官〕:御飾りでは成れないエリート階級(個人間の犯罪は殆ど揉み消せる)。

・〔将官〕:神輿に成れる超エリート階級(大抵の組織間犯罪を揉み消せる)。

・〔??〕:特権階級(歩く治外法権地帯)。

 

です。

  ゲーム風に言えば、尉官(最強の雑魚)佐官(ボス)将官(ラスボス)??(隠しボス)、って感じです。…………ベヒーモス・バハムート・エクスデス・オメガ、って感じですかね(FFX)。

  後、曹長や1〜3曹は現場のベテランの為、下っ端幹部の尉官よりもある意味成り難く、尉官よりも意見に耳を傾けられることも決して珍しくありません。

 

 

  原作へのツッコミですが、二士は一応一人前ですが三士は特別な理由が無い限りは教育課程を修了していない半人前の新兵で、旧日本軍でも戦争末期で無い限りは戦場に投入されない階級ですが、エリオとキャロの二名を普通に戦場に投入していたのは唖然としました…………(因みに分隊長は通常三曹が勤めます)。

  ……………半人前を凶悪事件に投入するなんて、現場を舐めすぎですね。

 

  それと旧日本軍では大尉(一尉)が無能者の成れる限界階級だったらしいです(何処かの何方も同じ階級な気が………)。

  そして佐官からは文字通りコネが在ろうと実力無しでは成れない、エリート階級です(旧日本軍の上層部が無能だと言われればエリートも無能もなくなりますが……)。

  因って佐官相当権限というのは破格で、実績無しの純粋な能力で獲得している分、相当権限と同階級の者よりも優秀な傾向が多いです(権限は相当権限持ちが若干下ですが)。

 

  尚、曹士の枠内での上官への暴行は問題に成らない場合も在りますが、佐官及び佐官相当権限持ち及び佐官待遇以上の者をそれ未満の者が暴行を働いた場合、速やかに軍法会議の後に懲罰房に直行です(陸軍尉官が海軍佐官をぶん殴った時、その尉官は銃殺刑にされかけたらしいです)。

  因みに武勲を立てて昇進するというのは基本的に士長までで、三曹からは大抵の場合褒賞か表彰状で終わるので(事務や指揮能力が重視されるのが理由です)、原作のなのはが一尉なのは全く納得出来ませんでした(指揮能力も指導力も管理能力も作戦立案力も低いですから)。

 

  教導するだけなら一曹で十分ですし、分隊を指揮するにしても曹長で十分ですので、自分はなのはが広告塔として見栄えが良い様に一尉に押し上げられたのではなかろうかと推測しています。

  そして作者的には何年経とうと佐官に成れず、褒賞や表彰状だけが増え続けると思っています。

 

  まぁ、現実で戦闘機のパイロットは准尉〜一佐ですので、戦闘ヘリ(ジェット戦闘機に在らず)に相当する空戦魔導師が同じ扱いかもしれない可能性はありますが、其の場合戦闘ヘリを操縦するアルトの階級の低さが謎になります(通常、ヘリのパイロットは曹長〜三曹で、アルトは二士)。

  …………普通パイロットの資格を有した者は、訓練課程を修了した後は自動的に下士官若しくは尉官に成りますので、こういうところに魔導師至上主義が表れているのを感じます。

 

  ……………人材不足なのは前線で働く者ではなく後方支援関係で、事務能力が全体に低い為に仕事を効率的に振り分けられないのが原因ではなかろうかと思います。

  そしてそれ以上に職業意識の低さが原因だと思っています。

  因みに機動六課に対して自衛隊勤務の者曰く、「危険度が在る以外はユルイ学校生活と同じじゃね?」、です。

 

 

                                     

 

 

【現在迄のなのはの揉み消された犯罪行為】

 

 

  01.公務執行妨害

  02.公文書偽造(詐欺未遂及び準詐欺未遂、並びに隠匿罪)

  03.傷害(公衆に著しく迷惑を掛ける暴力的不良行為等の防止に関する条例抵触等を含む)

  04.恫喝(強要罪)

  05.公共施設破壊

  06.管理局機保護法(旧日本軍の軍機保護法に相当)(地球で衆人環視の前で魔法を使う等(バレてはいない))

  07.管理局局員法  第100条(日本の国家公務員法  第100条に相当)

  08.殺人教唆(扇動)

  09.恐喝(強盗及び窃盗)

  10.住居及び建造物侵入(威力業務妨害も含む)

 

 

  細かく分類すると他にも掃いて捨てる程在りますが、目撃者や証人が山程居る為揉み消さないと洒落で済まないモノは以上です。

  因みに現実世界で程度の差こそ在れ、これら全ての罪状を制覇したならば≒100%でスパイとテロリストの同時認定でしょう。

  ………自衛隊の尉官風情でありながら自分の信者を増やし続け、更に信者を扇動して歯向かう者の排除に移り、その上その過程で隠匿や詐欺を行い、しかも恫喝や恐喝や住居侵入を日常的に行ない、他にも度重なる命令不服従及び正規の命令で行動中の者を越権行為の上で妨害、並びに越権行為の過程で示威行為として公共施設を破壊し、トドメに帰省した際に周囲が機密を理解出来ないとしても機密を漏洩する。

  ………………いくらスパイ法が無い日本でも日の目は浴びられないでしょう。……………不慮の事故に遭遇するでしょうね。

 

  尚、日本には100%死刑になる、【外患誘致】、という罪状があり、刑法第81条に〔外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する。〕(←意訳:日本を攻撃しようとしている国に助力し、その国に日本を攻撃させた者は死刑在るのみ)、というのがあり、解釈次第でなのはは此れが成立してしまうので、証拠を握っている速人達が居る限り日本で安住は出来ません。

  他にも、原作では衛星軌道上にアルカンシェル実装したアースラが待機していますが、宇宙条約第4条を此れ以上無い程違反していますが、SLBを使う為の要であるレイジングハートもほぼ間違いなく違反していますので、持ち主であるなのはに責任が及ぶことに……。

  …………魔法を覚える前に地球の法律や常識を覚えた方が良いと思います。ミッドチルダの法整備はどう考えても遅れていますし(政教分離や三権分立していない民主政治は擁護しきれません)。

 

 

  ……………原作を見ても然して変わらない罪状数な気がしますけど、きっと原告側が控訴を取り下げて丸く収まっているのでしょう。

 

  後、速人は地球で多数の犯罪行為を揉み消しているので、なのはに偉そうな事は言えないですけどね。

  ………していないのが強姦・強姦未遂・死姦・死姦未遂・近親間結婚、等等etc……という感じなのは性質が悪過ぎですね。

  普通に核や奴隷や違法薬物を売買及び使用していた過去が在りますから、多分罪状ではスカリエッティと張り合える程在ると思います。

 

 

                                     

 

 

【IF編での大まかな派閥】

 

 

  〜〜 ぶっ壊れ組(別名チート及び準チート軍団) 〜〜

●:リインフォース、ツヴァイ、アリサ、すずか。

◎:スカリエッティ、ティアナ。

○:カリム、ギンガ、ヴァイス。

 

  〜〜 夢追い人組 〜〜

◆:レジアス、ゼスト、オーリス、レティ。

◇:はやて、グリフィス、ヴェロッサ、三提督。

■:ヴィータ、シャマル、ゲンヤ、ユーノ。

□:シグナム、ザフィーラ、シャッハ。

 

  〜〜 平穏一番組 〜〜

★:マリエル、レイジングハート、バルディッシュ。

☆:アルト、ルキノ。

*:アイナ、多くの一般職員。

 

  〜〜 正義の味方組 〜〜

※:クロノ、リンディ。

×:なのは、なのは信者達。

 

 

  一応ネタバレになると思いますので、敢えて速人が何処に属すかは明記していません(バレバレでしょうが)。

 

  因みにヴィヴィオを入れるならば、●か◎か*の予定です。

  それと個人的に原作の名場面(寸劇?)辺りで、

 

「ヴィヴィオのパパはクローン培養したスカリエッティで、ママは聖骸布を手に入れてきたドゥーエだもん!

  恥ずかしい格好してるおばちゃんなんかママでもパパでもないもん!!」

 

とか言わせてみたかったりします。

  ……まぁ、見た目と言動と行動を考えずにフレアスカートかミニスカートを穿いて飛び回る保護者に、意識が成長していたヴィヴィオはさぞかし助けてほしくはなかったでしょう。

  ………………ヴィータなら絵面的に可ですが、なのはだと黒歴史確定ですからね。

 

 

                                     

 

 

 

【作中補足終了】

 

 

 

                                     

 

 

 

 

  最早暴走し過ぎて原作の原型が殆ど見受けられないSSを毎回掲載して感想を下さる管理人様と御読み下さった方に沢山の感謝を。

 

 

 

                                     

 

 

 

【おまけ・其の壱】とある日の部隊長室

 

 

 

八神ーーーーーーー!!!

  お前ギンガにどんな仕事割り振ってんだあーーーっっっ!!!

「っっっぅぅぅぅぅぅっっっ?!?!?!

  み………耳が…………」

何で陸のお偉いさんから息子とお見合いしてほしいって頼みごとが次々に俺ん所に来るんだっっ!!!?

「耳………痛………」

『[媚びない優しさと健康的で無防備な色香が良い。私も若ければ………]、とかっっ!!!

  一体どんな仕事してればそんな感想を抱かれんだ!!!???

「お…………落ち……着いて…………」

落ち着いてられるかっっ!!!

  若い新人に人気が在るなら分かるが、何で年食ったお偉いさんに人気が在るんだ!???

 

  お偉いさんが全員分別か良心を持った人達ばかりとは限らんというのに、一体何をさせてるんだあっ!!!???

 

 

 

 

 

  暫しゲンヤの怒声が響き渡る

 

 

 

 

 

『………で、…………お前ギンガにどんな仕事割り振ってんだ?』

「い、いえ、………別に普通の事務や外回りの供関係ですけど………」

『……………八神、念の為言っとくがな、漫画やアニメの格好をさせて勤務させるのは普通じゃないからな』

「出向してもらっとるギンガにそんなことさせたりなんてせんですって!!?」

『…………ゲームなら嘘じゃないとか思ってないだろうな』

「…………とにかくっ、私はギンガには至って普通の格好で至って普通に過酷な勤務しかさせてませんって」

『………沈黙がかなり気になるが、冷静に考えればそんなことを六課の守護者達が見過ごす訳はないか………』

「……………私の信用って…………ゼロ?」

『生憎と洒落で済ませられない犯罪以外は、セクハラを筆頭に平気で実行すると思ってるからな。

 

  ……………以前ギンガの胸を曝したのは記憶に新しいからな』

「う……………」

『見られた相手が他の男だったら、最悪転属願いを出してたところだぞ?』

「そ………その件に関しては申し開きも無いです。はい」

『そういうことで、この手の件に関するお前の信用度はメチャクチャ低い。

 

  ………で、再三訊ねるが、…………お前……ギンガにどんな仕事割り振ってんだ?』

「いえ、…………至って普通な仕事の激務漬けにしかしてませんよ?

  しかも最近は難癖や責任のたらい回しが大幅に減りましたから、普通な仕事を普通な量しか割り振っていませんって」

『……………………じゃあ、ギンガがお前さんの前に居ない時の勤務状況や勤務態度を知ってる範囲で言ってみろ』

「あー………報告書には仕事は問題無く処理してるとしか書いて無いですよ?」

『……………………訊き方変えるぞ。

  どんな勤務状況や勤務態度と思っているか言ってみろ』

「………………………」

『………………………』

「………………………………………………」

『………………………………………………』

「………………………………………………………………………」

『………………………………………………………………………』

「す…………すみませんでしたあーーーーーっっっ!!!

『………やっぱりな。

  ………何をさせてるかは知らねえが、碌でもないことに関わると知ってて送り出してたな?』

「だ……だって、行く先々でを私みたいな小娘が二佐だって事でリインがネチネチ嫌味を受けたり、空の問題児を陸で預かっている厄介な小娘の代理って事でニチャニチャパワハラ受けたり、私の子達の昔の事でベタベタセクハラかまされたりするもんですから、[ギンガが居れば行動自粛するかな〜]、って思うて、リインの出張には全部付き合わせてました……………」

『…………………お前さんの言い分は分かるし、実際俺にギンガの事で話しかけてきたお偉いさんの話を聞く限りじゃ健全に対応したっぽいけどよ、…………………お前さん、ギンガに説明せずに送り出したろ?』

「い、一応……外回りの厭なことをメ一杯体験することになる、………って…言ってはいます。はい」

『………………まぁ……話を聞いた限りじゃお前さんが割り振った仕事自体はケチの付け様が無いから、責任がどうだこうだとは言わねえよ。

 

  ギンガ本人から仕事の遣り応えとかを簡単に聞いてるが、捜査官として現場の責任者を上手く言い包められる話術はどんどん学んでいる最中とか言ってた。

  他にも毎日精神を鑢掛けされるお蔭で現場の厭な上官の付き合い方と腹立たしい容疑者の取り調べもラクに堪えられそうだとか、此方が出向させて得られるメリットはきちんと得ているみたいだからな。

 

  …………ただ…………個人としては文句が在るぞ?』

「はい………」

『という訳でだ、…………………今度リインフォースの嬢ちゃんを交えて確り弁明を聞かせてもらうぞ』

「はい………………」

『それと、だ。

 

  詳しい話は聞いていないが、とりあえず今回の件はギンガが六課に出向している期間限定で最大限の便宜を図ればチャラにしてやる』

「……………私だけの問題で済む範囲でなら………」

『それで構わねえよ。

 

  寧ろ他の奴や六課に迷惑かけようものなら叱り飛ばしてるところだ』

「そこら辺は普通に職員してたら普通に身に付く考え方ですよ。

  他にも有名な漫画で、〔お前のためにチームがあるんじゃねえ。チームのためにお前があるんだ〕、っていう至言からも学んでますし」

『普通に職員してても普通は身に付かんから面倒なヤツが蔓延ってるんだよ。

 

  後、有名な漫画とやらは知らんが、良い台詞だ。特に空の連中に聞かせてやりてえな。

  ま、傍若無人を個人プレーと勘違いしている奴等が殆どだから、聞かせた所で無駄そうだがな』

「その辺りはグリフィス君と一緒に今度熱く語りましょう」

『おう。いつもの居酒屋で愚痴り合おう』

「ええ」

『それじゃリインフォースの嬢ちゃんが帰ってきて時間が空いたら連絡くれ』

「はい」

『じゃあな。

  色々大変だろが頑張れや。

 

  それと……………スバルがバカやらかしてて済まねえな』

「その辺はゲンヤさんが謝ることじゃありませんし、気にしなくても構わんですよ。

 

  ええ………。本当にゲンヤさんは気にせんでいいですよ……………。ゲンヤさんは…………………」

『……(地雷踏んだっぽいな)……そ、そうか。そう言ってくれると助かる』

「それじゃあお仕事頑張って下さい」

『ああ、お前さんも周りに頼りながら頑張れや』

 

 

 

【唐突に終る】

 

 

 

●  ○  ●  ○  ●  ○  ●  ○  ●  ○  ●  ○  ●  ○  ●  ○  ●  ○  ●  ○

 

 

 

【おまけ:其の弐】とある日の訓練

 

 

 

  〜〜〜  泣き叫び過ぎて声も上げられない程痛めつけられたティアナへの台詞  〜〜〜

 

「喚くな。痛がるな。相手が調子付く」

 

  その後当然シャマルの治療で回復するものの、痛みを表情に出さなくなるまで繰り返される。

 

 

  〜〜〜  命令されて自傷行為をしたが加減を間違えて半死になってしまったティアナへの台詞  〜〜〜

 

「決断を奮起すると加減を間違え易い。

  呼吸をする感覚で自傷行為が出来るまで繰り返すぞ」

 

  その後当然シャマルの治療で回復するものの、平然と自傷を行えるようになるまで繰り返される。

 

 

  〜〜〜  食事に生きた小鳥を出されたティアナへの台詞  〜〜〜

 

「生食は危険なので火を通せ。

  串刺しにして火で炙れば、血抜きをせずとも取りあえずは食せる」

 

  その後ティアナは半泣きで小鳥を握り殺し、 〜。

 

 

  〜〜〜  暗黒街的な場所に全裸でデバイスも無しで放り出されたティアナへの台詞  〜〜〜

 

「捕獲されれば強姦乃至輪姦され、その後、好事家に性処理案玩具として売られるか、違法賭博場に戦奴として売られるか、その儘死ぬまで輪姦され続けるか、体を切り取られて脳すら弄くられるかの何れかになる可能性が高いぞ。

  其の場合は兄の墓碑に名だけは刻むので、残念無く死ぬといい」

 

  結果、一応ティアナは処女性を守り通したが、平然と事態に対応 〜略〜。

 

 

  〜〜〜  リインフォースに依頼して類人猿を遠隔操作し且つ幻覚魔法を掛けて人間に見せかけ、激闘の末殺害して放心しているティアナへの台詞  〜〜〜

 

「単独とは限らぬのに放心するのは減点要素だが、神経系と血液系と臓器系を破壊して殺害したのは見事だ。

  蘇生の可能性は可能な限り潰すべきだからな」

 

  自力で殺人(と思っている)について乗り越えた後種明かしをする(乗り越えるまでは通報されぬように隔離している)。

 

 

  〜〜〜  前後不覚の渇きと飢餓状態で人尿と人肉を自発的に飲食してしまい、人間の尊厳に悩むティアナへの台詞  〜〜〜

 

「目的と関係せぬことに忌避感を抱けるとは、存外に余裕だな」

 

  目的の為に尊厳を 〜。

 

 

 

 

 

「…………………これで漸く半分の工程とはな…………」

「…………………………普通に人権問題ですね…………」

「……………報告書ではランスターが習熟後、自ら実践して見せているので意見を封殺出来ているらしいとあるが…………」

「……………表沙汰になれクビが飛ぶだけでなく関係者は裁判所送りでしょうね………」

「……………………取りあえずランスターに特別危険手当及び其の他諸諸の名目で、1日につき現在の給料の50倍支払われるようするか………」

「………福利厚生も最高位のモノにしておきますね……」

「……ああ………」

 

 

 

  その後、訓練内容は更に激しさを増し、音や匂いや味を徒の刺激とだけ認識し、更にそれらに心を動かさないようにするという、人間性を削り落とす訓練内容がティアナに施された。

  だが、ティアナは意識すれば人間性を削り落とした状態になることしか出来ず、ティアナの人間性は辛うじて崩壊せずに済んだ。

 

  尚、リインフォースは兎も角、ツヴァイどころか速人すら自分が行った事を高レベルで再現可能と知り、魔導師ランクに対する劣等感が大いに払拭されたが、逆に別の劣等感がティアナに追加された。

  そして速人に劣等感を抱いてはいるものの、それとは別に僅か1ヶ月少少で精神を大改造された恨み辛みが多大に募っており、ティアナが速人に抱く感情は複雑になっていた。

  それと、ある程度精神改造されたティアナの精神状態を調べていたシャマルが下した評価は、[重度の精神病患者と超人の中間ね。速人さんにかなり近いわ]、であり、ティアナ自身の評価は、[変人なのはイヤイヤ認めますけど、誰かと違って頭のネジはある程度残っています]、であった。

 

 

 

【手抜きの上投げっ放しで終わる】

 

 

 

                                     

 

 

 

【おまけ・其の参】ツヴァイ暴走列伝(闇の書事件から約3年後の冬(IF))

 

 

 

「というわけでっ!今日こそはお姉さまに勝負下着を買ってもらうですっ!」(←ツヴァイ)

「はい落ち着いてな〜。

  微笑ましい視線と痛い視線が半々で、リインが困っとるからな〜」(←はやて)

「あと、かなり遠くから男の人のHな視線がリインフォースさんに集中してるよ」(←すずか)

「それと一部のコアな奴等が、ツヴァイが買うと勘違いして危ない視線を送ってるわね」(←アリサ)

…………あの………せめて女性下着専門店に……………」(←リインフォース)

「そんな所に行ったら下着というよりエログッズ着せられて帰ることになると思うわよ?」

「……………」

 

 

 

 

 

「やっぱりお姉さまは下着で魅せるんではなく、勝負下着だってアピールするだけで十分だと思うです」

「うん、リインフォースさんはすっごい綺麗だから変にお洒落な下着より、シンプルだけど特別って感じの下着がいいよね」

「そうやな。

  柄も飾り布も無い白か黒の下着が一番やろ」

「ツヴァイとしてはお姉さまの白くて綺麗な肌に映える黒が似合うと思うです。

  それに凛凛しいお姉さまに黒の下着はくーるびゅーてぃーっぽくてぴったりだと思うです」

「それもいいけど、白も捨てがたいな〜。

  リインフォースさんの清楚と綺麗さに合うだろうし、白い肌に白い下着って組み合わせが何とも言えない神秘さを醸し出すと思うよ」

「リインは上が白系で下が黒系の服着るんが多いから、上が黒で下が白が良いと思うんよ。

  それと、あえて統一せんで、上で大人の雰囲気を匂わせつつ、下はそこまで積極的になれん乙女らしさのギャップが萌えると思うで?」

「なに言ってるですかはやてちゃん。

  お姉さまが上と下を腕と手で隠しながら俯けば攻撃力は無限大です!」

「そしてツヴァイがリインフォースさんの後ろに隠れながら窺えば完璧だね♪」

「ですですっ!!

  それならお兄さまもイチコロですっ!

 

  既成事実さえ作ればお兄さまもお姉さまも一生懸命考えて答えを出しますし、その後ツヴァイも一緒に退廃的ラブロマンスに参加するですっ!!」

「すずかちゃーんっ!?

  (うち)の末っ子に変な知識植え付けんでくれんかなー!!?

  思考がめっちゃインモラルなんやけどー!!?」

「大丈夫だよはやてちゃん。

  一夫多妻はイスラムじゃ問題無いし、逆の一妻多夫もチベットとかじゃ問題無いんだから、モラルなんて場所でいくらでも変わるから気にする必要なんてないよ」(一妻多夫は法律上認められていませんが、慣習として認められている地域も在るという程度です)

「その通りですっ!

  さすがすずかちゃん、良いこと言うです!

  モラルなんていう時代でころころ変わるモノのなんて、丸めてゴミ箱にポイです!

 

  第一、昔は色んな男の人達が色んな女の人達と結婚して、出来た子供をみんなで育てるっていうのも認められていたですよ!?

  それに比べたらお兄さまとお姉さまとツヴァイが結婚するなんて全然問題無いです!」

「いやいやいや、年齢考えような!?

  たしか16歳より速く結婚出来る国は今じゃ無い筈やろ!?」

「少なくても公的に認められている限りじゃ無かった筈だけど、何処かの先住民族の人達は何かの動物を一騎打ちで倒したりとかの条件さえ満たせば子供でも結婚出来た筈だよ?」

「いや、公的じゃない時点でアウトやん、それ」

「大丈夫です!

  少し戸籍を改竄したり、重婚可能な国籍を買ったりとかくらい、1兆円くらいお金を積めば余裕で解決です!」

「多分、全員分の国籍や土地や家、他に全員一生遊んで暮らせる預金や貯金、それと偉い人達への口利きのお礼とか全部含めても、10億円あれば余裕でお釣りがくると思うな」

「すずかちゃーん!具体的なこと言うのやめてくれんかな!!?」

 

 

 

 

 

「…………私の貞操とツヴァイの情操教育を考えて別居した方が良いのだろうか?」

「ツヴァイが速人だけを泊まらせたら、ストッパー役が居なくなるから止めた方が良いと思うわよ」

「………………たしかに……」

「あ、それと気になってたんだけど、ツヴァイが小さい時の服装なんだけど、やたらバリエーションが豊富な気がするんだけど、そんなコロコロ変更できるもんなの?」

「初めて逢った時の騎士甲冑(服装)以外は全てサイズに合わせた手作りだ」

妖精サイズ(小さい時)だけじゃなくて、アウトフレームサイズ(あれくらい大きくなった時)のも手作りなの?」

「一着だけ手作りで、他は全て既製品だ」

「あ、それって何時かあんたも着てた、ボディライン丸分かりで脇と太もも丸見えのアノ服?」

「多分に馬鹿にされている感じがするのだが、その通りだ」

「あ〜アレね〜。

  流石にアレは市販には無いと思ったけど、あんな情操教育に悪い服装を態態速人が作ってたなんて、呆れるというか驚くというか…………」

「馬鹿にされてると思っていいのか?」

「馬鹿にしてるんじゃなくて呆れてるのよ。

 

  銀髪赫眼の上にアルビノ寸前の白い肌。おまけに絶世と言える容貌と容姿。

  なのに自分でそれに気付かず胸を強調するわ、太股曝すわ、脇から胸の付け根をチラ見せするわして世の男を誘ってるし………」

「そ……そんなつもりは微塵も無いのだが………」

「あーはいはい。

  そこら辺は周りに居る男の反応が特殊なのも原因だから、馬鹿にしたり文句を言っているわけじゃないのよ。

 

  実際……あたしも速人やザフィーラみたいに何着ても全然恥ずかしがらない異性とだけ接してたら、間違い無くリインフォースみたいにそこら辺が狂うと思うし」

「………やはり私の周りに居る者が特殊なのか?」

「間違い無く、それも飛び切り。

 

  ザフィーラは人間形態(珍しい時)なら兎も角、狼の時(普段)は表情なんて碌に分からないから情操教育要員としては除外。

  速人は世界中の女性に喧嘩売ってるとしか思えないくらい見事に性欲が無いから、ザフィーラより駄目。………因みにすずかが、[男色でもなさそうなんだよね〜]、とか言ってたわ。…………あたしとしては潜在的に両刀使いな上にハーレム上等な気がするけどね。

 

  …………正直、ツヴァイがアマゾネスの集落としか思えない生活環境で、何でか男女を正確に認識した上での好意を抱いてることがあたしには驚きよ」

「…………言われてみればたしかに…………」

「………あ……………そういえばすずかと秋葉原とかに行った時、ハァハァ息を荒げる変態に何度も言い寄られたことがあったとか言ってたけど、………それが要因かしら?」

「………………………」

「………………………」

「………変態の街で変態の洗礼を浴びた為、少なからずまともに育ったというのは…………」

「………変態の街の変態より、周りがマイナス要素だったってことよね…………」

「………………………」

「………………………」

 

 

 

 

 

「お姉さまお姉さま!

  無地の白か蒼、それか白と蒼の縞模様のどれがツヴァイに似合うと思うですか?

 

  それとこのネグリジェとこっちのYシャツのどっちをお姉さまは着るですか?

  ツヴァイと一緒に来て迫れば、お兄さまもきっと悩殺できると思うです!」

「そ……そうだな…………下着はツヴァイの活発さと清廉さに合う蒼を推そう。

 

  それと、悩殺関係の答えは勘弁してくれ………」

「むむ!?

  それは既にお姉さまは自分で悩殺用のパジャマを持っているということですね!?

  だから答えられないということですね!!?」

「いや、全然違―――」

「やったです!!

  これで結婚式まで2ヶ月は短縮されたです!!」

「―――う…………」

「そうと決まれば早速YES/NO枕を買いに行くですよー!」

「そ、その枕が何かは知らぬが、壮絶な勘違いか先走りをしていると思うから待ってくれ!」

「ぁぅっ?!?

 

  ………………大きな声で先走りだなんて…………………お姉さまはHですぅ………」

「そ、その解釈は完全に勘違いだ!!」

「?  お姉さまがHってことがですか?」

「違う!そっちじゃない!」

「!?!?!?

  や……やったです!

  何時の間にかお姉さまはお兄さまとHをしている関係に成ってたですね!!!?

 

  それなら今日はお祝いです!満干全席です!

  意味も無くエキストラ集めて街でパレードを繰り広げるです!!

  100億円くらいパーって使うですっ!!!」

「ま、待ってくれ!?

  た、頼むから私の話を聞いてくれーー!!!」

 

 

 

 

 

「見事に振り回されとるな〜」

「………周りのボケに振り回される姿。

  ……………凄く親近感が湧くわね………」

「アリサちゃんもリインフォースさんと同じツッコミ属性だからね〜」

「他人事みたいに言ってるんじゃない!

  あたしがツッコム原因の1位があんたと速人だって分かってる!?

  あと、そこで自分は関係ないと思ってるはやて!

  あんたも十分ボケ倒したり引っ掻き回してるって自覚しなさい!!」

「アリサちゃん………そんなに怒って疲れへん?」

「デレギレかツンドラにジョブチェンジしようか迷ってるの?」

「あ        がっ!此処最近ボケ倒すか引っ掻き回すかからかうかのどれかしかしないからでしょうがぁっ!!!」

「「まぁ〜まぁ〜、落ち着いてぇ、落ち着いてぇ〜」」

「すぅっっ…………ごっくっっ!腹が立つ宥め方してんじゃないわよ!」

「あはは、勘弁勘弁」

「ふふ、ごめんごめん。

 

  いつもなら速人さんがもっと凄いボケを投下するか、切れ味抜群の切り返しをしてくるから、つい……ね?」

「…………………どっちみちあたしがツッコミ入れるのは殆ど変わらないんだけどね………」

 

 

 

 

 

「玉子が冷たいです。

  ………減点1です」

「いや、普通は厨房から運ばれて来れば冷めるものだぞ?」

「お兄さまとお姉さまのは中まで暖かいのにトロトロの半熟だったです。

  それに食器を暖めててもくれてたですから、1分や2分じゃ冷めなかったです

 

  だいたい玉子を焼く専用のフライパン使ってないですから、色んな匂いが移ったり表面がザラザラだったりして減点3です。

  金払わす気かこのヤローです」

「店の者の非難混じりの視線が集中し始めているから、発言を控えてくれ……」

「陰口じゃなくて堂堂とした文句ですから大丈夫です。

 

  だいたい、安全や栄養や安さや早さや品数を売りにしてるなら兎も角、味を売りにしてるのに肝心の味に関して手抜きや勉強不足なんて詐欺です。嘘広告紛らわしいです。受付時間内だったら電話してるとこです」

「………まぁ、言いたいことは解るが、公文書の偽造や違反でないならば、どれだけ悪質な詐欺に思えようが対処は行政指導が限界だ。

 

  これも世の灰色的な部分と思って割り切ってくれ」

「中までドス黒くても表面に灰色の紙を貼り付ければ罷り通るなんて、世は世知辛いですぅ〜」

 

 

 

 

 

「はやて…………舌……肥えさせ過ぎよ……」

「………別にあたしはそこまで甘やかしとらんって。

 

  ただ………、速人はんかリインに料理をよくお願いしとるんやけど、頼まれて引き受けたからにはどっちも全力で実行するもんやから、結果的にアリサちゃんとこのシェフが燃え尽きた料理が毎回出来上がるっちゅうわけで………」

「納得」

「あ……でも、文句を言う割にはきちんと食べてるよ?

  何処かの陶芸家で美食家で自分の料理に億単位の値段を平気で設定する人みたいに料理を払いのけたりしてないよ?」

「それは初期の黒歴史の時の事やから、黙っててやった方が良いと思うで。

 

  あと、ツヴァイは速人はんとリインの情操教育の一環で、ニワトリやウサギやブタを屠殺したことあって、めったな事じゃ残したりはせんで?

  ……………シャマルの料理はゴミか毒認定やから、残すというか普通に捨てたりするけどな」

「………たしか、[隠し味は愛情という名の魔法〜。だから隠し味には魔法を〜]、とか危ないこと呟きながらケミカル変化というかマジカル変化というか、最終的に弱神経毒系の物質を生成したわよね…………」

「おまけに食べた後に胃酸と反応したみたいで、胃で爆発して速人さんが死にかけたよね………」

「あん時からツヴァイの中じゃシャマルの作ったモンは全部毒認定になったからなー………」

「それが普通だって。

  ………っていうか、まだシャマルさんに食材で何か精製させてんの?」

「…(料理って言わんところに拘りが見えるな)…、あ、うん。

  ホウ酸団子やアリ除けの代わりに翠屋で大活躍しとるで。

 

  なんでも1週間でゴキブリどころかアリ一匹見なくなったとかで、メチャクチャ感謝されとったで」

「凄いけど…………食材を使用した化学兵器よね」

「平気と言うよりは毒だと思うよ?」

「本人は必死になって料理て主張しとるけど、最近じゃ速人はんですらノリや石鹸みたいな食材で加工した料理以外の物て認識してるて知って、半分泣いとったな……」

「あ、でもカップ麺や冷凍食品の解凍は出来た筈だけど?」

「それを料理て言うのは、料理を作ってくれてる人達を馬鹿にしとると思うんやけど?」

「それじゃ温泉卵とかお茶漬けとかトーストとかならどうかな?」

「それぐらいなら多分恐らくきっともしかしたら奇跡を願わんでも成功すると思えると良いなあと気楽に言える日が来ることを期待していても罰が当たらんかもしれんと思いたいところやね」

「「………………そこまで……………」」

 

 

 

【尻切れトンボで終わる】

 

 

 

                                     

 

 

 

「ねえ、鮫島」

「はい。何で御座いましょうか?」

「あたしは今……日本国籍の13歳よね?」

「はい」

「なら………どんなに早くても後2年以上は結婚できないわよね?」

「少なくとも日本国憲法上ではそうであると記憶しております」

「よね。

 

  なら…………………………………………………………………なんで今直ぐ結婚しろって話が来るのよーーーーーーーーー!!!???

 

 

 

●●●  【おまけ・其の肆】令嬢はつらいよ  ●●●

 

 

 

なに?なんなの?どういうこと!?

 

  そりゃ貴族の義務で政略結婚するんだろうとは思ってるけど、なんで小学6年の時分で20代後半の奴と今直ぐ結婚するって話が来るの!!?」

「正確には結婚は法に抵触せぬまでは控えても構われませんが、代わりに今直ぐ子を宿し、そしてその子を抱かせるようにと言われておりますが」

真っ平御免よ!!!

 

  と言うか、良い大人が小学生に手を出すなんて犯罪でしょが!!!」

「しかし出産自体は違法では御座いません」

「出産は合法でもその前段階はしっかり違法でしょうが!!!

 

  ……………確かにバニングスグループを将来背負う者なら、高確率で政略結婚しなきゃいけないのは小さい頃から想像してたし、人並み以上の生活をしてきた一つの代償と思ってるから、政略結婚自体に文句は言わないつもりよ」

「御立派な御考えで御座います。

  ……尤も、お嬢様が懸想されているあの少年ならば周囲全てが賛成されるので、どうしても相手方を受け入れられないようでしたらあの少年の正室側室問わずに婚姻―――」

「―――ダウトォォッッッ!!!

 

  確かに好意を抱いているのは間違い無いけれど、友情を愛情と勘違いされるのは腹立たしいから、マジでそういうコト言うのヤメテ」

「理解しました。

 

  ……僭越ながらお訊ね致しますが、このお話、お受けになられるのですか?」

「受けるわけないでしょ!?

  少なくとも高校も卒業せずに結婚なんてするつもり微塵も無いわよ!!

 

  て言うか、お飾りにされない為に2年少しで帝王学の殆どを身に付けたっていうのに、何で態態この2年をグランパの我儘に付き合って棒に振るような真似しなきゃいけないのよ!!?」

「御館様はお嬢様に女性としての幸福を望まれていらっしゃられると思われますので、お断りなされるとしても心遣いは汲まれるべきかと存じ上げます」

13歳で年が倍離れた奴と強引に子作りさせて14歳で出産する女の幸せってナニ!?

「中世では15歳前後で婚姻して出産するのは珍しくないらしく、御館様の仰られる女性の幸せは世が世ならば普通だと思われます」

「平均寿命の関係でそうだっただけでしょが!!」

「後、日本では寺小屋の休憩時間に乱交する風景は少数派ではあるものの、然して珍しくはなかったそうです」

「200年以上前の常識でしょが!!!

 

  ………あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーもうっ!

  ………兎に角、結婚と出産の話は全面的に断るわ。

 

  ……時期が来る前に自分で良さそうな相手を適当に見繕って結婚するって事で納得してもらうわ」

「しかし、既に相手方へも話が通っていると思われますので、容易には断れないと思われます」

「ロリコンやペドが迷惑被ろうと気にしない………って言いたい所だけど、自分からロリやペドになろうと思ったわけでもないでしょうから、少なくとも相手の顔と部下の人達の迷惑を考えて断らなきゃね……」

「私共が調べた情報によりますと、相手方は幼少の頃より、〔50ぐらいになると流石に枯れるだろうから、その時までに40超える奴はいらねえ〕、と言われておられたらしく、それが高じて自身より年下が好きになったとの噂が実しやかに囁かれております」

「前言撤回。

  部下に刺されて病院の虫にでもなれ」

「部下の方達からは好意的に見られておりますので、そのような事態は起こり難いでしょう。

 

  曰く、[あそこまで自分の性癖を隠さないのは寧ろ好感が持てる]、との意見が大半です」

「バカでスケベで明け透けだけなら兎も角、ロリやペドで、しかも矛先があたしに向いてる限り、近寄りたくもないわ」

「その点に関しては御館様の御配慮不足としか申し上げられません。

 

  …………お嬢様が勾引かされた経験が在るということを都合良く失念なされておられるとしか思えません」

「……………鮫島にしては珍しく毒を吐くじゃない」

「非礼は承知ですが、私はお嬢様に御使えする者として、雇用者やその上位者であろうとも辛辣な意見を述べるべき時も御座います」

「……………正に執事の鑑ね」

「お褒めに預かり光栄です。

  しかし、この程度のことなど執事ならば当然の事で御座います。

 

  執事の真価はその当然の心構えの下、どれだけの技術と知識を揮えるかに御座います」

「…………今は重く感じるけれど………そのうち難無く背負えるようになるから、期待して待ってなさい」

見事なツンデレで御座います(分かりました)

  尤も、既に私程度は難無く背負えると思いますが………」

「……(そこはかとなくイラッとしたけど、何でかしら?)……経済的に自立出来てないのに誰かを背負えるわけないでしょ」

若干捻くれたツンデレも素晴らしゅう御座います(概ねその通りで御座います)

  ですが、金銭が第一の目的で執事を務める者など、執事としては三流未満だと御留意為されて下さい。

 

  少なくとも私は自分が仕えるべき方が、自分が心から仕え続けたいと思える存在で在り続けて下さることが何よりの報酬であり、それさえ満たされれば衣食住を満足に満たせずとも構いません」

「……(何でか、すずかやはやてに弄られてるような感覚がするわね)……いや、だから、その期待が今のあたしには重いって……。

 

  だいたい、小学生の小娘に話すようなことじゃないと思うわよ?」

「………失礼致しました。

  お嬢様の精神が成熟され………いえ、お嬢様の精神が余人では到達出来ぬ高みに在る為、そのことを都合良く失念しておりました。

 

  重ねて述べさせて頂きますが、真に失礼致しました」

「……………言われてみたら…………………………確かにあたしって同年代に比べて良かれ悪しかれ突出してるわよね」

「正確には突出ではなく、異質、で御座いましょうが」

「いやいやいや!異質は単身で人間という種族に喧嘩吹っかけてる速人みたいな奴に適用される言葉で、あたしは異端ってトコでしょ」

「………………あの少年は異質と言うよりも常識外と呼ぶべきかと………」

「………たしかに。

 

  ……………で、話を戻すけれど、どうやって結婚と他諸諸を断ろうかしら?

  それも出来るだけグランパとロリペドの顔に窒息させる程泥を叩き付ける感じで………」

「……………」(←思案中)

「………………………………よし!

  取りあえず速人を仮面恋人にする。そしてその際速人のバックは全部伏せる。その上で相手と各能力の全面対決で完敗させる。

  トドメに速人のバックを明かして水戸黄門の印籠を見せられた者の様に平伏させて破談にする。

  駄目押しで数年後にある程度の実権を握った頃、実は友人だったと暴露する。

 

  ………………うん。速人の了承さえ取れれば完璧だわ!!」

「……………」(←妙案であり、その上アリサがやる気なので黙っている)

「ふふふふふっ。………今からグランパの悔しがる姿が目に浮かぶわ。

 

  あ、それとはやて達の反応が面白そうだから仮面恋人という事は伏せて、婿選抜勝負に行ったってはやて達に伝えるべきね。

  ………………………弄られて振り回される側の気持ちを知るといいわ」

「それでは電話でお伺い立てられますか?それとも直接御会いになられますか?」

「………こういう事は会いに行って頼むのが礼儀なんだけど、今回は電話で待ち合わせの時間と場所を決めて、後でそこでゆっくり話すことにするわ」

「畏まりました。

 

  では、御館様への返事は後日で宜しゅう御座いますか?」

「速人から返事を貰ったら直ぐにあたしから連絡するわ」

「畏まりました。

 

  それでは失礼致します」(←アリサの私室から退出する鮫島)

「………さて、と。

 

  それじゃあ普通の電波圏内に速人が居るかどうかが最初の関門だけど、何となくなんとかなる気がするから大丈夫でしょ」

 

 

 

  後日、事の仔細を知ったすずかが悪ノリし、ツヴァイと共に暗躍した結果、戸籍上だけは速人とリインフォースが結婚しており、更に第二〜第五婦人候補としてツヴァイとアリサとすずかが名を連ねており、既に戸籍上結婚可能年齢に成れば即座に結婚可能な手筈が整っていた。

 

  尚、当然八神家ははやてとヴィータを筆頭に荒れに荒れた。

  逆に月村家では笑いが渦巻いており、洒落で終わらせようと実行に移そうと構わないという結論が即座に下された。

  そしてバニングス家では巻き込まれたアリサは憤慨し、デビットはハーレムも腹立たしいがアリサが第一婦人でないことに興奮しすぎて脳の血管が切れて病院に緊急搬送され、他の面面は速人の器とバックを考慮すれば十分に在りと判断し、バニングス家では基本的にすずかの悪乗りを全面的に支援する方向になった。

  だが、何時の間にか結婚していることになった肝心の当事者達は、[戸籍改竄の隙を曝した此方に非が在る]、や、[改竄の仕方が分からず、更に此れまでと変化が無い以上は放置しても構わない]、との発言をし、基本的に不干渉を貫いた。

 

  尤も、速人とリインフォースとしては改竄に関わった者達に貸しを作った感じであり、何時の日にか有効活用するつもりは十分に在った。

 

 

 

【投げっ放しで終わる】

 

 

 

                                     

 

 

 

【おまけ:其の伍】もしも速人がネギま!?のエヴァンジェリンと出会っていたら?

(IF2−5のおまけを事前に読まれておられないと状況把握が困難と思われます)

 

 

 

―――登校地獄解除後―――

 

 

 

「待て」

「………誰にそう言っているかも判らないなら、聞き流す者も普通にいると思うぞ、刹那」

「ちっ。

  ……そこの不審者、止まれ!」

「……………深夜に歩道脇から長物背負ったお前が不審者だと思うぞ、刹那」

「くっ……龍宮、お前は少し黙っててくれ!」

「はいはい。

  少なくともとばっちりを受けそうになるまでは黙っていることにするよ」

「そうしてくれ。

 

  ……って、そこの一人で歩いている男!止まれと言ってる!!」

 

  突如抜刀して速人の眼前に立ち塞がる刹那と、渋渋といった感で刹那から二歩離れて横に並ぶ真名。

 

「お前に問い質さなければならないことが…………って!何を迂回している!!」

 

  突如速人の鼻を横から削ぎ落とす様に突きを放つ刹那。

  だが速人は刹那が突きを放つ前に自然な動作でコートのポケットを見る動作で避けつつ、コートのポケットから携帯電話を取り出して短縮ダイヤルを押した。

 

「くっ!?―――」

「4秒程前に日本刀を持った者から刺突を放たれ、現在興奮状態で要領を得ない問い掛けを受けている最中です。

  襲撃者の精神状態を鑑み、会話による解決は極めて困難と予測されますので、襲撃者を直ちに鎮圧し」

「―――偶然か!?それとも狙って避けたのか!?どっちだ!?

  いや、どの道これでお嬢様の安全を脅かす輩と判った………って!何をしている!!」

 

  そう言って速人の携帯目掛けて袈裟切りの断撃を繰り出す刹那。

  そして繰り出された断撃は速人が盾のように構えたファインセラミック製(モース硬度9)携帯の表面を極極僅かに削りながら滑り、軌道を逸らされた上に速度を殺された斬撃は露出している速人の首の根元に1cm程食い込んで止まった。

 

「邪魔は入れさせん!

  お前は大人しく何が目的でこの地に来たかを洗い浚い吐け!」

 

  首に食い込んだ刀を僅かに動かしながら尋問する刹那。

  だが、速人は答えの代わりに予備動作無しで俊足の踏み込みをする事で首から刀を外し、更にその勢いの儘刹那の重心点に右掌底を放って刹那を突き飛ばした。

 

  そして刹那が突き飛ばされている最中に速人は金属製のシャープペンシルを刹那に大まかな狙いを付けて複数投擲する。が、全て刀で刹那に叩き落された。

 

「無駄だ!神鳴流に飛び道具は効かない!

 

  これ以上抵抗するならば話の前に痛い目を見てもらうぞ!」

 

  勝ち誇るというよりは相手を見下した眼でそう語る刹那。

 

  しかし速人はその答えを無視するかの如く懐に手を入れた。

  そしてその瞬間刹那は害虫を見るような眼で速人に切りかかってきた。

 

  だが、刹那が速人に切りかかるよりも速く、速人は刹那に懐から取り出した物を投げ付けた。

  そしてそれを刹那は内心学習しない馬鹿だと思いつつ刀で切り付けた。が―――

 

「「!!!???」」

 

―――刹那が速人の投擲した物を切り付けた瞬間、切り付けられた物は凄まじい音と光を撒き散らした。

 

  そして至近距離で多量の音と光を浴びた刹那が前後不覚に陥っている隙に速人は刹那の背後に回り込み、振り被った両掌を合わせた手刀を刹那の延髄を破壊するかの如き速度で叩き付けた。

  更に延髄に両掌を合わせた手刀を受けて倒れ込む刹那に、速人は手刀を振り落とした儘刹那の顎を膝で蹴り上げ、梃子の原理で延髄だけではなく首そのものを破壊しにかかった。

 

  しかし、気で強化された刹那の体は延髄を痛めるだけで済み、然して刹那の体は痛手を受けていなかった。

 

「くぅぅぅぅっっっ!?

 

  無駄だ!

  お前如きの攻撃で私は倒せん!!」

 

  音と光と脳を揺さぶられた事で未だ周囲を把握出来ていないにも拘らず、刹那は怒りと侮蔑を籠めた声を張り上げた。

  しかし速人は刹那の声に取り合わず、真名への牽制の意味で特殊閃光手榴弾を一つ真名へと転がした。

 

  再び大量の音と光が撒き散らされている最中、速人は刹那の口を強引に開かせ、自分の口を重ねた。

  そして口を重ねた次の瞬間、速人は刹那の肺の空気を殆ど吸い取り、更に次の瞬間気圧差を利用して大量の胃液を刹那の肺へと流し込んだ。

 

  結果、肺の中の空気が足りずに碌に咽ることも出来ず、刹那は喉と胸を押さえてのたうった。

  しかも混乱状態の為に気を制御出来なくなり、普通の身体強度に戻った刹那の肺は今迄以上の速度で胃酸で焼かれ、更に激しくのたうった。

  にも拘らず速人は念の為に自分の首から垂れている血を掬い、のたうっている刹那の眼を強引に開かせて眼球に血を叩き付けて刹那の視界を潰した。

 

  そしてそれから数秒経った後、何とか速人を補足した真名が多少警戒しながら速人に話しかけた。

 

「刹那をどうする気だい?」

 

  しかし速人は真名の言葉には応えず、先ほど刹那の斬撃を逸らした時に取り落とした携帯を拾い上げ、再び短縮ダイヤルを押して通話し始めた。

 

「一部始終を録画及び録音しているので襲撃者を告訴します。

  事情聴取並びに法廷へは全て代理人を通します。

  故に此方側だけでなく、其方側が此の一部始終を録画及び録音している記録媒体も証拠としますので貸し出し願います。

 

  尚、襲撃者の四肢は破壊しておらず、急ぎ捕縛せねば逃亡を図る可能性が在ります。

  因って直ちに捕縛に移られた方が宜しいと留意されるよう」

 

  速人は真名の質問には応えてはいないが、結果的に速人は真名の質問の答えを述べており、それ聞いた真名は顔を顰めながら更に声を掛ける。

 

「私も共犯者扱いになるのかい?」

「それは官憲に訊ねるべきだ」

「……はあぁっ…………そうだな。

 

  ま、私は刹那の仲間というわけでもないし、君に危害を加えたわけでもないし、……何より君は刹那を告訴しているだけだろうから、大人しく事情聴取を受ければ解放されるだろう」

 

  真名のその言葉を背に受けつつ、速人は現れた警察関係者へ即座に代理人を向かわせる旨を伝え、速人はその場を後にした。

 

 

 

  尚、意識を取り戻した刹那は取調べを拒否し、取り上げられていた刀を警官を打倒して奪い返し、更にその刀を振るって警官を薙ぎ倒して逃亡を図った。

 

  当然の事ながら刀剣で警官に暴行を働いた以上、凄まじい速さで全国に指名手配となった。

 

  必死に刹那は逃亡を図ったが、先日、都市名並びに学園名が変更された際に配布された生徒手帳が発信機となっていた為居場所が筒抜けとなり、関西呪術協会本山に逃げ込んだことは即座に発覚し、事態を更に悪化させることとなった。

 

 

  そしてそれとは別に後日、速人の戦闘力を少なからず感じ取った古と楓が勝負を挑むも(ほぼ辻斬りと同レベルの不意打ち)、刹那の時と大同小異の対応の結果、見事裁判所送りになった。

  尚、古と楓は執行猶予が付いて辛うじて学園生活に復帰できたが、刹那は戸籍が偽造されたものだと発覚した為、自動的に学園から除籍されてしまった。

 

  しかも後日(学園祭後)偽造の手引きをした近衛詠春と近衛近衛門は、公文書偽造と有印私文書偽造で調査する内に次次と余罪が発覚し、逮捕へと踏み切ったが寸前で逃亡した為、両名とも全国指名手配となった。が、干渉範囲が世界中に及んでいた近衛門は国際指名手配犯となり、詠春は重要参考人及び共犯の疑い高しと判断された為同じく国際指名手配となった。

  そして当然のことならがその二名の関係者と目される刹那への捜査の手も非常に強まり、刹那は日日確実に衰弱していった。

 

 

 

 

 

――― エヴァンジェリンが別荘に引き篭もって数日後 ―――

 

 

 

「最近知ッタンダガヨー、俺ミタイナミニサイズノキャラヲ人間サイズニシタラ矢鱈人気ガ出ルミタイナンダヨ、御主人」

「人形が人間サイズになれば、それはただのマネキンだ。

  動く人形も不気味だが、動くマネキンは更に不気味だぞ」

「ダカラヨー、ソコハ我ガ妹ミタイニ人間ッポクナレバ問題無イゼ。

  若シクハはロボコップヤターミネーターノ様ナ格好モイイト思ウンダガ、御主人ハドウ思ウ?」

「……………私が丹精籠めて作り上げたその人形の体の何処が不満だというのだ?」

「別ニコノ体トオサラバスルッテワケジャネエヨ。

  タダ、第二形態ガ欲シインダヨ。

 

  ホラ、御主人ガ幻術デ妄想具現化スルアダルトヴァージョント一緒ダ」

「妄想ではない。

  アレは成長した私の姿だ」

「ナラ、婆ニナッタ姿モ御主人ノ姿ダゼ?」

「…………………妄想ではない。

  アレは私の精神を容にした姿だ」

「結局今ノガキノ姿ノ儘ダト思ウゼ?」

「くっ……………私の精神は妖艶な大人の女ではなく、穢れ無き小娘の儘だというのか………」

「………………」

「いや、だが男は穢れ無き無垢で未発達な存在を蹂躙したいという獣性が在る筈だ。

  なら私の容姿でも十分イケる筈だ」

「………………………………」

「そもそも見た目の年齢的にも十分合法の上、世間の目などお互い気にしない以上、問題は全く無い。

  それに恐らく気合を入れて再生すればいつでも始めての感覚が楽しめるというのも大きなアドバンテージだ」

「………………………………………………」

「それに子供は無理だが共に人形を作って育てれば子供を作るのと大差などあるまい。

  そして目的を果たして私と同じ様になった暁には永遠と退廃的な生活を私達の子供と過ごせるというもの」

「………………………………………………………………」

「フフフ…………アーハッハッハッハッハッハッハ!!

  なんだ!  私の未来は薔薇色ではないか!!

  今ならチャチャゼロを人間大ヴァージョンにして一緒に愉しむというのも…………認めん!絶対に認めん!!何故私を放って置いてチャチャゼロを優先するっ!?!?!?」

「………………………………………………………………………………」

「毒舌か!?毒舌が良いのか!!?くっ!???ならば私も存分に毒舌を………なに?キャラが被る?くっ!?だからといって何故私が毒舌を吐かれる立場に…………いや…………………何だ?この一方的に罵られながらも支配される心地良さは?!?!?!」

「………………………………………………………………………………………………トリアエズ放ットクカ」

「くっ、果てても休むことなく求め続けられるのは嬉しいが、少しは間を置いてくれ。壊れてしまう。うん、共に壊れよう?ふっ、お前とならそれも悪くないか。ならどちらかが気絶するまで続けるのも………そうだな、気絶しても攻め立ててどちらも気絶するまで続けるか。だがお前相手に渡し一人では不利過ぎるからな、腹立たしいがチャチャゼロと攻めさせてもらうぞ。フフフ……覚悟してもらうぞ」

「…………頼ムカラ俺ヲ実際ニ巻キ込マナイデクレヨ………」(そう言って酒を漁りにその場を後にするチャチャゼロ)

 

 

 

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【ネタ】其の壱

 

       速人が誰かと契約した際に現れる可能性の在るアーティファクト

 

  名称

死を想え(Memento mori)

 

  形状

・概念のみの存在の為、形状分類は不可能(敢えて言うならば使用者の意識(脳)がアーティファクトの形状)。

 

  効果

・死を絶望させる程強く認識させ、鬱状態にする(最終的には自決に至る)。

・死が何れ訪れると強く認識させ、躁状態にする(最終的には自棄に成る)。

 

  特筆

・効果と対象は使用者の意志力を振り分ける為、対象の少なさに比例して効果は上昇する。

・二名以上を対象とする場合は減衰率が存在する(減衰率=0.99999の対象数−1乗%)。

・対象の精神に少なからず干渉する為、対象が速人の精神力に近い若しくは同等以上だった場合、干渉が逆流、場合に因っては増幅して逆流する可能性が在る。

・効果範囲は現在半径最大約4万8500kmで、地上(当然地球上)で発動させれば相手が地球の裏側(約358.9度〜約1.1度の間)の静止衛星軌道上以上の高度に居ない限りは補足可能な程の広範囲(対象の認識及び取捨選択が膨大な負荷になる)。

・結界により隔離されていた場合、使用者が内部を知覚若しくは結界の術式を理解していた場合は効果が及ぶ。

・視認せずとも対象選択が可能な為、レーダーのような機能が備わっている。

・使用魔力は極めて少量で、効果範囲を300km以内にすれば一般人でも回復魔力が使用魔力を上回る。

 

 

●:チャチャゼロが誰かと契約した際に現れる可能性の在るアーティファクト

 

  名称

我思う(Je pense,) 故に我在り(donc je suis.)Cogito, ergo sum

 

  形状

・自身をアーティファクトと融合させる為、使用者がアーティファクトの形状に分類される。

 

  効果

自身を肯定する(存在意義を満たす)程存在が強化される。

自身を否定する(存在意義が薄れる)程存在が劣化される。

 

  特筆

・発動条件として善悪正邪利己利他問わずに何かしらを想う若しくは思う事が前提としてあり、発動時の其れ等の強さに比例した数値が発動中の効果倍率となる。

・発動後の想い若しくは思いの強弱に比例した数値が上記の効果倍率と乗算された数値分強化若しくは劣化する。

・上昇幅は凄まじいが下降幅も凄まじく、使用者の存在を限り無くゼロ(即死域)にまで低下させることもある。

・上昇幅や下降幅の調節及び威力調節が困難

・使用から72時間以内は自力解除不可能(因って戦闘終了後もデメリットが付き纏う)。

・使用から72時間以内の契約破棄は使用者(従者)が滅ぶ。

・使用から72時間以内は主が生命の危機であろうと強制的に魔力を吸い上げ続ける。

・使用から72時間以内に主が死亡した場合はペナルティ無しで強制解除。

・効果倍率が高い数値で発動した場合、精神が弛緩した場合は即死する可能性が極めて高い(72時間以内は戦闘終了後も精神的休息が困難)。

・速人のアーティファクトである程度上昇や下降の調整が可能。

・全身がアーティファクトな為、全身の損傷に比例して効果が減少する。

・一時的に存在を別のモノに変生させる事で魔力を効率良く若しくは悪く運用しているだけなので、効果に対して魔力の使用量は低いが、それでも72時間の使用でエヴァンジェリンの魔力は3割を費やされる(劣化した場合は存在維持の為にチャチャゼロはエヴァンジェリンから魔力を得る必要があるので、劣化の度合いによりエヴァンジェリンから吸い上げる量の魔力は増えるが、双方どちらかの意思でそれを拒むことも可能)。

・使用が過ぎると存在が変生した儘になり、元に戻れなくなる(その場合一個の存在としてエヴァンジェリンから独立し、更に契約はペナルティ無しで強制破棄されてアーティファクトを失う)。

 

 

●:エヴァンジェリンが誰かと契約をした際に現れる可能性の在るアーティファクト

 

  名称

罪と罰(Преступление и наказание)

 

  形状

・自身をアーティファクトと融合させる為、使用者がアーティファクトの形状に分類される。

 

  効果

・攻撃を受けた際、攻撃の度合いに応じて相手の存在を奪う。

 

  特筆

・攻撃を受けた際、攻撃対象に怨恨の念を抱いていた場合に限り相手の存在を奪える。

・能力だけでなく種としての基礎値すら奪う事が可能(寿命や回復速度や思考や魔力等)。

・奪ったモノは奪われた対象及び契約破棄の有無に左右されない。

・自力で死を回避出来ない攻撃を受けた後の発動は相手の全存在を奪うことも可能。

・基本的に非接触発動型だが接触発動も可能で、其方の方が効率は良い。

・攻撃を受けていない対象に攻撃を加えた場合、攻撃を受けた対象がアーティファクト使用者に怨恨の念を抱いている場合は攻撃の度合いに応じて自身の存在が奪われる。

・会話も内容次第で攻撃判定になり、更には無視しても攻撃判定に成る可能性が在る。

・直接干渉だけでなく間接干渉でも発動可能(間接干渉の場合、どちらが被害者でどちらが加害者かの認識が双方で合致する必要がある)。

・一度発動すれば契約解除せねば発動解除不可能。

・魔力使用量は≒0(100年間の連続使用でも一般人の最大魔力容量の0.01%も消費しない)。

 

 

【ネタ】其の弐

 

 

●:戦闘力(ラカン風戦闘力表)

 

  速人

・通常時:約0.7。

・戦闘時:約10。

・瞬間最大:約4000(≒100%死亡)。

 

  契約後の速人(常時魔力供給を受けている場合)

・通常時:約30。

・戦闘時:約600。

・瞬間最大:約1万5000(≒100%死亡)。

・特殊技術:接触時の術式瞬間解体(闇の魔法等の機能維持系増幅魔法の天敵)。

 

  真祖化速人(成り立て時)

・通常時:約400。

・戦闘時:約8000。

・瞬間最大:約12万(≒100%行動不能)。

・特殊技術:非接触時及び接触時の術式瞬間解体。

 

  チャチャゼロ(魔力供給有り)

・通常時:約80。

・戦闘時:約2000。

・瞬間最大:約4000。

・特殊技能:ネタアーティファクト使用で理論上≒0%〜≒∞%の乗算補正。

 

  エヴァンジェリン

・通常時:約1千。

・戦闘時:約1万3千。

・瞬間最大:約11万(高確率で行動不能)。

・特殊技能:闇の魔法。

 

 

【ネタ】其の参

 

●:キャラクター相関

 

  速人

・チャチャゼロはアリサとすずかを足して2.1で割った感じのポジション。

・エヴァンジェリンはリインフォースとツヴァイを足して少なからず劣化させたポジション。

 

  チャチャゼロ

・エヴァンジェリンはなんだかんで主と思っている。

・速人は魂の友と思っている(宿敵や強敵や好敵と書いて友とも呼べる)。

 

  エヴァンジェリン

・速人は大のお気に入り(←完全に病んでいる領域の好きレベル)。

・チャチャゼロも何だかんだで大のお気に入り(←方向性は違うが速人と同じ程大事な存在)。

 

 

【ネタ】其の肆

 

●:完全なる世界と協力関係を築いた場合

 

    速人達

・協力関係を築く前の日常と然して変化無し。

 

    完全なる世界

・即座に計画完遂。

 

    他の原作メンバー

・英雄及び関係者は軒並み退場(暗殺、失脚、忙殺)。

・魔法関係者の3−A生徒は殆どが四肢若しくは生命維持機能の欠損等に因り退場。

 

    どこかの東大関係者達

・神鳴流の人が少少苦労するだけで、それ以外は極普通の毎日。

 

 

【ネタ】其の伍

 

●:クルトと協力関係を築いた場合

 

    速人達

・協力関係を築く前の日常と然して変化無し。

 

    クルト

・即座に事態は解決し、自身とアリカの名誉以外はほぼ全て地に落ちるが、本人は非常に満足。

 

    完全なる世界

・全員鏖殺。

 

    他の原作メンバー

・英雄及び関係者は軒並み退場(暗殺、失脚、忙殺)。

・魔法関係者の3−A生徒は殆どが四肢若しくは生命維持機能の欠損等に因り退場。

 

    どこかの東大関係者達

・神鳴流の人が多多苦労するだけで、それ以外は極普通の毎日。

 

 

 

【手抜きの上投げっ放しで終わる】

 

 

 

                                     



リンフォースが居る影響か、ツヴァイの中での優位順が。
美姫 「はやても色んな悩みが尽きないわね」
まあ、速人が居る事もあって、様々な影響を与えているみたいだけれど、ティアナもその一人だな。
美姫 「そうよね。これから彼女の成長が楽しみではあるわね」
今回もまたボリュームのあるおまけに楽しませてもらいました。
美姫 「それにしても刹那が」
まさか逃亡するとは。後先考えないまでになるとは。
エヴァも何か良い感じだし。
美姫 「何処に居ても速人は速人ね」
まあ、それはそうだろうがな。
美姫 「本当に今回も面白かったです」
ではでは。



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