※注:このSSは俗に言うALLエンド後の話で、恭也は誰とも結ばれていません。
時間的には3本編終了後、リリチャを通ってその後、OVA終了後です。
キャラの性格が変わっているので、読む際はその辺を御了承ください。
剣士の想い人
麗らかな陽気の漂う高町家……
その縁側で茶を啜る人物……
彼こそ、永全不動八門一派・御神真刀流・小太刀二刀術の使い手…高町恭也である。
先程、趣味である盆栽の手入れを終えて、一息つき…その成果を見詰めていた。
年齢からは想像もできないほど…枯れ果てている思考の持ち主である。
「ふぅ……」
また一口茶を啜る。
「恭也〜〜ちょっと来なさい」
その時、奥から呼ぶ声が聞こえ、恭也は立ち上がる。
「翠屋のヘルプか……?」
母である高町桃子が経営する翠屋の店員でもある恭也は何時ものことかと思い、リビングを訪れる。
そこには、桃子の他、高町家のメンバーが勢ぞろいしていた。
「かーさん、何か用か?」
尋ねると…桃子は恭也に向かって言った。
「恭也……あんた、いったい何時結婚するの?」
……………
…………
………
その問いに、その場にいた全員の思考が一瞬、停止してしまう。
「……高町母よ…唐突に何を聞くのだ?」
「だって!あんたってば、もう20の半ばだってのに全然浮いた話の一つも出てこないし!母としては、何時花嫁の姿を見せてくれるのか……」
心底、心配する桃子に恭也は呆れ返る。
「うう…士郎さんになんて報告したらいいの……」
よよ…とハンカチを噛み締めながら泣き崩れる。
「……高町母よ、見苦しいからやめてくれ」
「はっ!!あんたまさか…そっちの趣味が……」
「断じて無い!!!」
聞く耳持たずに暴走する桃子に、恭也は強く否定する。
「俺にそっちの趣味は無い!結婚するなら女性に決まってる!」
「じゃあ、なんでしないのよ?」
「相手がいないだろう……」
恭也はこの家にとって禁句を口にする。
その瞬間…周りから殺気にも似た気配が沸き上がる。
「恭ちゃん!!相手がいないなら、私と……!」
「お師匠!うちと…!」
「カメは引っ込んでろ!師匠!俺と……!!」
美由希、レン、晶が詰め寄ってくる。
「恭也の結婚相手は内縁の妻(自称)である忍ちゃんよ!!」
「自称の人は黙っててください!恭也さん、私と……!」
「恭也君!相手は勿論私ですよね!!」
「フィリス、何寝ぼけてるの!恭也…私と結婚してくれるって約束してくれたよね!!」
何処から現れたのか、忍、那美、フィリス、さらにはフィアッセまでがいる。
「何で忍達がここにいるんだ……それに、フィアッセ…スクールにいるんじゃなかったのか?」
内心の動揺を抑えて冷静に尋ねる。
「盗聴したから」
「霊さんに教えてもらいましたから」
「HGSで……」
「あはは…なんか嫌な予感がしてね。イリアに任せて来ちゃった……」
さらっという一同に恭也は唖然となる。
「さあ!誰を選ぶの!!?」×7
互いに殺気を放ち、じりじりと詰め寄ってくる。
さながら…狼の群に囲まれた羊といったところか……
(な、なんで皆はあんなに殺気立ってるんだ……それに論点がすり替わってるぞ)
恋する乙女達の想いに気付かない程……恭也は鈍かった。
冷や汗をかきながら…後退していく。
剣士としての本能がここにいたら危険だと、発している。
「………さらばっ!!」
瞬時に身を翻し、リビングから縁側を通ってその場を逃げ出す。
神速を使って……
「ああー!!逃げたっ!!!?」
「追うよ!!!」
「おおおっっ!!!」
それぞれが高町家から駆け出していく。
「にゃ〜お姉ちゃん達、怖いよ〜〜」
那美に付いて来た久遠を抱き締めながら、震えるなのは。
「さてと…誰が恭也を捕まえてくるのかしら〜〜♪」
唯一人…桃子だけは笑顔を浮かべていた………
「ぜぇぜぇ…取り敢えず、ここまでくれば一安心だろう」
息を切らしながら、一息つく。
とはいえ、このままでは拉致られるのは時間の問題である。
(ほとぼりが冷めるまで…何処かに匿ってもらうか……候補としては、さざなみ寮か…)
だが、恭也はすぐに首を振る。
(いや、ダメだ!さざなみ寮にはあの二人がいる……)
管理人である耕介は、事情を話せば匿ってもらえそうだが、さざなみ寮にはそれ以上に厄介な存在がいる。
もし、あの二人にこの事が知られれば、それこそ事態がややこしくなるのは眼に見えている。
(ってことは……ソングスクールもダメだな)
次いで思いついたクリステラソングスクールだが、あそこは言わばフィアッセのテリトリーである。
「仕方ない……彼女のところへ行こう」
最後に思いついた場所へ……恭也は向かう。
その場所は………
【後書き】
どうも、このSSを読んでくださってありがとうございます。
初投稿でいきなり選択式のものを書いてしまいました。
キャラの性格がかなり違うかもしれませんので、その辺は申し訳ありません。
選択は3つです…誰かは……まあ、解かりますよね。