Side:ネロ


タルタルシアンとオラングエラ……どっちも頑丈な身体とパワーが売りの上級悪魔で、一般人には脅威の存在である事は間違いない。
この2体が同時に現れて、しかも好き勝手に暴れてるのを1人で何とかしろと言われたらきつい事この上ねぇ……オッサンなら間違いなく余裕だろうけど。

だけどな、お前等をそこそこ面倒な奴と認めつつ、敢えてこの言葉を送るぜ……

「「ブッ飛ばされるために、のこのことご苦労……望み通りにブッ飛ばしてやるぜ2人とも!!」」

「貴方達に個人的な恨みがある訳じゃないけど、野放しにする事は出来ない――平和に暮らす人達の為にもね。
 だから貴方達の事はこの場で滅する……人々に害成す存在を、私は認められないから!!」


Humph……言うななのは?
確かに俺だってコイツ等に個人的な恨みはねぇが、だからと言って野放しにしたら間違いなくもっと面倒な事になるからな……此処で潰すが上策だぜ!

「「タルタルシアンは俺がやる……なのははオラングエラの方を頼めるか?」」

「……OKだよ!
 各員散開!猿型の悪魔は私が、双頭の巨人はネロ君が相手をします!!他の隊員は私とネロ君のサポートを!!」

「なのは、私は?」

「ドゥーエちゃんは私と共にね!!」



でもって適材適所を最大限に考えた最強の戦線を構築するってんだから何とも敵には回したくねぇ……悪魔よりも、寧ろなのは方が怖いかもだけどな。
だが、だからこそ味方ならこれ以上ない位に頼もしいぜ!!

幾ら手強くても、所詮は猿と囚人――俺等の敵じゃねぇ……と言いたいが、コイツ等はさっきまでの奴等とは違うからな……気を引き締めて行くか!!














リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission20
『手加減不要〜No Limit Strike〜』











Side:なのは


さぁてお猿さん、あまり悪い子にはお仕置きだよ?
出来れば大人しく退いてほしい所だけど――其れは無理な相談なのかな?


「がぎゃあぁぁぁぁぁぁあぁっぁぁあぁ!!!!」

「……聞くまでもなく無理みたいだね………街中の野良犬の方が話は通じそうだよ……」

「ウガァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」


――ドゴォォォォン!!!


!!……敵と見れば撃滅?其れとも目に映るモノは全て破壊しないと気が済まないって感じかな?
今の一撃も、コンクリートの道路を簡単に抉ってるし、確かに凄い力を持っているんだろうけど………ふざけるのも大概にした方が良いよ?

破壊と殺戮の衝動は悪魔の本能その物だってネロ君が言ってたから、それ自体は仕方がない事だと思う。
本能が司る行動は理性で制御出来るモノじゃない――私達だって、食事や睡眠て言う本能が司る物を理性で完全に制御する事は出来ないからね。

だけど、だったらそのはた迷惑な本能は魔界とやらでのみ発揮してほしいの!!
態々人間界にまで出て来て、好き勝手するって言うのは流石に見過ごせない………非殺傷は解除するけど悪く思わないでね?


「ガオォォォォォォォォォ!!!」


!!巨体の割に意外と素早い!!
もっともフェイトちゃんの本気と比べれば遥かに遅いし、見切れないスピードじゃないけど、アレだけのパワーにこのスピードはちょっと厄介かも……


「だとしても所詮知能は猿レベル………アンタと私の敵じゃないでしょなのは!!!」

「ドゥーエちゃん!!」


突進の隙を突いてのカウンターの突き……お見事なの!


「お褒めに預かり恐悦至極だけど……コイツ、全身を覆ってる筋肉が鋼みたいに堅いわよ?
 一撃必殺で心臓を狙ったのに、分厚い筋肉に阻まれて致命傷には至らなかったみたいね……まぁ、明るい所だと死なないのが暗殺術だけど……」

「其れは絶対違うと思うの。」

一体誰から得た知識なの!?
心臓や気管を破壊されたら、明るい所でも死ぬからね!?暗い所でやるのが暗殺術じゃないからね!?


「分かってるって、ホンのジョークよ………だけど、冗談抜きでアレは厄介極まりないわよ?
 パワーは最強レベルで、スピードもそこそこで耐久力もあると来たら正直言って面倒すぎるわ……如何したモノかしらね?」

「確かに厄介なんだけど……だけどドゥーエちゃんのピアッシングネイルはオラングエラの身体には刺さるんだよね?
 ――だったらどうにかなるよ?私が誘導弾と砲撃でアレの動きを制御するから、隙を突いてネイルを突き刺して――!!」

「……デストロイゲインか、グレイトフルデッドをかませって事ね?……OK!その案乗ったわ!!」



「ウガァァァァァァァァァァァァァァッァアァァッァァァァァ!!!」



――ドンッ!!!



「「!!?」」


作戦会議中に攻撃されるとは、少し注意が足りなかったなぁ……結構効いたね今のは。
だけど、今の攻撃は何?……口から何か出したみたいだけど、魔力が口元に集束した様子はなかった……咆哮と同時に吹き飛ばされてた……


もしも今のが魔力弾か何かだったら、必ず放つ前に魔力の集束が起きる筈なのに、其れがなかったって言うのは魔力弾じゃないって事だね……


重い一撃だけど致命傷にはなり得ないこの攻撃……見極める……その絡繰を!!


「カァァァァァァァァァァァァァ……ガァァァァァァァアァッァァァァァ!!!!」


――ドン!!!


やっぱり魔力やエネルギーが集束した気配はない……精々攻撃の前に大きく息を吸い込んだだけ。………息を?


「カァァァァァァァ!!……ゴガァァァァァァァァァァ!!」


また大きく息を吸い込んでから――この攻撃は若しかして、只の空気!?

「深呼吸で吸い込んだ空気を体内で圧縮して、空気弾として撃ち出してるんだ!!」

「圧縮空気弾て、其れは流石に反則じゃないの!?
 消費エネルギーゼロで、殆ど不可視の攻撃なんてどうしろって言うのよ……!!」


確かに厄介極まりないけど、逆の発想だよドゥーエちゃん!
相手が使ってくるのが圧縮空気弾なら、その元となる空気を補充させなければ……大きな深呼吸さえさせなければいいんだよ!!

だったら休まずに攻撃して、深呼吸の暇さえ与えなければあの攻撃は完封できる……レイジングハート!!


『All right.Accel Shooter.』


最大段数36発のアクセルシューターのランダム飛行を、捕らえられるなら捕らえてみて!!


「ア?……ガァァァァァァア!!」

「因みに躱しても無駄だよ?……シューターは全弾が貴方に向かって行くように設定してあるからね…」

シューターは貴方の周りをランダム飛行してその動きを抑制する……そして、動きが止まったら只の的だよ!!


「もしもアンタの知能レベルが天才的に高かったらヤバかったけど……図体だけデカくて、知能レベルが猿のままじゃ相手じゃないわよ?
 しかも、自慢じゃないけど私となのはは15歳の時からこの部隊の隊長と副隊長を務めてる……なのはのシューターは布石に過ぎない!!
 本命である私の一撃を確実に決める為のね………覚悟しなさい、育ち過ぎたお猿さん!!」


――ドスゥゥゥ!!


「ガギャァァァァァァァァ!?」

「その金切声は耳障りよ猿!!!Go to Hell!!(地獄に落ちなさい!!)


――バガァァッァン!!!



爆発した!!――って言う事はデストロイゲインの方を使ったんだね?
幾ら強靭な上級悪魔だと言っても、身体の内部から破壊されたら只では済まない筈だよね?……流石に内臓器官をやられたら即死だろうし……


「う…が!!」

「其れでも生きてるから悪魔なんだろうけどね……」

しぶとさは台所のGレベルだよマッタク……此れを完全に倒すには、カートリッジを使ったディバインバスターじゃないときついかもね。

さて、此処から如何したモノか――


「「なのは!!」」

「ふえぇ!?ネロ君!?」


行き成りの呼び掛けには驚いたけど……声がする方を見てみたら………ネロ君がタルタルシアンを空中ジャイアントスイング!?
しかもこっちに投げて来たぁ!?………全力全壊のワイルド戦法だね…!!嫌いじゃないけど!!


だけど、態々こっちに投げたって言う事は、トドメは私が刺すべきって判断したんだろうね………だったら其れには応えるよ!!








――――――








Side:ネロ


ちぃ……オッサンから聞いてはいたが、此処まで堅いとは思わなかった
初対面なら可成り苦戦するだろうな……ダンテだったら余裕でブチのめすんだろうが、俺はマダマダアンタには敵わないからな…

「「Ha……だからって、タルタルシアン如きに音を上げてたんじゃ、一生俺はアンタに追いつけないぜ……やってやるよ俺の全力でな!!」」

確かにコイツはトンでもなく力が強いせいで、拘束衣は身を守る鎧になり、鉄球だって絶好の武器になっちまってる。
おっそろしいパワーだが、流石に拘束衣と鉄球による運動能力の低下は否めねぇ……だったら其れを利用するまでだ!!

どんなにデカい攻撃でも当たらなきゃ意味はねぇからな!!!


「ガオォォォォォォォォォォ!!!」

「「Ha!大したパワーだが、鉄球を振り回す事しか出来ないのかよ?……だったら興ざめだぜクズか!!
  言っちゃ悪いが、テメェ如きなんぞ上級悪魔での底辺の方だろ?……其れで俺達に勝てると思ってんなら脳味噌の検査をして来い。」」

当たれば致命傷の鉄球も動きが見切れれば大した事はない!
寧ろ、俺から言わせれば『隙だらけの攻撃をどうもありがとう』って所だぜ!!

「「Be gone!!(ぶっ飛べ!!)」」

「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


耳障りな悲鳴だ……お前等には悲鳴を上げる権利すらないってのにな……!!!
まぁ良い……今の一発の影響でお前は指一本動かせないだろうからな……其れが俺には最大の好機だぜ!!Catch this!!(取った!!)

あくまでも鉄球での粉砕を試みるお前の攻撃を見切るのは至極楽勝だ。
俺がこうしてバスターを決める事が出来るんだからな!!―――覇ぁぁぁぁぁぁぁ……Slum dunk!!(叩きのめす!!)


其のままジャイアントスイングの要領でぶん回す!!
何が如何とかそう言うのは一切無視して兎に角ぶん回し―――思い切りなのは達が相手をしてるオラングエラに投擲!!

遠心力付きの推定時速150キロの剛速球だ……テメェに止められるかよ猿野郎!!

「「なのは!!」」

「ふえぇ!?ネロ君!?」


驚いちゃいるが、なのはも俺の狙いが分かったみたいだな?……流石だぜ!!



――ドガバァァァァァァン!!



遠心力たっぷりのバスターを喰らったタルタルシアンも、投擲されたタルタルシアンを全身で受けたオラングエラもどっちも動く事は出来ねぇ!


「打ちかませなのは!!全力全壊の手加減なしでな!!」

「勿論その心算だよネロ君!!レイジングハート、全力全壊!!!」

『All right Master……Load Cartridge.Divine Buster Extension.』



――ガシュン、ガシュン、ガシュン!!




「此れで終わり……ディバイィィィィン……バスターァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!

『相手が悪すぎましたね……精々地獄で後悔なさい。』


――キィィィン………ドガバァァァァァァン!!!



「「ぎやぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」


――ドッゴォォォォォォォォォォォォォン!!!



何とまぁ、跡形もなく消えちまうとはね……流石はなのはと言うか何と言うか……この砲撃だけは絶対に喰らいたくない代物だな。
もっともそのお蔭でお前の用意した奴等は文字通り綺麗さっぱり消えた訳だが――まだやるか、ジェスター!!


「いんや今日は此処までだな……俺っちも楽しめたしここらで撤収ってのが上策ってな!!
 おぉっと、捕まえようとしないでくれよぉ?……ジェスター臆病だから、いっつも服の中に爆弾持ってるから、捕まりそうになったら爆発しちゃうよ〜〜?」


悪知恵も働くもんだぜ……

まぁ、完全にブラフと言い切るのは危険だからこの場は見逃してやるが――次はないぜマッドピエロ……!!」


「やっさしいね〜〜〜……だけど安心しな坊や、俺っちのターゲットは坊やと、其処の栗毛のお嬢ちゃんだけだからな?
 基本的にはお前さん達以外には興味がねぇわけよ?……だからこいつは約束するぜ、俺はお前さん達が居ない場所には悪魔は放たないってな。」

「其れを信じろって?……流石に無理だと思わないの?」


いや、大丈夫だなのは……コイツはこの約束を破る事は出来ないからな。


「如何言う事?」

「暗い情念に支配されてるとは言え、悪魔にも法律ってモノがあるのさ。
 その中で悪魔は『戦闘に関する事についての嘘』を全面的に禁止している――もしも破ったらそいつは魂魄ごと砕かれる運命にあるらしいからな…」

だからこいつのこの約束は信用しても良い筈だ。
もしも破ったらその時は死が待ち受けてるし、よしんば死ななくともタルタルシアンみたいな目に遭うのは確定だ……だから大丈夫だろう。


「その通り〜〜〜〜!!俺っち達悪魔は、戦いに関する事での嘘を兎に角嫌うからな?
 そんな訳で、俺も坊やと嬢ちゃんが居ない場所には悪魔を呼んでこられないってのは本音なんだよね〜〜……ま、仕掛ける時は派手にだけどな〜!」


好きにしろよクソピエロ。


だけどな、何をドレくらい連れて来ようとも、俺等の敵にはならないって事を肝に銘じときな。
俺もなのはも――小隊の他の連中だって、上級の悪魔に怯みもしねぇ……何度やっても結果は同じだぜ?……俺達に敵はない!!!


「敵はないとは大きく出たな坊や?……其れはそっちの栗毛のお嬢ちゃんも同じ意見かい?」

「同じですよ……貴方達の好きにはさせられませんから!!」

「……ククク、いひゃひゃひゃひゃ!!コイツは良いぜ!!
 本気で悪魔とやりあおうってのは何ともぶっ飛んでるよお嬢ちゃん!!まぁ、そう来て貰わないと困るけどなぁ!!
 ぎゃははははははは!!コイツは最高だぜ……次の邂逅を楽しみにしてるぜ悪魔の坊や、そして不思議な栗毛のお嬢ちゃんよ〜〜〜!!!」


――バシュン!!!


!!……消えやがった――本格的に、アイツは一体何がしたいんだろうな?……理解に苦しむぜ。

「………戻るか?」

「そうだね……」


そう落ち込むなよ……ジェスターは逃がしちまったが、本来の目的である銀行強盗犯の逮捕はできたし、悪魔共も退けたって事で納得しようぜ?
おまけに結界内での戦いだったから、物損被害はないしこの小隊のメンバーにだって1人の怪我人も居はしない……俺等の勝ちだよ、今回はな。


其れにアイツは俺達が居ない所には悪魔は放たないって言ってるんだから、任務で別世界に行っても大丈夫だろ?
仕事の世界先でアイツがやらかす可能性もあるが、その時はその時で、今回みたいに返り討ちにしてやれば良いだけの事だからな。



――本来の任務は達成できた……其れで良しとしておこうぜなのは?



「そうだね……上級悪魔が出て来てこの結果なら、悪くはないかもね――うん、本来の目的は果たせたわけだし、此れで良しとしないとだね♪
 ――任務完了!此れより第97独立機動小隊は帰還します……皆、お疲れ様♪」


なのはもお疲れさん……帰って飯にしようぜ?



マッタク、たかが銀行強盗がこんな事になるとは思ってもみなかったから流石に少しばかり疲れたな…
あのピエロはテメェの娯楽の為だけに色々画策してるだろうから注意は必要だが――来たら来たで、その時に叩き潰すだけだぜ――!!!!


俺達は無敵の『第97独立機動小隊』――其れがテメェになんぞやられるなんて事は絶対無い……精々覚えておけよマッドピエロ!!!














 To Be Continued… 




どうにか無事に上級悪魔たちも撃退できたみたいだな。
美姫 「みたいね。思ったよりも何とかなったわね」
それだけ、なのは達の部隊は鍛えられているって事だろうな。
美姫 「大したものよね」
だな。後は今回の収穫としては他の場所への悪魔は出現しないって事ぐらいか。
美姫 「ジェスターとネロの言葉からすれば、嘘ではないみたいだしね」
とりあえず、市民への危険はかなり収まるな。
美姫 「逆に言えば、二人が居る所ならお構いなしって感じにも取れるけれどね」
確かに。まあ、とりあえず今回は無事に終えたという事で。
美姫 「次がどうなるのか楽しみにしてますね」
次回も待っています。
美姫 「待ってますね〜」



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