Side:なのは


「え〜っと、取り敢えず落ち着いたかなのは?」

「うん、もう大丈夫……ゴメンね取り乱して……」

だって、吃驚したんだもん!
確かに、前に温泉でネロ君の身体は見ちゃったけど、あの時は一瞬で……だけど今回は確り、ハッキリ、バッチリ見ちゃったからね……流石に照れるの。

其れにネロ君て、見た目は細身だけど実は確りと鍛えられてるみたいで一切の無駄のない身体はある意味で芸術品――って、何考えてるの私は!?


「んで、態々俺に何の用だ?」


っと、そうだ、本題はまだだったね。
用って言うか、今度の公開演習なんだけど、後半は模擬戦でしょ?だから、ネロ君とコンビネーションの打ち合わせをしておこうかなって思ったんだよ。


「つまりは作戦会議か?
 まぁ、そう言う事なら構わないが、最大限ぶっちゃけて言うなら、コンビネーションなんか考えなくても、俺となのはのコンビなら敵はないんじゃないか?」


確かにそうかも知れないけど、どんな事にも万が一は潜んでいるから、あらゆる事に対して対策を立てておくのは大事な事なんだよネロ君?


「言えてるな――クレドも『先を見通して行動しろ』って口を酸っぱくして言ってたからな。
 ってーと、5分10分で終わる話でもなさそうだな?………何か飲むか?つっても紅茶かジンジャエールしかないけどさ。」


それじゃあ甘さ控えめのミルクティーで。


「任せときな、直ぐに作ってくるから少しだけ待っててくれよな?」


うん、楽しみにしてるの♪














リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission30
『公開演習〜Open Training〜』











「美味しい♪」

「そいつは良かった。」


ネロ君が作ってくれた、甘さ控えめのミルクティーは何とも言えない美味しさだね――凄くリラックスできるよ。
翠屋でまかないの昼食を作ってくれた時にも思ったけど、ネロ君は本当に料理上手だよねぇ?将来はきっと良い『主夫』になれると思うの。


「そいつは高評価をどうも。んで、コンビネーションが云々言ってたが、改めて打合せする事もないだろ?
 なのはが誘導弾と砲撃で相手の足を止めたところで、俺がクロスレンジで殲滅する――其れじゃ駄目なのか?」


うん、確かにその方法なら、オーソドックスな前衛後衛タイプやクロスレンジ特化型コンビ、砲撃特化型コンビには効果は抜群だから問題はないんだよ。
そう言うタイプだけが相手なら大丈夫なんだけど、一番厄介なのはミドルレンジを得意とするガンナータイプの魔導師コンビなの。

ミドルレンジ主体のガンナータイプは、1発の威力を抑える代わりに速射能力に何よりも重点を於いてる場合が多いんだ。
基本的には圧倒的な弾幕を張って、相手に何もさせずに判定勝ちを拾いに行くってタイプなんだけど、此れがまた意外と厄介なんだよネロ君。


「なのはが厄介って言うなら相当なんだろうが――

「実際に厄介な事この上ないよ?
 クロスレンジ主体の相手を近づけさせず、砲撃型には大きな一発を撃つためのチャージ時間を与えない、速射による物量での戦い方。
 幾らバリアで防いでも、完全に防ぎきる事は難しい、ある意味でのチートスタイルとも言える魔導師だからね。」

「確かに、そいつは何ともやり辛そうな相手だぜ。
 だけどなのは、そう言う相手と当たった時の対抗策は勿論考えているんだろ?」


うん。
圧倒的な弾幕は、物量こそ凄いけど反面一発一発の威力は低いから、防御魔法で防ぎながら砲撃の準備をしておけば、速攻で攻勢に出る事は出来る。
後衛の砲撃で弾幕を一点集中の砲撃で払って、其処をクロスレンジ担当の前衛が斬り込むのがオーソドックスな作戦スタイルになるかな。


だけど、きっとこの作戦自体は予想をして居る筈だと思うの。
だとしたら、この作戦は対策を立てられる可能性の方が高い――だからこそ、ネロ君の存在が重要になってくるんだよ。


「俺が作戦の要って事か?」

「うん!私が考えたのはね――――――――








 ――――――――――って感じで如何かな?」

此れなら行けそうでしょ?


「あぁ、此れなら完全に意表を突く事が出来るし、参加してる奴等も相当に驚くんじゃないのか?
 『第97独立機動小隊の隊長は、新人にこんな作戦を任せる事が出来るくらい育ててる』ってな。
 まして、訓練校と配属先の両方でなのはから色々教えて貰ってる新人なんざ俺だけだろ?なのはの優秀さが、更に世に知れ渡るかも知れないぜ。」

「なはは………あんまり注目されるのは好きじゃないけどね。
 だけど、この歳で教官と隊長の兼任をしてる事に対するやっかみは結構あるから、それらを一撃で黙らせるには丁度良いかも。」

まぁ、ミドルレンジのガンナータイプコンビと当たらないと、この作戦も使う事はないんだけどね。
だけどネロ君、どんな相手と当たっても模擬戦は必ず勝とうね?――こう見えても、私は結構負けず嫌いだから。


「誰と当たっても勝つ?当然だろそんなの。
 エース・オブ・エースと最強のルーキーの力を、管理局の奴等にも、ミッドの市民にも見せてやろうぜ?」


ふふ、其れも良いかもね♪
公開演習は1週間後――なんだか、今から楽しみになって来たよ。








――――――








――公開演習当日



Side:ネロ



コイツはまた、思った以上に人が来てるな?
マスコミ関係は当然として、一般市民も相当数来てるみたいだぜ――まぁ、連中のお目当ては十中八九なのはだろうけどな。
雑誌の表紙を飾るようなエース・オブ・エースを生で見られるってんだから、ある意味当然かもしれないが、一緒に居る俺に殺気を向けるな!特に男共!

気持ちは分からなくもないが、なのはは隊長で俺は其の部隊のルーキーなんだから一緒に居るのは仕方ないだろうが!



「ぐぬぬぬ……せめてブサメンだったら罵倒のし甲斐もあると言うのに、アレだけのイケメンだと何も言えねぇ!!」

「しかも、なのはさんとのツーショットが妙に絵になるのがまた悔しい!悔しすぎる!!」

「なのはお姉さま……何故そのような男と!!望めば私がいつでもーーーーー!!!」

「今年の新刊はなの×フェイって決めてたけど、其処に銀髪の彼を絡ませるのも良いかもしれないわね……ジュルリ……」




もう何が何やら。
てか、明らかにやばい思考の奴が混ざってないか!?退場させろよ警備員、今直ぐ速攻で摘まみ出せって!!

……ま、外野に気を取られても仕方ねぇか。

「結構な人数が参加してるが、え〜〜〜と……サイコウヒョウギカイとか言う奴等はドレか分かるか?」

「流石に分からないかなぁ?
 最高評議会傘下は、その殆どが陸の部隊って事だけど、陸の制服を着てる人の誰が最高評議会の参加部隊なのかは分からないよ。」


レティが言ってたサイコウヒョウギカイとか言うヤバ気な奴等が誰かを知りたかったんだが、なのはでも分からないか。
でもまぁ、レティが言うには模擬戦になれば何かしらのアクションを起こしてくるだろうって事だから、もし模擬戦で当たったら、そん時に叩けばいいか。




「あ、ネロさん!なのはさん!!」

「お久しぶりです。元気でしたか?」


あん?――って、ギンガとヴィッツじゃないか!
久しぶりだな?訓練校の卒業式以来だよな?――元気そうで安心したぜ。


「久しぶりだね2人とも?
 2人とも配属先で随分と頑張ってるみたいだね?噂は色々聞いてるよ?」


結構頑張ってるみたいじゃないか?ギンガもヴィッツも期待の新人だって聞いてるぞ?


「ネロさんには負けますよ?『第97独立機動小隊のスーパー・ルーキー』って有名ですから。」

「ルーキーにしてスーパー・エース級って言う噂も聞いてますよ?
 最近では『第97独立機動小隊の隊長とルーキーのタッグは管理局最強レベル』とも聞きますし――結構暴れてるみたいじゃないですか?」


んな噂があったのかよ?
まぁ、現場に出た時は色々暴れさせて貰ってるけどな――勿論、周りに被害が出ないレベルでだけど。

だけど、俺が暴れられるのも隊長が最高だからだろ?
『高町なのは』って言う、最高の隊長が居るから、俺も部隊の他の連中もその力を発揮できるってもんだ――俺等の隊長はなのは以外には有り得ねぇ。


「其れは高評価だね。
 さてと……ギンガもヴィッツも久しぶりだけど、午後の模擬戦で当たった時には手加減はしないからその心算で居てね?」

「勿論です!」

「現場に出るようになってから、更に強くなりましたから。」


そいつは楽しみだな?
確かにギンガもヴィッツも訓練校の時よりも腕を上げたみたいだ――だが、其れを知って敢えて言うぜ?『悪いが勝つのは俺達だ』ってな!


「望むところです!私だって負けませんから!」

「余裕こいてると、思わぬ痛手を被るかもだよ。」

「良いね、そのやる気!――私も燃えてきちゃったよ。」


だな、午後の模擬戦が俄然楽しみになって来たぜ!!



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んで、午前中のフィジカルトレーニングは何の問題もなく終わり、昼飯挿んでいよいよ午後の模擬戦だ。
昼飯の時に、マスコミの連中がなのはの取材に来たのは鬱陶しかったが、其れもなのはが適当にあしらってくれたおかげで面倒事には成らなかったし。


でだ、何でアンタ等が居るんだフェイト、はやて?


「時間休を貰って見に来たんや、なのはちゃんとネロ君のタッグがドレだけか生で見てみたかったからなぁ♪」

「私もそんな感じかな?
 第一にして、親友の公開模擬戦を見逃す事は出来ないからね――なのはとネロのコンビネーションがドレくらいかって言うのも見てみたいし。」


成程な。
ならバッチリ見て行ってくれよ?子供の頃からの親友であるアンタ等との連携には劣るだろうが、それでも中々のレベルの連携は出来てると思うからさ。


「楽しみにしてるで〜〜、なのはちゃんとネロ君の『ラブラブコンビネーション』をな〜〜♪」

「「何でそうなる、意味が分からない!!」」

「あ、突っ込みも意外と息が合ってるね。」


確かに俺となのはは息が合ってるかも知れないが、只そんだけだ――はやてが期待してるような事は一切ないからな?


「そうなん?……なら、今はそう言う事にしとくわ。
 まぁ、戯言は兎も角として――2人とも気を付けてな?パッと見た限り、最高評議会傘下のヤバ目な奴等が少しばかり混ざっとるから。
 正直、模擬戦を隠れ蓑に何をしてくるか分からへんから、警戒だけは怠らんといて。」

「分かってるよはやてちゃん――そう言う人達と当たったら、徹底的に叩き潰すだけだから。」


そう言うこった。
詳細は分からないが、サイコウヒョウギカイってのは碌なモンじゃないんだろ?なら其処から参加してる奴等は徹底的に叩きのめすだけだぜ!!

そもそもにして俺の『悪魔の右腕』はクソッ垂れ共をブッ飛ばすために存在してるからな。
何か仕掛けてきたら返り討ちにするだけだ――文字通り『完全粉砕』する、ただそれだけの事だ。


「其れは頼もしいね?……模擬戦、楽しみにしてるよ?」

「うん、その期待には応えて見せるよフェイトちゃん、はやてちゃん!」


Ha、コイツは絶対に負けられないな?――精々派手にやってやるぜ!!








――――――








No Side


こうして、午後の模擬戦が始まった。
流石に参加部隊が多いので総当たりとは行かず、各参加部隊2戦となって居る。

そして現在バトルフィールドで戦っているのはなのはとネロのコンビと、リンディ配下の武装隊の隊長とルーキーのコンビだが――力の差は歴然だった。

誤解が無いように言っておくが、決して相手の2人が弱い訳では無い。
寧ろ隊長がランクS-で、ルーキーがB+と言う事を考えれば、最強タッグの一角と言えるだろうが――しかし幾ら何でも相手が悪すぎた。

ランクオーバーSのなのはと、書類上は『総合A+』のネロのタッグの前にはその程度は敵にもならない――誰が如何見ても圧倒的なのだから。


「此れはまた、なのはちゃんも随分腕を上げたなぁ?
 其れにネロ君の動きも見事なモンや――前衛として、なのはちゃんが砲撃を撃つための時間を稼ぐような動きは、実に見事やで。」

「其れだけじゃないよ、なのはもなのはで、後衛でどう動けばネロがクロスレンジでより効果的に戦えるかを考えてる。
 何よりも、なのははネロに明確な指示を出してはいない――つまり、ネロはなのはが次にどんな戦術を構築してるか大体の予想が出来てる事になる。
 その上でお互いの動きを殺さずに、それどころかネロもなのはもパートナーが一番力を発揮できるようにって考えて動いてるから、此れはもう最強だよ。
 尤も、其れが出来るくらいになのはとネロは気持ちが通じてるのかもしれないけどね……」


そしてはやてとフェイトから見ても、此れはもう圧倒的と言う他はなかった。
だがしかし、2人の評価が非常に高い事は確かだろう。




Be gone!!(喰らいやがれ!!)

ディバインバスター!!





その凄まじい高評価に触発されたかどうかは分からないが、バトルフィールド上ではネロとなのはが完全無双状態!
圧倒的なパワーを持ちながら、素早さも下がらないネロの剣技と、一撃必殺上等のなのはの砲撃コンビは正に強靭!無敵!!最強!!と言う他ない。


全く危なげなく、なのはとネロのコンビは先ずは1勝。


エース・オブ・エースとスーパー・ルーキーの力を如何なく見せ付けた一戦であったと言えるだろう――だって、文字通りに圧倒的だったのだから。



だが、なのはもネロもそんな事は気にせずに、次の模擬戦に備えているようだ。
正に『勝って兜のを締めよ』!勝利に浮かれる事なく、次に備えて気を引き締めよと言うこのコトワザをその身で示していた。

その『勝って慢心せず』の心意気は、ミッドの市民に深く刻まれた事だろう――矢張りなのはとネロが出場したのは間違いではなかったようだ。








――――――








Side:なのは


ふぅ〜〜〜〜……辛うじて勝つ事が出来たけど、思った以上に皆出来るね。
ギンガとヴィッツも其れぞれの部隊で活躍してるみたいで、模擬戦の1戦目は白星で飾ってるし――実に見事なモノだね。


だからこのまま、勢いに乗って2戦目も勝ちに行くよ!異存はないねネロ君?


「異存があると思うか?勢いがあるときは、勢いに乗って一気に殲滅するのが上策だ――派手にやらせてもらうさ!!」


その意気やよし!2戦目も勝ちに行くよネロ君!


「All right Boss!(了解だ隊長)やってやるぜ!!」


うん!本気で行こうね!!

さて、2回戦の相手は――此れは、何とも誂えたような相手だねぇ?

まさか、2回目の模擬戦の相手が『ミドルレンジのガンナー魔導師コンビ』だなんてね――相手にとって不足はないよ。
寧ろ、ネロ君と打ち合わせた作戦が使える相手だし、一切無問題!!



見せてあげるよ、エース・オブ・エースと最強のルーキーが織りなす、最強にして意表を突いたコンビネーションて言うモノをね!








――――――








Side:ジェスター


キシシシシシ、流石に強いね悪魔の坊やと亜麻色の髪のお嬢ちゃんは。
ハッキリ言って、他の連中なんざ相手にもならねぇだろうよ――まぁ、娯楽として見るには其れなりに楽しめる戦いだけどよぉ?

だが、メインイベントが寒くちゃしょうがねぇ。
やっぱメインイベントは、ハートが滾ってなんぼだからなぁ?


だからアンタ等の模擬戦が終わったら、最高のプレゼントを渡してやるから精々楽しみにしてな!
このプレゼントは、きっと最高の物になると思うからな〜〜〜!い〜〜〜〜っひゃっひゃっひゃっひゃ!!精々楽しませてくれよ〜〜?


イヒヒヒヒヒ……アヒャヒャヒャヒャ……ヒャ〜ッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャ!!!!














 To Be Continued… 




ジェスター、やっぱりこのタイミングで仕掛けてくるか。
美姫 「でしょうね。二人が揃っているしね」
うーん、初戦は危なげなく勝っているみたいだが。
美姫 「この後の試合がどうなるかよね」
流石になのはたちも勝ち続けて行けば、疲れが出るだろうしな。
美姫 「ジェスターのプレゼントがどんな物かによってはピンチになるかもね」
一体どうなるんだろうか。
美姫 「次回が気になるわね」
続きを待っています。
美姫 「待ってますね〜」
ではでは。



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