恭也達が襲撃を受けている頃、実はさざなみ寮もまた、襲撃を受けていた。敵は3人、青い鎧を着た金髪の少女、20歳を少し過ぎた位の切れ目の男、オレンジ色の髪をした少年。

 

「あの、青い鎧を着た女性、おそらくはサーヴァントですね。」

 

「サーヴァント?」

 

シエルの呟きにさくらが問い返す。シエルは無言で頷いた。

 

「ええ、英霊、英雄の霊を特殊な条件化において、使い魔と化したモノです。言うまでも無く、強いですよ。」

 

シエルとさくらを中心に、リスティ、シオンを加えた4人。そして耕介、志貴、アルクェイドの3名は怪我の消耗から深い眠りについていた。

 

「セイバー、貴様は代行者とアトラスの錬金術士を相手にしろ。私はあの混血とHGSを相手にする。士郎、貴様は最初に言った指示通りだ。」

 

切れ目の男が、二人、セイバーと士郎に指示を出す。二人は苦渋に満ちた表情を浮かべながら頷く。そして、戦いが始まる。

 

 

 

 

 

「はっ!!」

 

シエルが黒鍵を飛ばし、シオンが銃を撃つ。だが、青い鎧を着たサーヴァント、セイバーはそれを全てかわして見せた。

 

ギィィン

 

セイバーの刃をシエルが黒鍵で受けとける。だが、黒鍵は3合あわせただけで砕ける。すぐさま剣を持ち帰るシエル。

 

「代行者!!」

 

シオンが援護射撃をする。だが、その一撃は簡単にかわされる。そこでシエルは距離を詰めて攻撃を仕掛けるが、再び黒鍵が砕かれる。

 

「くっ、装備に差がありすぎる!!」

 

シエルが毒つく。シエルの技量、身体能力は平均的なサーヴァントに劣らない。だが、相手は最優のサーヴァント、セイバー。そして武器の性能にも差がありすぎた。シオンの援護を加えてすら埋まらぬ戦力差に彼女は徐々に押されていった。

 

 

 

 

 

「ぐをおおおおおおお!!!!」

 

切れ目の男が吼えると共にその姿が変わる。それは人狼と呼ばれるものだった。

 

「希才の持ち主などと呼ばれているようだが、所詮、中途半端な血しか継がぬ己の無力さ、味わうがいい。」

 

男は吼え、さくらに飛び掛る。それを迎え撃つさくら。

 

ギィィィン

 

両者の伸ばした爪が激突する。そしてお互い次を繰り出す。始めは互角に見えたそれは、徐々にさくらが押されていく。

 

「くっ・・・・。」

 

さくらは身体能力だけならサーヴァントクラスのものを持っていたが、人狼のそれは特にスピードにおいては夜のアルクェイドにすら迫るものだった。後方でリスティも何とか援護をしようとするが、二人の速さに手を出せないでいる。

 

「さくら・・・!!久遠が助ける!!」

 

その時、寮からその様子を見守っていた久遠が見かねて飛び出してきたのだ。成人形態に変化し雷を放った。

 

「雷!!」

 

リスティを上回る感覚を持ったハイスピードで移動する人狼に電撃を浴びせる。だが、人狼は全く動じなかった。

 

「残念だが、私を覆う毛は対霊力・対魔力に置いてすぐれている。味方を気遣って威力をセーブした一撃など効かんよ。」

 

余裕の笑みを見せる人狼。そして、その時、今まで動かなかった士郎が動いた。

 

「トレース・オン(投影開始)」

 

 

 

 

 

シエルの後方支援を務めていたシオンに向かって矢が放たれる。いや、それは矢と呼べるものではないかもしれない。槍、そう呼べるものを無理やり加工したように見える。

 

「フルバースト!!」

 

シオンが放った魔力の弾丸、だが、矢はそれを貫いた。

 

「ブロークン・ファンタズム(壊れた幻想)」

 

士郎が呟いたその呪文と共に槍が爆発した。

 

カッツ

 

強烈な閃光、それが晴れた時、そこには全身に大火傷を負い、腕がちぎれとんだ状態で横たわるシオンの姿があった。

 

 

 

 

 

「シオンさん!!」

 

そんなシオンの姿を見て那美が飛び出そうとする。だが、そんな那美を真雪を押しとどめた。

 

「まて、お前があそこに出て行けば足手まといになって、他の奴らまでやられる。」

 

「け、けど、あのままじゃあシオンさんが・・・・。」

 

「あたしがいく。あの女をここまで引っ張ってくるだけならあたしの方があんたより上手くやれる。」

 

那美の反論を遮って真雪がそうきっぱりと言った。その答えを聞いて驚いた顔をする那美。そして真雪は青い顔をしている愛に向かって言った。

 

「愛、他のがきんちょどもをしっかりみてやっていてくれ。」

 

さざなみ寮の全ての住民がこういった非現実や、過酷な争いに慣れている訳ではない。寮生の何人かは愛以上に顔を青くしている。そんな彼女達を愛に任せて、外に飛び出そうとする。

 

「真雪さん!!」

 

思わず真雪が叫び彼女を引き止める。彼女は振り向いて優しく言った。

 

「・・・・心配すんな。耕介にも言ったろ、人を守って勝手に死ぬなんてのは無責任な事だ。人にすんなって言った事をあたしはしないよ。」

 

そして、那美の頭をなでると、彼女は外へ飛び出していった。

   

   


(後書き)

展開がちょっと飛びすぎですかね?本当は敵の襲撃までをもっとちゃんと描写するべきだったんでしょうが・・・・・、どうにも上手く書けず、下手に書くよりはと・・・・飛ばしてしまいました。2部後編は耕介と志貴が主役と言いましたが、実際はそれ以外のみんなの活躍が中心になると思います。脇役が生きる、主人公最強主義がこのssの目標です。




シオンが重体!!
美姫 「ピンチに晒されたさざなみ寮。果たして、どうなるのか!?」
ワクワクのドキドキですな。
美姫 「次回が気になる〜」
そして、真雪出陣!
美姫 「無事にシオンを連れて戻って来れるのかしら?」
次回も楽しみにしてます!
美姫 「ではでは」



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