第二十二話「衛宮士郎死す!?」






 
 衛宮邸
「ルヴィア!!」
 士郎が叫ぶ。
「助けようとして無駄だ!! 其の娘は放っておいても死ぬ」
「ルヴィアさん!!」
「其の娘は内臓が破裂するように殴ってやった」
 ルヴィアは内臓破裂を起こしているようだ。
「貴様らに選択の機会をやる。其の娘のようにもがき苦しみながら死ぬのと大人しく我に喰われるか選べ!!」
 士郎達に選択の機会を与えると言うネオ・カオス。
「先輩!! 鼻血が出ていますよ」
「鼻血!?」
「ルヴィアさんの大きい胸を生で見たからですか?」
 士郎は、ドキっとする。
「今生の別れをする位の時間は与えてやろう……ヤルのならあの世で好きなだけするがいい!!」
 あの世へ行ってからヤレと言うネオ・カオス。
「先輩とヤルなって、恥ずかしい」
「シロウ、サクラとヤルのは吸血鬼を倒してからでも出来ます」
「桜、そう言う訳で吸血鬼を倒してからな」
 桜の顔が赤くなる。
「坊やたちは戦う気があるの?」
「小僧は、あの世へ逝け!!」
 ネオ・カオスは、一気に間合いを詰めると士郎の顔を殴った。
「シロウ!!」
「聖杯である貴様は殺すわけにはいかん。暫く眠っていてもらう」
 そう言うとネオ・カオスは、間桐桜の腹を思いっきり殴った。
「ゴホッゴホッ!!」 
 桜はあまりの苦痛に咳き込む。
「まだ意識があるか。聖杯だから手加減してやった」
 桜の口から涎がたれている。
 ネオ・カオスが桜の腹から拳を引くぬと地面に倒れ腹部を抱え苦しみだした。

「サクラ!!」
 士郎と桜の心配をするセイバーとライダー。
「お腹が……お腹が痛い」
 ネオ・カオスに腹を殴られた間桐桜が腹部抱え苦しんでいる。
 激しい痛みに顔が歪んでいる。
「サクラ、大丈夫ですか?」
 サクラの元に駆け寄るライダー。
「ライダー、く、苦しい……」
 間桐桜は、腹部の痛みで立ち上がれない。
「サクラ、私にしっかり捉まってください」
 そう言って抱きかえるライダー。
 しっかり掴もうにも桜は腹部の痛みで力が入らず掴む事が出来ない。

「シロウ、しっかりして下さい」
 士郎は頭から衛宮邸に突っ込んでいて動かない。
「返事をして下さいシロウ!!」
 だが、士郎から返事は無い。
「次は、お前だセイバー!!」
 次は、セイバーだと言うネオ・カオス。
 セイバーは、士郎を残し後退する。


「セイバー、シロウの容態は?」
 ライダーがーセイバーに聞く。
「シロウに意識はありません」
 シロウに意識が無いというセイバー。
「せ、先輩!! うっ」
 ライダーに抱きかえられ後退した桜がライダーを支えに叫ぶ。
 左手は、腹部に添えられている。
 支えにしている手を離せば今にも地面に倒れてしまいそうだ。

「さっちん、混沌が大量に使う事になっちゃったけどいい?」
 アルクェイドが、さつきに聞いた。
「金髪の娘を回収してきた」
 そう言って転がすアルシャード。
「私が診て差し上げますわ」
 そう言って、ルヴィアの状態を診るアンゼロット。
 ルヴィアの腹部はネオ・カオスに何度も殴られ真っ黒に変色していた。
 ルヴィアが受けたダメージの大きさをものがたっている。
「アンゼロット、如何なの?」
「内臓が手の施しようの無いほど痛んでおりますわ」
「さっちんの混沌を使って治療は出来ないわね」
「私たちでは出血を止めることは出来ません」
「早く起きないと死んじゃうわよ」
 そう言ってアルクェイドがルヴィアの腹部にパンチを放った。
 アルクェイドの放ったパンチはルヴィアの腹部に手首まで激しく沈み込んだ。
「ガハッ!!」
 アルクェイドの一撃によってルヴィアは一際大量の血を吐き出した。 
 ルヴィアの口周りは、吐き出した血で真っ赤だ。
「アルクェイド、貴女が止めを刺すつもりですか?」
「あはっはっはっはっ」
 アルクェイドは、笑っている。
「笑い事では在りません。貴女が本気で殴ったらその人は死んでしまいますわ」
「此の娘を起こそうとしただけよ」
 アルクェイドは、悪気なく言う。
「アルクェイド、どいていてください」
 アルクェイドが邪魔と言うアンゼロット。
「其の女の出血箇所を言え!! 俺が殺してやる」
 ルヴィアの出血箇所を殺すという式。
「其の必要はあらへん。魔力の封印を解いたさくらが何とかする」
 さくらが何とかすると言うケルベロス。
「私たちでも如何しようも無いと言うのに如何すると言うのです」
「そんな事、決まっているやないか!! 其の姉ちゃんの時を巻き戻すんや」



 此の時点で開始前に退場させられた遠坂凛、意識不明の士郎、ネオ・カオスに腹部を殴られ自由に動けない間桐桜、内臓破裂で生死不明のルヴィアが戦力から消えた。
 現有戦力は、真祖5人、“クロウの後嗣”と其の使い魔二体、エリオルとスピネルとルビー・ムーン、セイバー、ライダー、ランサー、イリヤとバーサーカー、アーチャ、ギルガメッシュ、キャスターと宗一郎、バゼット、直死の魔眼を持つ両義式だ。


「ギルガメッシュ、ランサー!! 誰が休んでいいと言いましたか?」
 カレンが、ギルガメッシュとランサーに言う。
オレの攻撃か効かないのに如何しろと言うのだ!?」
「貴方たちが率先して戦わなくて如何するのですか? 戦線離脱したルヴィアさんと間桐さん、役立たずのアヴェンジャーと衛宮さんの穴を貴方たちが埋めなさい!!」
 無謀な命令をするカレン。
「槍!! お前から逝け!!」
 先に攻撃しろと言うギルガメッシュ。


「アイツ、混沌を使わずに肉弾戦ばかりしているわね」
「そのようですわね」
「アルクェイドさん、私たちは如何動けばいいんですか?」
 之からの行動をアルクェイドに聞くさつき。
「さくらちゃん次第なのよ。さっちんんも聞いたでしょ」
「はい」
「此処に来たのに何故戦わないですの」
「封印している魔力を開放する必要があるとか言っておったぞ」
「冗談を言うのはやめなさい」
「強い力は魔を呼ぶ」
 何処かへ行っていたウォンが現れた。
「私にわかる様に説明しなさい!!」
 ウォンに説明を求めるアルクェイド。
「さくら様の持っておられる魔力は強大です。其の強大すぎる魔力を極限まで封印しても今の大きさじゃ」
「じゃあ、封印を解いたら……」
「巨大すぎる魔力を受けまともに動ける物は限られた者だけじゃろう」
 さくらが魔力を開放したらとんでもない事になるというウォン。
「もう一つ聞くけど、さくらちゃんの本来の魔力ってどの位の大きさなの?」
「ワシには答えられん質問じゃ。今も魔力が大きくなり続けておられるとエリオルから聞いた」
「増え続ける魔力の為に其のつど封印を強化してとでも言うの?」
「其のとおりですよ」
「エリオル。封印しなくもいいんじゃない!?」
「其れが駄目なのです。さくらさんの力は強大です。封印しないと強大な力の為、魔を呼び込んでしまうのです」
「まるであの吸血鬼、さくらちゃんが呼び寄せたみたいな言いぶりね」
「ネオ・カオスは、さくらさんの強すぎる力に呼び寄せられてきたのですよ」
 エリオルは、さくらの強大な力によってネオ・カオスが呼び寄せられたと言う。
「まるで、本来の力がとんでもないって言いぶりね」
「そう言ったのですよ」


「“クロウの後嗣”を喰おうと思ったが、少し待ってやろう……。少しでも多くの魔力が手に入るのならな」
 だがネオ・カオスは決定的なミスを犯した。
 “クロウの後嗣”が封印を解くのを待つと決めたことが命取りだという事に気づいていない。
「さあ、早く封印を解き終えろ!!」
 だが、あふれ出す魔力の大きさに顔色が変わる。
「貴様、本当に人間か!?」


「何なのよ!?」
 眠らされたはずの凛が目を覚ました。
「凛、目が覚めたのですか?」
「こんな馬鹿デカイ魔力を感じたら嫌でも目が覚めるわよ」
 魔力の主の方を見る凛。
「セイバー、あの娘何をしているのか教えてくれない?」
「私にもよくわかりませんが、封印した魔力を開放すると……」
 セイバーの言葉を聞いた凛は、震えだす。
「凛、如何したのですか?」
「大師父の言葉を思い出しただけよ」
 だが、凛の震えは止まらない。
「リンは何で震えているの?」
「イリヤは、怖くないの? 此の魔力を目の当たりにしても」
「リンは此の程度で怖がるんだ」
「リン、其れよりもシロウが……」
「士郎が如何したの?」
「シロウがネオ・カオスに殺されました」
「冗談は止めてよね、士郎が死ぬわけ……」
 凛の言葉が詰まる。
「シロウは、サクラを庇おうとして殺されました」
「桜とルヴィアは?」
「サクラは、ライダーの側にいます」
 凛がライダーの方を見ると桜は腹部を片手で押さえ顔からは玉のような脂汗が流れていた。
「金髪のお姉ちゃんなら、吸血鬼にお腹を何度も殴られて血を吐いていてよ」
 イリヤの言葉を聞いて笑顔になる凛。
「そう。あの女、血を吐いたんだ」
「リン、黒いですよ」
「ルヴィアって人なら後ろで死に掛けているよ」
「そう。ルヴィアのヤツ、死に掛けているんだ」
 ルヴィアが死に掛けている事を喜ぶ凛。
「凛、其れよりも吸血鬼を倒すことが先です」





「さっちん、行くよ!!」
「はっはい」
 戦闘開始を宣言するアルクェイドとさつき。
「死に急ぐか!? 真祖共!!」
 そう言って混沌を放つ。
 だが、限定的にさつきが展開した枯渇庭園によって跡形もなく種滅する。
 次々出てくる混沌をアルクェイドは爪で引き裂き、再びネオ・カオスに取り込まれないようにさつきが最終処理をする連携だ。
 之も時間稼ぎに過ぎないのだ。
「殺したければ幾らでも殺すがいい。その代わりアレは喰わせて貰うぞ!!」
 そう言って士郎が倒れている方にも混沌を放った。


 ネオ・カオスが放った混沌が士郎を食おうとしたとき……。
「士郎を喰わせません」
 そう言ってセイバーは、混沌を切った。
 だが、混沌は、泥になりセイバーに巻きついて自由を奪う。
「先ずはセイバー、貴様を聖杯に注いでくれる」
「くっシロウ、済みません」
「もがこうが、其処から抜け出す事は出来ん」 
 そう言ってネオ・カオスは更に混沌を出してセイバーを完全に包み込む。

「セイバー!!」
 だが、セイバーから返事が返ってくることはない。
「こうなったら……」
 ガンドを撃とうとする凛。
「凛、無駄よ。アイツにはルヴィアのガンドも効かなかったのよ」
「じゃあ如何しろと言うのよイリヤ!!」
「私たちじゃ如何仕様もないのよ」
「アーチャ!! 何とかしなさいよ」
「セイバーは諦めろ!! 混沌に取り込まれた状況では手が出せん」
 手が出せないと言うアーチャ。
「俺が助けてやろうか?」
 セイバーを助けてやろうかと聞く式。
「お願い。セイバーを失ったら戦力的に厳しいから……」
 式は短刀を構えると一気にセイバーが取り込まれた混沌の間合いに詰め寄った。
「自ら殺されに来たか……」
「殺されるのは、お前の混沌だ!!」
 そう言って短刀でセイバーが取り込まれた混沌の線を斬った。
「くっくっくっ、礼を言うぞ!!」
 ネオ・カオスは、式がセイバーを殺したと思っている。
「さあ聖杯よ、セイバーを取り込め!!」
 だが、セイバーが聖杯の器に取り込まれる気配がない。
「何故、セイバーが聖杯に取り込まれんのだ!? 確かに目の前の小娘が殺したはずだ」
「私ならまだ生きています」
 何事もなかったように姿を現すセイバー。
「邪魔だ!! ヤツは俺が殺す」
 式は殺人衝動がまだ収まらないようだ。
「貴女一人では無理です」
「目障りだ!!」
 そう言うとネオ・カオスは黒い熊をだした。
 黒い熊の大きさは式の三倍はゆうにある。
 黒い熊はイキナリ、セイバーと式に襲い掛かった。
 セイバーと式は、バックステップで間合いを取る。
 だが、運が悪い事に背後は壁だ。
 黒い熊はジャンプで間合いを詰めてきた。
「くっ……」
 セイバーは、エクスカリバーで黒い熊の攻撃を防いでいる。
 黒い熊は体重をかけてセイバーを踏み潰そうとする。
「逝け!!」
 そんなセイバーにネオ・カオスは、黒い鳥を放った。
 黒い鳥は、黒い熊の攻撃を防いでいるセイバーの右腕に直撃した。
 ズゥン!!
 黒い鳥の攻撃を右腕に受けたセイバーは、右腕から力が抜けた瞬間に黒い熊に踏み潰されてしまった。



 ケロちゃんにおまかせ
「こにゃにゃちわ〜ケロちゃんにおまかせのコーナーの時間やで」
「私も出ているのに何故、コーナータイトルが『ケロちゃんにおまかせ』のままなんですか?」
「じゃあ、『ケロちゃんにおまかせ』に変わるいいタイトル名があるんか?」
「はい」
「じゃあ言ってみい」
「『スッピー&ケロのコーナー』は、如何です」
「駄目や!! 其れでは、スッピーが主役といわんようなもんやなかぁ」
「バレましたか」
 何時の間にか漫才を繰り広げているケルベロスとスピネル。
「そう言えばルヴィアの姉ちゃん大丈夫なんか?」
「アルクェイドさんにも一発殴られて盛大に血を吐いていましたからね」
「あの姉ちゃん、さくらが封印を解き終わるまで持つんか?」
「内臓に直しきれないダメージを負っていましたから」
「さくら、早よう封印を解かんかい」
「急いでも仕方ないでしょう。貴方の主、さくらさんの魔力封じは強力ですから封印するのも解くのも時間が掛かるのは知っているでしょう」
「せやけど、ネオ・カオスに喰われたら全て水の泡なんやで」
「其れはないでしょう。彼は、セイバーさんと両義さんに夢中のようです」
「おっと、そろそろ終いの時間のようや」
「そのようですね」
「次回も楽しみにしているんやで!!」
「次回もお楽しみに……」
「ほな!!」



さくらは自らの封印を解いていたのか。
美姫 「膨大な魔力みたいね」
しかし、それまでセイバーたちが無事でいられるかどうか。
美姫 「まあ、真祖も居るから何とかなるんじゃないかしら」
さて、どうなるか。
美姫 「それじゃあ、この辺で〜」



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