第64話「訓練校生活スタートなの」






 なのはたちは、管理局員になる為に訓練校に入る事になった。
 其の噂は、訓練校生にも知れ渡っていた。
「今日、新しいやつが来るんだって」
「この時期に入校するヤツ居るわけないだろ!?」
 普通は新年度に入校するのが普通である。
「こんな時期に入校が認められるのは……」
「短期講習プログラム」
 短期講習プログラムが受けられる実力があるという事だ。
「確か、短期を受けるには条件があっただろう」
「あぁ、実戦経験だけ?」
「教官が来たぞ!!」
 ある教室に教官が入ってきた。
「お前ら、何時まで喋っている!? 早く自分の席に着け!!」
 訓練生に怒鳴る。
「今日からお前たちと一緒に訓練する者たちを紹介する」
 教室に入るように命じる。
 教室に入ってくるなのは達。
「なんだ、まだガキじゃねぇか。本当に短期講習の資格を持っているのか?」
「教官!!」
「何だ!?」
「そいつら、本当に資格を持て居るんですか?」
「よし。これから模擬戦を行う。既存訓練生チームはビッテンハルト、君が指揮を執れ」
「はい」
「短期講習組は……弓塚だ!!」
 いきなり戦闘をする事になった。
 そして自らの体で体験する事になる。



「おい、ビッテンハルトどうするんだ!?」
「まずは、様子見だ」
「それよりも背後から抱きついて胸を揉んでやろうよ」
「却下よ!!」
「なぜだ!? じゃあ、お前の胸を揉ませろよ」
「いやよ!!」
 そう言ってビンタを張る。
 ビンタされた男子には女子の手形がくっきり残っている。
 ビンタをされた男子を無視して作戦を練る。
「定石どおり行くのが妥当だろう……。AAAランクはあってもSランクは居ないだろう」
 だが彼らは知らない。
 SSSランクより上……正式なランクが測定不が居るのを……。
 ランク付けをしなければならないためSSSEXで仮評価しているのが2名も居る事を……。
「第一小隊突撃!!」
 第一小隊が訓練用デバイスを手に突撃を開始する。



 そんな様子を対戦相手のなのは達は見ている。
「ヒソヒソ話をしようが無駄だ妾たちの聴力をなめるでない」
「じゃあ、私が全力全壊で……」
「今回は控えておれ!!」
 なのはに控えていろというさつき。
「すずか、あの者たちに格の違いを見せてやるがよい」
 頷くすずか。
「すずかちゃんのデバイス修理と改造が終わったんだった」
 すずかは、美姫ブリュンヒルトを手に上空に浮かび上がり第一小隊の元へ飛んで行った。


「あ、あいつ空を飛んでいる」
「撃ち落せ!!」
 第一小隊が撃てどすずかには当たるどころか掠りもしない。
「そんな攻撃、妾には当たらぬぞ!!」
 余裕でかわしているすずか。
「おれ達は、飛べないんだぞ!! 降りてきやがれ」
 飛べない事を妬んでいるようだ。
「妾を妬む前に自らの才能のなさを嘆くがよい」
「言わせておけば……」
「もうよい。その場で寝ているがよい!!」
 すずかは、スリープを何の予備動作もなく発動させた。
 不意打ちに第一小隊は、何も出来ずに眠らされた。



「第一小隊全滅!!」
「な、全滅!? 間違いじゃないのか?」
「間違いじゃありません!! 全員と連絡とれません」
「第二小隊突撃!!」
 第二小隊の突撃を命じるビッテンハルト。
「第三小隊以降も突撃準備を整える」
 だが彼らが体勢を整えるよりすずかの方が早かった。
「『創世の書』よ!!」
 『創世の書』を呼ぶ。
「何だ!? 其の本みたいなのは……」
 魔導書の事を知らない訓練生達。
 彼らは『闇の書』事件の事を知らない。
 知らされていないのだ。
「そなた等が知る必要はない」
 冷徹に言うすずか。
 すずかは、魔導書の呪文を唱え始める。
 訓練生たちの知らない魔法だ。
「永遠の氷河!!」
 訓練生たちを強力な冷気が襲った。
 凍死しかねない程、強力だ。
「その程度か? 戯れることも出来ぬではないか」
 すずかは、戯れることができない。
「そなたらの渾身の魔法を見せるがよい!!」
「偉そうに俺たちを見下して命令するな!!」
「ならば、渾身の魔法を見せよ」
「言ったな。その体に教えてやる!!」
 魔法を唱える。
「遅い!!」
 すずかから見れば詠唱が遅かった。
美姫ブリュンヒルト!!」
 すずかは、美姫ブリュンヒルトを起動させる。
 すずかは、美姫ブリュンヒルトと『創世の書』をリンクさせる。
「そなたらに本当の格の違いを見せてやろう……」
 すずかは放出する魔力量を一気に数兆倍に増やす。
「な、なんなんだよ……このイカレた魔力量は……」
「この程度で驚いているのか?」
 訓練生たちは、怯えていた。
「妾の本来の力はこの数千京倍だ!!」
 それを聞いた訓練生は戦意を喪失した。
「勝てない……。こんな化け物、相手にしようというのが間違いだ!! 引けぇ」
 戦闘を放棄して逃げていく。
「敵に背を向け逃げるとは……」
 すずかは、逃げる訓練生たちにデバイスを向け構える。
「トランジッションブレイカー!!」
≪Transition mode.≫
 美姫ブリュンヒルトのリボルバーが回転する。
 シリンダー一つのカートリッジと自ら魔力を発射した。
 逃げる訓練生に巨大な壁のような砲撃が迫る。
「「「「「「「うわぁぁぁぁぁっ!!」」」」」」
 逃げ切ることも出来ずにすずかのトランジッションブレイカーに飲み込まれた。
 中には、戦艦の主砲の誤射と思った訓練生も居たらしい。

 教官が戦闘終了を告げる。
「一般訓練生チーム全滅!!」
 文字通りすずか一人に全滅させられた。
 全力全壊のなのはが撃っていれば、怪我人が出ていただろう。
 圧倒的な戦闘力を誇るすずかに何もできずに全滅した。


「お前たちも身をもって経験ただろう……。短期講習組の力を……」
「一人しか戦っていませんよ」
「戦い足りんと言うのか!?」
「いいえ。結構です」
「よし。第二戦目逝ってみよう」
 教官まで逝ってみようと言う始末。
 教官の一言は訓練生を地獄に突き落とした。



「今度はどうするんだ!?」
「相手の能力は未知数……」
「俺たちは、紫の髪の女に手も足も出ずに負けたんだぞ」
「じゃあどうするんだ!?」
「最初に目付きの悪い女からる」
るの間違いじゃないのか?」
 アリサを犯そうと言う訓練生。
 彼らは聞き耳を立てている存在に気づいていなかった。
「にゃー!!」
「なんだ猫か……」
 彼らは気づいてすらいない。
その猫が普通の猫ではないということに……。
「ここにいたら怪我するぞ」
 猫を追っ払う素振りをする。



 そして、さつき達は……。
「にゃぁ!!」
 すずかの吸血猫が偵察から戻ってきた。
 吸血猫がすずかに報告する。
「そう……。アリサちゃんを犯すって言ってたんだ」
「わたしを犯すですって!!」
 キレるアリサ。
「誰に手を出そうとしたか教えてやろうじゃない!!」
「全力全壊のお仕置きしないとね」
 なのはも白い悪魔モードへ入った。
「皆で『O・HA・NA・SH』するか?」
「うん。O・HA・NA・SHしないとね」
 なのは達はO・HA・NA・SHをするようだ。
「そうだね。O・HA・NA・SHしないと……」
 何故かO・HA・NA・SHしないといけないと言う。
 何故かO・HA・NA・SHである。
 普通はお話だが、彼女たちの場合はO・HA・NA・SHなのだ。
 彼らは、クロノ……通称『エロノ』の次にO・HA・NA・SHの犠牲者となる。
 後に語りがれる。
 『O・HA・NA・SH』されたくなかったら彼女たちの逆鱗に触れてはならないと……。
「では、あの者達に血の制裁を加えてやろう」
 リミッターがない事を良い事にし全力全壊モードにギアが入る。



『O・HA・NA・SH』と称した血の制裁が待っているとも知らない訓練生は……。
「俺には、金髪の娘をくれよ」
「金髪のは、姉妹なんだろ? どっちでも良いだろうが」
 訓練生たちは誰が誰と戦うか話し合っていた。
 彼らは気づいていない。
 気配を殺したなのは達が眼前に居るのに……。

 ガチャ!!

「ちょっと、O・HA・NA・SH聞かせてくれるかな?」
 ドス黒いオーラーを放ちながらなのはが言う。
「はぁ? O・HA・NA・SH?」
「私を犯すって言ったの、誰?」
 アリサがドスの聞いた声で聞く。
「正直に言わないとシャナの錆にしてやるわ」
「俺じゃないぜ!!」
「じゃあ、誰が言ったのよ!!」
 語気を強めるアリサ。
「言ったのは、ビッテンハルトって奴だ!!」
 ビッテンハルトに罪を着せようとする訓練生。
「すずか、本当はどいつが言ったの?」
 信用せずにすずかに聞くアリサ。
 あたりを見渡すすずか。
「アリサちゃんを犯すって言ったのは貴方ね」
 犯人に美姫ブリュンヒルトを向けるすずか。
「あんたね」
「俺じゃねえ。何度も言うが、言ったのはビッテンハルトだって!!」
「どうなの!? すずか?」
「貴方達、この猫、見覚えあるでしょ? この猫、私の使い魔なの。誰が言ったか、この猫に血をすってもらおうか?」
「はぁ? 猫が血を吸うわけあるか」
 だが、すずかの猫は吸血猫なのだ。
 すずかの腕から飛び降りた吸血猫は、犯人に噛み付いた。
「いてぇ!! 放しやがれ、このクソ猫が……」
 訓練生は、猫を地面にたたき付ける。
 その訓練生の残虐性が他の訓練生に印象付けられる。
「レイジングハート!!」
「バルディシュ!!」
「ヴァルディッシュ!!」
「シャナ!!」
「ブリュンヒルト」
「ゴールデンバウム!!」
 全てのデバイスがカートリッジをロードする。
 全てのデバイスが使用できる最大最凶の魔法をセットする。
「言いたいことがあればヴァルハラで聞いてやる」
 それが全弾発射の合図だった。
 訓練生達は、なのは達の最凶の魔法をその身でもって体験した。
 絶対に敵にしてはいけないと……。
 死者が出なかったのは、非殺傷設定だった為である。
 その設定がなかったら彼らはヴァルハラの門を潜っていただろう。
 彼らは、凶悪な魔法を何度も立て続けにくらった。
 それは、クロノが経験したO・HA・NA・SHに匹敵するものだったとか……。
 気絶している者が居ようと攻撃の手を緩めない。
 特に『犯す』と言った者は悲惨な目にあっていった。
 気絶していようが関係なしに攻撃を浴びせ続ける。
 終には、バリアジャケットが裂け肉体を傷つける。
 手持ちのカートリッジが無くなった所で攻撃を止めた。
 それは、カートリッジが無くなったに過ぎない。
 彼女達は、吸血鬼だ。
 体にはまだまだ魔力が残っている。
 特にさつきとすずかは、訓練生にカートリッジを使用した今の攻撃を500億回できるだけの魔力が残っている。


「……………………」
 教官もあまりの恐怖に声が出ない。




「何時まで寝ておる!? 休み時間は終わりだぞ!!」
「おがっ」
 魔力で凶化した拳を一人の訓練生の腹に叩き込んだ。
 叩き込まれた訓練生はあまりの苦しさに口から涎を流しながら腹を抱え体をくねらせ苦しむ。
「早く全員起きるがよい!!」
 だが、訓練生は起きない。
「これでは、デバイスの調整も出来ぬではないか」
 この模擬戦、デバイスの調整も兼ねていたようだ。
 さつきとすずかは、魔導師ランクがSSSEXだ。
 デバイスにリミッターを付けないと統計規模に引っ掛かってしまう。
 デバイスにリミッターを付けようといているが出来ずにいる。
 超高出力機故、研究費も巨額になってしまう。
 同じ額で汎用デバイスが数千万本出来るらしい。
 ある主戦派幹部は、言った。

 反管理局組織への見せしめの為に凶悪なランクを持つ、さつきとすずかをリミッターを付けずに投入すると……。
 そんなことを彼の三提督が許すはずもない。
 過激な発言をした幹部は、三提督に釘を刺されたのは言うまでもない。
 さすが三提督に逆らう愚は冒させない。
 出世の道から外れることは出来ない。
 自分の指揮下に置くことが出来れば、後はすき放題できるのだ。


「早く起きよ!! 時間は過ぎて行くぞ!?」
 なかなか起きない訓練生達。
 さつきは、訓練生が起きるのを待っている。
 だが、待つ気はないようだ。
「起きぬか……。ならば永遠に寝ているがよい!!」
 それが合図だった。
 なのは達は、自らの魔力で砲撃を始めた。
 気絶している訓練生に容赦なく撃ち込まれる。


 教官は……。
 あまりの恐怖に止めに入ることも出来ない。
 止めに入れば、自分が最凶の攻撃を受けることになるから……。
 この教官、訓練生の安全より自分の安全を選んだ。
 教官として一番してはいけない行動だ。
 そんな教官に天罰が落ちないわけがなかった。
「どこへ行く!? その方、教官であろう?」
「……………………」
 教官は、恐怖で声が出ない。
「生徒を見捨てて逃げるのか?」
 教官は、恐怖で震えている。
「あの者は、そなたの部下であろう? それを見捨てるのか?」
 教官は恐怖で声が出ない。
「部下を見捨てるのか? 教官を止め国に帰るがよい!!」
 教官は、声が出ない。
「国に帰らないのか?」
 だが、教官は恐怖で動けない。
「しかたない。妾がヴァルハラに送ってやろう……」
 さつきは、教官に手をかざした。

「ん?」
 教官は、何かに気づいた。
 それは、巨大な魔力流だった。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 教官は、さつきの凶悪な魔力に飲み込まれた。
 教官が無能な為、止めるものが居ない。
 なのは達のO・HA・NA・SHは、駆けつけてきた別の教官が戦闘終了を命令したことで終了した。
 気絶した教官と訓練生は医務室へ運ばれた。
 全員が、悪夢に魘されていた。
 訓練生たちはさつき達の次元違いの強さを身に刻んだ。
 犯すと言っていた訓練生は、二度とさつき達の知覚範囲で言うことは無かった。
 どんな小声で言っても聞こえていた。
 その都度、殺気を向けられるからだ。



 そして、数日後……。
 再び模擬戦の日がやって来た。
 前回と違い、さつき達は綺麗に分けられた。
 Aチームにさつき、なのは、フェイト。
 Bチームがすずか、アリサ、アリシアだ。
 今度は、戦力がほぼ均衡するよう配慮された。
 このチーム分けの前になのは達だけの模擬戦があった。
 当然、訓練生達は模擬戦の観戦を命じられた。
 それも最前列で……。
 目の前で繰り広げられる次元違いの戦闘に目が飛び出ていた。
 見方になった訓練生は喜び、又は恐怖に震えていた。

 Aチームの総大将は、さつきだ。
 Bチームの総大将は、すずかである。
 両チームが総大将の指揮で戦闘をする。
 総大将を倒すか、全滅すれば戦闘終了となる。
 何故か他校の訓練生が観戦している。
 どうやら強制観戦させられているようである。
 総大将を選んだ教官は、噂で聞いた武装執務官としての指揮官能力を見定めたいらしい。
 個人戦闘能力は、文句の付け所がないのである。
 さつきとすずかの指揮官能力を見極める為に組まれた模擬戦だ。
 その根回しをしたのは某提督たちだ。
 はやてとヴォルケンリッターを配下にほしいレティとなのは達が欲しいリンディである。
 さらに言えば、彼の三提督も絡んでいたりする。
 巻き込まれた訓練生はたまったものではない。
 訓練生達は命令と言われれば異見することは出来ない。
 訓練生にとっての地獄の模擬戦の開戦である。


 次回予告

 なのは「さつきさんとすずかちゃんの指揮官能力を確かめる為に始まった模擬戦」
 フェイト「何故か王族口調で命令するさつきさん」
 アリシア「なんだか血が騒ぐ」
 アリサ「皆、血戦とか言うんじゃないでしょうね?」
 さつき「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』」
 すずか「第65話『血戦!! 模擬戦も全力全壊』」
 すずか「称えよ!! 紅き月よ」



やり過ぎのような気も……。
美姫 「でも二回目は明らかに訓練生の方が悪いしね」
教官は巻き込まれるしな。
美姫 「で、今度は上の思惑が絡んだ模擬戦みたいね」
どうなる事やら。
美姫 「それではこの辺で」
ではでは。



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