第78話「魔導師失踪」






 空港火災から数週間後……。
 空港火災の原因は未だに判明していなかった。
『先日ミッドで発生した空港火災は、地上本部の魔導師の懸命な捜査にもかかわらず未だに原因が判明していません』
 連日、空港火災の続報が報じられている。
 地上本部の魔導師も交代で連日空港火災の捜査に当たっていた。
 当然、空港火災の捜査に戦力を傾けるわけにもいかない。
 緊急出動に対応せねばならないのだ。
 それに一部の魔導師が入院していて戦力が大幅にダウンしているのだ。
 長期療養を余儀なくされている為、欠員が大量に発生している部隊もある。
 かといって早々に補充できるわけでもない。
『次のニュースをお伝えします』
 ニュースキャスターは次のニュースを読む。
『先日以来、空港周辺で捜査中の魔導師が失踪する事件が発生しています。失踪した魔導師の消息は不明で事件、事故の両面で 捜査が続けられるとのことです。これに関連して周辺住民も姿を消す事件も発生しており関連が調べられています』
 空港火災を境に空港周辺で失踪事件が相次いでおきていた。
『既に魔導師だけで数十人の失踪者が出ています。その為、地上本部でレジアス中将を筆頭とした対策会議が開かれる模様です』



 地下に潜った吸血鬼たちもニュースを見ていた。
「閣下!!」
「マスコミもありがたい。管理局の動向を教えてくれるのだからな」
 彼らは、ニュース情報を元に魔導師たちを襲っていた。
「そのお蔭で我々は、勢力を倍増させることが出来ました」
「その通りだ。だが今後は、之までのように勢力を拡大させることは出来なくなる」
 青いマントの男は言う。
「魔導師連中もバカではない。我々の存在に気付くのも時間の問題だろう」
「ロイエンタール閣下!」
 彼らのリーダーはロイエンタールと言うらしい。
 それも軍人の様な言動……。
 用兵の専門家の様にも見える。
 その用兵を持って魔導師を襲撃、血を吸って配下に加えていった。
 配下に加えた魔導師も死者にして用兵をもって新たな獲物を襲うと言う手法を繰り返していた。
「あまりこの手を取り続けることは出来ん。『65年マフィア』が動くのは間違いない」
「ですが、『65年マフィア』が動いたという情報はありません」
 まだ、なのは達『65年マフィア』は動いていない。
 彼女達は、まだ新たな吸血鬼の暗躍を知らない。
「その前にプレシア・テスタロッサを引き抜こうと思う」
「あのプレシアをですか?」
「そうだ。聞くところによるとプレシア女史も吸血鬼だそうだ」
「確かに一度死んで蘇ったと言う話はありますが……」
「その話は聞いたことがある。死して半年のちに蘇ったと」
「この世界に吸血鬼に出来る存在なんか閣下以外には居ないのでは?」
「この場にはな……」
「と、仰いますと」
「私以外に吸血鬼に出来る存在は何だと思う?」
「何だと仰いますと、まさか……」
「そのまさかだ、ベルゲングリューン。真祖だ」
「本当に居るんですか?」
「『65年マフィア』は吸血鬼らしい。内二名は真祖だそうだ」
「真祖を敵にして勝てるのですか?」
「ようは、戦い方次第だ! 戦い方によっては勝つことも出来るだろう」
「敵の数倍の戦力を集めるですか」
「恐らく真祖二名は管理局の魔導師ランクでSSSクラス以上の戦闘力があると見たほうが良いだろう」
「では、数千人のSランク相当の能力を持つ者を集めないと……」
 ロイエンタールも計算できない事態が起こることを知らない。
 新たな真祖がやって来るなど計算出来るわけがないのだ。
「管理局の目を盗んで他の世界に渡り戦力を増やしますか?」
「他の世界に渡るのは骨が折れるぞ。此処は管理局発祥の地だ!!」
 ミッドは次元世界の中心……首都世界だった。
 唯でさえ監視の目が厳しいのだ。
 ミッドの僻地にでも行かないと転送することも出来ない。
 次元船に乗る手もあるが足跡を残すことになる。
 乗船名簿から足がつく事もある。
 彼らからすると足跡を残すことは命取りだ。
「難しいだろうな……。管理局には非魔導師ながら提督の地位まで上り詰めたホームズもおる。ヤツの用兵と俺の用兵、比べて みたいものだ」
 ホームズと用兵で勝負したいというロイエンタール。
 管理局最強の捜査官と言われる名探偵に手袋を投げつけようと言うのだ。




 空港の捜査に当たっている魔導師……。
「此処にも証拠はないか……」
 彼らを狙う影がある。
「そろそろ、交代の時間だ!! 部隊舎に戻ろう」
「あぁ」
 魔導師たちはツーマン・セルで捜査に当たっていた。
 背後の警戒が疎かになったその刹那。

 ガプッ!


 魔導師の首に噛み付く何か。
 首に噛みつかれ引きずられて行く。


「き、貴様……!!」
 気づいた魔導師も背後から首を噛まれ血を吸われる。


 カラン。


 その手から汎用デバイスが落ちる。
 首に噛み付いた吸血鬼を普通の魔導師にどうにか出来る相手ではない。
 噛み付いたまま引きずる。
 助けを呼ぶ事も出来ない魔導師。
 吸血鬼にアジとまで連れ去られる。


 別の場所でも死徒、死者による魔導師狩りが行われていた。
 隙を見せた魔導師を背後から襲い血を吸う戦法を取っていた。
 之もロイエンタールの用兵だ。
 連絡が途絶えたことで探しに来た魔導師も同じように血を吸いながら連れ去った。
 同じ罠に嵌る魔導師は、後を絶たない。


 そんな魔導師を見て感じる。
「管理局も存外無能者揃いだな」
 地上本部は無能者だらけか?
「今は、我らの用兵が通用している。だが、ホームズが乗り出してくるのも時間の問題だろう」
「その前に、襲えるだけ魔導師を攫いますか?」
「そうだな。後、もう数百人ほど攫いたいな」
 まだ、戦力が足りないらしい。
「血を吸っても短期間で死徒になるとも限らない」
 血を吸われて死者になった者が死徒になるには長い時間が掛かる。
 吸血と同時に死徒に成る者も居るが滅多にいない。
 それはミッドでも同じようだ。



 そして、第97管理外世界……。
 海鳴市。
 その日も平穏だった。
 あるニュースが速報で流れるまでは……。
『海鳴テレビから緊急ニュースをお伝えします』
 テレビが緊急ニュースを流す。
『先ほど入ってきた情報です。海鳴市地下街で血液のない死体が多数発見されたそうです』
 少しして現場からの映像が入ってくる。
 映像は、警察が敷いた規制線の外からの物だ。
 現場は、警察鑑識が証拠保全を行っていた。
『現在、海鳴市中心部の地下飲食街は立ち入りが禁止されています。我々、報道関係者もここから地上に出るよう指示されまし た』
 地上から放送を再開する海鳴テレビ。
『警察の指示により地上に出てまいりました』
 その時、銃声が聞こえる。
『銃声です。警察官が発砲したのか判りませんが銃声です。銃声が聞こえました』
『何だ!? こいつら……』
『ば、化け物だ!!』
『地下から、何か声が聞こえます。一体地下で何が起こっているのか判りません』
 集音マイクに何発もの銃声が拾われる。
 まるで戦場リポートの様相を呈してきた。
 銃声は止むことをしらない。
 断続的に乾いた発砲音が聞こえる。
『地上に避難して来たばかりですが、更に避難しなければならなくなりました』
 地上に出たのもつかの間、規制線が拡大された。
 避難中も銃声は鳴りやまない。
 だが、最初より銃声の数は減っていく。
 予備の弾丸を持ってきているとっも限らない。
 放送中にも新たな情報が入ってくる。
『また新たな死体が発見されたとの情報が入ってきました。発見されたのは、オフィス街の路地裏とのことです』
 テレビの中継現場も混乱していた。
 帰宅ダッシュの時間とも重なり情報が錯綜していた。
 オフィスビルから出てくる会社員。
 学校帰りの学生が事件の影響で行き場を失っていた。
 海鳴駅もバスターミナルも中心街にあるのだ。
 電車にもバスにも乗れない人で溢れかえっている。
 この状況は、謎の犯人には好都合だった。



「くっくっくっくっ。獲物だらけだ。血を吸うのは、若い少女に限る」
 辺りが暗くなるのを息を潜めて待つ。
 既に何人かの女子高生を毒牙にかけていた。
 血を吸われた女子高生は、床に倒れている。
 女子高生は、服を剥ぎ取られ裸だ。
 その首には、血を吸われた痕がある。
 日没を迎えた頃、命令する。
「さぁ、死者どもよ食事の時間だ!!」
 男は、血を吸った女子高生に命令する。
 命令された女子高生は、全裸のまま城から出ていく。
 獲物の血を吸うために……。



 同じころ、ハラオウン亭……。
『連続変死事件は、新しい情報が入り次第お伝えします』
 仕事を終えテレビを見るリンディ。
「大丈夫かしら? フェイトさんとアリシアさん」
「フェイト達なら襲われても返り討ちさ」
 フェイト達は返り討ちにすると言うアルフ。
 フェイト達も吸血鬼なのだから……。
 だが、フィトとアリシアは、任務で海鳴にはいない。
 ハラオウン家のテレビは、ミッドチルダのニュースも入る。
『空港周辺で発生している魔導師の失踪事件は未だに解決の糸口すら掴めておりません』
「向こうも大変みたいだな」
「向こうもこっちも強力な吸血鬼のようです」
「吸血鬼は、普通の人には手におえんからな」
 吸血鬼は、普通の人には手に負えない。
 ミッドの魔導師ですら手におえないのである。
『任務中に行方不明になった魔導師の数は現在100数十名にも上ります』
 ミッドの魔導師失踪も大きなニュースになっていた。
『連日の魔導師の失踪に地上本部も対応に苦慮している模様です』
「ミッドの魔導師が不足しない内に手を打たないといけないわね」
 連日の失踪で部隊の運営に支障が出ている隊もあった。
「お母さん。最後の手段を使えば?」
 アルフが聞く。
「最後の手段?」
「犯人が吸血鬼ならさつきとすずかを動かせば良いんじゃないのか?」
「動かせればいいだけど……」
「何か問題でもあるの?」
「例の指名手配犯が空港火災に関わっているようなの。その空港火災の時にいくつか盗まれた事件があったでしょ。その犯人が モリアーティ一味らしいの」
「まだ捕まってなかったのか?」
「逃げ足だけは早くて、ホームズ提督も手を焼いているらしいわ」
「こにゃにゃちわ〜」
 雰囲気を壊す黄色い縫いぐるみ。
「ケロちゃんことケルヴェロスや!!」
「おっ。元気にしてたか?」
「そう言うアルフも元気か!?」
「わたしは元気だぞ」
「お久しぶりですね」
「リニスも元気そうやな」
「そう言う貴方は変わりませんね。ここに来てもお菓子はありませんよ」
「今日は、お菓子目当てやない」
「ケルヴェロスさんこんばんわ」
「リンディの姉ちゃんも元気か?」
「えぇ。今日は、すずかさんと一緒ではないの?」
「ワイの主、すずかからの協力要請できたんや。アルフとリニス借りられへんか?」
「SSSクラス貴方でも手におえないことでもあるのかしら」
「忘れてへんか? ワイはあんさんらの結界魔法使えんのやで! 結界も張らずに死者を狩れば、大騒ぎや」
 ケルヴェロスが真の姿で死者を狩れば、猛獣に人が襲われているように見られない。
 狩る側が逆に狩られる立場になりかねないのだ。
「そう言う訳やから、アルフとリニスに吸血鬼を狩るために結界を張ってほしいんや」
 海鳴には吸血鬼が侵入している。
 それも死徒と呼ばれる吸血鬼である。
「結界ぐらいお安い御用だけど、吸血鬼の城の場所は分かっているのか?」
「分からへん。吸血猫軍団を使って探しているようだが……」
「それで、すずかさんは?」
「並行世界に渡った」
「そういやぁ、さつきとすずかは単独で並行世界とか言うのに渡れたな。今回は何しに行っているんだ?」
「真祖の姫さん達を迎えに行ったんや」
「さつきさんの元の世界に?」
「そうや! 今回は二つの世界で死徒が動いたさかい、戦力を分散させねばならん」
 こうしている間にもミッドと海鳴の吸血鬼は力をつけていく。
 時間を与えれば与えるだけ倒しづらくなる。
 魔導師を手下に加えているロイエンタールは、簡単に倒せないくらい力をつけている。
 それは、一般的な魔導師には手に負えないことを意味していた。
 それに用兵の専門家でもある。
 相手の裏をかいて簡単に倒すことなど造作もないのだ。
 多くの魔導師がロイエンタールの用兵の前に敗れている。
 用兵には用兵で戦わねばならない。
 ミッドチルダにはロイエンタールに対抗できる用兵の使い手はいない。
 管理局全体でも数人居るかわからない。
 唯一対抗できるホームズも未解決事件を押し付けられて動けない。
 地上部隊のプライドが頼むことを許さないのだ。
「結界は、何時張ればいいんだ?」
「すずかが真祖の姉ちゃん達を連れて来てからや!! 多分、明日の夜から狩ると思うわ」
「そう。ってすずかさん、平行世界と言うのに渡れたの?」
「さつきも渡れるんや。渡れても不思議はあらへんで。さつきはんは、元の世界には渡れへんようやけど……」
 その間も、連続変死失踪殺人事件のニュースが繰り返し流されていた。
『現在、海鳴市中心部へ向かう交通網は完全に寸断されていて入ることも出ることも出来ません。中心部に取り残された人たち の安否が気になります』
 中心街に取り残された人の救出計画は停滞したままだ。
 凶悪犯が、どこに隠れているか分からないのである。
 事件を受けて鉄道は、海鳴を通過または手前で折り返し運転をしていた。
 海鳴は陸の孤島状態だ。
 高速バスも海鳴を素通りする措置を取っている。
 物流もストップ。
『犯人の犯行動機と目的は今のところ分かっておりません』
 犯人の目的は分からない。


 地下街では、死者達が警官を襲っては血を吸い続けていた。
 そして彼らの親は、女子高生の血を吸っていた。
「美少女の血は最高に美味い。変な混ざりもない」
 彼は、極上の血に酔っていた。
「こんな狭く臭い場所ではなく、広く大きい建物を我が城としよう」
 場所替えをしようと言う吸血鬼。
「そう言えば、この町にも吸血鬼の城があったな……」
 彼は、知らない。
 そこは、吸血種なら決して手を出してはいけない場所だという事を……。
「お前たちもツイテないよな、俺が血を吸いに出ようとしている所に出くわすなんって……」
 三人の少女は、ロープで縛られていた。
 この三人が城にしようとしている家の住人だという事をしらない。
「お前たちは特別だ!! 生きたまま俺にメイドとして全裸で奉仕することを許す。血を吸われなかったことを感謝するんだな」
「拒否するわ」
「私もですわ」
「お姉さまに同じです」
「そうか、拒否するか……。折角生きる機会を与えてやった物を!!」
 拒否されたことをよく思わない。
 彼は気付かない。
 密かに外部に情報が流されていることに……。
「貴様らは血を吸って犯してやる!!」

「(この人、馬鹿ですわね)」
「(私たちが外部に情報を流しているのに気付いていなんって)」
「(それに……)」
「(もう少しで処刑命令書にサインですわ)」
 念話で会話する三人。
 魔導師ではないカーテローゼは、通信機能のみの簡易デバイスを介しての会話だ。



「先ず誰から犯してほしい? それとも俺の城で処刑してほしいか」
「城にする家の人は如何するの?」
「聞いてどうする? 之から殺される奴が……。まぁ、いい教えてやる。全員ぶっ殺す!!」

「(サインしましたわね)」
「(しましたね)」


「何をごちゃごちゃ言っている!! 死ぬのが怖くなったか? 怖くなって狂ったか?」
「いえ。貴方が処刑命令書にサインしたもので」
「処刑承諾書にサインするのは貴様らだ!! そして貴様らの処刑命令書にサインするのは俺だ!!」
「まだわかっていませんわね。貴方は、決して手を出してはいけない家に手を出しました」
「私たちを人質にしただけでも許しがたい行為なのに、カーテローゼさんの前で本家の人間の殺害を明言しては言い逃れできま せんわ」
「それがどうした!? 強い者が正義で、弱い者が悪だ!! 勝てば好きにできるのだぞ」
 強さこそが正義だと言う。
 力さえあれば何でも出来る。
 弱者を従わせることも……。
 歴史を改変することも出来る。
 強者のみが歴史を造ることが出来、弱者は強者の許した範囲でしか生きることが出来ない。
 この場での絶対的強者は彼である。
 だから好き勝手に出来る。
「俺の手下は数百人にまで増えている。今夜中に人質全員を死者に変えてやる」



 モニターしているハラオウン亭では……。
「アイツ、処刑執行書にサインしたな」
 アルフが言う。
「サインしましたね」
「余計なことを言わずにおればよかったのに」
「ワイの主が怒ったら怖いん知らんようやな」
「あの二人大丈夫か? 魔導師の勉強始めたばかりなんだろ?」
「そうね。リニスさんとアルフさんも出られる準備していてね」
「了解。おかあさん」




 そして並行世界では……。
 すずかは、アルトルージュの城で談笑しながらワインを飲んでいた。
「こっちに何の用だ!?」
「色々忙しくて困っているんです」
「困っている?」
「誰かが向こうに死徒を送り続けて居るんで退治してもキリがないんです」
「そなたも真祖なのだろう。一気に殲滅すればよかろう?」
「学業と管理局の仕事が多忙で手が回らないんです。それに一族の長の仕事もありますから」
「そうか……」
「それに今回は、複数個所で同時多発的に発生しているので戦力が足りません」
「そなたがその気になれば死徒の5匹ぐらい造作まないだろう?」
「今回は人目の前で狩らないといけないんです。一応各方面に圧力はかけたんですけど」
「それで、どのくらい戦力が要るのか?」
「あんまりこっちの戦力を引き抜きたくないから……」
「遠慮は要らぬ!!」
「三人かな?」
「一人は妾か……。もう一人はアルクェイドなのだろう」
「最後の一人は、そのプライミッツさん」
「確かにそなたの選択は間違っておらぬ。最小の人数で最凶の戦力を選ぶ眼は確かだな」
「姫様、白翼の戦力を削って向かわれては?」
「削るか……」
「白翼公の勢力は大きいですからな」
「『月落し』しようかな」
 さらっと怖いことを言うすずかに恐怖を感じるリイゾとフィナの二人の騎士。
「『月落し』か……。流石にそれをされると不味い。妾が留守中に報復に来られてはかなわん」
「じゃあ、城ごと吹き飛ばそうかな?」
 また怖いことを平気で言うすずか。
「城を吹き飛ばすのも止めよ」
 白騎士、黒騎士の努力もありすずかの攻撃は阻止された。
「向こうに帰ったら好きなだけ狩れるからいいか」
 獲物を海鳴の死徒に変えることにするすずか。
「急いでいるのだろう!? 早く我が妹の所に向かうぞ」
 すずかは、転移魔法を使う。
 アルトルージュ、プライミッツと共に移動していった。



 三咲町では真祖が暇を持て余していた。
「退屈〜なにか面白いことでも起きないかな」
 アルクェイドは退屈でしかたない。
「志貴は、妹に拉致されて海外旅行……。私も行きたかったな」
 アルクェイドは、置いて行かれたようだ。
「デカシリエルもいないし……」
 アルクェイドは、何かが転移してくるのを感じた。
 そして転移してきた者が現れる。
「あっ、すずかちゃん。元気!?」
「アルクェイドさんもお元気そうですね」
「すずかちゃん、遊びに来たっと言う訳じゃなさそうね。姉さんが一緒の所を見ると」


 すずか、説明中。


「いいわよ。退屈で暴れたいところだったから」
 あっさり引き受けるアルクェイド。
「じゃあ、アルクェイドさんの承諾もとれたので飛びますね」
 すずかは世界渡りの呪文を唱える。
 長い詠唱の末、完成する。
 一行の姿は消えた。


 次回予告

 なのは「ミッドチルダに飛ばされる謎の魔導師たち」
 フェイト「そこで繰り広げられる戦闘」
 アリシア「吸血鬼も入り乱れる」
 フェイト「戦闘の結果、逮捕される魔導師」
 ???「私たちが何をしたって言うのよ!!」
 はやて「この我のものとなれ、『紅い悪魔』よ」
 ???「断る!」
 すずか「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第79話『紅い悪魔逮捕』」

 すずか「讃えよ紅き月よ」


真祖たちが集結するみたいだけれど。
美姫 「色んな意味で大丈夫かしら」
どうなるだろうな。
美姫 「あちこちで吸血鬼による騒動が起こっていて大変だけれど」
一番、早く動く事になるのは海鳴かな。
美姫 「かしらね」
さて、どうなるのか。
美姫 「それじゃあ、まったね〜」
ではでは。



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