第90話「魔導元帥再び」






 クロノは、なのはのストレス発散の道具にされた。
「ストレス発散、終了♪」
 なのはの気分は爽快だ。
 そして、なのはのストレス発散の道具にされたクロノは……。
「なのはにも負けた……」
 クロノは、死んでいた。
 数時間休みなくシュミレーターをやらされて居れば当然だ。
「もう、頭が限界だ……」
 クロノ頭は限界だった。
 連戦に次ぐ連戦で思考がパンクしている。
「これ以上は、頭の回転が……」
 そうは、行かないのが現実だ。
「クロノくん。次は、うちらの相手をしてもらうで」
「その前に、少し休ませてくれ」
「逃げようたってそうはいかんで」
 逃げようとするクロノ。
「僕は、逃げないぞ」
「じゃあ、うちとフェイトちゃん、アリシアちゃん、アリサちゃん、なのはちゃん、纏めて相手してもらうで」
「月村は、参加しないのか!?」
「すずかちゃんは、一寸仕事があるそうや」
 すずかは、さつきとアルクェイド、アルトルージュで席を外しているようだ。
「仕事が済んだら、あの人たちとまたシュミレーションやって」
「じゃあ、すずかちゃんとO・HA・NA・SHしないとね」
 すずかが何かをしていることは魔力で直ぐにわかった。




「すずか、爺が来るのは間違いないのだな」
 アルトルージュが聞く。
「間違いないよ。だから、一寸……」
 すずかは、何かを企んでいる。
「一寸、何!?」
「ゼルレッチさんの術式に細工しちゃいました♪」
 転移してくるゼルレッチの術式に細工したすずか。
「ゼルレッチさん、大丈夫なんですか?」
「心配する必要などない。あの爺には良い薬だ!!」
 心配する必要はないと言うアルトルージュ。



 そして、当のゼルレッチは……。
「!?」
 ゼルレッチは、異変に気づく。
「ここは……」
 ゼルレッチは、どこかの火山の火口に転移していた。
「火山の中に出てしまったわい」
 慌てて安全なところに転位する。

 安全な所に移動すると転位が狂った原因を考える。
 今回の原因は、うっかりではない。
「術式には問題なかったはず……。何故、転位場所がズレタ?」
 ゼルレッチは、再び転位呪文を唱える。
 本来の目的地だった場所へ転位すべく……。


 だが、またも違うところに転位してしまう。
「またか……。今日は、どうもズレてしまう」



 そんな様子をすずか、さつき、アルクェイド、アルトルージュは見て笑っている。
「爺の転位失敗、面白いわね」
「普通、火山の火口に転移するか?」
 また、火山の火口に転移したようだ。
「それは、爺だからね」
「すずか、爺をまた変な所に転移させるがよい」
「次はどこですか?」
「そうね。どこにしようか」
 ゼルレッチを次にどこに落とすか相談を始める。
「また、火山に落とす!?」
「ゼルレッチさんでも火山に三連発はキツイんじゃ……」
「いいの、いいの♪ また、火山に落としちゃって!!」
「本当に良いですか?」
「妾が許す」
「じゃあ……」
 すずかは、呪文を唱える。
 ゼルレッチの転移に合わせるる。



 すずかに転移の妨害をされているとも知らないゼルレッチは……。
「今度は、火口か……。あの中に出てたら、いくらワシでも燃えておったわい」
 すずかによって今度は、火口の中に転移していた。
「そろそろ、本当に目的地に行かないと……」
 目的地に行きたくても行けないゼルレッチ。
「転移は、使わん方がよさそうじゃ」
 ゼルゼッチは、転移を躊躇う。
 魔術で空に浮き火口の外に出る
「しかし、何故、転移が失敗したんじゃ」
 原因が分からないがまた転移するようだ。




「クロノくん、死んじゃったね」
「そうやな。その原因がね」
 クロノ死亡の原因がすずかなのだ。
 すずかが、ラインハルト達に勝ち過ぎた為、クロノが死んだのだ。
「クロノ、艦隊戦で私たちに負けるはずないのに」
 クロノは、艦隊戦を何十連戦もしていた。
 結果は、その全てで戦死だ。


「ふぅ。やっと目的地についたわい」
 ゼルレッチは、月村家に転移した。
「ん!?」
 ゼルレッチは、異変に気付いた。


『侵入者を検知、排除します』

 月村家警備システムが作動した。


「侵入者!? ワシの事か?」
 貴方以外に誰がいますか。
「誰か、何か言ったか?」


 警備指令室では……。
「侵入者、依然退去せず……」
 侵入者はゼルレッチの事だ。
「侵入者から魔力を検知!!」
「警戒レベルをレベル3に移行!!」
 直ぐに警戒レベルが上げられる。
「侵入者、接近中……」
 ゼルレッチは、屋敷に接近してくる。
「警戒レベルをMAXに……。総員戦闘態勢!!」
 警備体制は、レベルMAX……。
 戦闘態勢になった。
 魔法による武装をしたイレイン達が侵入者捕縛に向かう。



『警戒態勢はレベルMAXに移行されました』
 ゼルレッチは、警備メカに包囲されている。
「やれやれ、壊してもキリが無いわい」
 警備メカを幾つも破壊しているゼルレッチ。
 いくつものレーザーがゼルレッチに発射される。
 おまけに自動ライフルも狙っている。
「だれじゃ!!」
 ゼルレッチが問う。
「直ちに退去してください。貴方は、現在、侵入者と認定されています」
「そうか……。ならば、無理やりにでも通して貰うぞ!!」
「此方の言う事を聞いていただけない場合は、実力行使も許可されています」
 実力行使も許可されているイレイン。
 すずかと忍の手が加えられているとはいえ相手は、魔導元帥だ。
「人形が魂をもっておるか」
 一目でイレインが唯の人形ではないと見破る。
「我々の秘密を知られたからには生かして返すわけにはいきません」
「困ったのう。ワシはここに用があるんじゃが……」
 月村家に用があるらしいゼルレッチ。
「正門以外からチェックを受けずに入られた方をお通しするわけにはまいりません」
「ここに知り合いが居る筈なんじゃがの」
「それでもお通しすることは出来ません」
「しかたない。実力で通して貰うとするか」

 イレインは、司令室に警報を送る。
『警備システムは、警戒レベルを無限大に移行します』
 ゼルレッチに対して無限大の警戒レベルが発令される。
『全館第一級戦闘配備!!』



 そして、なのはたちも異変に気づく。
「何者かが侵入したようですね」
 グリューエルが言う。
「しかも、警戒レベル無限大です」
「警戒レベル無限大は、エグイで」
 警戒レベル無限大の攻撃はエグイらしい。
「では、皆さんの出番ですわね」
「そうやな。うちらが、すずかちゃん家に居る時に警戒レベル無限大になったら、戦うことになってるからな」
「それじゃ、『65年マフィア』出動!!」
 なのは達が出動する。
「侵入者には悪いが、O・HA・NA・SH相手になってもらうで」
 なのは達は、ゼルレッチと『O・HA・NA・SH』するようだ。
「クロノくんじゃ『O・HA・NA・SH』相手にもならなかったからね」
 なのはは、肉体言語である『O・HA・NA・SH』をしたいようだ。
「それじゃあ、GOなの」
 ゼルレッチと『O・HA・NA・SH』をするために『65年マフィア』が出動する。



「なかなか丈夫な人形よ」
 ゼルレッチは、気配を感じる。
「ワシのところに近づいてくる気配が5つ……」
「うちらと少し『O・HA・NA・SH』してくれへん?」
「話しぐらい聞いてやるぞ」
 ゼルレッチは、勘違いしている。
 『O・HA・NA・SH』の意味を……。
「ほな、『O・HA・NA・SH』タイムと逝こうか」
 それぞれがデバイスを起動させセットアップする。
 そして侵入者であるゼルレッチにデバイスを向ける。
「ここに侵入した理由……『O・HA・NA・SH』……」


 その時、声がする。


 なのはちゃん達は『O・HA・NA・SH』出来ない。


 ゼルレッチに『O・HA・NA・SH』しようとした瞬間、目の前からゼルレッチの姿が消えた。
 消えたのではない。
 目の前に居るのに見えないのである。


「ワシと話をするんじゃなかったのか?」
 なのは達は固まっている。
「ほれ、ワシは目の前におるぞ」


 そして、再び声がする。


 ゼルレッチさんは、動けない。


 直後、動けなくなるゼルレッチ。
「む!! これは、『統一言語』……」
 ゼルレッチは、直ぐに原因を突き止める。
「この世界にも『統一言語』の使い手が居ったとはの……。一体誰が!?」
 『統一言語』を使えるものが近くに居ると見るゼルレッチ。
 身体が動かない為、探しに行くことが出来ない。

「爺、動けなくなった感想は?」
 アルクェイドが聞く。
「アルクェイドか……。犯人は、お前か?」
「私、『統一言語』使えないよ」
「妾もだ」
「何だ、姉妹そろってここに居ったか……。では、『統一言語』を使ったのは誰じゃ!?」
 『統一言語』を使った犯人を聞くゼルレッチ。
「私と姉さんとさっちんじゃ無いのは事実よ」
 少しずつ犯人が絞られる。
「そこの小娘達ではないと……」
 犯人は、絞られた。
 なのは達の名を知っていて、尚且つゼルレッチのことを知っている人物に……。

「わたしですよ」
 そう。
 すずかである。


「お前が犯人だったか……。ワシが転位を失敗したのもお前さんの仕業じゃな」
「えぇ。転位の失敗を楽しませて頂きました♪」
 ゼルレッチの転位の失敗を楽しんだと言うすずか。
「転位失敗の映像は、逮捕した貴方の弟子に転送しました」
 ゼルレッチの転位失敗の映像集は、逮捕拘留中の凜たちにも送られたらしい。




 逮捕拘留中の『赤い悪魔』達は……。
「何よ、これ……。大師父が溶岩に突っ込んでるじゃん」
 映像を見て笑っている。
「何回、溶岩の中に転位しているのよ」
 大師父の失敗が可笑しいようだ。
 何度も溶岩の中に出てくるシーンが続く。
「よく死なないな、あの爺さん」
「当然でしょ! アンタみたいなヒヨッコと違うんだから……」
「じゃあ、遠坂も溶岩に入っても平気なのか?」
「平気なわけないでしょ!!」
 遠坂も溶岩の中は平気じゃないようだ。
「骨も残らないに決まってるでしょ!!」
 普通、溶岩に触れたら骨も残らない。
 だが、ゼルレッチは、死徒だ。
 それも紅い月の直系だ。
「其れより、俺たち何時になったら解放されるんだ!?」
 士郎達は、特別牢の中だ。
 魔力の厳重封印されている。
 士郎は、投影することも出来ない。
 魔力が使えなければ唯の一般人と変わらない。
「おかしいですわ。大師父ともあろう方が立て続けに転移を失敗する筈、ありませんわ」
 ルヴィアは、問題点を指摘する。
「なにがおかしいのよ!! おかしいのは、貴女の頭でしょ」
「万年金欠のどこかの『うっかり』屋さんに言われたくありませんでしてよ」
「言ったわね」
 口げんかから肉弾戦に発展する。
「言いましたわよ」
 プロレスの技の掛け合いをする。


 そして、シエルは二人のけんかを止めることもせずに映像を見続ける。
 そして、またゼルレッチは、転移を失敗する。
 既に服は、焼け焦げボロボロだ。
「……………………」
 士郎も流石に言葉を失う。
 ルヴィアと凛の肉弾戦は続いている。
 衣服は戦いで破れ裸だ。
 その為、二人の胸は揺れる。
 目のやり場に困る士郎。
「ダメだ……。俺、もう我慢できない」
 士郎の理性は限界を超えた。
 目の前で胸を揺らしながら戦っていれば当然である。
 後は、己の欲望に体を預けるだけであった。

 その後、士郎は精力が尽きるまで凛とルヴィアで愉しんだのであった。



 そして、ゼルレッチは……。
 月村城でため息をついていた。
「やれやれ。ひどい目にあったわい」
 輸血パックの血を吸うゼルレッチ。
「まさか、『統一言語』による妨害じゃったか」
「ゼル爺ったら、面白いように火口に飛び込むんだもん」
「笑い事ではない!! お前も溶岩の洗礼を受けるか!?」
 アルクェイドは、首を振る。
 溶岩の洗礼を受けたくないようだ。
「ワシが生き返らせた者の数が少ないな……。5人ほど足りぬが……」
 それも其のはずである。
「それなら私が処刑しました」
「処刑じゃと?」
「私の土地を荒らしたから……」
 ブラウンシュヴァイク等が起こした惨劇を語る。
「生き返らせる人選を誤ったか? 生き返らせろと言うから生き返らせたんだが……」
「奴を生き返らせる必要などなかったのだ!! 害意の塊を……」
「ふむ。おぬし、体に異常はないか?」
「異常!? 今の余の体に異常などない!!」
 ラインハルトの体に異常はない。
「キルヒアイスを生き返らせてくれたことだけは礼を言う。余の誤りによって失わせた命だからだ」
「其れで、お前さん達は今何をしている」
「時空管理局とか言う組織だ」
「今度は、全時空の支配者にでもなるつもりか」
「当然だ!! 今の管理局は腐りきっている。その腐敗を正せるのは余だけだ!!」
「じゃが、お主の思い通りには行かぬぞ」
「余の邪魔は、何人にもさせぬ」
「その者は、お主の背後に少しずつ迫っておる。後数年もすれば、はっきり判るじゃろう……」
 ラインハルトは、気づいていない。
 直ぐ近くにその人物が居ることに……。



「もう、何も考えられない……」
 クロノは、死んでいた。
「我らから一勝するまで休むことは許さない」
 クロノは、まだシュミレーションをしていた。
「その一勝が出来ないんだ……」
 クロノは、未だに一勝することも出来ずに居た。



 そして、時空管理局本局では……。
「分からないわ。どうしたらこんなことが出来るのか……」
 プレシア達は、頭を悩ませていた。
 未だにタライ召喚の解明は出来ずにいた。
「術式も美砂さんに聞いても解明できませんね」
 マリーもお手上げだ。
「実験に付き合わされる局員には悪いけど、研究者として解明せずに居られないわ」
 研究者の性が解明せずに居られない。
 プレシア達の研究に付き合わされる魔導師達は、漏れず頭にタライが直撃していた。
 攻撃魔法を放っては、タライに変換され頭に食らった。
 その数、数100人以上に上る。
 実験に参加した魔導師の全てがタライの洗礼を受けた。
 ミッド、ベルカ関係なしに……。
 魔導師にとっては最悪相手だ。
 全ての魔法をを殺す『魔導殺し』である。


 実験に付き合わされた魔導師達の一部がこよみを襲う企てを立てていた。
「アイツを許せるか!?」
「実験と称して俺たちにタライを落としたんだぞ」
「許すまじ」
「今度は、俺たちが肉体的制裁を加える番だ」
「じゃあ、るのか?」
る!! そうしないと俺のプライドが許さない。デバイスも起動できない落ちこぼれにいい顔させるわけにはいかない!!」
「そうだ!!」
「落ちこぼれは、落ちこぼれらしく、俺たちエリートに頭を下げていればいいのだ」
「そして、落ちこぼれの功績は、俺たちの功績だ」
「逆に俺たちの失敗は、落ちこぼれの失敗……」
 彼らは、落ちこぼれを便利な道具と身代わりにしか見ていない。
「そんなに功績立てたければホームズ提督の司令部へすれば宜しくてよ」
 弓子が言う。
「エリートの貴方たちなら活躍できますわよね」
 彼らは知らない。
 ホームズの司令部は、超エリートの集まりだという事を……。
 そのホームズの司令部に本物の化け物が居ることを知らない。
「俺達の優秀さを見せてやる」
「では、直ぐに転属していただきましてよ」
 その数日後、彼らはヴァルハラを垣間見ることとなる。



 月村城……。
「真祖の力のみならず『統一言語』まで使いこなすか……。どこまで化け物に成れば気がすむのじゃ」
「そう言うゼルレッチさんも十分化けもですよ」
 すずかが言う。
「溶岩に落ちても死なないのは貴方ぐらいです」
「ガッハッハッハッハツ!!」
 笑い出すゼルレッチ。
「この世界の真祖よ、『統一言語』を何時会得した!?」
「気づいたら、使えていました」
「今日まで、気づかなかったのか……」
「そのお陰で、楽しめました」
 『統一言語』の実験台にされたゼルレッチ。
「さて、話を変えるが、『幻想郷』を知って居るか!?」
「『幻想郷』ですか?」
「そうじゃ。知らぬのか?」
「目の前のお酒、どこのお酒と思いますか?」
「まさかと思うが、『幻想郷』か」
「はい♪ 『幻想郷』のお酒は美味しいです」
「では、何人か攫ってくるとするかの」
 ゼルレッチは、何人か攫って来るようだ。


 ゼルレッチが『幻想郷』から攫って来る者たちが騒ぎを起こすのである。


 次回予告

 ???「この酒がなんでここにあるんだ?」
 ???「徴収するわよ」
 ???「ここでも迷惑掛けるじゃないわよ」
 ???「全部頂くぜ」





 なのは「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第91話『幻想郷からの来訪者』」

 すずか「この我のものになれ、霊夢、魔理沙」



今回の被害者はクロノとゼルレッチか。
美姫 「まあ、後者にそうそう仕掛けられるのはいないでしょうけれどね」
にしても、最後の最後で不穏な単語が出てきたけれど。
美姫 「幻想郷から攫うって」
一体どうなるのやら。
美姫 「それでは、この辺で」
ではでは。



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