設定は、とらはの方はAllエンドで恭也は誰とも付き合っていません。
With Youの方は、乃絵美は拓也に振られています。

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とらいあんぐるハート3×With You(伊藤 乃絵美)

ずっと二人で・・・

序章 再会、そして、乃絵美へ・・・
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8月30日夕方。

ここは、横浜の桜美町の駅前。
8月の終わりにもかかわらず、人で賑わっていた。
その中、一際目立つ人物がいた。言わずと知れた高町恭也その人である。

容姿はモデル並み。
着ている服は、例のごとく、黒の長袖の服に黒のジーパン。
手には、少し大きめのカバン。

「む・・・・・・。少し、早く着き過ぎたか」

周りの女性達がなにやら、騒がしいが気のせいだろうと恭也は心の中でつぶやいた。


時間をさかのぼる事、10分。

ロムレットのフロアに乃絵美はいた。
いつものようにお店を手伝っていた。
けれど、乃絵美の顔はすこし暗い。

貴美恵が乃絵美を呼ぶ。

「乃絵美。少しいいかしら?」

「何かな?お母さん」

「今から、駅に人を迎えに行かなくてはいけないのだけど、手を放せないの。だから、私の代わりにその人を迎えに
行ってくれないかしら?」

「うん。いいよ」

「あっ。そうだったわ。9月から12月一杯まで、アルバイトを一人雇うことにしたの。乃絵美の意見を聞かずに決めちゃって、
ごめんなさいね」

「いいよ。お母さん。謝らないで。もしかして、今から、迎えに行く人ってアルバイトさん?」

「ええ。そうよ。じゃあ、お願いね」

「うん。お母さん。その人の名前とかは?」

「行ったら、すぐにわかるわよ」

貴美恵は父・忠志にいたずらして成功したときの顔をして言い切った。

「うん。じゃあ、行ってくるね」

「いってらっしゃい」

乃絵美は駅への道をゆっくりとしたペースで考え事をしながら、歩いて行った。

(私の知ってる人・・・・・なのかな?)

考え事をしながら、駅前に出る。
そこには、ちょっとした人だかりが出来ていた。
その中に、よく知った顔も居た。

ミャーコちゃんこと信楽美亜子。サエちゃんこと田中冴子。みちる先生こと天都みちる。みよかちゃんこと橋本みよか。
全員、私の大事な友達。そして、お兄ちゃんや菜織ちゃんの友達。

「みんな、こんにちわ。どうしたの?」

近づきながら、話しかける。

「よー。ミャーコが駅前に人だかりが出来てるから見に行こうってうるさくて・・・」

「「こんにちわ。乃絵美ちゃん」」

「乃絵美ちゃんか。う〜〜ん。何をしているのかは、あの人を見てからのほうがいいと思うよ」

「あの人?」

ミャーコちゃんが言っていた人を見ると、そこには黒い服で覆われたモデル並みの人が立っていた。
乃絵美は一目見ただけでわかった。

「えっ?恭也さん?何で?」

「恭也さん?乃絵美ちゃん、あの人と知り合い?」

「うん。そうだよ」

「乃絵美ちゃんの恋人とか?」

「ち、違います。ミャーコちゃん、そんな意地悪なこと言うなら、ロムレットに立入禁止にするよ?」

「乃絵美ちゃん。ごめん〜。もう、言わないから・・・」

「冗談だよ。あははははははは」

「ミャーコ。乃絵美に一本取られたな。あははははははは」

「乃絵美ちゃん。もう、意地悪だね。サエ。後で覚えておきなさいよ。あることないこと言いふらしてやるんだから」

そんなことをしていると恭也が乃絵美の気配を感じてこっちに歩いてくる。

「む。そこにいるのは、乃絵美か?」

「恭也さん。お久しぶりです。お元気でしたか?」

「ああ。こっちは元気だよ。乃絵美の方は・・・。まぁ、いいか。ここで話すようなことではないか。それより、
移動しよう。ここは目立ちすぎるから」

「はい。ミャーコちゃんたちはついてくるの?」

「当然でしょ」

ミャーコが答えるとサエたちはうなづく。
そして、ロムレットへの道を歩いていく。

乃絵美は母親に言われたことを思い出し、恭也に聞いてみる。

「ひょっとして、うちのアルバイトって恭也さん?」

「うむ。そうだが、乃絵美は何も聞いていないのか?」

「えっと、私は今日知ったの」

うれしそうな顔をしている乃絵美にサエが聞いてくる。

「正樹は家の手伝いはしないのか?」

「お兄ちゃんは・・・・・・菜織ちゃんのところに行ってるよ。ずっとね」

「菜織?」

「恭也さんは知らなかったね。お兄ちゃんの恋人なの」

「そうか。正樹にも春が来たのだな・・・・」

しみじみ言う恭也に乃絵美は苦笑いを浮かべている。
そして、乃絵美はみんなにわからないようにため息を吐く。
恭也は、乃絵美の変化に気づいた。ちょっと、心配そうに乃絵美のほうを見る。

「そっか。あの二人、うまく行ってるんだね」

「恭也さん。学校のほうはいいのですか?2学期一杯になると聞きました」

「ああ。聖エルシア学園の三年に通うことになる。うちの母と知り合いの親がそうしたらしいが・・・・」

それを聞いた全員が絶句した。

「どうした?みんな」

「そんなことで、転校させる親って一体?」

「何を考えているのかは知らん。いい機会なのでうちの店以外を見てこようと思っただけだ」

「そういえば、恭也さんのところも喫茶店でしたよね。名前はたしか、翠屋だったかな」

「ああ、そうだ。乃絵美もよく覚えていたな」

「翠屋?」

ミャーコが何か考え込んでいる。

「翠屋・・・・・。えぇぇぇーーーー。全国版の情報誌に載っているよね?」

「ふむ。そういえば、載っていたな。うちの母は、気にもしていなかったがな・・・」

「それってすごい事じゃないかな?」

「ほう。そうなのか。乃絵美」

「うん。すごいことだと思うよ」

「素直にありがとうと受け取っておくか」

そういうと恭也はうれしそうにする。

(む・・・・・。うれしい?乃絵美に言われるとうれしくなってしまう自分がいるのか?)

心の変化に恭也自身も驚いていた。

「恭也さん?どうかしたの?」

「・・・・・・・・・。いや、何もない。気にするな」

「あっ。そういえば、恭也さんのこと、まだ、皆に紹介していなかったね」

「ロムレットについてからでいいよ」

ミャーコが言う。
サエたちがそれにうなづく。


カラン
乃絵美がロムレットのドアを開ける。

「ただいま。お母さん」

「おかえりなさい。乃絵美。いらっしゃい。恭也くん。それにみんなも」

「伊藤さん。お久しぶりです」

「お久しぶりね。それにしても、いい男になったわね。恭也くん」

「・・・・・・冗談でしょう。伊藤さん」

「冗談なんかじゃないわ。乃絵美もそう思うわね?」

「お母さん。恭也さんが困ってるよ」

「む・・・・・・・・」

「それと、みんな、どうしたの?」

「ああ。それはですね。駅前にモデル並みの人がいると聞いたので、見に行こうと思いまして・・・・」

みちる先生が代表して答える。

「モデル並みの人が恭也くんだったということね。納得したわ」

「む・・・・・・・。俺みたいなのがモデル並み?変でしょう。それは」

「乃絵美。恭也くんは本気で言っているのよね?」

「ん。たぶん、そうだと思うけど・・・・・」

恭也の朴念仁ぶりにはその場にいた人たちは全員苦笑いを浮かべていた。

「ああ。そうだったわ。言い忘れるところだった。今日19時から恭也くんの歓迎会を開きます」

「私達は参加ですね?」

「ええ。そうよ」

「すみません。俺みたいなやつのために歓迎会まで開いてもらって」

「いいのよ。それと、俺みたいなやつは言わない。アルバイトを頼んだのはこっちなんだから」

「わかりました」

「えっと、荷物は明日届くらしいからと桃子さんから連絡があったわ。恭也くんの部屋は乃絵美の部屋の隣だから」

貴美恵がにやにやして、こちらの様子をみていた。
なぜか、ここにいないはずのかあさんやティオレさんがいるような感じがした。

当の本人達は、しばらく停止した。
目の前の人のにこやかな笑顔と今しがた言われて事を思い出して、二人は大絶叫した。

「「・・・・・・・ハァ!?Σ(○□○)ノ」」

「おかあさん。本気なの?」

「伊藤さん。何かの冗談ですか?」

「本気よ。というわけで、乃絵美。あなた、恭也くんを部屋に案内してね」

「もう。わかったよ。恭也さん、いこ」

「む・・・・。乃絵美。いいのか?」

「いいよ。どうせ、一度、言い出したら、聞かないのだから」

「・・・・・。乃絵美。案内頼む」

「はい。わかりました」

乃絵美は恭也を部屋に案内していく。

「恭也さん。ここになります」

「ありがとう。乃絵美。少し、聞きたいことがあるのだが・・・」

「うん。恭也さん、何かな?」

「この辺りに神社とかはあるのか?」

「あるよ。菜織ちゃんのところが神社なの」

「ほう。今からそこに案内してもらっていいか?」

「うん。わかったよ。私はお母さんに許可もらってくるね」

乃絵美は母貴美恵に今から恭也さんを氷川神社に案内してくると伝えて。店の前に出る。

恭也はこれまでの経験で感じていた。
何か、起こるのではと。念のために装備一式を確認するといつものコートに入れ、コートを着て出て行く。

「恭也くん」

貴美恵に呼び止められる。

「乃絵美のこと、頼むわね。あの子、少し前に倒れちゃってるので」

「はい。すこし気配が違っていたのでわかりました。詳しくは話してくれるのを待ってみるつもりです」

「さすがは士郎さんの息子ね。一目でそこまで見抜くなんて・・・」

「む・・・。父さんと一緒・・・。それはやだなぁ。あの素行不良の行き当たりばったりの父さんと一緒・・・」

「あはははははは。じゃあ、乃絵美のこと、よろしくね。19時までには帰ってきてね」


それから、乃絵美に氷川神社までを案内してもらい、その帰りに事は起きた。


次回「第一章 新しい位置 前編」に続きます。



あとがき

今回からわたくし京梧が一人であとがきを書かせていただきます。
まぁ、小鈴に見つかるまでだけどね。

さて。今回は恭也がどういうふうに気持ちの変化に気づくかを書いてみました。
気づくというよりは変化に脳がついてきていないと言う感じだったけどね。
序章の一番の書き所でした。

次回から本格的にスタートしていきます。
次のお話は「第一話 新しい位置」です。乃絵美の新しい居場所についてのお話です。
今回のお話の最後のところで、何やら、不穏な動きがあったが、気にしないでくださいね。
それも、次のお話の布石ですから。

でわでわ。
皆様、感想は掲示板のほうに。

小鈴に見つからないうちに気配と姿を消してと、動くとしますかね。



ようやく恭也と乃絵美が再会して、いよいよだな。
美姫 「うんうん。これからどうなるのかしらね〜」
次回が楽しみだよ。
美姫 「恭也の念のためというのも気になるわよね〜」
一体、何が起こるのかな〜。
美姫 「次回を待ってますね〜」
待ってます。



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