第一章 ロサ・キネンシス
祐巳
1
紅薔薇さま一行は、いつもの様に並んで歩き始めマリア像の前に着くとゆっくり祈りを捧げていた。
すると祐巳の隣にいつの間にか由乃さんが現われ、同じ様に祈りを捧げていた。
「ごきげんよう、祐巳さん、瞳子ちゃん・・・」
と、続けさまに挨拶をすると、最後に残った千鶴を見詰めニヤリと笑うと「ごきげんよう、祐巳二号」と言っていきなり抱きついたのだ。
「ぎゃっ!!」
おいおい「ぎゃっ!!」って、と突っ込みを入れたい祐巳を尻目に由乃さんは、なおも瞳を細め緩める所か抱きつく力を強め始めていった、由乃さんはこれでも一年 ちょっと前まで運動なんか出来ない体だったはずのに、手術後、性格が全然変わってしまった。
祐巳は今の由乃さんが大好きだし、何も気にせず突っ込みし合える関係は大切だと思っているから、千鶴をからかう由乃さんを別に止めようとはしなかった。
「う〜、いい加減に止めて下さい〜、黄薔薇さま〜」
「ははは、やっぱり祐巳二号は可愛いなぁ」
「可愛いなぁ、じゃないですよ、それに毎日言ってるじゃないですか!!私は祐巳二号じゃなくて千鶴と言う名前があるんですから」
「ごめんごめん」
と、言いながらもけして絡めた腕を外そうとはしない由乃さんであった。
そして、情け無い悲鳴を上げる千鶴と由乃さんに、遂に我慢が出来なくなった瞳子は。
「お姉さま、早く黄薔薇さまをお止め下さい」
何故か祐巳に話し掛けて来た。.
突然、瞳子に話しを振られたものだから祐巳は慌ててしまい。
「えっ、どうして私に?」
って素っ頓狂な声を上げていたのだ。
「だって、あの黄薔薇さまが瞳子の言う事なんか聞くはずないでしょ!!」
と、強い口調で祐巳の問いかけに答えた。
「なるほどね、瞳子ちゃん由乃さんとは余り馬が合わない性格だったのよね」
と言うと、祐巳は由乃さんと千鶴の間に割って入って行った。
「由乃さん、そろそろからかうの止めないと遅刻するよ」
遅刻するとは言ってはいたが、別に本当に遅刻する訳ではない。
これでも祐巳達は十二分間に合う時間にリリアン女学園に来ているのだから、由乃さんが別に祐巳に言われたからって止める必要はないがそれでも千鶴に 絡めていた腕を放すと。
「それもそうね、薔薇さまが遅刻なんかしたら下級生に示しがつかないしね」
と言って、すたすたと先に歩いて行った。
「ほら、祐巳さん行くんじゃなかったの?」
数歩先を歩いていた由乃さんが振り向くと、手を差し出し祐巳を待っていたのだ、祐巳は「クスッ」と笑うと。
「分かったってば、由乃さん」
祐巳は由乃さんの差し出した手を取ると、仲良く歩いて行った。
「なんでお姉さまは、いつもああなのかしら」
小声で呟きながら祐巳を追いかける瞳子に千鶴は、少しばかり困った表情をしながら瞳子の後について行った。
追いかけると言っても、それはそれでリリアン女学園に通う二人なのだから、スカートのプリーツは勿論ネクタイの帯だって翻る事が無いのだから凄いものである。
瞳子達は祐巳に追いつくと、素早く祐巳の腕に絡みつき由乃さんに向かって威嚇していたのだ。
「お姉さまの隣は瞳子のものですのよ!!千鶴も何か言いなさい」
「そ、そんな事言えませ〜ん」
強気で意見する瞳子に対しかなり弱気な千鶴を見ていた祐巳は。
「おいおい、相手は黄薔薇さまだぞ」
そう小声で呟きながらも祐巳は、可愛い妹達を眺めていた。
第一章、第一話お届けしました。
いかがだったでしょうか?感想等頂けたら嬉しいのですが・・・
卯月のhpは『子猫ハウス三毛猫支店』で検索かけていただければokです。
bbsへの書き込みお願いしま〜す♪(笑
由乃ちゃんが見事に聖さま化してますね。
美姫 「そして、千鶴ちゃんの反応が可愛い!」
次回以降も、ちーちゃんの行動が楽しみで楽しみで…。
美姫 「卯月東雲さん、次回も楽しみにしてますね〜」
ではでは。