第三章 ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン・プティ・スール
                                              千鶴
 
          プロローグ

 初々しい新入生が集いし此処はリリアン女学園内神聖な場所、つまり教会内に瞳子のお姉さまである紅薔薇さま、黄薔薇さま、白薔薇さまが並んで新入生に対しお話しをしている訳なのですが、わたくし事瞳子は、それよりも大事な(お姉さまのお話しをちゃんと聞けないのはくやしいのだけれど)目的が今のわたしにはあるのだ、つまり薔薇さま方との約束・・・いや勝負である早い時期でのスールを見つけなくてはいけない為、わたしは目を粉にして一人一人を満遍なく見ていたのだ。
 
 「分かってはいたけれど、この子はっていう子は中々見つからないものなのよね・・・」
 
 本当はこんな事をしてまでスールを探すなんて馬鹿馬鹿しいのは分かっているのだけれど、やっぱり負けたくない(特に黄薔薇さまには)衝動があって、今に至る訳なのです。
 
 「・・・以上でお話しを終わりにしたいと思います、新入生の皆さん楽しい学園生活を送って下さい、山百合会代表福沢祐巳」
 
 さぁ勝負はここからよ、一年生をまじかに観察出来るチャンスは薔薇さま方が一人一人におメダイをお渡しになるこの時をおいて他には無いわ!!っと心の中で握り拳を作る瞳子であった。
 
 「う〜ん・・・」
 
 しかし、現実はそんなに甘い物ではなかったのだ。
 
 「何ででしょ・・・お世辞抜きで可愛い子は何人かいたのだけれど、こう心にビビっと来る子がいないのよね・・・」
 
 だんだん一年生の人数が減っていくにつれ次第に焦りが瞳子の眉間に表れ始めてきたのだ。
 
 「ねぇ瞳子、あんた今凄い顔しているわよ」
 
 周りに聞こえないように同じブゥトンである乃梨子さんが瞳子の脇を肘で軽くつつくと、その刺激でようやく周りの状況に気付いた瞳子は、「ありがとう、乃梨子さん」と短く返事をすると一度だけ回りに気付かれないように深呼吸をすると改めて一年生を見渡したのだ。
 
 「あれ・・・あの子は・・・」
 
 何気なく見渡した先にジッと瞳子の方を見詰めている一年生を見つけたのだ。
 その子は別にこれと言った特徴がある子ではないのだが、何故だか瞳子の好奇心が疼き始めたのだ。
 
 その一年生は瞳子が見ている事に気付くと、瞳をキョロキョロさせ始め横にいる友達であろう子の後ろに隠れてしまったのだ。
 
 「へ〜、なかなか面白い子がいるじゃない・・・」
 
 瞳子の口元がニヤリとすると、その表情にただ一人気付いた乃梨子さんは見ちゃいけないものを見てしまった気がして、素早く目線をずらしたのだ。
 
 「あの表情は何かするつもりね・・・わたしと志摩子さんの時のように・・・」
 
 はぁ〜っと深い溜息をする乃梨子さんを横目で見ていた志摩子さまは、頭に「?」マークを浮かべていたのだ。
 
 「まずは第一印象が大事よね・・・」
 
 そう言うと、瞳子は演劇部で得た演出力を最大に使える作戦を考えるのであった。
 
 そして翌日・・・
 
 一人で渡り廊下を歩いている「例の子」を見つけた瞳子は作戦を実行する為近付いていったのだ。
 
 「そこのあなた、お待ちなさい!!」
 
 さぁ、勝負開始よ!!と、意気込む瞳子であった。







 第三章 プロローグお届けしま〜す。
 かなり遅くなってしまい申し訳ありませんorz
 これもそれも全て私が悪いのですが・・・(汗汗
 プロローグ部分は瞳子目線でお送りいたしました。
 ただ一つ気になる場所があるのですが、「おめだい」って何処から切るんでしたっけ?


おメダイで良かったはずですよ。

美姫 「瞳子が千鶴に目を付けたお話ね」

そうみたいだね。
ここでちーちゃんを見つけ、そして後の話へと繋がっていく訳だね。
投稿ありがとうございます〜。

美姫 「ありがとうございました〜」



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