「………………………今度は士郎か」



「………………………………」



「お前の親でも矢張り人だな」



「………………………■■」



「なんだ」



「とーさんはまともな人じゃなかった」



「………………………………」



「旅に出れば路銀は使い果たし、僅かに手に入れたと思えばば博打に賭けては外し、自分だけホテルに泊まり俺だけ野宿」



「………………………………」



「人として、父親としては最低だが、剣師としては最高だった」



「………………………それで?」



「そんな人だったが、俺の父親だ、敵討ちしても問題ないだろう」



「………………………………敵討ちをするのは”人”のすることだぞ?まさか………」



「いや、とーさんの願いを叶えるまで”人”として生きるだけだ、”人”でなければ叶えれないだろうからな。
 ソレを終えれば後は元に戻るさ」



「………………そうか、なら好きにしろ」



「すまない、………………とーさんを殺した奴らに復讐し、美由希が「一流の御神の剣士」に成るまで鍛える。
 その時までの間俺が皆を護る、終えるまで”人”としての生活………………………まぁ、楽しむとするか」






    





                         審判告知






       




             ――――――高町家・リビング――――――







「――――――恭也、醤油取ってくれないかしら」

「わかった」



高町家の食卓は賑やかだ。



「師匠、今日のアジの塩焼き、どうですか」



青色の髪の少女、晶が恭也に訊ねれば――――――



「はん、どうせ晶の料理やから高が知れとるやろがな」



緑色の髪の少女、レンが貶し。



「何だとカメ!」

「やるかオサル!」



二人がいがみ合えば――――――



「二人ともいいかげんにしなさーい!!」

「「うぅ、なのはちゃん(なのちゃん)」」



栗色の髪の少女、なのはが二人を叱る。




「………………………」



それを少し離れて微笑みながら見ている美沙斗。


これが本日の高町家での日常である。














ズズズズズッ





「………………………ふう」



朝食を終えた恭也は茶で一服していた。



「恭也、あなた今日は確か休講だったわよね」

「あぁそうだが、店を手伝ったほうがいいか?」

「ん〜、どうかしら。一応何時でも出れるように用意しておいてくれないかしら」

「ふむ………、承知した。が、それよりかあさんはまだ出なくていいのか」

「まだ開けるまでは時間があるからこのお茶を飲み終わってからにするわ」

「美由希、学校は」

「まだ時間があるから大丈夫、それに母さんとお話したいし」

「美由希、美沙斗さんは休暇で居るんだ、余り疲れさせるような――――――」

「いや、いいんだよ恭也、私自身美由希と話したいしね」

「美沙斗さんがそう仰るなら………………、それで、晶とレン、なのは達は大丈夫なのか」

「俺は片付けを終わらせてからにします」

「ほな、うちはおさるがドジせんよう見張っとりますわ」

「なんだと、このカメ!」

「なんや?おサル」

「二人とも………………………」

「「じょ、冗談やでなのはちゃん/なのちゃん!!」」

「………………(ハァ)なのはは二人を見張ってます」

「そ、そうか、――――――」

「――――――、恭也」

「いえ、俺が出ます」



そう言って恭也は席を立った。



「?、母さん何があったの?」



美由希は気付いてないようだ。

そんな美由希に恭也は、



「(ハァ………)美由希、今日の鍛錬、量を増やすぞ」

「(ガガーン!)えぇっ!何で!?」

「ハハハ、恭也余り苛めないでやってくれないかい?」

「………分かりました」

「母さん………!」

「少しだけ増やします」

「うん、それぐらいで頼むよ」

「母さ〜〜〜〜ん!!!」

「ふふふ、でも今なら気付くだろう?」

「?――――――あっ、で、でも何でそんな前から気付くの!?」

「「鍛錬の賜物だ(だよ?)」」

「そんな無理だよ〜〜〜!!!???」



半分泣きながら言う美由希。

そこになのはが話しかけてきた。


「ねぇお姉ちゃん、何の話?」

「あ、なのはそれはね――――――」




プルルルルルルル

ガチャッ

「はいもしもし高町です」






「――――――電話が鳴る気配のことだよ」

「美由希も鍛錬すれば分かるようになるよ」

「そんな人間離れした事無理だよ〜」



そんな会話をしている美由希と美沙斗。



((((鳴る前に分かる美由希(お姉ちゃん、美由希ちゃん)も充分人間離れしているような………………))))







「もしもし、高町ですが―――」

「………………」

「あぁ、矢張りお前か………」

「………………………」

「あぁ、お前の言う通りだった」

「………………………」

「それで終わらせる心算は無いがな」

「……………………」

「うるさい、そんな事はどうでもいいだろ」

「………」

「そうだ、わざわざ連絡を入れたんだ、分かったのか」

「………………………………」

「そうか、………………」

「………」

「なんだ」

「………………………」

「な、なんのことだ?」

「………………」

「う、そ、それよりも何時頃に着くんだ」

「………………………」

「ふむ、そうか、よしわかった迎えに行こう」

「………………………」

「――――――はっ?ま、待てそれはしなければならないのか!?」

「………………」

「は、ま、待て切るな!」





ツーツーツー

ガチャッ



「………………………」





………………………………………………








「恭也?誰だった………の」



戻ってきた恭也に訊ねる桃子だったが、恭也の顔を見て固まった。



「………………………………………………」



(文面では分からないだろうが)恭也の顔は凄まじく不機嫌だった。

それも今までに見たことの無いほどまでに歪められていた。

本来表情を余り出さない恭也だが、誰が見ても分かるほどに歪められていた。



「ど、どうしたんだい?恭也」



顔を引きつらせながら桃子に代わって訊ねる美沙斗。



「いえ、大したことではありませんよ、美沙斗さん」



そう言いながら手で顔を覆い、顔の筋肉を揉み解している恭也。



「それで誰だったの恭ちゃん」

「あぁ、ちょっとした知り合いだ」

「結構親しそうだったけど………」

「まぁ昔からの付き合いもあるからな、因みにお前も美沙斗さんもあったことがあるぞ」

「へぇ〜、誰なの?」

「まぁ考えておけ、見たら分か………………………………るのか?」

「何で恭ちゃんが疑問系なの?」

「いや…………」

「まぁまぁ、会った時の楽しみしておけばいいじゃないか」



そんな二人に仲裁に入る美沙斗。



「まぁそんな訳で俺の知人が来る事になるが、問題はないか?かーさん」

「うーん、それは別にいいけどさ………」

「なんだ、何か問題でもあったか?」

「いや問題はなくてね」



そう言う桃子の声は固かった。







「その子って、女の子?」







『!!!!!!!!!(ビクッ!!!)』








高町家一同(桃子を除く女性のみ)の驚きに塗れた反応があった。




「正解だが、何で分かったんだ」

「ん〜(女の)カンかな?」



ほぉ、と呑気に感心する長男を他所に母親は、



(マズい、マズいわ!このままでは”桃子さん源氏計画”に支障が………!)



等と熟考していた。



(そんな………!せっかくおにーちゃん好みに育ってきているのに!)



妹は妹で、ナニやらヤヴァイことを考えているようだ。



(母さん!恭ちゃんの古い知り合いって誰!?)

(さ、さぁ?兄さんのせいで余り家に居なかったから恭也の付き合いは把握してないけど、知ってどうするんだい?)

(モチロン!この手で亡き者に………!)



かなり危険な事を考えている美由希。



(待つんだ美由希!)



そしてソレを止める美しい――――――



(美由希だけじゃ不安だ、私も行く!)



………………訂正、とち狂った母娘愛。



(ど、どないするおさる!?)

(どうするって、ヤるしかねえだろ!?)

(でもお師匠の知り合いやで?うちらで敵うんかいな)

(アホッ!敵わんのなら特攻するに決まっとるだろ!?)

(なるほど!で、どっちがそないするんや?)

(………………………………)

(………………………………)

((お前/あんたがやれ!))



高町家料理人二人、危険な思考の末、戦闘勃発。



















さてそんな渦中の中心である恭也だが自分の部屋へ戻って今リビングには居ない。



「………………………」



箪笥の置くにしまってある普段着とは違う服、仕事着に着替えながら恭也は思う。



「………………アレから十余年か」



この世に現界して、剣の一族と別れ、父を失ってから”人”となり十余年。

幽霊、HGS、崇り、夜の一族、生き残っていた剣の一族。

修行と称して弟子を付き合わせたが、中々良い経験になった。

しかも弟子の友人が霊技を継ぐ一族と知り合うとは思いもよらなかった。

更には何れは天狐になる可能性を秘めた妖弧、斯くも数奇なものか人の世。

こうまで奇怪な出会いが起これば仕組まれたとしか考えれん。



「………………矢張りアイツしか居まい」



こうまで世の流れを操るとは、本気で何なんだ、奴は。

そんな考えをしつつ、着替え終り、



「いや、コレは無いだろ………」



髪型を整えていたが、鶏のトサカの様な髪になってしまった。

アイツが言うには印象的な髪型にしろ、といわれたが。



「いったいどんな髪にしろというんだ………………」



自慢じゃないが自分の身を飾るなんてのはした試しがない。



「………………やはり、この髪しか思いつかんな」



仕事などに行く時の髪型になってしまった。

つまりは普段の髪型だ。

しかし、これ以外の髪型は思い浮かばないわけだから致し方あるまい。



「ふむ………かあさんや美由希達に聞いてみるか」



再びリビングに戻る恭也。



「かーさん」

「フフフフ………………あっ、きょうや?」



息子に呼ばれ意識を浮上させた桃子だが、自分を呼ぶ息子を見た瞬間また思考が停止した。

なんせ自分の息子が、しかも自分の事には気を配らないあの息子が、服飾を整えるなんてした事が無い息子が!



自分の為に服を整えてくれた来た!!(激しく違う)

そして桃子の脳内にある方程式が導き出される。

性欲をもてあます男→女の思いに気付く男→身だしなみを整える→思いを告げる→熱い夜を共に!



「恭也!私は何時でもおーけーよ?!」



その逞しい胸板に飛ぶこむ母親(桃子)。



「落ち着け」



スパーン!



(何時の間にか持っていた)スリッパで桃子に突っ込みを入れる恭也。



「う〜、恭也が遂に家庭内暴力を――――――」

「違う」



切り込む速さの様にまたしても突っ込む恭也、今度は得物を持たずに。



「まぁソレは兎も角として、どうしたのよ急にめかし込んで」

「ふむ、めかし込む、と言う言葉が返ってくるということはこの服飾に問題はないのか?」

「あんた………………自分容姿がどんなもんか、鏡見て考えた事有る?」

「ふむ、つくづく人相が悪いと痛感するな」

「ハァ………………………」

「む?どうした高町母」

「なんでもないわよ、あんたの朴念仁っぷりを再認識しただけよ」

「(いざとなったら襲うしかないわね)」

「むう、何か不適切な評言と危ない事を考えなかったか?」

「気のせいよ、それよりとっても似合ってるわ(このまま店ほっといて恭也とデートしたいくらいよ♪)」

「そうか、美由希達はどう思う?」

「とっても似合ってるよ、ね〜なのは?」

「うん、おにーちゃんとってもカッコいいです!」

「そうだね、若い頃の兄さんを思い出すよ」

「やっぱ師匠はカッコいいっす!」

「おさると同じ感想を言うのは癪ですが、ホンマ似合うてます」



家族からの次々と送られる賛辞の言葉。



「それで恭也さっきはそのまま流れたけど結局どうしてめかし込んだの?」

「ふむ、そうだな話しておこう、今から先程の電話の主を迎えに行くだけだ」

「え?明日とかじゃないの」

「いや家に来るのは明後日だ、今日合流してすることがあるからな」

「へ〜、じゃあ今日明日とどうするの?」

「そこらのホテルに泊まることにする、因みにやましい事は無いからな」

「………………分かったわ」

「それと美由希、お前に言わなければいけないことが有る」

「えっ、なに?」













「明後日の正午、継承の儀を執り行う」














「「………………………………え?」」
















静まりかえった高町家のリビングに美由希と美沙斗の声がむなしく響いた。



















to be continue




あとがき

やっしゃあああああああああああ!!!!!
直正「行き成りなんだ、鬱陶しい」
二作目出来たぜ!?
直正「そりゃ書いてるから出来るわな」
だってアレだぜ?最近かなり忙しくなってきたじゃん?
直正「まぁ、俺たちは受験シーズンと言う言葉に浸かるわけだからな」
ぜってぇ書く余裕なんて出来ねぇ。
直正「確かにそうだな、じゃあ休暇届みたく休みます、って言うのか?」
絶対に、NOW!
直正「一々ネタ入れて言わんでいいわ」
一度決めたのなら何としてでもやり抜いてみせる、初志貫徹の心意気よ!!
直正「無駄に熱いな」
ま、でも執筆速度はかなり下がるわけだ。
直正「確かにな、それに俺も顔出せなくなるかもな」
だな、お前は俺と違って大変だろ。
直正「馴れた」
馴れたって、お前………。
直正「気にするな、んじゃここらで終わらせるか」
だな、では、今回はこの辺で、次回また読んで下されば幸いです。またお会いしましょう、さようなら。





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