『An unexpected excuse』

   〜博麗霊夢編〜







「俺が、好きなのは…………」

氷の静寂、とでも言えば言いのだろうか。

校庭は恭也の言葉を待つだけで時が止まる程の静寂さを魅せた。

「俺が好きなのは………誰なんだろうな………」

「「「「「………へ?」」」」」

恭也の答えに一同は唖然とした。

「ええっと、恭ちゃん」

「なんだ」

「いや、だから好きな人はだれなのかな〜って」

「俺の好きな人か………」

恭也はまた考え込んだ。

(俺の好きな人………か)

そして恭也の脳裏には様々な女性の姿が浮かんだ。

(母さんは………母さんだし、美沙斗さんは………師匠としてだし)

(美由希は………バカ弟子だし、なのはは………妹だな)

(晶やレンは………………まぁいいだろ)

そうして恭也は今更ながら自分の身近にいる女性たちについて考えていた。

(………ん?)

そして恭也の脳裏にひっかかた女性がいた。

(だがあいつは………そう言うのではない気がするが、寧ろ茶飲み仲間?)

恭也は思いついた考えに苦笑した。

「恭也………?」

突然微笑んだ(様に見えた)恭也に忍が尋ねた。

その恭也の微笑みを見た女子生徒は顔を赤らめていたが。

「ん?どうした忍」

「えっ?ううん何でも無いよ、それより!ずばり、好きな人ってだれ?」

「ふむ、俺の好きな人は………」

「「「「「好きな人は?」」」」」

「………………さぁな」

「「「「「ってはあああああ!」」」」」

「そんな事より、忍」

「な、なに?」

「今日はいい日和だな………」

そう言いながら恭也は空を見上げた。

そこには青々とした空が広がっていた。

「え?え、えぇそう、ね」

忍はその言葉に同意を示すように空を見上げた。

「そう言うわけで忍、俺は帰る、後は頼んだぞ」

そう言い恭也は歩いていった。

「へ?ってえ?ええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

忍の絶叫は皆の心を代弁して声を上げた。









――――――博霊神社――――――






チャリンチャリン

パンッパンッ

「………………」

恭也は賽銭箱に賽銭を入れて二拍一礼を行った。

「………相変わらず此処に来て賽銭を入れてくれるのはあなただけよ、恭也」

本堂から巫女装束を纏った女性が出てきた。

「そうか?普通神社に来たなら神様にお願いするために賽銭を入れて拝む物だぞ、霊夢」

「そう言うのはあなただけよ恭也、此処に来る皆は暴れるか酒を飲むか宴会を開くかだけよ………」

霊夢と呼ばれた女性は疲れた表情を浮かべながら言った。

「それで、今日は何の用?」

「うむ、今日はよい日和だからな、一緒に茶でも飲もうかと思ってな」

「そうね………確かに良い日和ね………じゃあお茶を入れてくるわ」

「お茶請けなら持って来たぞ」

そう言って恭也はくる途中で買ってきた煎餅を袋から取り出した。

「そう、ならちょっとそこにかけて待ってて」

そう言い奥に戻って行った。












ズズズッホウッ

「静かね………」

ズズズッホウッ

バリッボリッ

「静かだな………」

そう言いながら恭也と霊夢はお茶を飲んでいた。

するとそこへ―――

「お〜い霊夢〜」

箒に乗って来た女性、霧雨魔理沙がやって来た。

「偶には静かにしなさいよ、魔理沙」

「久しぶりだな、魔理沙」

「おっ今日は恭也もいるのか丁度良いや」

魔理沙は二人の言葉をスルーした。

「挨拶位しなさいよ………で、用件は?」

「今日宴会の日だろ、忘れてないかって思ってな」

「………………あっ」

「さて、世話になったな霊夢、俺はこれで失礼する」

そう言って恭也はそそくさと帰って行く。

だが、そうは問屋がおろさなかった。

ガシッ

「待ちなさい、恭也あなたも宴会に出るのよ」

「い、いやだが帰らないと母さんたちが………」

「別に電話すればいいでしょう」

「う、うむぅ」

「それにあんたの事だから泊まってくるなり何なり言ってきたんでしょうが」

「ぬぅ」

「それにさっきいれたお茶結構値が張るのよ」

「ま、待て!今までそんな物請求しなかっただろ!?」

「じゃあ今請求するわ」

「ぐっ」

そんなやり取りをしていると―――

「霊夢〜用意できた〜」

「紫様、宴会の時間はまだですってば」

「藍様〜お腹すいた〜」

幻想郷の大妖、八雲紫。

その式神、八雲藍。

その式神の式神、橙。

「よ〜む〜お腹すいた〜」

「ま、待ってください幽々子様っ」

白玉楼の主、西行寺幽々子。

その護衛役兼剣術指南役兼庭師、魂魄妖夢。

「霊夢、御機嫌よう」

「霊夢〜久しぶり〜」

「お待ちくださいお嬢様方っ」

「久しぶりね霊夢」

「どうも〜おじゃましま〜す」

永遠に紅い幼き月、レミリア・スカーレット。

紅魔の館に潜みし悪魔の妹、フランドール・スカーレット。

紅の館にて魔に仕えし完全で瀟洒な従者、十六夜咲夜。

知識と日陰の少女、パチュリー・ノーレッジ。

華人小娘、紅美鈴。

「はやく宴会の準備しなさいよ」

七色の魔法を操るブクレシュティの人形師、アリス・マーガトロイド。

「お〜い宴会はまだか〜」

顕界から追われ幻想からも失われし古の力、伊吹萃香。

他にも来る幻想郷中の妖怪、妖精etcetc………。

「………………」

「ほら、もう皆来ちゃったんだから諦めなさい」

傍から見ても判るほど恭也は肩を落とした。

「あら、恭也じゃない久しぶりね」

「おっ恭也じゃないか、こりゃまた飲み比べが出来るな」

何時もより酒が楽しく飲めるのを喜んだのか萃香は嬉しそうに言った。

そう、恭也は何故かは知らないが人間なのに幻想郷の妖怪達と飲み比べが出来る程強いのだ。

が、その分酔うと物凄い事になる。

「ほら、いい加減気を直しなさい」

「くそっ、こうなったら今日は飲むぞーーーーーーーっ!」

「「「「「おぉーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」















そして翌日















「ガァッ!!」

恭也は頭を抑えて唸りだした。

「あ、頭が、痛い」

「当たり前よあんなにも飲むんだから、手伝わせようと思ったのに結局私一人で片付ける嵌めになったじゃない」

「グッ、す、すまん、グァッ」

「あ〜もう無理して喋らなくていいわよ、はいコレ」

「ッな、何だコレは………」

恭也は頭を抑えながら差し出された紙袋を見た。

「こんなことになるだろうと思って永琳に薬を調合して貰っておいたのよ」

「そ、そうかすまない」

「ほら、いいから飲みなさい楽になる筈だから」

そう言われ恭也は、湯のみに注がれていたお茶で薬を飲んだ。

「ふぅ、すまない感謝する」

「別に、気にしないで」

(………………)

「それで、今日も泊まっていくんでしょ」

「ん、まぁそうだな」

「なら今日の晩飯のおかず買いに行くわよ」

(こういうのも………)

「ん、どうしたの恭也?さっきから何か静かだけど何か考え事?」

「んまぁ、いや」

(そうだな………確かに………)

「いや、お前とこういう風に過ごすのもいいかもしれないかと思って、な」

「………………」

「あぁ、すまない気に障ったのならあやまる」

「ううん」

「?」

「私も、確かにいいかなって思うわ」

「………そうか」

「うん、さ、行きましょ」

「あぁ、そうだな」









そしてその日、下界では長年連れ添った風に見える仲の良い一組の男女の姿が見られたそうな。











<おわり>







あとがきと懺悔


どうも〜堕神刹那です。
まず言わしてもらいますが、長ッ!
まさか「恭也と霊夢っていいんじゃないか?」と言うノリだけで書いた物が此処まで来るとは………。
さすが巫女パワー!正直言って自分は巫女サンが好きです!邪な理由ではなく唯単に巫女サンが好きです!
そして霊夢好きです!そしてこの巫女サンが好きと言う気持ちは皆さんもお分かりになる筈です、いや為るに違いない!
では、今回はこの辺で、次回また読んで下されば幸いです。またお会いしましょう、さようなら。







何となく良い雰囲気。
美姫 「こういうのも良いわね」
うんうん。ほのぼのと言うか、何と言うか。
美姫 「投稿、本当にありがとうございます」
ありがとうございました〜。



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