『An unexpected excuse』

  〜上白沢慧音編〜



「俺が、好きなのは…………」



水を打ったかの様な静けさが波紋の様に伝わり、静寂が辺りを包む。

誰もが恭也の言葉を待っていた時――――――



「こらっ!お前達!」



一人の女性によって止められた。

その女性とは薄青色の髪に弁当箱の様な帽子(笑)を被っていた。



「上白沢先生………」

「慧音………」

「もう授業開始の鐘はなった筈だぞ」



そう言われ一同時計を見る。

そして、一同校舎へ駆け込む。

が、



「高町」

「はい?」



何故か呼び止められた。



「ちょっと手伝ってほしい事があるから残ってくれ」

「………分かりました」



何かやらかしたかと考えたが慧音の授業だけは寝て無いから何も問題はない、筈だ。



(じゃあ先に教室に戻ってるね)

(あぁ)



忍が立ち去り際に恭也の耳元でそう言った。















「………………それで、用事とは何でしょうか上白沢先生」



忍達と別れた後、慧音に資料室へつれてこられた恭也が訊ねた。



「今は誰も居ないし、二人っきりだから慧音でいいぞ、恭也」



そう言い慧音は学校では誰にも見せた事が無いような笑顔で恭也を見た。



「それじゃあ慧音、一体用事とは何だ」

「なに、お前達があそこで何をやっていたか聞きたくてな」

「………ふむ」



恭也は慧音にあそこに至るまでの経緯を話した。



「………ふむ、そこで恭也が誰と言おうとしたら」

「慧音が来たと言うわけだ」



恭也は慧音の言葉を引き継いで言った。



「………で、誰を―――」

「―――誰を言うつもりか、と言いたいんだろ」



またもや恭也は慧音の言葉を引き継いで言った。

引き継ぐというより中断させると言ったほうが正しいかもしれないが。

その事に少し怒ったのか慧音は頬をかわいらしく膨らました。

その様子を見ていた恭也が少し頬を緩めたのは読者の君と俺の秘密だ(何が)。



「まぁ、俺は慧音以外に眼をむける心算は無いから、な」

「恭也………」

「だから、慧音も俺だけを見ていてくれればいいさ」



そう言い恭也は慧音に近づき、顔を自分に向け、


唇を――――――、



――――――重ねた。
















       〜後日〜










ザワザワ

ザワザワ   ザワザワ

ザワザワ   ザワザワ   ザワザワ



「………何の騒ぎだ、赤星」



朝学校に来たら校庭に呼び出された恭也達生徒。



「あれ、お前知らなかったか?今日で上白沢先生学校を辞めて故郷に帰るらしいぞ」



恭也の傍らに居た数少ない恭也の男友達、赤星がそう答えた。



「そうか………」

(そうなるとかあさんに家を出ると言わなければな)



そう聞くや否やその先について考え出した恭也。

だが、傍から見れば慧音に行ってほしく無いと、考え込んでいる姿。

そしてそう見えた赤星は、



ニタァ



とワライナガラ、



「そうかそうか、愛しい上白沢先生が行かれるのが寂しいんだな」



その姿はまさしく海鳴の魔王とも言えるべき姿だった。

が、そんな赤星の脳裏に浮かぶ恭也の姿は合わさる事は無かった。



「そうだな、慧音が一人で行ってしまったら俺は、身が張り裂けるほどの寂しさを感じるだろうな」



と、臆面も無く言い切った。

その言葉に固まる赤星。

恭也はそんな赤星を置いて朝令台に上がっている慧音の元へと歩いていった。














「――――――では、私が居なくてもちゃんと勉学に励むように」





パチパチパチパチパチっ!!





そう言い慧音は別れの挨拶を済ました。

そしてそのまま退場しようとした慧音だが、



「上白沢先生ッ!」



後ろから上がる声に呼び止められた。

振り向いた先に居たのは、



「お前は確か………」

「三年G組の我坐螺綺 簾です!」



そこに居た男、我坐螺綺 簾は中々の美形で頭もそこそこ良く、冷静沈着で純粋な青年として結構有名である。

冷静沈着な彼は噂とはかけ離れた様で其処に立っていた。



「それで一体………………」

「上白沢先生!」



簾は慧音の言葉を遮り、



「僕と、僕とお付き合いください!」



辺りに静寂がともった。

何事かと思っていた聴衆は静まり返り。

止めに入るか考えていた教師を黙殺させて。

辺りに静寂がともった。



「わ、私と、か?」

「はい」



簾は頷いた。

一方、慧音と言えばかなり焦っていた。



「………………すまない」

「………」



だが、静かに断った。



「私に既に付き合っている男が居る」

「………ッ」

「勿論それを理由にお前の告白断るわけではないんだ」

「………」

「それを理由に断るのは失礼な行為だと私は思っている」



慧音はそこで一度言葉を句切り言った。



「私自身に特別な理由があるんだ、だからお前の思いは受け取れない、だから、すまない」



そう言い、慧音は頭を下げた。

そう、慧音は半分とは言え妖怪、半妖なのだ、当然寿命が違う為共に生きては往けないのだ。



「………………その方は、上白沢先生のお相手は、どうなんですか」

「………あいつは、私と同じだから、な」



あいつ、当然恭也のことである、は何故か人外の血を受け継いでいるのだ、恐らく母方の血か、もしくは不破の血かもしれない。



「………………だから、すまない」



そう言い慧音は再び頭を下げた。



「………いえ、ありがとう、ございました」



そう言い簾は上がってきた道のりを帰って行った。



こうして慧音の送迎会は幕を閉じた。






















「………………本当にいいのか?」



月明かりの下、慧音は恭也に再確認した。

其処にいた慧音は何時もの姿ではなく、二本の角にフサフサの尻尾を生やしていた。

それは月明かりの下なので幻想的に見えた。



「あぁ、何より俺がこんな姿ではあそこにはどのみち長くは居られなかったからな」



対する恭也はそう答えた。

だが、よく見れば恭也の姿も何時もとは違っていた。

一見何も変わって無いように見えるが、額に角を生やし、瞳が紅く染まっており、腕はどこか奇形じみた形に変わっていた。

そう、人外の血、鬼の血を恭也は継いでるのだった。



「あそこ(高町家)は俺が居なくとも、美由紀が護ってくれる、だから、今度はお前の傍でお前を護らせてくれ、これは俺の願いなんだ」



恭也の願い、思えばそれは初めての願いだろう。

高町家を護ってきたのは自分の願いと言うより、どこか他からの願い、そう、士郎の願いを継いで護ってきた様なものなのだ。



「………お前がそう言うなら別にもう言わないが」



慧音は目線を逸らしながら頬を染めて言った。                          照れているのだ。



「………………さて、じゃあそろそろ行くか」



そう言い恭也達は歪んでいる空間に向け歩き出した。



「先に入るぞ」



そう言い慧音は歪みに入って行った。



「………………………」



恭也は歪みに入る前にこれまで過ごしてきた事を思い出した。



「………………………」



一時の別れ、もしかしたら皆とはもう会えないかもしれない。

だが父なら、高町士郎なら同じ事をしていただろう。

自分は高町恭也で高町士郎の息子だ。

ならすることも同じだ。



「………みんな、行っています」



そう言い歪みに入って行った。


















それはある郷での終わらない夜の前の話だった。


















<おわり>









あとがき


WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!堕神刹那です。
直正「アシの直正です、て言うかその挨拶続けるつもりか?」
モチ、こんなとことかでテンション上げてかんと俺の作品は暗くなっていくことに気付いた。
直正「今更だな」
まぁなにはともあれ上白沢編!
直正「急な思いつきシリーズパート2だな」
コレの設定は永夜沙の前、と言う設定だな。
直正「そしてこれから恭也を交えて終わらない夜の幕開けってことだな」
うむ、この先恭也がどうなるか見物だが、残念ながらコレは短編、こっから先は考えてない。
直正「まぁ急に考えて書いた物だからな、ソレより恭也だが」
あぁ、鬼の設定ね。
直正「そうそう、何故に鬼?」
いやぁ、恭也達の一族の力とか以上だからコレ混じらせたりしたらいいかな、って。
それに霊夢編で萃香と酒を張り合うにはこの設定がいるし。
直正「じゃあ今回出たオリは?」
あ、あれもう出ないから。
直正「出ないのか?」
うむ、告らせてふれられると言う設定の為だけに創ったからな。
直正「なんとまぁ、だな」
うむ、では今回はこの辺で―――
直正「では、今回はこの辺で、次回また読んで下されば幸いです。またお会いしましょう、さようなら。」
それ俺の台詞!






真面目にあとがき
今回はありません、なので。
愚痴を言えばコレホントに慧音編か?
では、今回はこの辺で、次回また読んで下されば幸いです。またお会いしましょう、さようなら。          台詞取り返した!





人外の血を引く設定か。
美姫 「まあ、それがなくても恭也なら付いて行くと決めたら行きそうよね」
確かに。これまたちょっと変わった感じかな。
美姫 「旅立ちだものね」
うんうん。次は誰かな。



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