『An unexpected excuse』

   〜八雲一家編〜




「俺が、好きなのは…………」



皆息を呑み恭也の言葉を待つ。

永遠とも思える静寂、だがそれを破る者が居た。



「………こんなとこに居たんですか」



突如破られた静寂を破った者に誰もが視線を向ける。

其処に居たのは、道士服に身を包み、奇妙な帽子を被った女性だった。



「教室に居るかと思って行っても居なかったから探しましたよ?恭也」

「藍か、どうしたんだこんな所まで、と言うかこんな時間に」

「いえ、紫さまが何を考えたのか「恭也に会いに行きましょう」と言い出しそれに橙が賛同したため、私がこうして捜し歩きまわっていたのです」

「………何と言うか、突然だな」

「………いえ、もう、慣れましたから」



突然落ち込んだ藍と呼ばれた女性に同情する恭也。

そしてその親しさに疑問を浮かべた忍が尋ねてきた。



「ねぇ恭也、その人だれ?」

「あぁそう言えば紹介がまだだったな」



そう言い恭也は紹介していった。



「忍、こちらとある事情で知り合った八雲藍だ」

「はじめまして、八雲藍と言います」

「あ、どうも」

「藍、こちらはクラスメイトの月村忍だ」

「はじめまして」

「こちらこそ」



互いに自己紹介が終わったところで、



「それより恭也、此処で何をしていたんですか」

「あぁ。それは………………」



恭也が説明しようとすると――――――





「あら恭也、こんな所にいたの?」

「恭さま〜」





「「紫(さま)!!」」

「どうして此処に!?いえ、それよりも連れて来るから待っててくださいと言ったでしょう!」

「だって〜、藍ってば遅かったし〜、それに〜―――」



紫と呼ばれた女性は一旦言葉を区切り、妖艶に言った。



「―――恭也に、早く会いたかったし」



その言葉に頬を赤らめる恭也。

その姿を面白くなさそうに見る忍たち。

その科白に呆れている藍。



「橙、どうして止めてくれなかったんだ?」



ため息をつきながら藍は紫の傍らにいた少女、橙に尋ねた。



「私も恭さまに会いたかったから〜」



紫ち同じ言動をする橙。

その言動は少女がやると微笑ましいのだが、紫がやると男女問わず引き寄せて仕舞うものがあった。



「………はぁ〜〜」



紫と橙の言動にため息をつきながら肩を落とす藍。



「ため息をつくと幸せが逃げるわよ、藍」

「………誰のおかげだと思っているんですか」



更に肩を落とす様は思わず同情するほどの落胆振りだった。



「………大変だな」

「………いえ、本当に慣れましたから、それにこれは恭也にも関係する事ですよ?」

「「………………」」



二人は顔を見合わせ。



「「はぁ〜〜〜」」



先程より長いため息と共に肩を落とした。



「あら今度は恭也も?幸せが逃げるわよ」



………………

訂正する気もありません。







「あっ、そうだ」



今まで放置されていた忍が思い出したように声を上げた。



「恭也」

「なんだ」

「その人たちの紹介されてないんだけど」

「あぁ、そうだったな」



そう言い紹介するように忍たちの前に立った。



「さっきの話から判ると思うが、紫に橙だ」



忍たちに紹介するように言った。



「うん、それは判ったんだけど」



忍はそこで言葉を区切り尋ねた。



「その人たちとどういう関係なの?」

「紫達とか?」

「うん」

「紫達は………」



そう言って恭也は何か言い争っている紫達の傍へ寄った。



「「恭也?」」

「恭さま?」



「紫たちは―――」



そう言い恭也は―――



「俺の、大切な人たちだ」



―――紫達を抱きしめた。



「そっか………」



忍一人はなんだか納得したようだが。



「「「「えぇーーーーーーーーー!」」」」



その他の人たちはそれを良しとしなかった。


因みに件のの紫達だが、



「「「/////////////」」」



いきなり抱きしめられて顔を真っ赤にしていた。

彼女たちを知る者が見たら思わず舌を巻いたような光景だっただろう。








何か言いたげだったFC+αだったが、忍が気を聞かせてくれたのか皆を引き連れ退散して行った。



「恭也、先程なにやら話し合っていたようですが一体何だったんですか?」

「ん、あぁそれは………」



恭也は紫達が来るまでの経緯を話した。



「そうですか、しかし恭也、私達と一緒に居ると言う事は人をやめることですよ?本当にいいんですか?」



そう、紫達は人間ではない、一般に言う妖怪と呼ばれる存在なのだ。

その為人間と妖怪では寿命の差がありすぎるのだ。

なら傍に居るにはどうすればいいかというと人間をやめればいい。

が、人間をやめるなんていうのを簡単に出来るわけが無い。

つまりは別れなければいけない、しかし、紫達はそんな事にはなりたくない、なってほしくない。

恭也とは別れたくない、そんな願望が秘められた問いだった。

たとえ大妖と呼ばれようが恋すれば年齢は関係無く皆乙女、それ故の問い。

しかし、



「あぁ、どのみち人間のままならお前たちの傍には居られないし、何より力が足りないから護れないしな」



恭也は愛しい者のために身を擲ってまで護る男だ。

故に恭也は人をやめる決意を決めた。



「でも、家族はどうするんですか?」

「それも心配ない、かあさんに相談したら好きにするといいと言われたのでな」



恭也の脳裏には深刻な相談事を一言で片付けた母の姿が思い浮かぶ。



「それに皆は美沙斗さんや美由希が護ってくれる」



脳裏には優しい叔母といつもおっちょこちょいの義妹が浮かぶ。





「だから、俺はお前たちの傍に居る、これからも………ずっと………」










その後、ある郷に仲睦まじい家族が見られたとさ。






<おわり>







あとがき


直正「………なにこれ」
なにって、『An unexpected excuse〜八雲一家編〜』?
直正「そうじゃない!俺が言いたいのはどうしてこんな終わり方になっているかだ!しかも殆どの締めはほのぼのと終わらせやがって!」
しょおうがねぇだろう!俺の文才じゃこれが限界なんだよ!
直正「それだ!」
なにが?
直正「何で俺に言わず書いてたんだよ!しかも俺手伝ったのになんで今までのあとがきにすら出てねぇんだよ!?」
あ〜そりゃあ、まぁ、うん、今回出たからいいじゃん
直正「………………もう、いい」
さよか
直正「その代わりお前には死んで貰う!」

キュバッ!
奔る剣閃

おわ!なにすんだこの野郎!
直正「うるさい!黙れ!そして死ね!」

ブンッ!

なんの!

ガキン!

直正「止めるなバカ!」
止めにゃきゃ俺が死ぬわ!
直正「死ね!」
死ねるか!俺は氷瀬さんや他の作家みたいに不死身じゃねえんだよ!
直正「ほほぅ?」
なんだよ
直正「なら………美姫さん!私にコイツを倒す力を!」
げっ!?しゃれなんねえ事をいうんじゃねぇ!
直正「ふっふっふっ、あの人なら解ってくれる筈だ、お前みたいなのはどうすればいいか、な」
くっ!ならば氷瀬さん、あなたの不死身の力を私に!
直正「氷瀬さんに頼んでも最後ら辺は死ぬ事になるがな」
グハッ!し、しまった………
直正「では、今回はこの辺で、さよ〜なら〜」
俺はまだ死にたくないーーーーーー!



まじめにあとがき
今回のは滅茶苦茶だったり穴が色々あいてるでしょうが見逃してくれるとありがたいです。
スランプに浸かりながら自らを叱咤しながら書いた物ですので。
文中を見ると紫か藍か解らない場所が………orz
コレの出会う切っ掛けはスキマがまた悪戯して生まれて其処からの出会いです。
では、今回はこの辺で、次回また読んで下されば幸いです。またお会いしましょう、さようなら。



俺の特性は不死身だったのか。
美姫 「何を今更」
いやいや、自分の事は意外と分からないものだよ。
美姫 「はいはい、バカ言ってるんじゃないの」
…何故、殴る。
美姫 「いつもの事じゃない。挨拶みたいなものでしょう」
それもそうか。って、いやいや、可笑しいから、それ。
美姫 「ラストを見るとどうやらハッピーエンドみたいね」
ほのぼのとした感じで。
美姫 「次があるのなら、誰編になるのかしらね」
うーん、誰だろうな〜。
美姫 「それじゃあ、今回はこの辺で」
ではでは。



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