『リバース・ハート』

この作品は過去モノです。
ハッキリ言ってありえない設定ですので、
そういうのが容認できない方は読まないほうが無難です。




第一話



恭也は必死に考えていた。
何故こんな事になってしまったのか。
しかし、いくら考えても理由がわからない。
そして密かにこうなった事を喜んでる自分がいる事にも気がついていた。


前日、恭也は夜の鍛錬をいつも通りにこなし寝ていた。
しかし起きるとそこは見覚えの無い部屋、いや正確には非常に懐かしい部屋だった。
「ここは間違いなく御神宗家の屋敷だ」
そう呟きながら周囲の気配を探る。
どうやら部屋の外に2人いるようだ。
恭也は警戒しながらもある意味当然だと思っていた。

御神も不破も本来ならば外部の人間を易々と受け入れはしない。
むしろ今こうして生きている事事態が幸運とも思える。
恐らくは御神の当主としては非常に温厚な静馬さんのおかげだろう。

そう考えながらもやはり現実問題として考えることがあった。
まずここが御神の屋敷である事は疑いようが無い。
しかし、御神は滅んでいるはずである。
となれば理由は2つに絞られる。
1つ目は単に夢を見ている。
2つ目は非現実的で考えたくは無いがタイムスリップしたという事だ。
1つ目の理由ならば何かの衝撃を感じれば目が覚めるだろう。
普通ならばここで腕などをつねってみるのだろうが、
2つ目の理由が現実の場合外の監視役に気配を悟られて面倒な事になりかねない。
悩んだ結果普通に起きたふりをして監視役に緊張感を与えない事にした。


そうした結果現在応接間に通されていた。
そこにいた人達は、
御神の当代である御神静馬さん、その伴侶である美沙斗さん、
不破の当代の不破一臣さん、静馬さんの妹で一臣さんの婚約者の琴絵さん、
そして父さんの母であり俺の祖母にあたる不破美影さん。
もう絶対に会えないと思っていた人達にまた会えた。
思わず一筋だけ涙がこぼれてしまう。
それをここにいる全員が読み取ったのか場の雰囲気から緊迫感が薄れた。


「とりあえず名前を聞かせてもらおうかな」
俺が座ると同時に静馬が唐突に聞く。
そう言われて恭也は気持ちを引き締める。
これから恭也は非現実的な事をこの人達に納得してもらわなければならない。
それは並大抵の努力では成しえない事だ。
だからこそ、相手のペースで会話をされては困る。

「それに答える前に一つ聞いて良いですか?」
「構わないよ」
厳しさと優しさを含んだ表情で静馬が答える。
「まず俺はどうしてここにいるのでしょうか?」
流石にこの質問に全員表情が曇った。
しかし、静馬は間髪入れずに答える。
「君はこの屋敷の前で倒れていた。病院に運ぼうかとも思ったのだが、
怪我をしているふうでもなく、また衰弱している様子も無かったのでこちらで保護した」

倒れていたところを保護されたのか・・・恭也は考えながら答える。
「まず名前を名乗る前に皆さんにお願いがあります。
別に無茶なお願いではありません。これから話す事は非現実的な話になるので
途中で文句を言いたくなると思います。しかし、とりあえず最後まで聞いていただきたいのです」
また全員の表情が曇るが静馬は無言で頷いた。
それを見て恭也は話す決意を固めた。

「まず俺の名前は高町恭也と言います。旧姓は不破」
全員が驚愕の表情を浮かべる。
それも当然である。不破恭也という人物を知っているからだ。
しかも自分たちの知る不破恭也はまだまだ幼い子供である。
一臣さんが何か口をはさもうとするが静馬さんがそれを無言で制する。

「皆さんが驚かれるのも無理はないと思います。
皆さんの知る不破恭也はこの時期まだ子供のはずですから。
しかし、現実として俺は不破恭也本人です。
正確には未来の不破恭也ですが......」

この爆弾発言に皆呆然としている。
それはそうだろう恭也本人だって未だに信じる事ができないのだ。
未来から来ましたなんておいそれと信じる事などできるはずがないのだ。
しかし、恭也はここはあえて言葉を続ける。

「皆さんが驚くというか呆れるのも当然だと思います。
正直俺自身も信じられない気持ちで一杯ですから、
いきなりこんな事を言って信じてもらえるとも思っていません。
だから出来る限り証明しようと思います。
まず今日は琴絵さんの結婚式の何日前ですか?」

全員が驚いた顔をする。
琴絵を知っているだけでなく、結婚式の事まで知っている。
特に結婚式の事は敵の多い御神と不破だけに関係各位以外には漏らさないようされていた。
それだけにこれを知っている他所の人物は本来危険人物とみなされて当然である。
最悪の場合ここで斬られても文句は言えない状況である。
だが、静馬はアッサリと式の二日前だと答えてくれた。
そして、あからさまに不満な顔をする一臣を目で抑える。

その一方凄く安堵した表情を見せる恭也。
また涙がこぼれそうになるのを必死でこらえる。
そして今まで以上の決意を込めて語る。
「次に言う事は非常に大切な事です。
最悪俺の存在は否定されても構いませんが、この話だけは信じて欲しい。」

今まで以上に真剣な表情をする恭也。
全員がただただ真摯な姿勢を感じた。
不満顔だった一臣もその決意が伝わったのか真剣な表情に変わる。

「まず俺のいた世界では御神、不破ともにもう存在していません。
何故なら琴絵さんの結婚式の当日爆弾テロに遭い生き残ったのは4人だけだからです」

全員の表情がこわばる。
しかし、それを無視して恭也は続ける。

「生き残るのは放浪の旅の途中青森でお金を使い果たしここに戻れなかった
父の不破士郎と俺、そして当日娘の美由希が熱が高かった為病院で付き添っていた美沙斗さんだけです」

全員この発言に押し黙ってしまった。
当然である。自分たちだけでなく一族の殆どが死ぬといわれたのである。
これで平気な顔を出来る人間などいない。
だが恭也はまだ話を続ける。

「そのテロの後、美沙斗さんは復讐を誓い美由希を俺の父である不破士郎に預けて消息を絶ちました。
またその父も数年後テロで亡くなりました。
俺は父が残したノートなどを頼りに御神の技を習得し、美由希にも伝えました。
そして、俺のいた未来でつい最近ですが、美沙斗さんが騙されて俺たちと戦う事になりました。
美沙斗さんは強かったですが、なんとか俺と美由希で勝つことが出来、
騙されている事を教える事が出来ました。
その後は香港国際警防隊で働きながら休暇のときは美由希と仲良く暮らしています。」

一通り語り終わり息をつく恭也。
信じてもらえるかは正直怪しかったが語るべき部分は語った。
あとは信じるだけだった。

一方静馬たちも驚きを隠せなかった。
琴絵の結婚式を知っている事も驚かされたが、
それ以上にその後の話が衝撃的過ぎた。にわかには信じがたい話である。
だが、目の前にいる少年の目は真摯であり信じて欲しいという気持ちで溢れていた。
それに最初自分たちの顔を見た時に見せた表情とこぼれた涙。
その時は納得がいかなかったが、今の話と符合すると納得がいった。
突然会えなくなった人達に再会できた嬉しさだったのだろうと。

そして静馬が口を開く。
「君の目は嘘をつくような人物には見えない。
それに士郎義兄さんの面影も確かに感じる。
しかし、君の話は非現実的すぎる。
これから話し合いをするので返事は暫く待って欲しい。」

その言葉には敵意は無くただ誠実さを感じる恭也だった。
だから、わかりました。とすぐに答え監視役2人に連れられて部屋から素直に出たのだった。


残った5人は一同に溜息をついた。
当然といえば当然である。
今聞いた話はあまりに非現実的だった。
しかし、それを語った人間はいたって真面目であり、その瞳を見る限り嘘とは思えなかった。
また、確かに不破士郎の面影を感じさせていたのだ。
要するに頭では否定しているが、心では真実だろうと思えていたのだ。

暫く沈黙が続いたが、静馬が口を開く。
「非現実的な話だったが、彼の瞳を見ると嘘とも言い切れない。
みんなの意見を聞きたいのだが」

これに対し一臣も同意見だと頷いた。
それに対し女性陣はやや違っていた。
琴絵がそれを口にした。
「静馬兄さんと一臣さんの意見に基本的には同意ですけど、
付け加えるなら、小さい頃の恭也くんの世話を手伝っていた私から見て
恭也くんがあれくらいの年齢になったらと想像するとピッタリ一致します。
もちろん確証はないのですけどね」
この意見に美影と美沙斗も同意した。

語った琴絵の表情は慈愛に満ちていた。
そして心の中では恭也に同情を禁じえなかった。

もし自分が同じような状況に陥った場合果たして彼のようにまっすぐ生きていけるだろうか、と。
彼の生きた未来で生き残った美沙斗は復讐に走ったという。
恐らく自分も同じ道をたどったのではなかろうか。
更に恭也はその後父である士郎もテロで失っているという。
どれほどの強靭な精神を培ったのか......想像すら出来なかった。
そう考えると恭也のあの瞳に篭る意思を信じたかったし、
悲劇を再び繰り返させるわけにはいかなかった。

静馬も琴絵と似たような事を感じていた。
だが、当主としては主観的ではなく客観的に判断しなくてはいけない。
考え込む静馬は一臣に恭也の言うテロの可能性に関して意見を求めた。
それに対して一臣は、
「彼の言う事の是非を判断するには正直材料が少ない。
ただ、もし爆弾テロが本当の話であれば危険だ。
いかに我々が剣士として優秀でも爆弾にはかなわん。
俺たちを全滅させるには合理的といえば合理的な襲撃方法だな。
しかし、警備は万全であると自負しているから、正直信じ難い。
特に当日の警備は蟻一匹通さないくらいの気持ちで組んでいる。
となると、当日爆弾を持ち込まれる可能性は限りなく0に近い。
あり得るならば時限式の爆弾が警備が厳しくなる前にセットされていると見るべきだろう。
それも普段の警備も任されている不破の当主としては信じられないが。
確認する方法としては今から爆弾が仕掛けられていないか調べるしかないだろう。
あと士郎兄さんが本当に青森にいるのかも確かめられればほぼ信じてよいとは思う」

この意見に対し全員が頷き早速不破の爆弾処理エキスパートが呼び出される事となり、
一臣はその陣頭指揮をとる為、美影はサポートする為に席を離れた。

残った静馬と美沙斗、それに琴絵は恭也のいる客間へと足を運んだ。













<ミカミ道場>
弟子一号:なんか道場名と作品が違うけどいいのかな?
衛門:それは聞かないお約束。
弟子一号:了解であります!あと、そういえば師匠は?
衛門:呼ぶとうるさいし、弟子一号が十分可愛いので問題なし!
弟子一号:誉め殺しで誤魔化してる気がするけど、ここはのせられておいてあげる。
衛門:そうしてくれると助かる。
弟子一号:では本編の話になるけど、いきなり「過去モノ」なんてタブーを持ち出していいのかしら?
衛門:本当は違う話を作ってたんだけど、そっちがなんか筆が進まなくてね。
弟子一号:要するにノリで描いちゃったって事?
衛門:それこそタブーな話題だよ(滝汗)
弟子一号:それにしても硬い文章だね〜。
衛門:その辺は未熟者って自覚はあるんで勘弁して欲しいかな。
弟子一号:はいはい。でも、この後どうするの?普通に過去を変えてハッピーエンドなのかな?
衛門:詳しくは言えないけど、テロを防ぎました。そして無事戻る手段が見つかりました。では終わらせるつもりはないよ。
弟子一号:単に考えてないだけじゃないの?
衛門:ギクッ!
弟子一号:顔色悪いよ?
衛門:あはははははは......(話題を変えないと......)
弟子一号:じー。
衛門:とりあえずそれは置いておいて。
弟子一号:仕方ないわね。じゃぁ、質問を変えてあげる。
衛門:助かったけど、なんか更に瞳が怪しく光ってませんか?
弟子一号:そうかな?私は単にこの話のメインヒロイン知りたいだけなんだけど?
衛門:ギクッ!
弟子一号:ま・さ・か、ハーレムなんて考えてないでしょうね?
衛門:あっ、それはない。
弟子一号:いやにアッサリと答えたね。
衛門:いやだって、美沙斗さんは静馬さんラブだし、美影さんはお婆ちゃ......
ドスッ!
弟子一号;あ、額に飛針が刺さっている。大丈夫?
衛門:......。(ヘンジガナイタダノシカバネノヨウダ)
弟子一号:また作者が殺されちゃったので今日はここまで〜♪
そろそろ私がヒロインのSSも書いてね♪
衛門:......。(ヤッパリヘンジガナイ。タダノシカバネノヨウダ)





過去物だよ、美姫。
美姫 「本当だわ。一体、どんな風に過去が変わるのか楽しみね」
うんうん。過去物は嫌いじゃないし。
美姫 「子供の恭也と会ったりするのかしら」
うーん、でも、そうすると、よくあるタイムパラドックスとか…。
美姫 「その辺は気にしない、気にしない」
……えっと〜。
美姫 「まあまあ。それよりも、次回も楽しみにしてますね」
うんうん。それでは、また。
美姫 「次回を待ってます」



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