「えっ、これは?」

 

俺がバイクを走らせているとモニターに文字が表示された。

 

『目的地変更』

 

そして、地図が表示される。

 

「これは・・・・・・・。」

 

そこに表示されていたのは遠坂の家だった。

 

「どういうことだ?けど、目的地の変更が伝えられたって事は・・・・。」

 

少なくとも本郷さんは無事だという事だろう。なら、桜が無事な可能性も高い。

 

「よし!!」

 

俺は道を急いだ。

 

 

 

 

 

「ここか・・・・・。」

 

遠坂家、結界が張ってあるのがわかる。解析してみると、それは侵入者を阻む類のものだった

 

「後で謝って許してもらえるかな?」

 

無理な気がする・・・・。だが、今は躊躇っている場合ではない。そう思って、俺は強引に割って入ろうとした。

 

スッ

 

「あれ?」

 

結界は・・・・あっさりすり抜けられた。

 

(なんでだ?)

 

疑問に思うが、今は迷っている暇は無い。早く桜の所に行かないと、そう考え玄関の方に近づく。

 

「待っていたわ、衛宮君。」

 

と、そこで玄関が開いた。そこにいたのはこの屋敷の主。

 

「遠坂・・・・・。」

 

「入って、桜を救えるのは・・・・・あなただけだから。」

 

そう言って遠坂は俺を屋敷に招きいれた。

 

 

 

 

 

「桜!?」

 

招き入れられた部屋、そこに桜が横たわっていた。隣には本郷さんの姿も見える。そして、桜のその姿は、・・・・・まるで、死んでいるようにしか見えなかった。

 

「桜は・・・・生きてるんですか?」

 

震える声で尋ねる。それに答えたのは遠坂だった。

 

「死んでるわ。正確にいえば、仮死状態ね。」

 

「仮死状態・・・・・、どうして・・・・・・。」

 

桜は助からないのか?いや、遠坂は言った桜を助けるのは俺だけだと。つまり、まだ、助けようがあるという事だ。

 

「士郎君、今から桜の状態について説明する。だが、その前に確認する。彼女が今までどんな仕打ちを受けてきたか、どんな改造をされたのか、それを聞く覚悟が、そしてその上で彼女を受け入れる覚悟があるか?」

 

本郷さんが俺に問いかける。それはつまり、それほど凄惨だというのだろう。だが、答えなど既に決まっている。

 

「ああ、もちろんだ。」

 

「そうか、なら、話そう・・・・・・。」

 

「待って、私が話すわ。それは・・・・・私の責任よ。」

 

俺の答えに本郷さんが口を開こうとした時、遠坂が制止する。そして最初の一言を放った。

 

「桜は私の妹よ。」

 

 

 

 

 

 

そして、俺は聞かされた。

 

桜は元々遠坂の家の人間で養子として間桐に引き取られたこと。

 

桜が幼い頃から魔術の訓練として、拷問に近い諸行を受けてきたこと。

 

義兄である慎二に犯されてきたこと。

 

体中、そうでない所が無いほど蟲に寄生されていること。

 

特に心臓には桜の祖父臓硯の本体たる蟲が埋め込まれていること。

 

そして、聖杯の欠片が埋め込まれている事と、聖杯戦争が聖杯に6体の英霊を生贄にささげる事でその魔力を持って願いをかなえようとするものであること。

 

 

 

 

 

「本当の聖杯はイリヤスフィール、アインツベルンから送られてきたマスターの心臓。桜はその代用品として“作り変えられた”の。ただ、それだけの為にね。」

 

俺は唇をかみ締め、手を握り締める。切れて血がでるがそんな事は気にもならない。桜は今までそんな辛い目に会っていた。にも関わらず俺は気付きもできなかった。

 

「慎二が令呪を使いきった事で、臓硯はその後も奴に従い続けてる振りをしていた俺に不信感を抱いたらしい。だから、桜の身体を乗っ取ろうとした。それを防ぐ為に俺は彼女の心臓を取り出し、仮死状態にした。」

 

「心臓を!?」

 

俺は思わず叫ぶ。唇から血が噴出し、本郷さんに飛び散るが彼は気にせず話す。

 

「ああ、そして万が一の時の為に作っておいた人工心臓を受けこんだ。その上で仮死状態にし、彼女が蟲に支配されない状態にしたんだ。」

 

「それで、俺はどうすればいいんだ!?」

 

後悔は今は忘れる事にした。桜に対する償いも反省も“後”でしよう。その時が迎えられるならどのような裁きを受けてもかまわない。今は桜を救う為に全力をつくす。それが俺のすべき事だと気付いた。

 

「君の体の中の石。キングストーンを使って蟲だけを焼き殺すんだ。その後で、蟲に阻害された欠損部分を俺が作った人工臓器で補う。彼女から聞いた話だと魔術ならもっと精巧なものがつくれるらしいから、後で取り替えてもいい。それで彼女は助かる。」

 

「わかった。」

 

それは既にキャスターの時にもやった事だ。今の俺ならできる。そう考え、キングストーンの力を解放しようとした時だった。

 

「危ない!!」

 

意識を集中しようとした俺に対して、本郷さんが飛びついた。

 

「妄想心音(バーニヤ)」

 

そして、髑髏を付けた男が姿を現す。そしてその男から伸びた枯れ木のような細い腕に握られた心臓。それを握りつぶした瞬間、本郷さんは糸の切れた人形のようになり・・・・・消えた。

 

「悪いが、桜をいじってもらっては困るのお。それはわしの大事な“道具”じゃからの。」

 

そして現れる醜悪な老人。それを見て驚いた顔をする遠坂。

 

「そんな、結界に何の反応も。」

 

「ふぉふぉふぉ、青いのお、わし程になれば、あの程度の結界、簡単に超えられるわ。」

 

老人は笑い、そして姿を変えた。その姿は数日前に見た“ぬえ”にも似て、しかしそれよりも醜悪な“蛆”。

 

「さて、この新しい力溜めさせてもらおうかのう。遠坂の小娘はわしが殺す。アサシン、お前はあの小僧を抑えておけ。」

 

「アサシン!?それは佐々木小次郎の事じゃないのか!?」

 

驚きを示す俺に対し、嘲るようにわらう“蛆”。

 

「ふん、あんなものキャスターが呼び出した紛い物にすぎんわ。これこそが真の暗殺者、真アサシンよ。」

 

そして、“蛆”と真アサシンは俺達に対して攻撃態勢をとる。

 

「遠坂、」

 

「ええ、わかってるわ。」

 

そして、俺は遠坂と一言かわす。

 

「トレース・オン(変身)!!」

 

「アンファング!!」

 

俺が変身し、遠坂が桜を背に魔術を放つ。そして、戦いが始まった。

 

 


(後書き)

今回ちょっと文章量、少ないかな?

 

宝具

サイクロン・改

ランクB

補足説明:サイクロンを改造したものにさらにモニター(無線付きカーナビのようなもの)がついている。先代のマスターがそう取り決めれば、他人に継承する事ができる。最高時速500キロ。どんな地形条件ですら走れ、海底すら走れる(乗り手の息が続けば)。自動操縦もできる。体当たりすると結構な威力があるとかなり便利なアイテム。




本郷、倒れる!?
美姫 「姿を表したアサシンと臓硯」
この後、無事に桜を助ける事が出来るのだろうか。
美姫 「次回が気になる〜」
桜も気になる〜。
美姫 「次回を待ってますね」
お待ちしております!



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