それは、新たな力でした・・・
強大な力に対抗するため・・・
強い想いをその身に宿し、少女たちは駆け上がる・・・
新しい翼を羽ばたかせて・・・
リリカル戦記・・・始まります。
リリカル戦記リュウケンドー!!
第五話「鍵に宿る力」
翌日、剣二は目が覚めるとそこには誰もいなかった。
「あれ?皆は・・・」
剣二は寝かされていたソファーから起き上がると、リビングまで来た。すると、そこにはアルフがテレビを見ていた。
「あ、起きたんだ」
「うん。ごめんね、なんだか他人なのにここまでしてもらって」
「いいのいいの♪何せアタシを助けてくれた恩人なんだから」
「なら・・・いいんだけど」
アルフに促され、剣二は椅子に座った。すると、アルフが食べていたパンを分けてもらった。
「ほい。パンでもOK?」
「うん、大丈夫。そういえば、なのはちゃんやフェイトちゃんは?」
「あぁ。二人なら学校に行ったよ。何せ今日は、フェイトが初めて学校に行く日だからね」
そう言うと、アルフは剣二の食べっぷりを見始めるのだった(笑)。
その頃、ヴィータとザフィーラは違う世界でリンカーコアを集めていた。
「ち、図体はデカイくせに」
ヴィータはそう言いながら目の前の敵を見ていた。そこには、巨大な亀の怪物が、地面にひれ伏せていた。
「だが、無闇に管理局の人間などを狙うよりは効率がいい。量は少ないが、発見されにくいからな」
「わ〜ってるよ」
ヴィータは悪態をつきながらも、闇の書を持ってまた歩き出した。
「休まないのか?」
「私だって騎士だ。それに・・・はやてを助けるためなら、どんな苦境だって突き進んでやるさ」
「・・・そうだな」
二人がそう言って歩き出そうとすると、地面が隆起し始めた。そしてそこから、ワームのような怪物が這い出てきた。
「・・ったく、次から次へと・・・」
ヴィータは黙ってアイゼンのカートリッジをロードした。そしてそのまま、鉄球を取り出す。そして・・・
「邪魔すんじゃねぇよ!!」
怪物めがけて、シュバルベフリーゲンを叩き込むのだった・・・。
その頃、剣二は簡単なリハビリ代わりに、アルフと外で稽古をする事になった。
「けど、本当にいいのかい?」
「あ、はい。やっぱり多少は身体を馴染ませないと、狂っちゃいますから」
そう言って、拳を構える剣二。すると、フっと笑いながらアルフも応える。
「んじゃ、遠慮無しでいくよ!!」
アルフはそう言うと、大地を蹴って剣二めがけて拳を放った。それを剣二はギリギリで読むと、それを受け流して避けた。しかし、それを予測していたアルフの裏拳が剣二を襲う。
「やばっ!!」
剣二は腕を×字にクロスさせてそれを防ぐ。しかし威力をあまり低減できなかったため、地面に転がり込む。
「痛って〜。さすがアルフさん、突きから裏拳の連携は驚きました」
「そういう剣二こそ、アタシの突きを回避するって凄い事なのよ」
「俺がいた道場の師範の突き並みに速いっすよ(汗)。その所為で、人外級に避ける事には特化したつもりっス」
それを聞き、へぇ〜と感心するアルフ。
「んじゃ、もう1ラウンドお願いできますか?」
「いいのかい?」
「はい。なんだかこう・・・熱くなってきました」
「オッケー。ならトコトンだよ!!」
そう言い、アルフが全身から闘気を全開にして、蹴りを放つ。
「俺だって・・・負けませんよ!!」
アルフに答えるように、剣二も迫撃するのだった・・・。
ヴィータとザフィーラが魔力集めをしている頃、シグナムとシャマルは自室にて待機していた。待機といっても、シグナムはレヴァンティンの手入れ、シャマルはカートリッジに魔力を込める作業をしていた。
「すまんな。カートリッジの補充を任せきりで」
「補助が私の本業よ、気にしないで・・・それより・・・」
シャマルは一呼吸おくと、真剣な表情でシグナムに尋ねた。
「シグナム。あの剣士をどう思う?」
「剣士・・・テスタロッサの事か?」
「いえ、私に魔力弾を放った・・・あの蒼い戦士」
「・・・リュウケンドーか」
シャマルは「ええ・・・」と答えると、次のカートリッジを手に取る。
「正直、私は管理局の人間より、あの剣士が脅威に感じるわ。シグナムはどう思う?」
「私か?私は・・・正々堂々とした剣士だった故に、久々に気持ちが高ぶった・・・のが本音とも言えるな」
「あのリュウケンドー・・・先に倒しておくべきかしら」
「いや、アイツはあくまで戦いを止めるという理由だけで動いていた。おそらく、闇の書を破壊する・主を見つけ出すという事はしないだろう」
「シグナムがそう言うなら信じるけど・・・ともかく、はやてちゃんのためにも闇の書を完成させないと」
「そうだな・・・」
そう言うと、再びレヴァンティンの手入れをするシグナム。
「そうだ・・・なんとしても、主はやてを助けるために闇の書を完成させなければ・・・」
シグナムの悲壮な決意が、レヴァンティンを更に輝かせるのだった・・・。
「ありがとうございました〜」
アースラにて身体の状態を検査していたなのはは、医務室から出た。すると、それを待っていたようにフェイト・ユーノ・アルフの三人が走ってきた。
「なのは〜」
「あ、フェイトちゃん。ユーノ君にアルフさんも」
「検査結果は、どうだった?」
フェイトが尋ねると、なのははピースで応えた。
「うん♪完全回復♪」
「よかった・・・」
「レイジングハートとバルディッシュはどうだった?」
「こっちも、大丈夫だよ」
そう言って、フェイトはなのはにレイジングハートを渡した。
「よかったね、レイジングハート♪」
『私もです』
その間に、ユーノはエイミィにもう直着く事を連絡していた。すると、ユーノの表情が一変する。
「ええ!?また彼女たちが現れた!?」
それを聞き、表情が厳しくなるなのはとフェイト。
「・・・はい。・・・分かりました」
ユーノが念話を切ると、なのはが尋ねてきた。
「ユーノ君。またあの人たちが?」
「うん。君達にも助っ人として来て欲しいそうだけど・・・行ける?」
ユーノに尋ねられた二人は、互いに自分のデバイスを見つける。すると、その意思に応えるように、デバイス達も答えた。
『大丈夫ですマスター。前回のリベンジです』
『もう我々は、絶対に負けません』
デバイスが答えると、なのは達も頷くのだった・・・。
その頃海鳴市上空では、ヴィータとザフィーラが管理局局員によって囲まれていた。
「・・・囲まれたな」
「でも、チャラいよこいつ等。返り討ちだよ、アイゼン!!」
『任せろ』
ヴィータがそう言ってアイゼンを構えると、突如として囲んでいた局員たちがその場から退避したのだ。
「あれ、なんでコイツら?」
「上だ!!」
ザフィーラの言葉でヴィータが上を見た。そこには、S2Uを構えているクロノの姿があった。
「ツインスレイヤーバスター!!バーストファイヤ!!」
クロノの杖の先から、炎と氷の魔導砲が放たれた。それを見たザフィーラが、間一髪障壁を展開して、それを防ぐ。
「ザフィーラ!!」
「心配するな・・・これくらいで負けるなど、ベルカの守護獣の名が廃る」
「・・・上等じゃん」
余裕な状態を見て、次の手段を考えるクロノ。すると、突如エイミィから通信が入ってきた。
「局員配置完了だよ、クロノ君!!」
「了解だ!!」
「それから、現場に助っ人を送ったからね」
「助っ人?」
クロノが疑問に思い下を見ると、とあるビルの屋上に二つの影があった。そこには・・・。
「なのは!!フェイト!!」
そう、デバイスを握り締めたなのはとフェイトが立っていたのである。
「行くよ・・・レイジングハート」
『了解です、マスター』
「バルディッシュ」
『任せてください』
そして、なのはとフェイトはデバイスを掲げた。
「レイジングハート!!」
「バルディッシュ!!」
「セーーーーーーーーーット、アップ!!」
次の瞬間、なのはとフェイトは宙に浮かび上がった。そしてそのまま、レイジングハートからは桃色の光の龍が、バルディッシュからは金色の光の龍が出現し、なのはとフェイトの周りをグルグル回り始めた。
「な、何?」
「今までと・・・違う」
今までとは違うデバイスに困惑する二人に、エイミィから念話が入ってきた。
「二人とも、落ち着いて聞いてね。レイジングハートとバルディッシュには、新しくMADANシステムが積み込まれているの」
「MADAN・・・」
「システム・・・」
「そう。あのリュウケンドーが持つ【キーシステム】を自在に操る事が可能なの!!ただ、元々デバイスとして完成しているレイジングハートとバルディッシュに強引に積み込んだから、全身に甲冑を纏う事は出来ないの。でも、十分にそれなら戦えるはずだよ」
一息つくと、エイミィは言うのだった。
「呼んであげて!!その子たちの・・・・新しい名前を!!」
それを聞き、なのはとフェイトは自身のデバイスの新しい名を叫ぶ。
「レイジング・D(ドラゴン)・ハート!!」
「バルディッシュ・ウルフ!!」
すると、二人を強い光が包んだ。そして光が収まると、新たなるデバイスを握った。デバイスには鍵穴が存在し、なのはのデバイスには龍の紋章が、フェイトのデバイスには狼の紋章が埋め込まれていた。そして、なのはとフェイトには互いに手から肘まで、足から膝までが甲冑に覆われていた。なのはは白い篭手にピンクのライン。フェイトは黒い篭手に黄金のラインが入っていた。そして互いの右腰には、キーを納めているホルダーが存在した。
これが・・・魔弾砲士・魔弾斬士の誕生だった・・・。
あとがき
な:「私たちも」
フェ:「パワーアップ・・・しました」
剣:「へ〜!リュウケンドーみたいにホルダースタイルになってるんだ」
W:「デバイスをこういう形にしてみたいという本音が生んだ力だw」
R:『感謝します』
バ:『これで、マスターの期待に答えれる』
W:「うし、ほんじゃ敵を蹴散らしてこ〜い」
R・バ:『『了解』』
ア:「あれ、今回は派手な暴走ないんだ。んじゃ、アタシが次回予告しましょうか」
ア:「次回のリリカル戦記に向かって・・・ブレイク・インパクト!!」
おお! なのはたちのデバイスもパワーアップ。
美姫 「一体、どんな力を秘めているのかしら」
なのはとフェイトの新たなる力に、期待!
美姫 「次回も楽しみに待ってます」
ではでは。