それは、辛く悲しい戦いでした・・・

 

 

 

壊れた心と目覚めた闇・・・

 

 

 

少女が涙を流す時、龍は再び咆哮を上げる・・・

 

 

 

愛しき者を守るために・・・

 

 

 

リリカル戦記・・・始まります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リリカル戦記リュウケンドー!!

第十話「奇跡への一歩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院の屋上。そこには、強大な魔力を宿したはやてもとい闇の書が降臨していた。そのあまりにも強すぎる波動に、なのはやフェイトだけでなく守護騎士たちまで後ずさりをする羽目になっていた。

 

 

「あれが・・・・はやてちゃん?」

「はやて・・・」

 

 

なのはとフェイトが悲痛な面持ちで闇の書を見る中、守護騎士たちは倒れた剣二がリュウケンドーであった事・・・・そして力尽きた剣二を目の前にし、心が折れかけていた。しかし、なんとか将であるシグナムが心を持ち直し、闇の書を見据える。

 

 

「・・・シャマル」

「・・・なに?」

「お前は、剣二の体を回復させてみてくれ。私は・・・・・主を止める」

「け、けど!!」

 

 

シャマルが悲痛な面持ちでシグナムを見るが、シグナムの瞳には悲しみがこめられていた。どれだけ無理をしているのかが、シャマルには痛いほど分かった。

 

 

「シャマル、私たちなら大丈夫だ。とにかく、剣二を直してくれよ」

「・・・主は、我々が必ず助け出す」

 

 

シグナムの言葉に、ヴィータとザフィーラも続く。

 

 

「・・・分かったわ。皆、はやてちゃんを・・・・・お願い」

 

 

その言葉を聞き、シグナムたちは飛び上がるとそのまま闇の書の前に立った。

 

 

「闇の書よ、主はやてを解放してくれ」

「このままじゃ、はやてが本当に壊れちまうんだよ!!」

「頼む・・・・・主を・・・・助けてくれ」

 

 

三人が説得に入る中、闇の書は手を前に突き出した。そして、そのまま手に魔力を集中し始めた。

 

 

 

 

「主の愛しき者がいないこの世界・・・・・・・滅んでしまえばいい」

 

 

 

 

その言葉を放った瞬間、闇の書は膨大な魔力爆発を起こした。それにより、その衝撃波は守護騎士三人に襲い掛かる。

 

 

「「危ない!!」」

 

 

しかし、間一髪でなのはとフェイトが障壁を展開してそれを防いだ。しかし、あまりにも強い力のため、魔力消耗がかなりのものだった。

 

 

「大丈夫、シグナム!?」

「・・・ああ」

「大丈夫、ヴィータちゃん!?」

「だ、大丈夫に決まってるだろ!!」

「・・・感謝する」

 

 

なんとか体勢を立て直そうとするが次の瞬間、闇の書は血の如きダガーを展開させた。

 

 

 

「ブラッディー・・・・・・ダガー」

 

 

 

物凄いスピードで、ダガーが皆へと襲い掛かる。しかし・・・。

 

 

 

 

「ドラゴンシューター!シュート!!」

「アックス・・・・スラッシャー!!」

 

 

 

 

二人のコンビネーションアタックにより、ギリギリで全てを叩き落した。しかし、闇の書は両手を前に突き出すと、ミッドの魔方陣を展開した。そして、そこにピンク色と金色のエネルギーが収集されていく。

 

 

 

 

「あれって・・・・・・スターライトブレイカー!?」

「サンダースマッシャー・・・・・まずいよなのは!!それにシグナムたちも!!」

 

 

 

 

そう叫ぶな否や、フェイトはなのはを掴んでその場を離れはじめた。それを見たシグナムたちもまた、急いで離れ始める。

 

 

「どういう事だ?」

「なのはのスターライトブレイカーは、至近距離なら障壁で防いでも落とさせる。それに、サンダースマッシャーで障壁破壊をされたら、スターライトブレイカーを直撃する羽目になる!!」

「な!?あんな超高出力の砲撃魔法喰らったら、こっちがやべえじゃねえか!!」

「なるほど、距離を稼ぐ訳か」

 

 

そんな会話をしながら、なんとか距離を取る皆。しかし、バルディッシュの思わぬ報告を受けた。

 

 

『前方300ヤード先に、一般市民がいます』

「え?」

「ま、まずいよなのは」

「とりあえず、急いで避難させなきゃ!!」

 

 

なのはの言葉に頷き、フェイトは更にスピードを上げるのだった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、仮面の男たちが別のビルの屋上から闇の書の様子を見ていた。

 

 

「もう少し・・・・・耐えれるだろうか?」

「耐えてくれれば・・・・いいんだが・・・・・デュランダルは?」

「ここに」

 

 

そう言って、男が懐から一枚のカードを取り出したその瞬間、突如二人の体をバインドが覆った。二人が苦しみながら上空を見ると、そこには獣王【バスターウルフ】ビークルモードに乗ったリュウガンオーが落ちてきた。そして、屋上の黒く焦がしながら着地し、二人の前に立つ。

 

 

「ストラグルバインド・・・・・あまりに使いようがない拘束魔法だが・・・・こういう時だけは役に立つ・・・・・変身魔法を、強制的に解除するからね」

 

 

そう言って、リュウガンオーは剛龍銃を突きつけた。その瞬間、仮面の男たちの変身魔法が解け・・・・・・そこからリーゼアリア・リーゼロッテの二人が姿を見せた。

 

 

「ク、クロノ!!」

「こんな魔法・・・・教えてなかったわよ」

「一人でも精進しろ・・・・・・そう教えてくれたのは、君たちだろう・・・」

 

 

睨む二人を見ながら、リュウガンオーは仮面の奥で悲しみを覚えていた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこ、フェイトちゃん!?」

「多分、この辺りなんだけど・・・」

 

 

二人が低空飛行で探す中、前方に人影が二つ見えた。それを見た瞬間、見た方と見られた方のお互いが驚愕した。

 

 

 

 

「あ、アリサちゃん!?」

「すずか!?」

「な、なのは〜〜〜〜〜〜〜〜!?」

「ふぇ、フェイトちゃん!?」

 

 

 

 

そう、前方で歩いていたのはなのはとフェイトのクラスメイトであるアリサとすずかだったのだ。そして、更に後ろから追いついたシグナムたちを見て、更にアリサたちが驚く。しかし、そんなのとはおかまいなしに、サンダースマッシャーが放たれた。そして、更に連続でスターライトブレイカーが発射された。

 

 

「げ!?撃ちやがった!!」

「皆、障壁を!!」

 

 

なんとか、皆は二人を守る形で障壁を展開した。超絶的な破壊力のサンダースマッシャーが、皆の障壁にヒビを入れるが、なんとか抑え込んだ。それによりアリサとすずかが気絶する中、更に続いてスターライトブレイカーが迫ってきた。

 

 

「まずい!!このままじゃ防ぎきれない!!」

 

 

皆が絶望的な表情になる中、突如四つの影が彼女たちの前に飛び出し、スターライトブレイカーの直撃を受けた。皆が目を瞑って耐え抜く中、なんとか攻撃が収まった。

 

 

「なんで・・・・・・あ!!」

 

 

なのはは目の前の光景に、驚愕を浮かべた。なんと、そこにはリュウケンドーの獣王【ブレイブレオン】・【ファイヤーコング】・【アクアシャーク】・【サンダーイーグル】の4体が・・・・・・・・ボロボロになって倒れていたのだ。

 

 

「な、なんで!?」

「どうして・・・」

 

 

なのはとフェイトが急いで駆け寄るが、もう獣王たちの命の輝きは消えかけていた。そして、皆に一瞬微笑んだ瞬間、獣王たちの命の光が消えた。

 

 

 

 

 

 

「なんで・・・・・なんで皆・・・・・・いなくなっちゃうの!!」

 

 

 

 

 

 

なのはの悲しい叫びが、夜空へと響いた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん・・・・ん・・・・・・ここは?」

 

 

剣二はふと目を覚ました。すると、そこには何も無く、ただ白い光景が写っていた。

 

 

「ここ・・・・・どこだ?・・・もしかして俺・・・・・死んだのか・・・」

 

 

剣二がはぁっとため息をついた。その瞬間、突如ゴツンと剣二の頭に拳骨が叩き込まれた。

 

 

「いって!!誰だよ!!」

「何を勝手に死んでおる!!バカ息子が!!」

 

 

剣二はその声に聞き覚えがあり、すぐに振り返った。そこには、機嫌が非常に悪いと父親と、ため息をつく母親が立っていたのだ。

 

 

 

 

「父さん・・・・・・母さん?」

「父さん母さんじゃないわバカ野郎!!お前、はやて残してこっち来るつもりか!!」

「へ・・・・こっちって?」

「まだ、ここは命と死の境界線。貴方が今どう望むかで、未来は変わるわ」

「未来・・・・」

「剣二・・・・・・お前は、守りたい者がいるんだろう。お前には、それを守る力があるはずだ」

「けど・・・・・俺の相棒は・・・・・」

「心配しないで、彼は私が治してあげたわ」

 

 

 

 

そう言って、母はデバイス状態の撃龍剣を剣二に渡した。

 

 

「・・・撃龍剣」

『・・・・剣二』

「悪い・・・・・俺、正直心が折れそうになってたわ。けど、俺は何がなんでもはやてや・・・・・皆を救いたい!!ついてきて・・・・・・くれるか?」

『聞くまでもあるまい。私の相棒はただ一人、お前だけだ』

「・・・・・さんきゅ。・・・・・父さん、母さん、俺・・・・・まだ当分そっち逝けないと思う」

「おうおう。こっちから願い下げだ、はやてを幸せにするまではこっちくんな!!」

「剣二・・・・・皆を守ってあげて。それでこそ、貴方は私たちの息子よ」

「・・・・・ありがとう。んじゃ、行ってくる!!」

 

 

その決意と共に、剣二と撃龍剣が・・・・・・旅立つ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「闇の書さん!!どうして・・・・・どうしてこんな・・・・・・悲しい事をするの!!」

「こんな事しても、悲しい事しか起きないよ・・・」

 

 

二人は涙を流しながら、闇の書に問いかける。しかし、闇の書は動じる事なく、二人の言葉に答える。

 

 

「主の願いは・・・・・・ただの虚無。だから、私は全てを壊す。それが・・・我が主の願い」

「それは違う!!主はやての願いは、ただ平穏な生活だけだ!!」

「そうだ!!そんな破壊なんて、はやては望んでねえぞ!!」

 

 

シグナムとヴィータも叫ぶが、闇の書はただ涙を流し、右手を天に掲げた。そしてその瞬間、地面が砕け、大量の触手が出現しだした。そしてそれは、皆の体を縛り上げる。

 

 

「我が主の願いをかなえるのが・・・・魔導書である私の務め」

「いい加減にして・・・・・分からず屋!!」

 

 

すると、バリアジャケットを強制解除したフェイトがバルディッシュを構え飛び掛る。しかし次の瞬間、フェイトの体が光の粒子となって・・・・・・・・闇の書の中へ吸い込まれた。

 

 

 

 

 

 

「ふぇ・・・・・フェイトちゃん?・・・・・・フェイトちゃーーーーーーー!!

 

 

 

 

 

 

なのはの悲痛な叫びが、虚空に響き渡る。まだ・・・・・夜は明けない。

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

W:「絶望的じゃ状況が続き、戦いは悲劇を生むのだろうか?」

ア:「んなわけないわよ!!あいつならきっと」

ユ:「僕も、信じてみたい」

W::「さて、運命の鎖を引きちぎるのは誰だ!?」

リ:「あら、今日は私なのね。それじゃ、アルカンシェルはっ「それは駄目だーーーーーーー!!」」

 





うわー、ピンチの連続ですよ。
美姫 「いや、本当に」
この窮地を無事を脱出できるのか!?
手に汗握る展開。
美姫 「次回〜、次回〜」
次回も待っております。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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