初まりは秋。

 

どうしようもなく平凡な秋の一日。

 

夏が終わったばっかりでまだ残暑が残る以外は何も変化がない日

 

小田正、16歳 桜花高校1年A組 剣道部所属 出席番号2番 4人家族の長男 趣味は料理 成績は体育が優れてる他は至って普通(むしろ勉強の成績は悪い)

 

彼は高校生として日々の日常を謳歌する普通の高校生でしかなかった

 

しかし、彼の日常は突如その日変化する。

 

転校生という外的要因によって、強引に

 

 

 

 

新式日常 第1話「既式崩壊」

 

 

 

 

9月1日(水)

 

AM8:27

 

 

桜花高校1年A組教室

 

 

「うおおおーーーーーーーーーーーい、大変だぁあああああああああああ!」

 

うるせぇ・・・また二郎の馬鹿か、あいつは夏休みが終わったばっかだってのに元気だな・・・。

 

夏休みが終わり、教室中に倦怠感が広がってる中にいきなりテンション最高潮で突っ込んできた見るからに馬鹿そうなこの男

 

俺の悪友兼、自称桜花学園の情報屋 野口二郎

 

まぁ、自称であるとこからして想像できるように、掴んできた情報の9割以上はガセと判断して良いだろう。

 

「おい二郎、また何か情報か?ガセじゃないだろうな?」

 

クラスメイトの一員が(もう何回も騙されているので)怪訝そうに聞いた。

 

「ガセでなんかあるもんか!今回は俺の耳で確かめてきた新情報!なんと・・・!」

 

「なんと・・・?」

 

「このクラスに転校生が来るんだよ!」

 

「なんだと!」

 

その一言でクラスが少しざわつく。

 

「おい二郎、野郎か?女か?」

 

少しガラの悪い男が尋ねる

 

「女だ、しかも聞いて驚くな!その転校生というのが今をときめくスーパー歌手ッ!椿鈴音だ!」

 

今をときめくスーパー歌手っていつの言い方なんだよ

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

どうだ!と言わんばかりに言い放つ二郎に対し黙り込むクラスメイト達

 

「・・・あれれ?みんな「な、なんだってーーーーーーー!!」って言わないの?」

 

「・・って言われてもなぁ、二郎の情報だし、おまけに、椿鈴音ってところからしてガセの可能性が高い・・・」

 

「いや、今回は絶対に本当だって!この目で見たんだから!」

 

憮然と言い返す二郎

 

しかし、これまで何回も本当と言われたにも関わらずガセであった、ということが多かっただけに信じようとしないクラスメイト達

 

「・・・まぁ、本当ならもうホームルーム始まるからわかるんじゃない?」

 

「それもそうだな、もう先生来るから席に座ってようぜ」

 

多分ガセだろうな、という響きを言外に響かせつつ言う女子に同意しつつ、席に戻る男子

 

「え、え!?おい!本当なんだって!信じてくれよぉ!」

 

必死に訴える二郎

 

「あ、おい!正!親友のお前なら俺の情報が真実だって認めてくれるよな!」

 

目ざとく俺を見付けて突撃してきやがった・・・

 

関わりたくなかったのに。なんで俺はこいつの(悪友とは言え)友達をやってるんだろう?と心底疑問に思う

 

「ああそうだな、お前の情報はいつもいつもいつもいつもいつも真実ばっかりだもんな、俺はお前を信じるよ」

 

「・・・何で棒読みなのさ」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「二学期最初のホームルーム始めるぞー、席に着けー」

 

タイミング良く担任到来、不服そうな顔をしてた二郎も俺の後ろの自分の席に着く

 

とりあえず出席を取り、軽く咳払いをしたあと担任は切り出した

 

「もう二郎辺りがかぎつけてるかもしれんが、転校生を紹介する」

 

おおっ!とざわめく教室

 

ここまでは二郎の情報が本当だったか、今日は雨でも降るんだろうか?参ったな、傘なんか持ってきてないんだけどな

 

「では君、入ってきなさい」

 

担任の声と共に開く扉

 

お、女生徒か。ここも二郎の情報が当たっているとは今日は(以下略)

 

・・・・む?何故こんなに静まり返っているんだ?転校生でしかも女と来たのだから男が騒いでもおかしくないのだが

 

よく見ると男女問わず、皆「信じられない」という表情で女生徒を呆然と眺めている

 

何なんだ?

 

女生徒は教壇のとこまで歩き、おもむろに黒板に名前を書いた

 

「椿鈴音です、よろしくお願いします」

 

と言い、それからニコッと笑った

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

 

絶叫

 

いや、絶叫と言う表現すら追いつかないかも。

 

表現する言葉が見付からないほどの叫びだった

 

一体、俺の知らないところで何が・・・

 

当の女生徒はニコニコという笑みを崩さぬまま毅然と立っている

 

担任は「だろうな」という感じの表情をしている

 

後ろを向くと二郎は叫びに参加せず「どうだ、俺の情報の通りだろう?」というような満足気な表情をしている

 

とりあえず、担任は叫びが収まるのを待ち

 

「で、椿の席だが・・・」

 

と切り出した、周囲の男共は「俺の隣だ!いや、俺の隣だ!」と鼻息を荒くして既に戦闘を初めている

 

・・・何で男共が騒いでるのかは知らんが、関わらない方が良さそうだな

 

うむ、担任から目をそらしておこう

 

下手に俺の隣などにされて俺の日常が崩壊するのはたまらん

 

担任は一通り教室を眺めてから

 

「・・・小田の横で良いかな、おい小田、隣の空き教室から机と椅子を持ってきてやれ」

 

とのたもうた。

 

「へ?」

 

何故俺?無駄な争いを避けるために俺の隣だけは勘弁してもらおうと思ってたのに?

 

ああ、担任の言葉を聞いて男共が既に俺を敵視し始めている・・・だから嫌だったのに

 

「いや、そのですね先生。俺の平和のためにも・・・」

 

「わけのわからんことを言ってないで机と椅子を取ってきてやれ、お前は椿を立たせたままでいたいのか?」

 

「そうだ!早く机を持ってこい!椿ちゃんを立たせたままで置く気か!」

 

何故か男子が声を揃えて俺に言い放つ

 

引き受けても非難、拒否しようとしても非難

 

一体俺にどうしろってんだよ、畜生

 

俺は自分の平和が崩れたことを何となく自覚しつつ、机と椅子を取りに教室から出た・・・

      

      


あとがき

 

皆さん初めまして、きりしまと申す若輩者です

まず、この初SSをここまで読んでくださった方、ありがとうございます

無謀にも初で連載ものですが、いかがだったでしょうか?よろしければ感想などをお願いします

また、これからもよろしくお願い致します。

    

    


きりしまさん、投稿ありがとうございます。
美姫 「ございます〜」
さて、小田の日常はこれからどうなっていくのでしょうか。
美姫 「次回が気になりつつ…」
因みに、その次回は既に来ていたりする。
美姫 「ちょっと、それを先に言いなさいよ。って、全部で3話まで届いてるじゃない」
うむ。さて、それでは続きを読もう〜っと♪
美姫 「あ、私も読むってば」





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