このSSには京香が出てきます。

ついでオールエンド後のお話です(関係あるかは微妙)

何かしらの違和感等が出てくる可能性があります(ていうか大?)

以上の点をご理解の上でお読みいただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日がさんさんと照り続ける真夏の庭。

そこに全身真っ黒な男性が立っていた。

言わずもがなその男性とは恭也である。

休日の昼間、恭也はほとんどいつもといってもいい頻度で盆栽の手入れをしている。

だがこの日、恭也は盆栽の前に立つだけで何もしない。

いや、出来ないのだ。

なぜなら……

 

「ぼ、盆子! 盆松!! 盆太郎―――――!!!!」

 

手入れをすべき盆栽がすべて破壊されていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悲劇が生んだ悲劇

 

 

 

 

 

 

 

 

「は〜……お師匠の盆栽…えらいことになってますな〜」

 

「誰がやったんだろ?」

 

雄叫びのように盆栽の名前(ていうか名前をつけるのはどうなんだろう)を叫ぶ恭也の後ろで美由希とレンがそう言い合う。

叫び終えた恭也はかなり大げさだが泣きながら盆栽の残骸を集める。

 

「大げさだな〜、たかが盆栽じゃない」

 

そう言うのは自称恭也の双子の姉である京香。

ちなみに京香の言った言葉は高町家では禁句に近い言葉だった。

しかも状況が状況であるため最悪としか言いようがないだろう。

 

「たかが?」

 

「そ。 壊れたのならまた買って育てればいい話でしょ?」

 

恭也から立ち上るどす黒いオーラが見えないのか京香は手に持つお菓子(豆大福)を食べながらのたまう。

そのオーラにいち早く気づいた京香以外の面々は早々に家の中へと避難した。

他の面々がその場からいなくなったのにも気づかない京香の言葉はまだまだ続いた。

 

「そもそも若い男が昼間から盆栽弄りなんて、枯れてるったらないわね〜。 そんなもん弄るより、私みたいな綺麗なお姉さんと遊ぶとかあるでしょうに」

 

「そんなもん?」

 

オーラの密度はさらに濃くなった。

空気が歪んでもおかしくないような密度である。

そこまで来てやっとそれに気づいた京香は冷や汗を流し始める。

それでも手に持っているお菓子(ポテチ・・・・いったいどこから出してるんだろうか)を落とさないのはたいしたものだろう。

 

「あ、あれ? 美由希? レン? 晶?」

 

きょろきょろと顔を動かして探し始める。

だが、見つかるはずはないだろう。

 

「……俺の盆栽たちを愚弄した罪、その身で味わってもらおう」

 

「な、なんか物騒なこと言ってるように聞こえるのは京香ちゃんだけかな?」

 

「覚悟しろ」

 

「え〜と、その手に持ってる小太刀をしまってほしいかなって京香ちゃん思っちゃったりするわけなんだけど……」

 

ゆらりゆらりとまるで亡霊の如く京香に近寄っていく恭也。

逃げなければと本能が訴えるが射抜かれたように足が動かない。

そして……

 

「ひぎゃーーーーーー!!」

 

人とは思えぬ大絶叫が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

「それにしてもほんとに誰がやったんですかね」

 

「う〜ん、外部の人っていうのは考えにくいよね。 恭ちゃんや京ちゃん、私も家にいたけどそんな気配しなかったし」

 

晶と美由希は恭也の盆栽を破壊した犯人について考える。

近くに転がるボロ雑巾のような物体(京香)には触れないつもりようだ。

ちなみに制裁を加え終わった恭也は再び盆栽の残骸を集め始めていた。

 

「ということは〜、内部犯の可能性が高いっちゅうことですな〜」

 

「そうだね〜」

 

レンの言ったことに同意するようになのはが言う。

 

「「「「……」」」」

 

四人の間にしばしの沈黙が流れる。

 

「わ、わたしじゃないよ!」

 

「お、俺だってやってないぜ!」

 

「うちもそないなことしてないで」

 

「なのはもしてないよ〜」

 

美由希は先頭に次々と自らの潔白を証明するように言う。

そしてまたしばしの沈黙が流れる。

 

「「「「……」」」」

 

「誰かが嘘ついてるってことかな?」

 

「いや、他にも一人怪しい人がおるで」

 

「もしかして……フィアッセさん?」

 

美由希の言葉にレンは首を横に振る。

 

「じゃ〜、お母さん?」

 

なのはの言葉にも首を横に振る。

 

「じゃあ誰だってんだ?」

 

「わからんのか、おさる」

 

「んだと、亀!」

 

「二人とも〜!!」

 

「「う……」」

 

「喧嘩はいけません!」

 

「「はい……」」

 

「そ、それより、結局誰なの?」

 

「その人物は……」

 

なぜかもったいぶるレンにじれったさを感じながらも三人は続きを待つ。

そしてレンは言葉を続けるのではなく指をある方向に向けた。

その先にいたのは……

 

「「「京ちゃん(京香ちゃん、京香お姉ちゃん)!?」」」

 

京香だった。

ちなみに指を差された京香はさっきの恭也の制裁から復活していないため意識がない。

 

「で、でも、いくら普段がめちゃくちゃだからってあんなことするとは思えないんだけど……」

 

「俺もそう思うぞ。 確かに普段は破天荒な感じだけど……」

 

「なのはも、いくら京香お姉ちゃんでもあんなことはしないと思う」

 

京香を弁護しているような感じだが言っていることは何気にひどかった。

 

「でも、他には考えられへんで……桃子ちゃんたちがそんなことするとは思えへんし」

 

「そうだよな……」

 

そう考えると京香が一番怪しく思えてくる四人。

桃子やフィアッセの信用に比べてるとこういったことで京香の信用はまるでないようだ。

 

「それは……本当か?」

 

「「「「!?!!?!」」」」

 

いきなり聞こえた声に四人は驚く。

声を発したのは恭也だった。

もっとも気配を消していたわけではないので恭也がもし正気なら気配に気づかなかった美由希に制裁がいっただろう。

だが、今の恭也は正気であるわけもなくただ四人が言っていた言葉のみが恭也の頭の中にあった。

 

「そうなんだな……ふふ」

 

明らかに危ない笑みを浮かべながら気絶中の京香に近づき服の後ろ襟の部分を掴む。

そしてずるずると奥のほう、おそらくは自室のほうへと姿を消した。

後に残された四人はそれ光景をただ見ているしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

あの後、恭也の部屋からは奇妙な大絶叫が絶えることなく続いた。

ついで盆栽を破壊した真の犯人は意外にも自ら姿を現した。

さらにその人物とは意外にも……

 

「くぅ〜ん…」

 

久遠だった。

盆栽を破壊した経緯を聞くと、なのはもしくは恭也と遊ぶために高町家に訪れたのだがどちらもそのときにはいなかった。

まあそれもそのはず、恭也は盆栽関係の本の新刊を買いに行くために本屋に行っており、なのはに関しては運が悪いことに久遠に会いに行った際に入れ違いになってしまったのである。

その結果、いつもなら帰ってしまう久遠なのだがなぜかこの日は二人を待つことにし、一人で庭で遊んでいた。

そしてその際誤って盆栽の棚にぶつかり、さらに運が悪いことに連鎖的に盆栽がその振動で大半落ち、壊れてしまったのだ。

その盆栽を恭也がどれだけ大切にしていたか久遠にもよくわかっていたためそれを壊したとあっては恭也に嫌われると思いその場から逃げ出したのだ。

だが、嘘をついてばれたらもっと嫌われることを後になってから思い、謝りに高町家に舞い戻ってきたわけである。

 

「京香ちゃんも災難やな〜」

 

レンの言葉に三人も同意するように頷く。

だが助けにいくことはしないようだ。

これだけで京香の素行が見て取れる感じだろう。

 

 

 

 

こうして悲劇(恭也の)がさらなる悲劇(京香の)を生んだ一日だった。

 

 


あとがき

 

 

短編物は初めてだ〜。

【咲】 珍しいわね、あんたが短編物を書くなんて。

なんとなくネタが思いついてね。

【咲】 まあ、書くのはいいんだけど……。

ん?

【咲】 長編を先に終わらせろ!!

げばっ!!

【咲】 にしても短編でも京香の扱いは酷いわね。

ま、まあ……そういう…キャラだから……な。

【咲】 喋り方がおかしいわよ?

だ、誰の……せいだと…がく。

【咲】 お〜い……返事がない、ただの屍のようだ。

誰がじゃ!!

【咲】 ひゃ! いきなり蘇生すな!!

あべしっ!!

【咲】 じゃあ今回は短編物でした〜♪

ま、また書くかもしれないので……そのときは…見ていただけると、幸い…です……がく。




盆栽に名前をつける云々は兎も角。
美姫 「凄い名前よね」
いや、しかし久遠が犯人だったとは。
美姫 「予想してなかったわね」
うんうん。京香はまあ、災難だったというか、いつも通りだと言うか。
美姫 「日頃の行いよね」
お前がそういう事を言うか。
美姫 「なにが?」
いや、別に。
美姫 「ふーん。あ、初の短編ありがとうございます」
ございます。
美姫 「それじゃあ、この辺で〜」



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