ゲートを潜った一同は二ヴルヘイムに行ったときとは違い、ゲート内を一分と歩かずに学園へと戻ってきた。

こちらは時間的に朝を迎えて間もないのか、朝日が中庭を照らしている。

いつもなら当たり前の光景だが、先ほどまで光の差さない世界である二ヴルヘイムにいたためか一同にはそれがとても眩しく感じた。

 

「……」

 

朝日を眺めながら、恭也(善)は懐から黒い玉を取り出してそちらに視線を向ける。

それは真の闇と呼ばれていた恭也の最後の心の欠片、そしてヘルが最後に渡した形見とも言えるもの。

それを見つめる恭也(善)に玉はまるで何かを訴えるように黒く輝く。

 

「恭ちゃん……それは?」

 

恭也(善)の見つめている玉に気づいた美由希は何かと問う。

恭也(善)はその問いにすぐには返さず、しばらく玉を見つめ続けていた。

言葉を返してこない恭也(善)に美由希は首を傾げる。

そしてしばし経ち、恭也(善)は目を伏せて玉を懐に戻し口を開く。

 

「後で話す……」

 

そう一言だけ言って恭也(善)は泣きつつ先ほどのように抱きついてきたセリナの頭を一度だけ撫でる。

そして、行くぞ、と言って歩き出そうとするが、セリナが抱きついているため歩き出すことはできない。

ジャスティンに報告するだけだからそこまで急がなくてもいいが、心配をさせているのだから早いに越したことはない。

だから恭也(善)はもう一度だけ頭を撫でてセリナを抱っこするように抱き上げ歩き出す。

抱き上げられたセリナは恭也(善)の服をきゅっと握ってやはり泣き続け、歩き出す恭也(善)の横をミラが寄り添うように歩き出す。

三人が学園内に向かったのを見て美由希もついていこうとするが、自身にも抱きついている者―アーティがいることにそこで気づく。

いつものアーティならそこで離れるやらするのだが、今回に限っては離れることなく抱きつき泣き続けていた。

そんなアーティを引き剥がすわけにもいかず、かといってそのままでは置いていかれるため美由希が恭也(善)と同じくアーティを抱き上げる。

そして少しだけ離れてしまった恭也たちの駆け出して追いつき、そこからゆっくりと歩きへと変えて学園内へと入っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メンアットトライアングル!〜対なる心、継承せし二刀の剣〜

 

【第二部】最終話 そして永遠の誓いを胸に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園内に入っていった恭也たちはまっすぐに学園長室へと向かっていった。

一同が学園長室に辿り着きノックをして入ると、机に向かって書類の整理をしていたらしいジャスティンが書類を持った状態で数秒固まった。

その後、すぐに復活したジャスティンは珍しくわたわたと慌てた様子で室内から駆け出て行ってしまった。

おそらくはもう一人の重要な関係者であるフィリスを呼びに行ったのだろうが、自ら駆け出して呼びに行く辺りかなり混乱していることがわかる。

そんなジャスティンの慌てように恭也(善)やミラ、美由希は少しだけ苦笑して帰ってくるのを立ったまま待っていた。

その間、ジャスティンの部屋にいた小さな女の子が恭也(善)を不思議そうな顔で見ていることに気づき顔を向けると女の子はパタパタと駆け寄ってきた。

駆け寄ってきた女の子に恭也(善)は同じ目線にするようにしゃがみこんで小さく微笑みを浮かべ、抱きかかえるセリナを片手で支えるようにしてもう片方の手で女の子を優しく撫でる。

 

「お兄さん、誰?」

 

女の子は撫でられながらもやはり不思議のそうな顔のまま恭也(善)にそう尋ねてくる。

恭也(善)はそれに答えるように自身の名を名乗り、返すように女の子の名前を尋ねる。

 

「僕はね、静穂って言うの!」

 

女の子は恭也(善)が浮かべる笑顔に無邪気な笑顔を浮かべることで返しながら自身の名前を名乗る。

その名前を聞いた恭也(善)は表には出さないが、ふとその女の子―静穂が前に会った瑞穂に似てるなと感じる。

容姿もそうだが、一番は纏う空気がどことなく似ている部分があるのだ。

瑞穂はここまで無邪気な笑みを浮かべたりなどはしなかったからかなんでそう思ってしまうのか恭也(善)は内心不思議に思う。

その恭也(善)の内心を読み取ったのか、ミラは恭也(善)の横に移動して同じようにしゃがみこみ、少しだけ苦笑しながらその疑問に答える。

 

「静穂はライルと瑞穂の子供よ、恭也」

 

ミラの答えに恭也(善)は少しだけ驚いた顔をするが、少し考えてすぐに納得する。

二人がそういう関係になっていたことも、二人の間に子供が出来ていたことも、自分が長い年月の間いなかったのだからということで納得してしまう。

そしてそれだけの間、ミラに寂しい思いをさせてしまったということも思い出し申し訳なさそうな顔をするが、それを気にしないでというようにミラが肩を寄せてくる。

それに本当なら抱き寄せたい思いがあったが、片手はセリナを支えているし、もう片手は気持ち良さそうに撫でられる静穂を見ると退けることができず、ならせめてというようにしばらくそのままでいた。

そんな二人に後ろにいた美由希がアーティを撫でながら少しだけ苦笑していると、凄い勢いで駆け出て行ったジャスティンがフィリスを連れてまたも凄い勢いで部屋へと戻ってきた。

 

「お、お待たせ……しました…」

 

またも珍しく肩で息をするジャスティンやジャスティンと同じ様子のフィリスを見て、恭也(善)も、ミラも、美由希も、やはり苦笑を浮かべてしまう。

そんな苦笑を浮かべている三人にジャスティンとフィリスは息を整えながら不思議そうに首を傾げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人が息を整えたのを合図に、皆は各自ソファーに腰掛ける。

静穂は先ほどのことで恭也(善)に懐いてしまったのか恭也(善)とミラの間に挟まれるように座っていた。

それを見ると、マシになったとはいえ昔から無愛想で無表情であるはずなのに動物や子供に好かれるというのはここに来ても健在であるらしい。

ジャスティンやフィリスも静穂は結構懐きやすいことは知っているがここまで懐くのは珍しいと思い首を傾げるが、恭也(善)の人となりをなんとなく知っているからかすぐに納得してしまう。

ちなみに、静穂を間に挟むことで座る距離が開いてしまったことに若干不満そうにしていたのはミラ本人も気づくことはなかった。

そして、少しだけ静穂の出す和やかな雰囲気に暗くなりがちだった恭也たちを纏う空気が中和されつつ、恭也たちは二ヴルヘイムで起こったことを話し出した。

その後、およそ一時間近くかけて話は終わり、そのときのことが悲しみがぶり返したのか恭也(善)とミラは少しだけ暗い顔をし、アーティとセリナは再度泣き出してしまい、恭也たちが悲しそうだった理由がわからなかった美由希や話を聞くことでヘルのことを知ったジャスティンやフィリスも同じく暗い顔になった。

そんな皆の空気に感化されてしまったのか静穂も不安げな顔で恭也(善)を顔を見上げるが、恭也(善)は静穂を不安にさせまいとすぐにさっきのような微笑みを浮かべて頭を二、三度撫でて懐から先ほどの黒い玉を取り出す。

 

「それは…?」

 

「先ほどの話で言った、ヘルが最後に俺に渡したものです……」

 

「じゃあ、それが……」

 

ジャスティンの言葉をすべて聞く前に恭也(善)は、そうだ、というように頷く。

そして、今度はセリナを撫でてから、ついてきてください、と言って立ち上がる。

 

「どこに行くんですか?」

 

「中庭……ですね。 これを戻した際に何が起こるかわからないので、用心ということで」

 

そう言って恭也(善)は今度はセリナに加えて羨ましそうに見てくる静穂を苦笑しつつ抱き上げ、同じく立ち上がるミラと共に部屋を出て行った。

それに少し遅れながらも同じようにアーティを抱き上げて美由希もついていき、さらに続くようにジャスティンとフィリスも後を追っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中庭に着くと同時に、恭也(善)はセリナと静穂を下ろして少し皆から離れた位置に立つ。

それはもしものことが起こった際に、皆に被害が及ばないようにという配慮だ。

そして、恭也(善)が再度懐から玉を取り出して皆のほうを向くと、不思議そうな顔をする静穂を除いた一同は当然の如く不安そうな顔をしていた。

そんな不安そうな顔をする一同で、まだ少しだけ涙を浮かべたまま一同を代表するようにセリナが口を開く。

 

「お兄ちゃんは……いなくなったり、しないよね?」

 

「ああ」

 

「約束……だよ?」

 

「約束だ……俺はもう、皆の前からいなくなったりはしない」

 

涙を浮かべたまま不安そうな顔をしているセリナを安心させるように、恭也(善)は微笑みながらそう言う。

そして、恭也(善)は中にいるもう一人のほうに呼びかけ話し出す。

 

『お前とも、これでお別れだな…』

 

『元々一つだったものが戻るだけなのだから、厳密には違うがな。 だがまあ……別れ、になるな』

 

『皆に言っておくことはないか?』

 

『ないな。 そもそも消えるわけじゃないんだ……』

 

『そうだったな……では、いくぞ』

 

『ああ』

 

恭也(悪)の返事を合図に、恭也(善)は玉を胸に押し込むように当てる。

すると玉は恭也の体にゆっくりと消えていき、完全に埋め込まれたときに恭也の体が眩しいほどの光を放つ。

その光に目を開けていられず誰もが光を遮るように目を閉じる。

そして、しばし放ち続けていた光が収まったと同時に皆が目をゆっくり開けると、その視線の先にあった光景に驚愕を浮かべて固まってしまう。

 

「「ん、んん……」」

 

片手で頭を抑えながら唸り軽く首を振る二人の男性の姿。

それはどちらも高町恭也という人物と見て取れるくらい瓜二つな声と容姿。

まるで恭也が分裂してしまったかのような光景だった。

そして皆が呆然とする中、二人の恭也は今気づいたかのように互いを見合う。

それから数秒、二人は同時に口を開いた。

 

「「俺……?」」

 

そう呟いて二人は同じように首を傾げ、そして右手をさっと上げる。

そして右手を下げて今度は左手と思わせてまたも右手を同時に上げる。

 

「「なんだ、鏡か…」」

 

お約束なことをしているあたり、二人もかなり混乱している様子であった。

そんな二人の様子を見て、呆然としていた皆は不謹慎と思いながらも堪え切れきれずおかしいといった笑みを浮かべてしまう。

その後、皆の笑いが収まるまでおよそ十分は掛かったそうな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆が笑いを収めてから、なんでこうなってしまったのかを皆で考える。

しばらく考えた末に行き着いた結論は二つ、一つは真の闇たる恭也の心の欠片が恭也の肉体に戻した際に何らかの影響を及ぼしたのではということ。

そしてもう一つは、二人の心が完全に独立した思考や意思を持ってしまっているためということだ。

だが、結論には至ったがそれらが正しいのかはいくら考えても分かることはなかった。

そしてそんなことがあってから数日、アーティやセリナがある程度立ち直り、事件に関する消えることのない悲しみが皆の中で少しだけ和らいでいった頃、突然恭也と美由希が元の世界に一旦帰ると言い出した。

それはセリナに聞いた話、恭也たちの元いた世界と今いる世界では時間の流れがかなり異なり、こちらに着てから数年という年月が経っているが元の世界ではその四分の一程度の時間しか経ってはいないというのが理由に含まれている。

それでも二、三年という年月の間、突然いなくなった二人に家族がどういった状況になっているかの予想がつき、心配をかけまいと考え一度戻るということに至ったということである。

だが、恭也は一度戻るだけで帰ってくるというが美由希に関してはもうこちらに帰ってくることはないということを聞き、アーティがかなり反対した。

これ以上大好きな人と離ればなれになるのはいやだ、これからもずっと共にいたい、そう涙を流しながら感情を剥き出しにして言った。

そんなアーティを見て美由希自身も別れたくないと思ったが、愛する人といるためにこちらに戻る恭也の代わりに家族を守らないといけないという思いが強かったため、アーティをなんとか宥めながら説得した。

宥める際に一番利いた説得の言葉、戻っては来れないけど会いたいときにはいつでも会える、という一言でアーティは美由希の思いを受け入れた。

実際に、世界を跨ぐ空間転移はかなりの魔力を消費してしまうのだが、魔剣であるアーティやセリナには主を選び呼ぶためということで単独でも行使は可能だし今は神器であるスレイプニルもあるため、会おうと思えば会うことは出来るのだ。

だからいつも傍にいられるわけではけど、最後の別れというわけではないということでアーティは最後には精一杯の笑顔で頷いた。

そして説得から二日が経ち、皆の見送りの中で恭也と美由希は神器所有者のセリナと共に元の世界へと戻っていった。

 

「ずっと待ってる……だから早く戻ってきてね、恭也」

 

「ああ…」

 

別れる際に短く、そうミラと言葉を交わして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恭也と美由希が元の世界に戻ってから早一ヶ月が経った。

前の数年という時間を考えれば短い時間ではあるが、ミラはどこかそれを長く感じていた。

そして、いつ帰ってくるのかな、と思いながら部屋の机に頬杖をついて何度目かの溜め息をついていた。

 

「いつ帰ってくるのかしら……」

 

「何度もいうが、しらん……それよりも、毎日毎日俺のところに来るのを即刻やめろ」

 

「いいじゃない。 裂夜、暇そうなんだから」

 

「よくない……」

 

そう言って裂夜と呼ばれた完全に独立した存在であるもう一人の恭也は溜め息をつく。

分かれた当初、どちらも恭也であるために呼びにくいということからどっちかを恭也と呼びどっちかに別の名をつけるという話があがった。

そして、全員の満場一致で善と言われていたほうを恭也と呼ぶことになり、悪と呼ばれていたほうを恭也が考えた名前である裂夜と呼ぶことになったということである。

 

「だいたいこんな朝っぱらから……お前も講義があるんじゃないのか」

 

「寝ぼすけなあなたは気づいてないかもしれないから言うけど……もう講義終わってるわよ」

 

「な……」

 

「ついで言うと、ジャスティンが怒ってたわよ? またも戦闘術の講義すっぽかしたって」

 

それを聞いて裂夜の顔は青褪めていく。

元々美由希が請け負っていた戦闘術の講義を恭也に公認として任せようという話が上がっていたのだが、その恭也も美由希と共に一度元の世界に戻っているため今は戦闘術の講義をするものがいない状況。

故に恭也と均衡した実力のある裂夜にその間は任せようということになったのだが、この一ヶ月の間で裂夜は両手では数えれないほど、授業を寝坊という形で駄目にしている。

そのたびにジャスティンによって小言を言われ続け、最近では少し萎えてきてしまい逃走を図ることもしばしばあった。

だが、それを逃がさないというようにミラが魔法で気絶させて紐でボンレスハムといった具合に縛って連れて行くため逃走はことごとく失敗している。

そのため裂夜が青褪めているのはジャスティンの小言に関してもあるが、半分以上はミラが関係しているとも言える。

 

「あとジャスティンからの伝言だけど、逃げたら説教を二倍に増やします、だそうよ」

 

「く……」

 

それを聞いても尚、裂夜は逃走を図ろうとし一瞬にして放たれたミラの雷撃で気絶する。

そしてどこに仕舞ってあったのか紐を取り出して裂夜をいつものようにぐるぐる巻きにし紐の端を持って引きずるように部屋を出て行った。

裂夜を引きずって学園長室に行く際に生徒たちと擦れ違ったりするが、ミラに挨拶をするだけで裂夜のことは見てみぬ振りをする。

最近ではいつもの光景になりつつあるため、生徒たちの間でも見慣れた光景になってしまったのだろう。

 

「あ……そういえば、講義室に明日使う教材を置き忘れてたわね」

 

そう呟いて裂夜を引きずりながら黒魔法の講義室へと歩いていく。

その際に曲がり角やらでたまにゴンと裂夜の頭がぶつかったりするがまるで気にした風もなく歩き続ける。

そして講義室に行く際に通りかかった中庭でミラはふと足を止める。

 

「魔力……?」

 

中庭で感じた少し強めの魔力反応。

それは誰かがゲートを開きこの学園に侵入しようとしているということだった。

その反応にミラはよからぬことを考える者かと考えるが、もしかしてという考えも同時に浮かぶ。

 

「ミラ様!」

 

二つの可能性を思い浮かべていると、後ろから声が掛かる。

それは同じく魔力反応を感じて駆けつけたアーティだった。

本来ならこのくらいの魔力は近場にいないと感じることはできないもの。

だが、アーティは遠くからでも感じることができたのはある種のゲートで放出される魔力に敏感だから。

それを考えると、ミラはもしかしてと思った考えのほうに思いが傾く。

 

「ミラ様も……魔力を感じて?」

 

「ええ……でも、アーティが感じたってことはやっぱり」

 

「はい。 この魔力は大掛かりなゲートを開く際に放出されるもの……つまり異世界からの空間転移です」

 

ミラの思いはアーティのその言葉で確信する。

異世界からの転移による魔力反応、それが表すことはミラの想い人が帰ってくる合図。

 

「来ます…」

 

アーティの言葉と同時に二人の目の前にゲートが開かれる。

そして、ゲートからゆっくりと二人の人物が姿を現した。

 

「到着っと」

 

ゲートから現れた二人のうちの一人、セリナはそう言ってゲートからぴょんと飛び出る。

そしてその横にいるもう一人の人物は、ゲートを出ると同時に目の前にいるミラの姿に若干の驚きを浮かべる。

だがそれも数秒、すぐに微笑みを浮かべてミラの傍により優しく抱きしめて囁くように口を開く。

 

「ただいま……ミラ」

 

その言葉に、ミラはたくさん言いたいことがあったことも忘れて抱き返す。

そして、同じく囁くようにその言葉に返す。

 

「お帰り…恭也」

 

そうして二人は互いの温もりを感じるように、いつまでも抱きしめ合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな二人の後ろでは……

 

「あんた……何してんの? 新しい趣味にでも目覚めた?」

 

「んなわけあるか!!」

 

ボンレスハム状態の裂夜とそれの前に近寄りしゃがむセリナがそんな会話をしているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エピローグ

 

 

 

 

恭也が学園に帰ってから一年が経ち、完全に活気を取り戻した学園には穏やかな時が流れる。

恭也とミラはあの後すぐに結婚し、仕事で忙しいながらも空いた時間には夫婦としてとても仲良く過ごしている。

そして裂夜は、そんな二人の纏う甘い空気にうんざりしながらも飽きもせずに毎日といっていい頻度でセリナと喧嘩を繰り返している。

最近ではミラの代わりというようにアーティがそれを止めることが多いが、手に負えない場合はこの道の師匠であるミラに頼むこともしばしば。

まあそんなこともあり、騒がしいながらも平穏な毎日が流れる。

そして二人の結婚から更に一年、二人の子供が二人の間に生まれた。

男の子と女の子という双子の子供の誕生には、恭也やミラだけでなく学園のほとんどのものが騒ぎになるほど喜んだ。

そして今、男の子を恭也が、女の子をミラが抱き、肩を寄せ合って二人は微笑んでいる。

 

「今、幸せか……ミラ?」

 

「ええ……とっても」

 

小さく微笑み合って、恭也は子供の寝顔を覗き込む。

そして、優しく語り掛けるように口を開く。

 

「お前たちは何になりたい? 俺みたいな剣士か? それともミラのような立派な魔術師か?」

 

「なんにでもならせてあげるわ……私たちが、きっと」

 

眠る子供たちに二人は優しく語りかけ、そして恭也とミラは再度微笑み合う。

そして、二人はそれが誓いというように言葉を同時に紡いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「愛してる……ミラ(恭也)」」

 

 


あとがき

 

 

はい、今回最終話ということで今回のあとがきは!!

【咲&葉那】 少し長めでお送りしま〜す!!

さて、やっとのことでメンアットトライアングルが完結したわけですが……。

【葉那】 ですが?

な、なんと、このお話はまだ続きます!!

【咲】 ふ〜ん。

いや、もうちょっといいリアクションをしてほしいな……。

【咲】 だって前回のことでだいたい予想がついてたしね〜。

【葉那】 ね〜。

まあ、確かにそうか。

【咲】 で、前回増やした伏線はこれが理由ってわけ?

そういうこと。 それに分かりやすく残した伏線がそれってだけでまだあったりするんだよね。

【葉那】 例えば?

えっと、外伝でも本編でもいろいろと語られた五つの魔剣、それが作られた経緯とか。

【咲】 他には?

前回の話で事件が終結したけど、決戦に使われた魔剣たちはどうなったのかとかかな。 まあまだいろいろあるけど全部言ってたら長くなるからこれに関してはここまで。

【葉那】 でもそれって今回で回収しきれないから続編出すってことじゃないの?

いや、それは違うな。 もともとこれはメンアットワーク3のシナリオを主軸にしたお話だったから4に続けようというのは前から考えてた。

【咲】 ああ、それで一部で瑞穂エンドにしたわけね。

そういうこと。

【葉那】 瑞穂エンドといえば、今回初めて静穂が出たね〜。

【咲】 最終話で出すって言うのもどうかと思うけどね。

あ、あはははは、それはしょうがないってことで…。

【咲&葉那】 はぁ……。

と、とにかく、続編の執筆はすでに始めているのですよ。

【咲】 珍しく早いわね。 熱でもあるの?

失礼な……。

【葉那】 ていうか、続編も主人公は恭也なの?

う〜ん、まあそうだけど……続編は主人公が四人くらいいるかな。

【咲】 多いわね。

確かにな、俺もそう思う。 そしてその分、続編はこっちより長くなる。

【葉那】 四人の視点だもんね〜。

そうそう。 ということで、次回のタイトルをとりあえずここで。

【咲】 何?

『メンアットトライアングル!2〜永久に語り継がれし戦士たち〜』だ。

【咲&葉那】 うわ〜、安直〜。

うっさい……ということで最終話をご覧になった皆様、引き続き続編も見てくだされば感謝の極みですので。

【咲&葉那】 続編もよろしくね〜♪

さて、今回はこのへげばっ!!

【咲】 な〜に言ってるかな……まだやることあるでしょ。

【葉那】 そうそう。じゃ、即刻連行〜♪

いやや〜!! 実験はいやや〜!!!

 

(しばらくお待ちください)

 

【咲】 咲と!

【葉那】 葉那の!

【咲&葉那】 おもしろ実験コーナー!!

【咲】 はい、久しぶりに始まりましたお馴染みの実験コーナー。

【葉那】 今回の実験体はおなじみのこの人です!!

あははは、どうも〜、T.Sです!!

【咲】 遂に脳がイカれたのかしら?

失礼な……開き直ってるだけだ。

【葉那】 開き直ったところで状況は変わらないけどね〜。

言うな……鬱になるから。

【咲】 と、話を戻して、今回の実験品はこちらです!!(隅に置かれていた椅子を持ってくる

【葉那】 今日は薬とかじゃないんだ?

【咲】 ええ。 毎回薬関係じゃ飽きてくるからね。

飽きたならやめろよ、いいかげん。

【咲】 (無視)で、今回のこれは一見するとただの椅子だけど……

【葉那】 だけど?

【咲】 なんと! これに座った執筆者の手が止まるとセンサーが反応して電撃が流れるというある意味の拷問椅子なのよ!!

【葉那】 わ〜、すご〜い!

すごくねえ!! そんなもの人を痛めつける道具以外の何者でもないだろ!!

【咲】 (またも無視)じゃ、早速実験開始よ〜。

【葉那】 は〜い♪(にこやかに笑いながらT.Sを磔状態から剥がして椅子に座らせ紐で縛り付ける

や、やめろーー!!! はなせーーーー!!!!

【咲】 じゃ、スイッチオン♪

やめ! あば、あばばばばばばばばば!!!!!

【葉那】 う〜ん、執筆してないからちゃんと動いてるのかわかんないね。

【咲】 拷問椅子としては優秀そうだけどね。

【葉那】 そうだね〜♪(スイッチオンのまま放置状態でカーテンクローズ

【咲】 じゃ、今回の品物もいつも通りの面子に送り付けましょう。

【葉那】 じゃ、美姫さんとざからさん、FLANKERさんのところは〜……どうしよ?

【咲】 本人宛でいいんじゃない? 誰かがいたら使うでしょ。

【葉那】 わかった〜。 あ、でも美姫さんのところに送っても浩さんは書きたいっていう意欲があるみたいだから意味ないんじゃないかな?

【咲】 ん〜、まあ、送って損はないんじゃない? 意欲がなくなったら使ってもいいし、試しに使ってみるのもいいし。

【葉那】 そっか〜。 じゃ、送っとくね。

【咲】 ええ。 にしても、そろそろペルソナとかFLANKERとかを招いて実験体にしたいわね。

【葉那】 浩さんは?

【咲】 浩の場合は出張して美姫さんと協力して実験をするのよ。

【葉那】 あ、それいいね〜。

【咲】 でしょ? ま、どちらにしてもまた次回ってことになるわね。

【葉那】 そうだね〜。 じゃ、今回は♪

【咲】 この辺でね♪

【咲&葉那】 続編でまた会いましょうね〜♪




今の俺には無用の長物!
美姫 「でも、一応保管しておこうっと♪」
……ああ、思わず躓いて転んでしまったぁぁ!
美姫 「はぁぁぁっ!」
ぶべらっ!
美姫 「ふー、椅子は無事ね。全く、安直な事を」
う、うぅぅ。将来、椅子に座らされるのと、今の攻撃を受けるのでは、どっちの方がましだったんだろう……。
美姫 「それはそうと、遂に完結ね」
一応、続編はあるけれど、完結だな。
とりあえず、ハッピーエンドでよかったよ。ヘルはちょっと可哀想だったけれど。
美姫 「続編がどんな感じになるのか楽しみよね」
うんうん。静穂も出てきたしな。
美姫 「とりあえずは完結おめでとうございます」
ございます。



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る


inserted by FC2 system